「大天井岳」の版間の差分

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牛首山
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{{Infobox 山
{{Infobox 山
|名称=大天井岳
|名称=大天井岳
|画像=[[Image:Mt.Otenshodake 01.jpg|300px]]<br /><small>合戦尾根から見た大天井岳 （[[2007年]][[8月]]撮影）</small>
|画像=[[File:Mount Otensho from north 2002-08-22.jpg|300px]]<br /><small>[[燕岳]]方面の登山道から望む大天井岳</small>
|標高=2,921.<small>91</small><ref name="kijyun">{{Cite web |url=http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/ |title=基準点成果等閲覧サービス |publisher=[[国土地理院]] |accessdate=2011-08-21}}</ref>
|標高=2,922
|座標={{ウィキ座標2段度分秒|36|21|54|N|137|42|04|E}}
|座標={{ウィキ座標2段度分秒|36|21|54|N|137|42|04|E|region:JP_type:mountain|display=inline,title}}<ref name="kokudo">{{Cite web |url=http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MOUNTAIN/mountain.html |title=日本の主な山岳標高（長野県） |publisher=国土地理院 |accessdate=2011-08-21}}</ref>
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|地図={{Embedmap|137.7011083|36.36496667|300}}大天井岳の位置{{日本の位置情報|36|21|54|137|42|04|大天井岳|36.36496667,137.7011083|大天井岳}}
}}
}}
'''大天井岳'''（おてんしょうだけ）は、[[飛騨山脈]]（北アルプス）にある[[標高]]2,922 [[メートル|m]]の[[山]]。[[長野県]]の[[大町市]]・[[安曇野市]]・[[松本市]]にまたがる[[常念山脈]]の最高峰。
{{mapplot|137.7011|36.3650|大天井岳}}
'''大天井岳'''（おてんしょだけ）は、[[飛騨山脈]]（北アルプス）にある標高2,922mの[[山]]。[[常念山脈]]の最高峰。山体すべてが[[長野県]]に属する。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[File:Lagopus muta in Mount Otensho 2003-04-27.jpg|thumb|160px|left|山頂部の[[ハイマツ]]帯に生息する[[特別天然記念物]]の冬毛の雌の[[ライチョウ]]]]
大天井岳は、[[中房温泉]]から合戦尾根を経て[[槍ヶ岳]]へ登る[[表銀座]]コースの途中にあり、また、南へは[[常念岳]]との分岐点にある。ただし、コースは山頂を通らず、巻道となっている。
[[大糸線]][[有明駅]]の東15.9 [[キロメートル|km]]に位置し、[[中房温泉]]から合戦尾根を経て[[槍ヶ岳]]へ登る[[表銀座]]縦走コースと常念山脈との分岐点の山である。ただし、[[登山道]]は山頂を通らず巻道となっている。[[中部山岳国立公園]]内にあり<ref name="park">{{Cite web |url=http://www.env.go.jp/park/chubu/intro/index.html |title=中部山岳国立公園区域の概要 |publisher=[[環境省]] |accessdate=2011-08-21}}</ref>、[[日本二百名山]]に選定されている<ref name="y200">{{Cite book|和書 |year=1992 |month=4 |title=日本200名山 |author=深田クラブ |publisher=[[昭文社]] |pages=p.159 |isbn=4398220011}}</ref>。山体は[[中生代]]の[[花崗岩]]からなり、山頂部には[[中生代]]の[[輝緑岩]]が混じる<ref name="sangakushi">{{Cite book|和書 |author= |year=2005 |month=11 |title=新日本山岳誌 |editor=[[日本山岳会]] |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |pages=pp.939-940 |isbn=4779500001}}</ref>。山頂部は[[森林限界]]を越える[[高山帯]]で、砂礫地には[[ハイマツ]]が分布し[[特別天然記念物]]の[[ライチョウ]]の生息地となっている。山腹では、[[イワヒゲ]]、[[コマクサ]]、[[クモマスミレ]]などの[[高山植物]]が自生している<ref name="sangakushi" />。山頂には、点名が「天章山」の三等[[三角点]]が設置されている<ref name="kijyun" />。麓の[[安曇野]]から眺めるとピラミッド形状の[[常念岳]]<ref>{{Cite web |url=http://www.city.azumino.nagano.jp/yukari/story/03/ |title=安曇野人物物語（信仰の山から美の山に） |publisher=安曇野市 |date=2011-05-19 |accessdate=2011-08-21}}</ref>や安曇富士ともよばれる[[有明山]]と比べると、奥まった位置にあるため目立たない存在となっている<ref>{{Cite web |url=http://www.city.azumino.nagano.jp/shokai/from/shokanokaori.html |title=初夏の香り |publisher=安曇野市 |date=2011-05-19 |accessdate=2011-08-21}}</ref>。


