カーチェイス

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カーチェイスとは逃走車と追跡車とのレースのこと。

現実社会[編集]

公道での車の追跡劇と逃走劇について使われることが殆どである。カーレースが設定したレース場での逃走劇と追跡劇では使われない。

公道でのカーチェイスの場合、逃走車は停車などの交通法規を守ると追跡車に追いつかれてしまうため、交通法規を守らないことがほとんどである。

追跡車はパトカーでかつ警告灯を機能させ警告音を鳴らしていれば緊急自動車扱いとなるため、停車せずとも交通法規を破ったことにはならない。

映画[編集]

映画テレビドラマ(あるいは小説漫画など)の物語においては、ドラマトゥルギーを盛り上げる要素としてカーチェイスは度々取り上げられる。自動車を主題としない映画でも、主に物語の終盤など緊張感を要するシーンにおいて、突如カーチェイスが登場することが往々にしてある。時にそれは自動車、あるいは二輪車以外の乗り物であったり(自転車[1]、馬車[2]、鉄道[3]、モーターボート[4]、ヘリコプター、飛行機、宇宙船[5]など、あるいはそれらと自動車との対決)、また自動車そのものが通常の乗用車ではない特殊な車[6]や現実にはない車[7]CGを用いた演出[8]であったり、また映画の画面抜けの良い景色でのロケであったりする[9]。画面に映るスピード感や車のボリューム、また衝突して大破する場面など、映画にとって低予算かつ簡易に迫力のある場面を撮影できるため、この手法は多用される。映画音楽にとっても、その映画全体のテーマと大きく異なる場合も含めて、緊張する要素を持たせる重要な場面転換として機能する。

アメリカ映画[編集]

ハリウッド映画においては、最初に現代のカーチェイスを主軸とした映画は1968年の『ブリット』(ピーター・イェーツ監督)であった。[10][11][12][13]10分以上に及ぶカーチェイスシーンはそれ以前の映画よりもずっと長くそして速く、観客に自分たちが車の中にいることを錯覚させた。映画の中で最も災難なシーンにもかかわらず、主演俳優のスティーヴ・マックイーンははっきりと車に乗っていることが画面で確認できた。

続いて映画『フレンチ・コネクション』ではさらにリアリズムが追求された。封鎖された一般道、一般解放前や車通りのほとんどない田舎の高速道路、日曜日の早朝(『ブリット』も含む)などで撮影されたこの映画は、ニューヨーク市内の自動車交通網でのカーチェイスを見事に描いた。両映画のプロデューサーであるフィリップ・ダントーニは、続いて映画『The Seven-Ups』の製作に取り掛かり、主演俳優に『フレンチ・コネクション』から続投でロイ・シャイダーを、またそのスタントマンに『ブリット』からビル・ヒックマンを起用した。

これらの映画によって、その時代の映画はカーチェイスシーンを頻繁に採用するようになった。『ブリット』以後カーチェイスシーンは発展し、またエンターテインメントの主要素の一つとなった。車の衝突もまた重要な要素として発展し、様々な車が画面上で大破して時に観客を喜ばせた。初期の例では『マックQ』において、ビーチを横切る車が事故を起こす例が見られる。映画の予算は高騰したが、それはスタントマンのハル・ニーダムの事故による負傷から支えるためであった。

さらに『バニシングin60″』では40分以上にわたるカーチェイスが繰り広げられ、また多くの車が大破した。それらの破壊シーンには意図的なものではなく本当に撮影事故として衝突したものもあった。

カーチェイスに登場する最も一般的な車はパトカーである。その一方で、バス、トラック、スノーモービル、列車、戦車、それから架空の世界の車(車輪を伴うか否かにかかわらず)など、奇抜な組み合わせのカーチェイスも多くの監督によって試みられている。

カーチェイスは喜劇においても昔から多用される。キーストン・コップス、W. C. フィールズ、三ばか大将、『おかしなおかしなおかしな世界』、『The Shaggy Dog』、『No Deposit, No Return』、『フリーキー・フライデー』、『The Gnome-Mobile』、『The Million Dollar Duck』、『おかしなおかしな大追跡』など、多くの喜劇映画でカーチェイスが見られる。

最も複雑なカーチェイスの一例としては、『L.A.大捜査線/狼たちの街』および『RONIN』における、高速道路を逆走した末のカーチェイスが挙げられる。

幾つかの映画では、何台もの車が複雑に絡み合いながら追跡する大規模なカーチェイスが展開される。『ブルースブラザーズ』、『トランスポーター』、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』、『マッドマックス2』、『ワイルド・スピードシリーズ』などである。もう一つのカーチェイスの複雑化の例としては、登場人物がある車から別の車に乗り移り、その中や上で別の登場人物と戦うというものである。ウォシャウスキー姉弟は『マトリックス リローデッド』でこの手法を巧みに用いた。

テレビドラマにおいてもカーチェイスが頻出するシリーズがある。『爆発!デューク』、『ナイトライダー』、『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』、そして最近の例としては2010年の『Chase』が挙げられる。

