「すべり軸受」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
タグ: 手動差し戻し
編集の要約なし
(同じ利用者による、間の1版が非表示)
8行目: 8行目:
すべり軸受材の性能の指標の一つに[[PV値]]があり、P=軸受け[[圧力|面圧]]に V=軸の周速([[回転速度|回転数]]×軸[[径]])をかけた値の範囲が使用できる領域であるという、選定のガイドラインである。軸受部の[[摩擦]]による発[[熱]]が、[[熱伝導]]による放熱を上回ると軸受材料が[[融解|溶融]]し、[[焼きつき]]にいたる。
すべり軸受材の性能の指標の一つに[[PV値]]があり、P=軸受け[[圧力|面圧]]に V=軸の周速([[回転速度|回転数]]×軸[[径]])をかけた値の範囲が使用できる領域であるという、選定のガイドラインである。軸受部の[[摩擦]]による発[[熱]]が、[[熱伝導]]による放熱を上回ると軸受材料が[[融解|溶融]]し、[[焼きつき]]にいたる。


よりシビアな用途では、特殊な[[軸受合金]]が用いられる。[[アッセンブリー|組立]]直後の[[慣らし運転|初期のなじみ]]性、耐[[疲労 (材料)|疲労]]性、耐[[摩耗]]性など、相反する特性を要求されるので、多層構造の軸受けが使われる場合もある。
よりシビアな用途では、特殊な[[軸受合金]]が用いられる。[[アッセンブリー|組立]]直後の[[慣らし運転|初期のなじみ]]性、耐[[疲労 (材料)|疲労]]性、耐[[摩耗]]性など、相反する特性を要求されるので、多層構造の軸受けが使われる場合もある。近年では境界潤滑理論(CCSCモデル)の提出もあり、極圧性能を有したマルテンサイト鋼(特殊鋼(工具鋼))も提案され、硬い側の耐凝着性向上の提案もある。


[[含油軸受]]、[[静圧軸受]]もすべり軸受に含まれる。
[[含油軸受]]、[[静圧軸受]]もすべり軸受に含まれる。
18行目: 18行目:
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* 久保田邦親:境界潤滑現象の本性について(CCSCモデル)内燃機関シンポジウム講演論文集(2018)29th No.84 | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター (jst.go.jp)
* 低フリクションを実現する自己潤滑性特殊鋼の境界潤滑機構 日立金属技報 = Hitachi metals technical review / 日立金属株式会社(現プロテリアル)技術開発本部グローバル技術革新センターGRIT 編33 20-27, 2017
* 久保田邦親、小松原周吾、扇原孝志、鳴海雅稔、山岡美樹「新冷間ダイス鋼SLD-MAGICの開発」:日立金属技報 = Hitachi metals technical review / 日立金属株式会社(現プロテリアル)技術開発本部グローバル技術革新センターGRIT 編 vol.21(2005)p45


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2023年6月16日 (金) 05:09時点における版

すべり軸受

すべり軸受(すべりじくうけ、滑り軸受)は、すべり面でを受ける軸受をいう。作動流体によって油軸受空気軸受に分けられる。

多くの場合、給脂、潤滑して、その油膜で、軸と軸受の接触、凝着を防ぐ。

比較的簡単な機械では、軸はであることが多いので、凝着しやすい「ともがね」の組合わせを避けるために、真鍮青銅などの合金や、プラスチックなどを加工したいわゆるブッシュを使い、潤滑剤としてグリスを封入するなどして使うのが、初歩的な使用例である。軸受のすきまに異物が入った場合の故障を防ぐため、異物が埋まるような比較的柔らかい材料が選ばれることが多いが、硬質なセラミックを軸受にする場合もある。

すべり軸受材の性能の指標の一つにPV値があり、P=軸受け面圧に V=軸の周速(回転数×軸)をかけた値の範囲が使用できる領域であるという、選定のガイドラインである。軸受部の摩擦による発が、熱伝導による放熱を上回ると軸受材料が溶融し、焼きつきにいたる。

よりシビアな用途では、特殊な軸受合金が用いられる。組立直後の初期のなじみ性、耐疲労性、耐摩耗性など、相反する特性を要求されるので、多層構造の軸受けが使われる場合もある。近年では境界潤滑理論(CCSCモデル)の提出もあり、極圧性能を有したマルテンサイト鋼(特殊鋼(工具鋼))も提案され、硬い側の耐凝着性向上の提案もある。

含油軸受静圧軸受もすべり軸受に含まれる。

ブッシュ

ブッシュ英語: bush, bushing)は、独立したすべり軸受で、ハウジングに挿入して回転用途の軸受面英語版を提供するもので、すべり軸受の中では最も一般的な形態である[1]。一般的には、ソリッドブッシュ(スリーブ、フランジ)、スプリットブッシュ、クレンチベアリングなどがある。3つのタイプの違いは、ソリッドブッシュは全周がソリッドであること、スプリットブッシュは長さに沿って切り込みが入っていること、クレンチベアリングはスプリットブッシュに似ているが、部品をつなぐ切り込みにクレンチ(クリンチ)が入っていることである。フランジ付きブッシュは、スリーブブッシュの一端に外径から半径方向外側に伸びるフランジを付けたものである。フランジは、ブッシュの取り付け時の位置決めや、スラスト軸受面として使用される[2]

脚注

  1. ^ Brumbach, Michael E.; Clade, Jeffrey A. (2003), Industrial Maintenance, Cengage Learning, p. 199, ISBN 978-0-7668-2695-3, https://books.google.com/books?id=1wq6eiR7mxEC&pg=PA112. 
  2. ^ Neale 1995, p. A12.1.

関連項目

  • 久保田邦親:境界潤滑現象の本性について(CCSCモデル)内燃機関シンポジウム講演論文集(2018)29th No.84 | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター (jst.go.jp)
  • 低フリクションを実現する自己潤滑性特殊鋼の境界潤滑機構 日立金属技報 = Hitachi metals technical review / 日立金属株式会社(現プロテリアル)技術開発本部グローバル技術革新センターGRIT 編33 20-27, 2017
  • 久保田邦親、小松原周吾、扇原孝志、鳴海雅稔、山岡美樹「新冷間ダイス鋼SLD-MAGICの開発」:日立金属技報 = Hitachi metals technical review / 日立金属株式会社(現プロテリアル)技術開発本部グローバル技術革新センターGRIT 編 vol.21(2005)p45

関連項目