== 山名の由来 ==
呼び名は、正式名称ではなく「おてんしょうだけ」と呼ばれることが多く、漢字そのままに「おおてんじょうだけ」、「だいてんじょうだけ」と呼ぶ人もある。山名は「御天上」・「御天所」からきている。これには、「二ノ俣谷を詰めた最高所」という意味がある。松本城の天守閣に似ることから「おてんしゅかく」が「おてんしょう」に転訛したのではという命名説が一般的だ。
山名は「だいてんじょうだけ」<ref name="kokudo" /><ref name="jiten">{{Cite book|和書 |author= |year=1992 |month=10 |title=コンサイス日本山名辞典 |publisher=[[三省堂]] |isbn=4-385-15403-1|pages=p.109}}</ref>、「おおてんじょうだけ」<ref name="sangakushi" /><ref name="jiten" />とも呼ばれる。[[山小屋]]は大天荘（だいてんそう）、大天井岳ヒュッテ（おてんしょう）と呼ばれている。


[[江戸時代]]の絵図では「神明岳」と書かれていた<ref name="sangakushi" />。かつて麓では「てんしょう」、「おてんしょう」、「二ノ俣のてんしょう」と呼ばれていた<ref name="y300">{{Cite book|和書 |year=1997 |month=3 |title=日本三百名山 |publisher=[[毎日新聞社]] |pages=p.147 |isbn=4620605247}}</ref>。山名は「御天上」・「御天所」からきている。これには、「二ノ俣谷を詰めた最高所」という意味がある<ref name="jiten" />。[[松本城]]の[[天守閣]]に似ることから「おてんしゅかく」が「おてんしょう」に転訛したのではという説もある<ref name="y200" />。
== 近隣の小屋 ==
* [[大天荘]]（だいてんそう）
* [[大天井ヒュッテ|大天井（おてんしょ）ヒュッテ]]
{{-}}


