クリムゾン・タイド
| クリムゾン・タイド | |
|---|---|
| Crimson Tide | |
| 監督 | トニー・スコット |
| 脚本 | マイケル・シファー(原案・脚色) リチャード・P・ヘンリック(原案) クエンティン・タランティーノ (リライト、クレジットなし) |
| 製作 | ドン・シンプソン ジェリー・ブラッカイマー |
| 製作総指揮 | ルーカス・フォスター マイク・モーダー ビル・アンガー |
| 出演者 | デンゼル・ワシントン ジーン・ハックマン |
| 音楽 | ハンス・ジマー |
| 撮影 | ダリウス・ウォルスキー |
| 編集 | クリス・レベンゾン |
| 配給 | |
| 公開 | |
| 上映時間 | 116分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $53,000,000 |
| 興行収入 | |
『クリムゾン・タイド』(Crimson Tide)は、トニー・スコット監督が1995年に製作した映画。タイトルの意味は「深紅の潮流」。
目次 |
解説 [編集]
冷戦後の世界を背景に、ロシアでおきた叛乱にそなえて出港した弾道ミサイル原子力潜水艦を舞台とする潜水艦映画。エリートと叩き上げの対立、白人と黒人の相克、「見えない敵」との頭脳戦、外界と限られた接触しかない特殊な環境、これら潜水艦映画の伝統的なプロットを踏まえつつ、ほとんど一般に知られることのない、現代の弾道ミサイル原潜内での日常、演習、ミサイル発射手順の細部の描写の積み重ねを踏まえて、究極の破壊力の行使をめぐる緊迫したドラマが展開される。
- アカデミー賞(1995年) - 音響効果賞、音響賞、編集賞(すべてノミネートのみ)
- MTVムービー・アワード(1996年) - デンゼル・ワシントン(男優賞ノミネート)
あらすじ [編集]
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
ロシアでチェチェン紛争をきっかけに超国家主義者ウラジーミル・ラドチェンコ率いる反乱が勃発。反乱軍は大陸間弾道ミサイルを発射できる基地など大兵力を自らの手におさめ、自らの要求が応じられなければ日米を核攻撃すると脅迫。これに対しアメリカ政府は、オハイオ級原子力潜水艦アラバマを出撃させることを決定した。
アラバマの艦長で、実戦経験豊富な叩き上げのラムジー大佐は、ハーヴァード大学卒のエリートにしてアフリカ系のエスニシティのハンター少佐を新たな副長に迎え、出港する。たたき上げの自負があり自信過剰のラムジーは軍規を無視し艦内にペットの犬を持ち込み、艦内で放尿させるなどやりたい放題であったが、乗員は見て見ぬふりをせざるを得なかった。だが、艦内火災の際に演習を継続しようとする訓練方針の違い、火災の際に死亡したハンターと同じエスニシティの乗員への扱いなどをめぐって両者は対立し、危機にストレスを感じる乗員たちへの対処の食い違いなどから両者の溝は徐々に深まってゆく。
出港から6日目。北太平洋を哨戒中のアラバマに指令が届く。—— 叛乱軍が弾道ミサイルに燃料注入を開始、発射を阻止すべく先制攻撃を加えよ、と。発射準備に忙殺されるアラバマに、叛乱軍の攻撃型潜水艦が迫る。デコイ(囮魚雷)の放出により魚雷攻撃を間一髪で回避するものの、フローティング・アンテナのウィンチが損傷し、受信しつつあった新たな指令が中断してしまう。途中まで印刷された指令文の解釈をめぐり、核ミサイル攻撃の準備を続行すべきだとするラムジーと、指令を再確認するまで攻撃を待つべきだとするハンター。2人の対立はついに頂点に達する。ラムジーは副長の意見を容れずにミサイルを発射しようとする。しかしながらSLBMの発射には証人となる士官の前での艦長と副長両者の承認が必要であり、これは軍規違反となる。そこでラムジーはハンターを命令不服従として解任しようとする。しかしながらハンターは逆に艦長のラムジーを軍法違反で拘束するように部下に命令を出す。二人の上官から相反する命令を受け役割葛藤に当惑するボビー・ドガーティ大尉であったが、結局ハンターの主張が法理論上適切であると判断し、ハンターの命に従う。
しかし、引き続く叛乱軍潜水艦の魚雷攻撃にアラバマは死傷者を出し、艦前部隔壁のブロー装置が機能せず、かつ浸水により浮力を失いあわや沈没の危機にさらされる。沈没はぎりぎりで避けられたものの、動揺した一部の士官たちはラムジーに唆されて武器庫を開けて武装し、艦長室に拘禁された艦長を救い出し、ラムジーがこんどは指揮権を回復し、これまでの状況を反乱と断定し、ハンターを拘束する。そして核ミサイル攻撃を敢行しようとする。常日頃リベラルな態度を装うラムジーであったが、ことに及んで馬に準え、ハンターに対する人種差別的な隠喩を含む発言に至り、両者の関係は険悪になる。
