山村武彦
山村 武彦(やまむら・たけひこ、1943年2月8日 - )は、日本の防災研究者、コンサルタント、ジャーナリスト、コメンテイター。防災システム研究所(ぼうさいしすてむけんきゅうじょ)所長。東京都杉並区出身。血液型はA型。座右の銘は「真実と教訓は、現場にあり」。
人物・来歴
[編集]大学在学中に参加した1964年新潟地震での災害ボランティア活動を契機に、防災と減災のエキスパートを志し、同年、防災・危機管理のシンクタンク「防災システム研究所(ぼうさいしすてむけんきゅうじょ)」を設立。同シンクタンクの設立及び所長就任に伴い、早稲田大学 第一文学部(現:早稲田大学 文学部)を中途退学。以来50年以上にわたって、国内外で発生する様々な災害の被災地支援、現地調査・研究を行う。
2000年には、「近助(きんじょ)」、「互近助(ごきんじょ)」、「防災隣組」(例:東京防災隣組)を考案し提唱する。その傍ら、報道番組での解説や助言、数多くの日本各地での講演の実施、企業や自治体の社外顧問やアドバイザーを歴任し、企業のBCP(事業継続計画)や受援マニュアル、自治体の個別避難計画、防災・危機管理マニュアルの策定や監修など、災害に強い企業、社会、街づくりに携わる。
家族
[編集]実業家であった父、山村敬司(やまむら・けいじ)は、若くしてフィリピン・ルソン島にて戦死、享年28歳。
祖父は、帝国大学 医科大学(現:東京大学 大学院 医学系研究科・医学部)にて、パラチフス熱(Paratyphi Aのサルモネラ属の細菌によっておこる細菌感染症:三類感染症)などの研究に携わっていた医学者で医師の山村敬造(やまむら・けいぞう)。
考案・提唱
[編集]「互近助(ごきんじょ)」、「近助(きんじょ)」、「防災隣組」、「安全ゾーン」、「防災用品点検の日」、「在宅避難生活訓練」、「災害予防訓練」、「スマート防災」 など
所属・歴任
[編集]主なもの
現地調査研究実績
[編集]主なもの
- 1964年:新潟地震
- 1968年:十勝沖地震
- 1972年:千日デパート火災(大阪府大阪市)
- 1973年:大洋デパート火災(熊本県熊本市)
- 1978年:宮城県沖地震
- 1980年:川治プリンスホテル火災(栃木県塩谷郡)
- 1982年:長崎水害、ホテルニュージャパン火災(東京都千代田区)
- 1983年:日本海中部地震
- 1986年:三原山噴火
- 1987年:千葉県東方沖地震
- 1989年:米ロマ・プリータ地震(サンフランシスコ市、オークランド市など)
- 1990年:フィリピン・バギオ大地震
- 1991年:雲仙普賢岳噴火
- 1993年:インド・マハラシュトラ州地震、北海道南西沖地震、米領グアム島地震、北海道釧路沖地震
- 1994年:北海道東方沖地震、米ロサンゼルス郡ノースリッジ地震
- 1995年:阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)、地下鉄サリン事件、ロシア・サハリン北部地震
- 1996年:インドネシア・イリアンジャヤ津波
- 1997年:インドネシア・カリマンタン森林火災
- 1998年:平成10年8月新潟豪雨
- 1999年:921大地震(台湾・集集大地震)
- 2000年:東海豪雨、鳥取県西部地震、三宅島噴火、有珠山噴火
- 2001年:米同時多発テロ事件(911)、新宿歌舞伎町雑居ビル火災、平成13年芸予地震
- 2002年:平成14年台風第21号
- 2003年:十勝沖地震、7月梅雨前線豪雨、宮城県北部地震
- 2004年:インドネシア・スマトラ島沖地震、新潟県中越地震、イラン・バム地震
- 2005年:パキスタン北部地震、JR福知山線脱線事故、米南東部ハリケーンカトリーナ、福岡県西方沖地震、韓国・大邱地下鉄放火事件
- 2006年:北海道佐呂間町竜巻、宮崎県延岡市竜巻、長野県岡谷市土砂災害
- 2007年:新潟中越沖地震、能登半島地震、ペルー北部地震、三重県北部地震
- 2008年:岩手・宮城内陸地震、中国・四川大地震、富山県入善町高波災害
- 2009年:インドネシア・スマトラ沖地震、兵庫県佐用町水害、防府市豪雨、群馬県館林竜巻、オーストラリア大規模森林火災、中国九州北部豪雨(山口豪雨)、新型インフルエンザパニック、山形県鶴岡市大網七五三掛地区・地すべり災害
- 2010年:奄美豪雨
- 2011年:東日本大震災(3・11、東北地方太平洋沖地震)、ニュージーランド・カンタベリー地震、新燃岳噴火