== 登山 ==
== 大天井岳からの眺望 ==
=== 登山ルート ===
{{wide image|View from Mt.Otenshodake 04.jpg|2300px|大天井岳山頂からの眺望 （[[2007年]][[8月]]、午前6:25頃撮影）}}
[[File:Kobayashi Kisaku Relief in Mount Otensho 2001-07-23.jpg|thumb|200px|right|切通岩には192年に喜作新道を開設した[[小林喜作]]のレリーフがある。喜作新道開設により[[表銀座]]が、多くの人が訪れる賑やかな[[槍ヶ岳]]へのメインルートとなった。]]
[[中房温泉]]からの表銀座縦走コース及び常念山脈縦走時に登られることが多い。最寄りの登山口は中房温泉で、常念岳の登山口が次に近い登山口である<ref name="tizu">{{Cite book|和書 |year=2011 |month=3 |title=槍ヶ岳・穂高岳　上高地 |series=山と高原地図 2011年版 |publisher=[[昭文社]] |pages= |isbn=9784398757777}}</ref><ref name="guide">{{Cite book|和書 |year=2008 |month=5 |title=槍・穂高連峰 |series=ヤマケイ アルペンガイド7 |publisher=山と溪谷社 |pages= |isbn=9784635013512}}</ref>。[[小林喜作]]が1920年に喜作新道を開設する以前は、槍ヶ岳への登路は以下の2つのルートが利用されていたが、現在は廃道となっている<ref>{{Cite book|和書 |author= |year=2005 |month=10 |title=目で見る日本登山史 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635178145 |pagespp.176-177}}</ref>。かつて槍沢の一ノ俣谷出合には一ノ俣小屋があり、そこから一ノ俣に沿って常念乗越に至る上級者向けの谷コースがあったが、現在は廃道化している<ref>{{Cite book|和書 |year=1986 |month=10 |title=日本登山図集 |publisher=日地出版 |pages=pp.44-47 |isbn=45270023333}}</ref>。大天井岳の北側の切通岩には地元の[[彫刻家]]の小川大系が製作した小林喜作の[[レリーフ]]が岩に埋め込まれている<ref>{{Cite web |url=http://www.city.azumino.nagano.jp/yukari/memory/03/ |title=表銀座に「喜作新道」を開いた小林喜作 |publisher=安曇野市 |accessdate=2011-08-21}}</ref>。大天井ヒュッテの南西約0.8 kmの標高点2,549 m付近の鞍部は貧乏沢の最上部であり、1922年の日本登山史の黎明期に[[学習院大学]]のパーティーが貧乏沢を下降して[[北鎌尾根]]から槍ヶ岳に登頂した<ref>{{Cite book|和書 |year=2000 |month=4 |title=上高地・槍・穂高 |series=ヤマケイ アルペンガイド |publisher=山と溪谷社 |pages=p.137 |isbn=4635013197}}</ref>。
* 有明 - 中房温泉 - 合戦尾根 - 大天井岳 - 東天井岳 - 二ノ俣尾根 - 二ノ俣谷 - 槍沢 - 槍ヶ岳
* 有明 - 中房温泉 - 合戦尾根 - 大天井岳 - 東天井岳 - 横通岳 - 常念乗越（[[常念小屋|常念坊乗越小屋]]） - 一ノ俣谷 - 中山乗越 - 二ノ俣尾根 - 二ノ俣谷 - 槍沢 - 槍ヶ岳
[[File:Tsubakurodake from Otenshodake 2002-8-22.jpg|thumb|170px|left|大天井岳から望む[[燕山荘]]からの[[表銀座]]と呼ばれる[[登山道]]]]
代表的な大天井岳への登山経路を以下に示す。要所には[[山小屋]]や[[キャンプ]]指定地がある。残雪期や積雪期には、北側の尾根を直登する冬期ルートが用いられている<ref>{{Cite book|和書 |author=中村成勝 |year=2006 |month=12 |title=新版・日本雪山登山ルート集 |publisher=山と溪谷社 |pages=pp.109-111 |isbn=4635180093}}</ref> 。
* '''中房温泉からの表銀座'''
: 中房温泉 - 合戦小屋 - [[燕山荘]] - 蛙岩 - 切通岩（小林喜作のレリーフ） - 大天荘 - '''大天井岳''' （- 大天井ヒュッテ - 赤岩岳 - 西岳ヒュッテ（西岳） - 水俣乗越 - ヒュッテ大槍 - [[槍ヶ岳山荘]] - 槍ヶ岳）
* '''一ノ沢登山口'''
: ヒエ平 - 王滝ベンチ - 胸突八丁 - 常念小屋（常念岳） - 横通岳 - 東大天井岳 - 大天荘 - '''大天井岳'''
* '''徳沢登山口'''
: [[上高地]] - [[徳沢]] - 長塀山 - 蝶ヶ岳 - 蝶ヶ岳ヒュッテ- 蝶槍 - 常念 - 常念小屋（常念岳） - 横通岳 - 東大天井岳 - 大天荘 - '''大天井岳'''