ラムジーとハンターの相反する対応は、海軍の規定上どちらも間違ってはいなかった。軍司令部よりのSLBM発射の命令は適切な手順を踏んでおり、これを中止するには同様の暗号による照合を経た命令を受けなければならない。この命令を受けていない状態では、先の命令をそのまま遂行することを指示したラムジーの指示は適切である。これに対し、発射命令の後、何らかの指示を含む暗号電報が発せられ、不完全な状態で受信した場合、確認のための措置を取ることは適切であるのでハンターの指示も正しいことになる。しかしながらソ連の反乱軍の原潜の執拗な魚雷攻撃に悩まされ確認作業は困難を極めた。 もしミサイル攻撃が手遅れになれば、報復なしに大量の米国市民を無為に死なせることになる。反対に、もし攻撃指令が撤回されていたのであれば、ミサイル攻撃はロシア側の報復攻撃を呼び、最終戦争の引き金となる。ミサイル攻撃遂行か、指令の再確認か、外部との連絡が取れない艦内はふたつに割れて対立するのだったが結局、通信装置が直り、完全な形で命令を受けることが可能になった。命令はSLBMの発射を中止するように求めたものであった。すなわちハンターの措置は正しかったことになる。
しかしながら海軍の査問委員会では兵学校での同期の判事にによってラムジーに対する温情措置が求められ、名誉退役処分で事が収まった。完全には納得がいかないハンターではあったが、ラムジーが自分を次期艦長に推薦してくれたので矛を収め、ことは一件落着した。 今回の事例は海軍の軍令に大きな禍根を残し、現在ではSLBMの発射については最終命令は大統領にのみ決定権が委ねられることになったとテロップが流れ、物語はめでたく大団円を迎えることになる。
キャスト [編集]
| 役名 | 俳優 | 日本語版1 | 日本語版2 | 日本語版3 |
|---|---|---|---|---|
| ロン・ハンター少佐 | デンゼル・ワシントン | 大塚明夫 | 山寺宏一 | 小山力也 |
| フランク・ラムジー大佐 | ジーン・ハックマン | 石田太郎 | 穂積隆信 | 石田太郎 |
| ウォルターズ先任伍長 | ジョージ・ズンザ | 玄田哲章 | 山野史人 | 田中亮一 |
| ピーター・“ウェップス”・インス大尉(兵器システム将校) | ヴィゴ・モーテンセン | 金尾哲夫 | 牛山茂 | 檀臣幸 |
| ボビー・ドガーティ大尉 | ジェームズ・ガンドルフィーニ | 沢木郁也 | 小山武宏 | 石塚運昇 |
| ロイ・ジマー大尉 | マット・クレイヴン | 牛山茂 | 納谷六朗 | 仲野裕 |
| ラッセル・ヴォスラー | リロ・ブランカート.Jr | 永野広一 | 佐久田修 | |
| ダニー・リベッチ | ダニー・ヌッチ | 真地勇志 | 石田彰 | 高木渉 |
| ウィリアム・バーンズ | スティーヴ・ザーン | 相沢正輝 | 中多和宏 | |
| ポール・ハラーマン大尉 | リック・シュローダー | 田中正彦 | 水野龍司 | 大川透 |
| ダリク・ウェスターガード大尉 | ロッキー・キャロル | 荒川太郎 | ||
| マホーニー大尉 | ジェイミー・ゴメス | 石井康嗣 | ||
| グラッタム二等兵 | ライアン・フィリップ | |||
| アンダーソン少将 | ジェイソン・ロバーズ(クレジットなし) | 藤本譲 | 中村正 | 大木民夫 |
| ウラジーミル・ラドチェンコ | ダニエル・フォン・バーゲン | |||
| ジュリア・ハンター | ヴァネッサ・ベル・キャロウェイ |
- 日本語版1:DVD・ビデオ版
その他の声の出演:辻親八、稲葉実、宝亀克寿、星野充昭、小山武宏、大川透、大黒和広、小野英昭、栗山微笑子、麻丘夏未
演出:高橋剛、翻訳:佐藤一公、録音:金谷和美、調整:吉田佳代子、録音制作:東北新社、監修:岡本企美子、制作:DISNEY CHARACTER VOICES INTERNATIONAL, INC. - 日本語版2:日本テレビ「金曜ロードショー」放映版。初回放送日:1998年10月2日。
その他の声の出演:池田勝、辻親八、稲葉実、大川透、平田広明、岩崎ひろし、西村知道、後藤敦、山崎たくみ、桜井敏治、坂東尚樹、岡野浩介、堀越真己、奥島和美、永迫舞、竹村叔子、村井かずさ
翻訳:佐藤恵子、演出:佐藤敏夫、効果:サウンドボックス、調整:高久孝雄、スタジオ:オムニバス・ジャパン、制作担当:稲毛弘之 - 日本語版3:テレビ朝日「日曜洋画劇場」放映版。初回放送日:2000年11月26日。