- 2012年:九州北部豪雨、茨城・栃木竜巻、京都宇治市豪雨、桜島爆発的噴火
- 2013年:フィリピン台風第30号、伊豆大島土砂災害、米オクラホマ竜巻、浜松市春野町地すべり災害
- 2014年:長野県神城断層地震、広島市土砂災害
- 2015年:関東・東北豪雨、千葉市竜巻、米カリフォルニア山火事、2015年ネパール地震(ネパール大地震)
- 2016年:糸魚川市大規模火災、鳥取県中部地震、岩泉町水害、熊本地震、軽井沢スキーバス転落事故
- 2017年:米カリフォルニア山火事、韓国・民間防衛(ミサイル危機)、九州北部豪雨
- 2018年:インドネシア・スンダ海峡津波、インドネシア・スラウェシ島地震、北海道胆振東部地震、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、大阪府北部地震、JR東海道新幹線殺傷事件、米ハワイ州ハワイ島キラウエア火山噴火、中津市耶馬渓町土砂災害、台湾・2018年花蓮地震
- 2019年:オーストラリア大規模森林火災、令和元年東日本台風(台風第19号)、令和元年房総半島台風(台風第15号)、京都アニメーション放火殺人事件
- 2020年:令和2年7月豪雨、新型コロナウイルス感染症・パンデミック大規模災害
- 2021年:令和3年7月伊豆山土砂災害、長野県岡谷市土石流災害、大阪市北新地ビル放火殺人事件
- 2022年:旦過市場連続火災(福岡県北九州市)、令和4年8月豪雨
- 2024年:台湾・2024年花蓮地震、令和6年能登半島地震
受賞・栄誉
[編集]- 第15回科学技術振興功績者表彰「科学技術庁長官賞(現:文部科学大臣賞)」1995年4月19日 科学技術庁(現:文部科学省、内閣府)「交通信号用非常電源装置」の考案と開発に対する表彰。田中真紀子科学技術庁長官(当時)より授与。
- ※ 当該装置は、1995年1月17日、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)の発災時、辺り一帯停電の中、神戸市の一部の消防署や大阪市の梅香交差点等で自動起動し、信号機等に電力を供給。これを契機に、全国の主要交差点等に採用され、急速に普及。日本の交通インフラを守る一翼を担う。
著作物
[編集]著書
[編集]主なもの
- 「台風防災の新常識 災害激甚化時代を生き抜く防災虎の巻」(戎光祥出版株式会社)[2020]
- 「感染症×大規模災害 実践的 分散避難と避難所運営」(株式会社ぎょうせい)[2020]
- 「災害に強いまちづくりは互近助の力 ~隣人と仲良くする勇気~」(株式会社ぎょうせい)[2019]
- 「南三陸町 屋上の円陣 -防災対策庁舎からの無言の教訓-」(株式会社ぎょうせい)[2017]
- 「スマート防災-災害から命を守る準備と行動」(株式会社ぎょうせい)[2016]
- 「新・人は皆 『自分だけは死なない』 と思っている – 防災心理」(株式会社宝島社)[2015]
- 「富士山の噴火は始まっている!」 共著 (株式会社宝島社)[2012]
- 「近助の精神 近くの人が近くの人を助ける防災隣組」(一般社団法人金融財政事情研究会)[2012]
- 「防災・危機管理の再点検 – 進化するBCP事業継続計画」(一般社団法人金融財政事情研究会)[2012]
- 「あなたと家族の命を守る 目からウロコの防災新常識」(株式会社ぎょうせい)[2010]
- 「防灾格言 いのちを守る百の戒め」中国・簡体字版 (北京师范大学出版社)[2010]
- 「防災格言 いのちを守る百の戒め」(株式会社ぎょうせい)[2009]
- 「感染弱者のための新型インフルエンザ対策 」(株式会社アニカ)[2009]
- 「Emergency Book 非常本」(株式会社アニカ)[2007]
- 「企業防災・危機管理マニュアルのつくり方 災害現場からみつめたBCP」(一般社団法人金融財政事情研究会)[2006]
- 「大震災発生!公的支援が来るまでの200時間を生き延びる知識と知恵」(株式会社小学館)[2006]
- 「人は皆 『自分だけは死なない』と思っている – 防災心理学」(株式会社宝島社)[2005]
- 「家族と自分を守る防災マニュアル 大震災 これなら生き残れる」(株式会社朝日新聞社、現:株式会社朝日新聞出版)[2005]