== 関連画像 ==
=== 周辺の山小屋 ===
[[File:Mount Otensho and hut 2003-04-28.jpg|thumb|200px|right|大天井岳山頂直下にある大天荘。営業期間前雪に埋もれる。左側に冬期避難小屋があり、キャンプ指定地が併設されている。]]
<Gallery>
山頂直下の南東0.2 kmには1956年に建設された（1975年に二階建の新館が建設された。）安曇野市の大天荘があり<ref name="koya-annai">{{Cite book|和書 |author=金子博文 |year=1987 |month=6 |title=北アルプス山小屋案内 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635170225 |pages=pp.130-131}}</ref>、営業期間外は無人となり閉鎖される<ref>運営と管理は燕山荘のグループに委託されている。[http://www.enzanso.co.jp/daitenso/index.html 大天荘]</ref>。緊急避難用の冬期避難小屋が解放されている。山頂と牛首岳との鞍部の西南西0.5 kmには、1957年に開業した大天井ヒュッテがある<ref name="koya-history">{{Cite book|和書 |author=柳原修一 |year=1990 |month=6 |title=北アルプス山小屋物語 |publisher=[[東京新聞]]出版局 |isbn=4808303744 |pages=p.82}}</ref>。
Image:Daitensou.jpg|大天荘
{| class="wikitable"
Image:Mt.Otenshodake 02.jpg|東側から見た大天井岳
|-
Image:Mt.Otenshodake from North.jpg|北側から見た大天井岳
!画像
画像:YariKamikohchiTagged.jpg|大天井岳鳥瞰写真
!名称
</Gallery>
!所在地
![[標高]]<br />([[メートル|m]])
!大天井岳からの<br />方角と[[距離]]([[キロメートル|km]])
!収容<br />人数
![[キャンプ]]<br>指定地
!備考<ref name="koya-annai" /><ref name="koya-history" />
|-
|[[File:Hut Enzanso 2003-4-27.jpg|70px]]
|[[燕山荘]]
|合戦尾根の頂上
|style="text-align:right;"|2,700　
|{{direction|NNE}}北北東　4.0
|style="text-align:right;"|600
|　30張
|[[1921年]]開業<br />[[夏山診療所]]
|-
|[[File:Daitensou.jpg|70px]]
|'''[[大天荘]]'''<br /><small>（だいてんそう）</small>
|大天井岳山頂<br />直下南
|　2,850
|{{direction|SE}}南東　0.2</Div>
|style="text-align:right;"|200
|　30張
|[[1956年]]開業<br />安曇野市
|-
|[[File:Otensho Hut 2003 -09-14.jpg|70px]]
|'''[[大天井ヒュッテ]]'''<br /><small>（おてんしょう）</small>
|大天井岳直下西
|style="text-align:right;"|2,650
|{{direction|WSW}}西南西　0.5
|style="text-align:right;"|100
|　なし
|[[1957年]]開業
|-
|[[File:Huts Jyonen 2004-5-2.JPG|70px]]
|[[常念小屋]]
|常念乗越
|　2,450　
|{{direction|SSE}}南南東　2.5</Div>
|style="text-align:right;"|300
|　40張
|[[1919年]]開業<br />夏山診療所
|-
|[[File:Hut Mount Nishi and Mount Hotaka from Mount Nishi 2003-09-15.jpg|70px]]
|[[ヒュッテ西岳]]
|西岳直下南
|style="text-align:right;"|2,680
|{{direction|SSW}}南南西　3.7
|style="text-align:right;"|70
|　30張
|[[1923年]]開業
|}

