インビクタス/負けざる者たち
| インビクタス/負けざる者たち | |
|---|---|
| Invictus | |
| 監督 | クリント・イーストウッド |
| 脚本 | アンソニー・ペッカム |
| 製作 | ロリー・マクレアリー ロバート・ロレンツ メイス・ニューフェルド クリント・イーストウッド |
| 製作総指揮 | モーガン・フリーマン ティム・ムーア ゲイリー・バーバー ロジャー・バーンボーム |
| 音楽 | カイル・イーストウッド マイケル・スティーヴンス |
| 撮影 | トム・スターン |
| 編集 | ジョエル・コックス ゲイリー・D・ローチ |
| 配給 | ワーナー・ブラザーズ |
| 公開 | |
| 上映時間 | 132分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $60,000,000[1] |
| 興行収入 | $121,575,242[1] |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| AllRovi | |
| IMDb | |
『インビクタス/負けざる者たち』(原題:Invictus)は、2009年のアメリカ映画(日本では2010年公開)。
インビクタスとは、「征服されない」「屈服しない」など、不屈を表すラテン語。
目次 |
[編集] ストーリー
舞台は1994年の南アフリカ共和国。ネルソン・マンデラは反体制活動家として27年ものあいだ投獄されていたが、1990年に釈放されこの年に同国初の黒人大統領となった。それまで政府の主要ポストを占めていた白人官僚たちは、マンデラが報復的な人事をするのではないかと恐れ一部のものはそれを見越して荷物をまとめ始めていたが、マンデラは初登庁の日に職員たちを集めて「辞めるのは自由だが、新しい南アフリカを作るために協力してほしい。あなたたちの協力が必要だ」と呼びかけた。職員たちは安堵し、マンデラのもとで働くことにした。ボディーガードチームも、予想に反して黒人と白人の混成チームとなった[2]。
一方、南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」は当時低迷期にあり、黒人選手もわずか1人という状況だったため、ラグビーはアパルトヘイトの象徴として多数を占める黒人の国民のあいだでは非常に不人気なスポーツだった。政府内では「スプリングボクス」のチーム名やユニフォームの変更を求める意見が多数を占めており、一時はその方向で決まりかけた。しかしマンデラはこのチームが南アフリカの白人と黒人の和解と団結の象徴になると考え、チーム名とユニフォームの存続を求め周囲を説得し[3]、一方でチームの主将フランソワ・ピナールを茶会に招いて言葉を交わし、励ました。
その後スプリングボクスのメンバーたちはマンデラの意向で、貧困地区の黒人の子どもたちにラグビーの指導に赴かされ、メンバーたちは当初それを不満に感じていた。しかし一連の地道な活動により、国民のあいだでチームの人気は少しずつ高まり、メンバーたちも自分たちの存在が国内のみならず世界的に注目されていることを知るに至った。
そしてスプリングボクスは自国開催の1995年ラグビーワールドカップにおいて予想外の快進撃を見せ、ついに決勝進出を果たす。今や新生南アフリカの象徴として見られるようになったスプリングボクスは全南アフリカ国民が見守るなか、強豪ニュージーランド代表オールブラックスとの決勝戦が始まる・・・。
[編集] 当時の南アフリカ国内におけるラグビー
当時南アフリカでは、英国発祥のラグビーは白人もしくはある程度の地位を獲得した富裕層の行なうスポーツであるという印象が強かった。また、ラグビーはルールが複雑であり、教育水準の低い貧困層の多い黒人の間では受け入れられず、専らサッカーが主流のスポーツであった。劇中の冒頭では、白人の観客は南アフリカを応援しているが黒人は敵のチーム(イングランド代表)を応援しているシーンが描かれているほか、フェンスを一つ隔ててラグビーを練習中の白人の若者と、裸足でサッカーに興じている黒人の子供、といった描写で対比させている。
1990年代中頃、「国の恥」とまで言われるほどに当時の南アフリカラグビー代表のテストマッチでの成績は悪かった。長く南アフリカが受けた経済制裁や、国際社会からの追放の影響で国際試合の出場機会は無く、ラグビーワールドカップの第1回大会、第2回大会にも不参加であり、チームは極端に弱体化していた。正確には世界ランキングトップ10入りしている強豪ではあったものの、トップレベルの中では低い位置にあり、ワールドカップ開催国であるにもかかわらず、優勝どころか決勝トーナメントに進出するのも危ぶまれる状況であった。
また、代表チーム30人の選手はほとんどが白人であり、黒人のメンバーはチェスター・ウィリアムズ1人であったが、チェスターはスプリングボクス史上初の黒人選手として、白人と黒人の融和の象徴となった。
なお、劇中では南アフリカのワールドカップ初優勝を感動的に描いているが、実際の大会では、南アフリカに極端に有利な判定や、大会中の盗聴疑惑など、南アフリカにまつわる疑惑が数多く取りざたされている。