- 「あなたと家族が生き残るために 不安列島 闘う防災術」(株式会社銀河出版)[2000]
CD・DVD・ビデオ・端末・電子辞書
[編集]主なもの
- 「Panasonic ホームナビゲーション 防災アシスト」(パナソニック株式会社) 監修 [2020~現在]
- 「ココチモ CASIO電子辞書 防災手帳」電子手帳(カシオ計算機株式会社、株式会社ユーキャン)[2020~2021]
- 「NHKまる得マガジン 家族を守る!現場に学ぶ防災術」WEB(NHKらいふ)[2019~2021]
- 「互近助さんの歌(作詞・山村武彦、作曲・山崎一稔)」CD(防災システム研究所合同会社)[2018~現在]
- 「NHKまる得マガジン 実践!わが家の防災対策」DVD(株式会社NHKエデュケーショナル)[2006]
- 「防災・危機管理講座 第3部 地方公共団体」(日立電子サービス株式会社、現:株式会社日立システムズ)講師[2004~2011]
- 「防災・危機管理講座 第2部 企業と組織」(日立電子サービス株式会社、現:株式会社日立システムズ)講師 [2004~2011]
- 「防災・危機管理講座 第1部 家庭と地域」(日立電子サービス株式会社、現:株式会社日立システムズ)講師 [2004~2011]
- 「避難所 運営管理 被災者(避難所)支援システム」(防災システム研究所)[1996~2003]
絵本・児童書・辞典・ムック本・漫画
[編集]主なもの
- 漫画 「南海トラフ巨大地震1」(株式会社講談社) 解説・プロフィール:149頁~170頁[2023]
- 「上学了, 安全第一 防灾避険」(海豚出版社有限责任公司) 監修 中国・簡体字版[2023]
- 「いざというときの防災キットBOOK」(株式会社宝島社) 監修 キット付きムック本[2023]
- 「災難來了 我有準備!:35個孩子一定要知道的防災守則」(親子天下) 監修 台湾・繁体字版 [2023]
- 「一生つかえる!おまもりルールえほん ぼうさい」(株式会社学研プラス、現:株式会社Gakken) 監修 [2022]
- 「小學生的防災和避難繪本」(臺灣麥克) 監修 台湾・繁体字版[2020]
- 「みんなの防災えほん」(CREEK&RIVER Co., Ltd.) 監修 韓国・ハングル版[2019]
- たのしいちしきえほん「みんなの防災えほん」(株式会社PHP研究所) 監修[2017]
- ココチモ 防災セット 「あんしん手帳」(株式会社ユーキャン) 監修[2015~2021]
- 「みんなの防災辞典 災害へのそなえから避難生活まで」(株式会社PHP研究所) 監修[2015]
- グランドジャンプ 「漫画☆防災研究室」(株式会社集英社) 監修 連載 [2011~2012]
- 「これだけは知っておきたい!山村流 災害・防災用語辞典」(株式会社ぎょうせい)[2011]
- 「危険から身を守る 災害・状況別 防災絵辞典」(株式会社PHP研究所) 監修[2005]
教科書、テキスト、補助教材
[編集]主なもの
- 三省堂 文部科学省検定済教科書 中学校一年生国語科用教科書「現代の国語1」(株式会社三省堂)141頁~149頁 [2021~現在]
- 三省堂 中学国語教育「ことばの学びNo.11」(株式会社三省堂)巻頭エッセイ[2020]
- NHKテキスト・NHKまる得マガジン「家族を守る!現場に学ぶ防災術」 講師 (株式会社NHK出版)[2019]
- 「お父さんのための地震ドリル」 監修 (一般社団法人日本損害保険協会)[2018]
- 「もしもの時に役立つ わが家の防災ハンドブック」 監修 (一般社団法人家の光協会、JAグループ)[2016]
- NHKラジオ深夜便 「50年来のメッセージ・命を救う防災」(NHK SC)[2015]
- 「地震・津波に備える 防災ハンドブック」 監修 (株式会社共同通信社)[2012]
- 「M9大震災 サバイバル術 最新100問100答」(成美堂出版株式会社) 監修[2011]
- 「地震・台風・集中豪雨 自然災害に備える32のチエ」(株式会社法研) 監修 [2009]
- NHKテキスト・NHKまる得マガジン「実践!わが家の防災対策 いざというときの行動編」 講師(株式会社NHK出版) [2006]
- NHKテキスト・NHKまる得マガジン「実践!わが家の防災対策 日頃の備え編」 講師(株式会社NHK出版) [2006]
連載
[編集]主なもの