== 地理 ==
=== 周辺の山 ===
[[File:Omoteginza from Enzanso 2000-5-4.jpg|thumb|250px|right|[[燕山荘]]から望む[[表銀座]]縦走ルート、大天井岳を経て[[槍ヶ岳]]の東鎌尾根へと続く]]
[[File:Mount Otensho from Mount Minami 2003-10-05.jpg|thumb|250px|right|[[南岳]]から望む表銀座と大天井岳から南の横通岳へと続く[[常念山脈]]]]
飛騨山脈の南東にある常念山脈がほぼ南北に延び、南西1.8 kmには[[東天井岳]]がある。山頂からは南南西の赤岩岳へと表銀座の尾根延び、東鎌尾根を経て槍ヶ岳で飛騨山脈の主稜線と合流する。山頂の1.4 km西には牛首山（標高2,553 m）があり、山頂は展望地となっている。
{| class="wikitable"
!山容
!山名
!標高<ref name="kijyun" /><ref name="kokudo" /><br />(m)
![[三角点]]等級<br />基準点名<ref name="kijyun" />
!大天井岳からの<br />方角と距離(km)
!備考
|-
|[[File:Tubakurodake from Enzanso 76 2000 7 22.jpg|80px]]
|[[燕岳]]
|2,762.<small>85</small>
|　二等<br />「燕岳」
|{{direction|NNE}}北北東　4.7
|[[燕山荘]]<br /><small>[[日本二百名山]]</small>
|-
|[[File:Mount Ariake from Kisakusindo 2004-5-1.JPG|80px]]
|[[有明山 (長野県安曇野市)|有明山]]
|2,268.<small>34</small>
|　二等<br />「有明山｝
|{{direction|ENE}}東北東　6.9
|<small>日本二百名山</small>
|- style="background-color:#ccc"
|[[File:Otenshodake from Enzanso 1999-5-9.jpg|80px]]
|[[大天井岳]]
|2,921.<small>91</small>
|　三等<br />「天章山」
|{{direction|O}}　0
|[[常念山脈]]の[[最高峰]]<br>大天荘、<small>日本二百名山</small>
|-
|[[File:Mt.Higashitenjodake from Gassen-one 01.jpg|80px]]
|[[東天井岳]]
|2,814
|
|{{direction|SW}}南西　1.8
|
|-
|[[File:Akaiwadake from ushikubitenboudai 2002 9 24.jpg|80px]]
|[[赤岩岳]]
|2,768.<small>7</small>
|　三等<br />「筆波美」
|{{direction|SSW}}南南西　2.8
|
|-
|[[File:Yokotoshidake and Jyonengoya 2004-5-2.JPG|80px]]
|[[横通岳]]
|2,766.<small>99</small>
|　三等<br />「赤樽」
|{{direction|SE}}南東　3.4
|
|-
|[[File:Nishidake north alps 2000 8 16.jpg|80px]]
|[[西岳]]
|2,758
|
|{{direction|SSW}}南南西　3.7
|ヒュッテ西岳
|-
|[[File:Mount Jonen from Mount Hotaka 2002-8-31.jpg|80px]]
|[[常念岳]]
|2,857
|
|{{direction|SSE}}南南東　4.9
|<small>[[常念小屋]]</small><br />[[日本百名山]]
|-
|[[File:05 Yarigatake from Higashikamaone 2000-8-16.jpg|80px]]
|[[槍ヶ岳]]
|3,180
|
|{{direction|WSW}}西南西　5.4
|[[槍ヶ岳山荘]]<br /><small>日本百名山</small>
|}

=== 源流の河川 ===
源流となる以下の[[信濃川]][[水系]]の[[河川]]であり、[[日本海]]へ流れる<ref name="watchizu">{{Cite web |url=http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=137.7011083&latitude=36.36496667 |title=地図閲覧サービス（大天井岳） |publisher=国土地理院 |accessdate=2011-08-21}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |year=2011 |month=3 |title=槍ヶ岳・穂高岳　上高地 |series=[[山と高原地図]] 2011年版 |publisher=昭文社 |pages= |isbn=9784398757777}}</ref>。
* 貧乏沢、中東沢　（[[高瀬川 (長野県)|高瀬川]]の[[支流]]）
* 南中川谷　（中房川の支流）
* ニノ俣谷　（[[梓川]]の支流）

== 大天井岳の風景と展望 ==
遮るものが山頂の岩場からは360度の展望が得られ、西南西に槍ヶ岳が望める。
=== 大天井岳からのパノラマ展望 ===
{{wide image|View from Mt.Otenshodake 04.jpg|800px|大天井岳山頂からの眺望 （[[2007年]][[8月]]、午前6:25頃撮影）}}

=== 大天井岳の風景と展望 ===
{| class="wikitable"
|-
|[[File:Mt.Otenshodake 02.jpg|x110px]]
|[[File:Yokotooshidake from jyounendake 99 8 1.jpg|x110px]]
|[[File:Lenticular clouds and Mount Hotaka from Mount Otensho 1994-06-25.jpg|x110px]]
|[[File:Sunsets and Hida Mountains from Mount Otensho 2004-05-01.jpg|x110px]]
|-
| <small>大天井岳山頂部<br />南東から望む</small>
| <small>大天井岳と横通岳<br />[[常念岳]]から望む</small>
| <small>[[レンズ雲|吊し雲]]と[[穂高岳]]<br />大天井岳から望む</small>
| <small>[[裏銀座]]の夕景<br />大天井岳から望む</small>
|}