最近ではCGを用いたカーチェイスも多く見られる。CGの使用はコスト的に危険度を無視することができる。またリアリズムを無視して、車や人物のダメージを大きく見せ、迫力や恐怖に訴える表現が可能である。近年ではマイケル・ベイ監督による『バッドボーイズ2バッド』と『アイランド)』が挙げられる。低予算映画でCGのカーチェイスを用いた例では『RSTC: Reserve Spy Training Corps』が挙げられる。『ドリヴン』は特にCGIを用いたカーチェイスが特筆される。一方でCGによるカーチェイスに否定的な批評も多く、『RONIN』、『ボーン・スプレマシー』、『キングダム/見えざる敵』、『ダークナイト』では実際のカーチェイスを撮影し、CGの使用は極力抑え、または完全に排除してている。

その他の地域の映画[編集]

  • イギリス映画ミニミニ大作戦 (1969年の映画)』は、カーチェイスを主軸とした映画である。リメイク版の『ミニミニ大作戦 (2003年の映画)』では、ヴェネチアの運河でのボートによるチェイスも登場する。
  • フランス映画で常に興行収入の上位[14]を記録した『ルイ・ド・フュネスのサントロペシリーズ』(1964年 - 1982年)には、スピード狂のクロチルド修道女なる人物が登場し[15]、全てのシリーズでカーチェイスや大破シーンが繰り広げられる。使われる車は主にフランス車のシトロエン・2CVである。
  • 同じくルイ・ド・フュネスが準主役を演ずる『ファントマ』シリーズ(1964年 - 1967年)にも、カーチェイスシーンが頻出する。原作の小説でも、それが書かれた20世紀初頭にはまだ新技術であった自動車や蒸気機関車のカーチェイスを描いたことは、小説の人気に繋がった。
  • ルイ・ド・フュネス主演の映画では他にも、『パリ大混戦』はレストランを舞台としたコメディ映画であるにもかかわらず、その後半にはヘリコプターも交えた長いカーチェイスシーンが展開される。『大追跡』は映画全体が車の追跡物語であり、冒頭からシトロエン・2CVが大破する。『大進撃』ではトラック、軍用車、馬車、グライダーも駆使したチェイスが繰り広げられる。
  • 同じくフランス映画の『TAXi』シリーズ(1998年 - 2007年)では、改造したタクシーのカーチェイスが毎回繰り広げられる。第1作で主人公のダニエルはタクシー運転手に転職する前は宅配ピザ店員として働いており、バイクでも暴走運転シーン(チェイスの有る無しに関わらず)が描かれる。
  • フランス・イタリア共同制作映画『カトマンズの男』(言語はフランス語)では、徒歩から気球、飛行機、ベッドに至るまで様々な乗り物を使った追跡シーンが展開される。
  • 日本の漫画『頭文字D』は、一般公道におけるカーレースを描いた作品である。カーブの多い日本の道路でドリフト走行を中心としたドライビングテクニックが披露される。アニメ版では、CGをふんだんに取り入れて使用した日本のテレビアニメの最初期の例として挙げられ、アニメの映画化もされている。香港で実写映画化もされている。
  • ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』では、渋谷の中心街(セット撮影)や鋸山登山自動車道でのロケによる日本を舞台としたカーチェイスが繰り広げられ、やはりドリフト走行を中心に物語が展開する。ただしこれはハリウッド映画である。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 例 - 映画『E.T.スティーヴン・スピルバーグ監督
  2. ^ 例 - 映画『ベン・ハーウィリアム・ワイラー監督(馬車同士の対決)およびそれのパロディとしての漫画『テルマエ・ロマエ』第6巻、ヤマザキマリ著(馬車と自動車の対決)
  3. ^ 例 - 映画『ファントマ/電光石火』、アンドレ・ユヌベル監督
  4. ^ 例 - 映画『大混戦』、ジャン・ジロー監督、『ミニミニ大作戦
  5. ^ 例 - 映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』、ジョージ・ルーカス監督
  6. ^ 例 - 映画『スーパーの女』、伊丹十三監督、冷凍車デコトラの対決
  7. ^ 例 - 映画『ジェームズ・ボンド(007)』シリーズのボンドカー、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ』特にPART2の空飛ぶ車と1955年のクラシックカーとのチェイス
  8. ^ CGによるカーチェイスの最初期の例として映画『トロン』のCGバイクのモーターチェイス、近年の例ではフルCGによる映画『ファイナルファンタジー』における女性型バイクでのモーターチェイスが挙げられる。
  9. ^ 例 - インド映画『Dir Ka Rishta (記憶をなくした時)』は物語の後半を南アフリカ共和国喜望峰付近でロケし、インド映画特有のミュージカルダンスや、物語終盤のカーチェイスもそこで行われる。
  10. ^ John Alfred Heitmann, The Automobile And American Life (Jefferson, NC: McFarland & Company, 2009), 182-183.
  11. ^ Jesse Crosse, The Greatest Movie Car Chases of All Time (St. Paul: MBI Publishing, 2006), 16.
  12. ^ Todd Gitlin, Media Unlimited: How The Torrent of Images and Sounds Overwhelms Our Lives (New York: Henry Holt and Company, 2002), 90.
  13. ^ William Krause, Hollywood TV and Movie Cars (St. Paul: MBI Publishing, 2001), 39.
  14. ^ 1位が4回、4位が2回
  15. ^ 第2作では修道女は脇役で一瞬登場するが、カーチェイスシーンには参加しない。後半にタクシーによる暴走シーンがあるがチェイスではない。