[編集] 劇中におけるアパルトヘイト
アパルトヘイトという言葉がよく劇中に使用されている。意味は黒人・白人・その他の人種の混血を避けるため、それぞれの人種を隔離・分離し、異人種間の結婚を認めないなどの人種隔離政策である。1948年に南アフリカ共和国で法律化、国際社会からの批判とともに、経済制裁、南アフリカとの貿易封鎖など、国内経済の悪化が日増しに強くなるのを受け、1994年に人種隔離政策を撤廃。これにより全人種が例外なく選挙権を享受するようになった。
本作品の冒頭では、1990年当時、道路を挟んで片方の整備されたグラウンドで富裕層の白人たちがラグビーの練習している一方、もう片方の土のグランドでは貧困層の黒人たちが裸足でサッカーをしている。両方のグランドには柵が設けており、互いに行き来できないようにしてあるという、アパルトヘイトの象徴であるシーンから始まる。
南アフリカラグビー代表のユニフォームは金と緑を基調としており、通称はスプリングボクス(国内での愛称はボカ)と呼ばれていたが、マンデラ政権誕生と代表チームの国際テストマッチでの連敗を機会に、黒人代表者たちがスポーツ協会での会議で、「チームカラーと愛称はアパルトヘイトの象徴である」との認識による変更を全会一致で決定するシーンがある。そのときマンデラが登場し、黒人代表者たちに盛大に迎え入れられるのだが、マンデラは「今まで我々は白人たちに脅かされた。しかし我々は白人たちを協力する寛容の心で迎えるのだ」と会議参加者との意見の差異あるスピーチを行い、変更を阻止した。
[編集] 劇中で読まれている詩
劇中でマンデラが繰り返す「我が運命を決めるのは我なり、我が魂を制するのは我なり」は、英国の詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩「インビクタス」の一節。ヘンリーは幼少期に骨結核にかかり、十代で片足を切断。この詩は不運にみまわれたわが身の魂の救済をもとめて書いたもの。どんな運命にも負けない不屈の精神を詠っている。
[編集] モーガン・フリーマンとネルソン・マンデラ本人の関係
ネルソン・マンデラの自伝『自由への長い道』が出版された際、記者の「映画化されるとしたら誰に演じてもらいたいか」との質問にマンデラはモーガン・フリーマンの名前を挙げた。それをきっかけに、フリーマンは南アフリカのプロデューサーを通じてヨハネスブルグにあるマンデラの自宅への訪問を実現した。そしてフリーマンは自伝の映画化権を買い、本作品の制作を決定した。
[編集] クリント・イーストウッドへの監督依頼
モーガン・フリーマンとクリント・イーストウッドが組むのは『許されざる者』(1992年)『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)そして本作品の3回目となる。フリーマン自身が本作品の脚本をイーストウッドに送り、監督を依頼した。後日イーストウッドが「是非やりたい」と快諾した。その時の出来事をフリーマンは「クリントを説得したのは私じゃなく、その脚本さ」と笑いながら話している。
[編集] キャスト
| 役名 | 俳優 | 日本語吹替 |
|---|---|---|
| ネルソン・マンデラ | モーガン・フリーマン | 坂口芳貞 |
| フランソワ・ピナール | マット・デイモン | 加瀬康之 |
| ジェイソン・シャバララ | トニー・キゴロギ | 白石充 |
| リンガ・ムーンサミ | パトリック・モフォケン | 乃村健次 |
| ヘンドリック・ボーイェンズ | マット・スターン | 長嶝高士 |
| エチエンヌ・フェデー | ジュリアン・ルイス・ジョーンズ | |
| ブレンダ・マジブコ | アッジョア・アンドー | |
| ネリーン | マルグリット・ウィートリー | |
| メアリー | レレティ・クマロ | |
| ピーナール | パトリック・リスター | |
| ピーナール夫人 | ペニー・ダウニー | |
| ジョエル・ストランスキ | スコット・イーストウッド | |
| ジョナ・ロムー | ザック・フュナティ | |
| ルーベン・クルーガー | グラント・L・ロバーツ |
[編集] 脚注
- ^ a b “Invictus (2009)”. Box Office Mojo. 2010年4月5日閲覧。
- ^ マンデラが民族融和のメッセージを打ち出すに当たって、自分のボディーガードチームが白人と黒人の両方が所属していなければいけないと思考えていたため。
- ^ マンデラは腹心が止めたにもかかわらず議場に直行し、白人達が愛するものを取り上げるような復讐的行為は国のためにならないと熱く説いた。
[編集] 参考資料
- 『INVICTUS』(日本版映画パンフレット) 発行・松竹株式会社事業部
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 公式ウェブサイト (日本語)
- 公式ウェブサイト (英語)
- InvictusJapan - 公式YouTubeチャンネル
- Invictus (2009) (英語。Movie Review Query Engine - MRQE)
|
|||||||||||||||||