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}

== 関連項目 ==
* [[中部山岳国立公園]]
* [[飛騨山脈]] - [[常念山脈]]
* [[日本の山一覧 (高さ順)]]・第30位
* [[日本二百名山]]
* [[長野県道495号豊科大天井岳線]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{commonscat|Mt. Otenshodake|大天井岳}}
{{commonscat|Mount Otenshodake|大天井岳}}
* [http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=137.7011083&latitude=36.36496667 地図閲覧サービス（大天井岳・国土地理院）]
{{日本二百名山}}
{{日本二百名山}}


2011年9月9日 (金) 12:03時点における版

大天井岳

燕岳方面の登山道から望む大天井岳
標高 2,921.91[1] m
所在地 長野県大町市、安曇野市、松本市
位置 北緯36度21分54秒 東経137度42分04秒 / 北緯36.36500度 東経137.70111度 / 36.36500; 137.70111座標: 北緯36度21分54秒 東経137度42分04秒 / 北緯36.36500度 東経137.70111度 / 36.36500; 137.70111[2]
山系 飛騨山脈（常念山脈）
大天井岳の位置（日本内）
大天井岳
大天井岳の位置
OpenStreetMap
地図
プロジェクト 山
テンプレートを表示

大天井岳（おてんしょうだけ）は、飛騨山脈（北アルプス）にある標高2,922 mの山。長野県の大町市・安曇野市・松本市にまたがる常念山脈の最高峰。

概要

山頂部のハイマツ帯に生息する特別天然記念物の冬毛の雌のライチョウ

大糸線有明駅の東15.9 kmに位置し、中房温泉から合戦尾根を経て槍ヶ岳へ登る表銀座縦走コースと常念山脈との分岐点の山である。ただし、登山道は山頂を通らず巻道となっている。中部山岳国立公園内にあり[3]、日本二百名山に選定されている[4]。山体は中生代の花崗岩からなり、山頂部には中生代の輝緑岩が混じる[5]。山頂部は森林限界を越える高山帯で、砂礫地にはハイマツが分布し特別天然記念物のライチョウの生息地となっている。山腹では、イワヒゲ、コマクサ、クモマスミレなどの高山植物が自生している[5]。山頂には、点名が「天章山」の三等三角点が設置されている[1]。麓の安曇野から眺めるとピラミッド形状の常念岳[6]や安曇富士ともよばれる有明山と比べると、奥まった位置にあるため目立たない存在となっている[7]。

山名の由来

山名は「だいてんじょうだけ」[2][8]、「おおてんじょうだけ」[5][8]とも呼ばれる。山小屋は大天荘（だいてんそう）、大天井岳ヒュッテ（おてんしょう）と呼ばれている。

江戸時代の絵図では「神明岳」と書かれていた[5]。かつて麓では「てんしょう」、「おてんしょう」、「二ノ俣のてんしょう」と呼ばれていた[9]。山名は「御天上」・「御天所」からきている。これには、「二ノ俣谷を詰めた最高所」という意味がある[8]。松本城の天守閣に似ることから「おてんしゅかく」が「おてんしょう」に転訛したのではという説もある[4]。

登山

登山ルート

切通岩には192年に喜作新道を開設した小林喜作のレリーフがある。喜作新道開設により表銀座が、多くの人が訪れる賑やかな槍ヶ岳へのメインルートとなった。

中房温泉からの表銀座縦走コース及び常念山脈縦走時に登られることが多い。最寄りの登山口は中房温泉で、常念岳の登山口が次に近い登山口である[10][11]。小林喜作が1920年に喜作新道を開設する以前は、槍ヶ岳への登路は以下の2つのルートが利用されていたが、現在は廃道となっている[12]。かつて槍沢の一ノ俣谷出合には一ノ俣小屋があり、そこから一ノ俣に沿って常念乗越に至る上級者向けの谷コースがあったが、現在は廃道化している[13]。大天井岳の北側の切通岩には地元の彫刻家の小川大系が製作した小林喜作のレリーフが岩に埋め込まれている[14]。大天井ヒュッテの南西約0.8 kmの標高点2,549 m付近の鞍部は貧乏沢の最上部であり、1922年の日本登山史の黎明期に学習院大学のパーティーが貧乏沢を下降して北鎌尾根から槍ヶ岳に登頂した[15]。