- 新潟日報・国土交通省 「防災・減災新潟プロジェクト2024」全5回を予定、全面15段(株式会社新潟日報社) [2024/06~]
- 朝日小学生新聞 「かぞくを守る防災知識」(株式会社朝日学生新聞社) [2024~現在]
- 現代ビジネス 「南海トラフ巨大地震」 (株式会社講談社) [2023~現在]
- 山陰中央新報 「持論反論」 (株式会社山陰中央新報社) [2021~現在]
- 時事通信 「コメントライナー」 (株式会社時事総合研究所、株式会社時事通信社、一般社団法人内外情勢調査会) [2018~現在]
- 朝日新聞 「地震新聞」 長野県版・新潟県版 (株式会社朝日新聞社) [2017~2021]
- フジテレビ情報制作局 「コンパス Compas」(株式会社フジテレビジョン) [2011~2015]
テレビ出演
[編集]主なもの
- NHK 総合:「NHKニュース7」、「NHKニュース おはよう日本」、「あさイチ」、「証言記憶スペシャル いつか来る日のために」、「防災・復興 明日を守るナビ」、「首都圏ネットワーク」、「ニュースウオッチ9」、「気象情報」、「日本人のおなまえ」、「NHK生きるスキル」、「NHKスペシャル」、「ひるどき四国」、「NHKワールド・プレミアム」、「まるっと!ぎふ」、「ニュースLIVE! ゆう5時」、「NHK WORLD-JAPAN News」
- NHK Eテレ:「まる得マガジン 実践!わが家の防災対策 日ごろの備え編」、「まる得マガジン 実践!わが家の防災対策 いざというときの行動編」、「まる得マガジン 家族を守る!現場に学ぶ防災術」
- 日本テレビ・読売テレビ:「情報ライブ ミヤネ屋」、「朝生ワイド す・またん!」、「news zero」、「キャッチ!」、「かんさい情報ネットten.」、「シューイチ」
- TBSテレビ・CBCテレビ:「ひるおび」、「ゴゴスマ」、「Nスタ」、「チャント!」、「Nスタ スペシャル」、「あさチャン!」、「THE TIME,」、「サンデージャポン」、「情報7daysニュースキャスター」、「報道特集」
- フジテレビ・関西テレビ:「Live News イット!」、「日曜報道 THE PRIME」、「めざましテレビ」、「FNN Live News α」、「Mr.サンデー」、「ノンストップ!」、「FNN報道特報」、「めざまし8」、「旬感LIVE とれたてっ!」
- テレビ朝日・朝日放送:「羽鳥慎一モーニングショー」、「サタデーステーション」、「大下容子ワイド!スクランブル」、「スーパーJチャンネル」、「グッド!モーニング」、「教えて!NEWSライブ 正義のミカタ」、「サンデーLIVE!!」、「ビートたけしのTVタックル」、「報道ステーション」、「中居正広のキャスターな会」、「謎解き!伝説のミステリー」
- テレビ東京・テレビ大阪:「生活情報マーケット なないろ日和!」、「ゆうがたサテライト」、「ワールドビジネスサテライト」、「5時スタ」
その他、報道番組や情報番組を中心に、NHK BS放送やBSフジ、BSテレ東、BS朝日などのBS局、テレビ西日本やテレビ熊本、富山テレビ、TOKYO MXなどの地元局、ABEMAなどのインターネット局、海外のカタール・アルジャジーラ(国際衛星放送局)、台FTVテレビ、台TVBSテレビ、英BBCテレビや米CNNテレビなど多数の番組に出演。
新聞(国内外)
[編集]主なもの
全国紙(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞)、地方紙(西日本新聞、中日新聞、北海道新聞、静岡新聞、山陰中央新報、新日本海新聞、京都新聞、山梨日日新聞、新潟日報、東奥日報、神奈川新聞、信濃毎日新聞、愛媛新聞、岩手日報、西日本新聞、福井新聞、山陽新聞、デーリー東北、長崎新聞、南日本新聞、高知新聞など多数)、海外紙(仏ル・モンド、米ニューヨークタイムズ、米ロサンゼルスタイムズ、米ウォール・ストリート・ジャーナルなど多数)、その他(日刊工業新聞など多数)
脚注
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]外部リンク
[編集]- 山村 武彦 takehiko yamamura | 現代ビジネス
- 防災システム研究所 (正式:防災システム研究所 合同会社、DISASTER PREVENTION SYSTEM INSTITUTE, LLC)