その他の声の出演:立木文彦、小室正幸、稲葉実、古田信幸、水野龍司、宝亀克寿、青山穣、樫井笙人、星野充昭、堀川仁、鈴木正和、小野塚貴志
演出:伊達康将、翻訳:平田勝茂、調整:荒井孝、効果:リレーション、製作:東北新社
スタッフ [編集]
- 監督:トニー・スコット
- 製作:ドン・シンプソン、ジェリー・ブラッカイマー
- 脚本:マイケル・シファー、クエンティン・タランティーノ(リライト、クレジットなし)
- 撮影:ダリウス・ウォルスキー
- SFX:ドリーム・クエスト・イメージズ
- 音楽:ハンス・ジマー
- 美術:マイケル・ホワイト
挿入曲 [編集]
- アルフレード・カタラーニ作曲『ラ・ワリー』より「さらば故郷の家よ」
- ジョン・バッカス・ダイクス作曲/ウイリアム・ホワイティング作詞 讃美歌407番『Eternal Father Strong To Save』(海軍賛歌、アメリカ合衆国大統領葬送曲)
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JR東日本のCMで、『クリムゾン・タイド』のパロディCMが放送されたことがある。2本放映され、通信士役として田中麗奈が出演。
- 長野新幹線
- 1998年秋の長野新幹線開業1周年に際し放映されたもの。
- 長野へ向かう作戦に際して潜水艦ごと長野へ向かおうとする艦長に対し、海のない長野へどうやって行くのかと副長が疑問を呈したところ、通信士が長野へは新幹線が便利である旨を上申する。副長がそれを支持するも、艦長は川を遡り長野へ向かえと命令を下す。それを「あなたは間違っている!」と副長が諫める内容。
- 30秒枠版では新幹線案を支持する副長に対し、艦長が「貴様は鉄道マニアか。電車の旅大好き人間か!」と罵倒するという、鉄道会社にとっては自虐的ともいえるシーンがあった。
- 秋田新幹線
- 1998年末に、それまで5両編成で走っていた秋田新幹線こまち号が6両編成に増結された。同列車の座席が増えたことをPRしたもの。
- 秋田へ向かう作戦に際して新幹線を使用するように副長が艦長に意見するが、「どうせ日本人で混んでるよ」と一蹴されてしまう。通信士が秋田新幹線の座席が増えていることを伝えるが「情報が漏れる」としてまたも艦長は一蹴。しかしこの通信士が勝手に新幹線の座席を予約してしまった。仕方なく(攪乱のために?)修学旅行生に扮し学生服姿で新幹線に乗車しようとする艦長たちを「あなたはまた間違っている!」と副長が諫める内容。
余談 [編集]
- クエンティン・タランティーノが本作の脚本のリライトを行った。タランティーノはトニー・スコットの前作『トゥルー・ロマンス』の脚本、翌年には同じジェリー・ブラッカイマー作品の『ザ・ロック』のリライトも行っている。
- 本作は、白人艦長が自らの非を認めて黒人副長と和解する場面で締めくくられ、ハンス・ジマー作曲のメインテーマが流れる。このテーマは2008年11月5日、アメリカ史上初の黒人大統領バラク・オバマと大統領選を争ったジョン・マケインが敗北宣言をおこないステージを去る際の退場テーマに使われた。
- 劇場版、ビデオ、DVDの日本語字幕では、ジョージ・ズンザ演じるウォルターズ先任伍長(COB: Chief Of the Boat)が当直士官と訳されているが、これは誤りである。NHKBS2で放送されたものは最先任士官(その上に振り仮名でコッブ)となっているがこちらも誤りである。
- デンゼル・ワシントンとジーン・ハックマンはこの映画以前に、1986年の映画『キングの報酬』で共演している。
- 作中で、艦長と副長がリピッツァナーという馬種の起源がスペインとポルトガルのどちらなのかについて話す描写があるが、実際にはイタリアのトリエステ (正確には、現在のスロベニア領内) が正解である。
脚注 [編集]
- ^ a b “Crimson Tide (1995)”. Box Office Mojo. 2009年11月29日閲覧。
外部リンク [編集]
- クリムゾン・タイド - Rotten Tomatoes(英語)
- クリムゾン・タイド - Box Office Mojo(英語)
- クリムゾン・タイド - allcinema
- クリムゾン・タイド - KINENOTE
- Crimson Tide - AllMovie(英語)
- Crimson Tide - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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