  • 有明 - 中房温泉 - 合戦尾根 - 大天井岳 - 東天井岳 - 二ノ俣尾根 - 二ノ俣谷 - 槍沢 - 槍ヶ岳
  • 有明 - 中房温泉 - 合戦尾根 - 大天井岳 - 東天井岳 - 横通岳 - 常念乗越（常念坊乗越小屋） - 一ノ俣谷 - 中山乗越 - 二ノ俣尾根 - 二ノ俣谷 - 槍沢 - 槍ヶ岳
大天井岳から望む燕山荘からの表銀座と呼ばれる登山道

代表的な大天井岳への登山経路を以下に示す。要所には山小屋やキャンプ指定地がある。残雪期や積雪期には、北側の尾根を直登する冬期ルートが用いられている[16] 。

  • 中房温泉からの表銀座
中房温泉 - 合戦小屋 - 燕山荘 - 蛙岩 - 切通岩（小林喜作のレリーフ） - 大天荘 - 大天井岳 （- 大天井ヒュッテ - 赤岩岳 - 西岳ヒュッテ（西岳） - 水俣乗越 - ヒュッテ大槍 - 槍ヶ岳山荘 - 槍ヶ岳）
  • 一ノ沢登山口
ヒエ平 - 王滝ベンチ - 胸突八丁 - 常念小屋（常念岳） - 横通岳 - 東大天井岳 - 大天荘 - 大天井岳
  • 徳沢登山口
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周辺の山小屋

大天井岳山頂直下にある大天荘。営業期間前雪に埋もれる。左側に冬期避難小屋があり、キャンプ指定地が併設されている。

山頂直下の南東0.2 kmには1956年に建設された（1975年に二階建の新館が建設された。）安曇野市の大天荘があり[17]、営業期間外は無人となり閉鎖される[18]。緊急避難用の冬期避難小屋が解放されている。山頂と牛首岳との鞍部の西南西0.5 kmには、1957年に開業した大天井ヒュッテがある[19]。

画像 名称 所在地 標高
(m) 		大天井岳からの
方角と距離(km) 		収容
人数 		キャンプ
指定地 		備考[17][19]
燕山荘 合戦尾根の頂上 2,700　 北北東　4.0 600 　30張 1921年開業
夏山診療所
大天荘
（だいてんそう） 		大天井岳山頂
直下南 		　2,850 南東　0.2 200 　30張 1956年開業
安曇野市
大天井ヒュッテ
（おてんしょう） 		大天井岳直下西 2,650 西南西　0.5 100 　なし 1957年開業
常念小屋 常念乗越 　2,450　 南南東　2.5 300 　40張 1919年開業
夏山診療所
ヒュッテ西岳 西岳直下南 2,680 南南西　3.7 70 　30張 1923年開業

地理

周辺の山

燕山荘から望む表銀座縦走ルート、大天井岳を経て槍ヶ岳の東鎌尾根へと続く
南岳から望む表銀座と大天井岳から南の横通岳へと続く常念山脈

飛騨山脈の南東にある常念山脈がほぼ南北に延び、南西1.8 kmには東天井岳がある。山頂からは南南西の赤岩岳へと表銀座の尾根延び、東鎌尾根を経て槍ヶ岳で飛騨山脈の主稜線と合流する。山頂の1.4 km西には牛首山（標高2,553 m）があり、山頂は展望地となっている。

山容 山名 標高[1][2]
(m) 		三角点等級
基準点名[1] 		大天井岳からの
方角と距離(km) 		備考
燕岳 2,762.85 　二等
「燕岳」 		北北東　4.7 燕山荘
日本二百名山
有明山 2,268.34 　二等
「有明山｝ 		東北東　6.9 日本二百名山
大天井岳 2,921.91 　三等
「天章山」 		　0 常念山脈の最高峰
大天荘、日本二百名山
東天井岳 2,814 南西　1.8
赤岩岳 2,768.7 　三等
「筆波美」 		南南西　2.8
横通岳 2,766.99 　三等
「赤樽」 		南東　3.4
西岳 2,758 南南西　3.7 ヒュッテ西岳
常念岳 2,857 南南東　4.9 常念小屋
日本百名山
槍ヶ岳 3,180 西南西　5.4 槍ヶ岳山荘
日本百名山

源流の河川

源流となる以下の信濃川水系の河川であり、日本海へ流れる[20][21]。

  • 貧乏沢、中東沢　（高瀬川の支流）
  • 南中川谷　（中房川の支流）
  • ニノ俣谷　（梓川の支流）

大天井岳の風景と展望

遮るものが山頂の岩場からは360度の展望が得られ、西南西に槍ヶ岳が望める。

大天井岳からのパノラマ展望

大天井岳山頂からの眺望 （2007年8月、午前6:25頃撮影）

大天井岳の風景と展望

大天井岳山頂部
南東から望む 		大天井岳と横通岳
常念岳から望む 		吊し雲と穂高岳
大天井岳から望む 		裏銀座の夕景
大天井岳から望む

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2011年8月21日閲覧。
  2. ^ a b c “日本の主な山岳標高（長野県）”. 国土地理院. 2011年8月21日閲覧。
  3. ^ “中部山岳国立公園区域の概要”. 環境省. 2011年8月21日閲覧。
  4. ^ a b 深田クラブ『日本200名山』昭文社、1992年4月、p.159頁。ISBN 4398220011。 
  5. ^ a b c d 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月、pp.939-940頁。ISBN 4779500001。 
  6. ^ “安曇野人物物語（信仰の山から美の山に）”. 安曇野市 (2011年5月19日). 2011年8月21日閲覧。
  7. ^ “初夏の香り”. 安曇野市 (2011年5月19日). 2011年8月21日閲覧。
  8. ^ a b c 『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1992年10月、p.109頁。ISBN 4-385-15403-1。 
  9. ^ 『日本三百名山』毎日新聞社、1997年3月、p.147頁。ISBN 4620605247。 
  10. ^ 『槍ヶ岳・穂高岳　上高地』昭文社〈山と高原地図 2011年版〉、2011年3月。ISBN 9784398757777。 
  11. ^ 『槍・穂高連峰』山と溪谷社〈ヤマケイ アルペンガイド7〉、2008年5月。ISBN 9784635013512。 
  12. ^ 『目で見る日本登山史』山と溪谷社、2005年10月。ISBN 4635178145。 
  13. ^ 『日本登山図集』日地出版、1986年10月、pp.44-47頁。ISBN 45270023333{{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効なISBNです。。 
  14. ^ “表銀座に「喜作新道」を開いた小林喜作”. 安曇野市. 2011年8月21日閲覧。
  15. ^ 『上高地・槍・穂高』山と溪谷社〈ヤマケイ アルペンガイド〉、2000年4月、p.137頁。ISBN 4635013197。 
  16. ^ 中村成勝『新版・日本雪山登山ルート集』山と溪谷社、2006年12月、pp.109-111頁。ISBN 4635180093。 
  17. ^ a b 金子博文『北アルプス山小屋案内』山と溪谷社、1987年6月、pp.130-131頁。ISBN 4635170225。 
  18. ^ 運営と管理は燕山荘のグループに委託されている。大天荘
  19. ^ a b 柳原修一『北アルプス山小屋物語』東京新聞出版局、1990年6月、p.82頁。ISBN 4808303744。 
  20. ^ “地図閲覧サービス（大天井岳）”. 国土地理院. 2011年8月21日閲覧。
  21. ^ 『槍ヶ岳・穂高岳　上高地』昭文社〈山と高原地図 2011年版〉、2011年3月。ISBN 9784398757777。 

関連項目

外部リンク

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