ヨーロッパ碁コングレス

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ヨーロッパ碁コングレス(ヨーロッパごコングレス、: European Go Championship)は、ヨーロッパ各国の選手によって行われる囲碁の大会。略称はEGC全欧囲碁大会欧州囲碁選手権戦ヨーロッパ・ゴ・コングレスなどとも記される。1957年から毎年、欧州囲碁連盟加盟の各国の持ち回りで開かれる。各種トーナメント戦の他、親睦行事、プロ棋士による指導などが行われる、ヨーロッパ最大の囲碁大会。

例年、夏季バカンスの時期に2週間程度の期間でリゾート地にて行われ、プロ棋士から入門者クラスまでの数百人が参加する。ヨーロッパ以外の国からの参加者もある。

スポンサーとして1996年まで日立製作所、1997年から応昌期囲棋教育基金会などが後援している。

イベント[編集]

トーナメントには、メイントーナメント、ペア碁、連碁、13路盤、9路盤、早碁、子供大会、レディーストーナメント(男性の女装可)、コンピュータ囲碁大会などがある。その他に指導碁、解説会、スポーツ観光、パーティーなどのイベントがある。

メイントーナメント[編集]

大会全般でのルールは、1999年から計点制ルールを採用しているが、メイントーナメントの上位32名の対戦のみ日本ルールで行われる。メイントーナメント優勝者はヨーロッパチャンピオンとなる。

プロ棋士参加[編集]

毎年、日本棋院関西棋院中国囲棋協会韓国棋院などから、指導のために棋士が派遣されている。日本からは、日本棋院の西條雅孝が1993年から2002年まで毎年参加して、「センセイ」と呼ばれ親しまれている。1997年からイタリア在住の重野由紀も例年参加している。ヨーロッパ出身のプロ棋士として、日本棋院のハンス・ピーチタラヌ・カタリン、韓国棋院のアレキサンダー・ディナーシュタインスベトラーナ・シックシナも、大いに人気がある。2006年には武宮正樹と「ヒカルの碁」原作者ほったゆみがゲストとして招かれた。2011年には、中国棋士による中国囲棋甲級リーグ戦の上海-西安戦や、日本棋士による東日本大震災チャリティー指導碁が行われた。

過去の大会[編集]

過去の開催地とメイントーナメント優勝者。(欧)は、トーナメント優勝者がヨーロッパ以外の場合のヨーロッパチャンピオン。

回次 年度 開催地 トーナメント優勝者
1 1957 クックスハーフェン西独 フリッツ・デュバル(西独)
2 1958 アルテンマルクトオーストリア フリッツ・デュバル
3 1959 Oberwarmsteinach(西独) フリッツ・デュバル
4 1960 Oud Poelgeest城( Günter Ciessow(西独)
5 1961 バーデン・バイ・ウィーン(オーストリア) ウィチャード・フォン・アルヴェンスレーベン(西独)
6 1962 ガルミッシュ=パルテンキルヒェン(西独) ウィチャード・フォン・アルヴェンスレーベン
7 1963 バルジングハウゼン(西独) ウィチャード・フォン・アルヴェンスレーベン
8 1964 スヘフェニンゲン(蘭) ウィチャード・フォン・アルヴェンスレーベン
9 1965 ムニシェック・ポッド・ブルディ(チェコスロバキア) Jürgen Mattern(西独)
10 1966 ロンドン Jürgen Mattern
11 1967 シュタウフェン(西独) Zoran Mutabzija(ユーゴスラビア
12 1968 西ベルリン(西独) Jürgen Mattern
13 1969 リュブリャナ(ユーゴスラビア) マンフレッド・ヴィンマー(オーストリア)
14 1970 ウィーン(オーストリア) Jürgen Mattern
15 1971 ブリストル(英) Zoran Mutabzija
16 1972 エンスヘデ(蘭) Jürgen Mattern
17 1973 Sprendlingen(西独) Jürgen Mattern
18 1974 ザグレブ(ユーゴスラビア) マンフレッド・ヴィンマー
19 1975 Krems an der Donau(オーストリア) Jürgen Mattern
20 1976 ケンブリッジ(英) Patrick Merissert(フランス)
21 1977 レイスウェイク(蘭) Wolfgang Isele(西独)
22 1978 パリ ヘルムート・ハシベーダー(オーストリア)
23 1979 Königswinter(西独) Jürgen Mattern
24 1980 マリ・ロシュニ(ユーゴスラビア) マシュー・マクファディアン(英)
25 1981 リンツ(オーストリア) ロブ・ファン・ザイスト(蘭)
26 1982 コペンハーゲン(デンマーク) ロナルド・シュレンパー(蘭)
27 1983 エディンバラ(英) ヤヌシュ・クラシェック(ポーランド
28 1984 ポラントリュイスイス Hong Tay You(韓国
(欧)マシュー・マクファディアン
29 1985 テルスヘリング(蘭) ロナルド・シュレンパー
30 1986 ブダペスト(ハンガリー) ロナルド・シュレンパー
31 1987 グルノーブル(仏) マシュー・マクファディアン
32 1988 ハンブルク(西独) ティボール・ポクサイ(ハンガリー
33 1989 ニシュ(ユーゴスラビア) 曽我部敏之(日本)
(欧)マシュー・マクファディアン
34 1990 ウィーン(オーストリア) ロブ・ファン・ザイスト
35 1991 ナミュール(ベルギー) Shu-tai Zhang(中国)
(欧)アレクセイ・ラザレフ(ソ連)
36 1992 カンタベリー(英) Takashi Matsumoto(日)
(欧)アレクセイ・ラザレフ(
37 1993 プラハ(チェコ) ロブ・ファン・ザイスト
38 1994 マーストリヒト(蘭) グォ・ジュアン(郭鵑)(蘭)
39 1995 ツホーラ(ポーランド) グォ・ジュアン
40 1996 アバノテルメイタリア グォ・ジュアン
41 1997 マルセイユフランス) Lee Hyuk(韓)
(欧)グォ・ジュアン
42 1998 ママヤルーマニア Lee Hyuk
(欧)ロベルト・マテエスク(ルーマニア)
43 1999 ポドヴァンスケスロバキア アレキサンダー・ディナーシュタイン(露)
44 2000 シュトラウスベルク(ドイツ Lee Hyuk(韓)
(欧)アレキサンダー・ディナーシュタイン
45 2001 ダブリン(アイルランド) アンドレイ・クルコフ(露)
46 2002 ザグレブクロアチア アレキサンダー・ディナーシュタイン
47 2003 サンクトペテルブルク(露) Hong Seul Ki(韓)
(欧)アレキサンダー・ディナーシュタイン
48 2004 ツホーラ(ポーランド) Youn Kwang Sun(韓)
(欧)アレキサンダー・ディナーシュタイン
49 2005 プラハ(チェコ) アレキサンダー・ディナーシュタイン
50 2006 フラスカーティ(イタリア) Park Chi Seon(韓)
(欧)スベトラーナ・シックシナ(露)
51 2007 フィラッハ(オーストリア) Heong Seok Ui(韓)
(欧)イリヤ・シックシン(露)
52 2008 レクサンドスウェーデン Park Jong Wook (韓)
(欧)タラヌ・カタリン (ルーマニア)
53 2009 フローニンゲン(オランダ) Kim Eunkuk (韓)
(欧)アレキサンダー・ディナーシュタイン
54 2010 タンペレフィンランド イリヤ・シックシン(露)
55 2011 ボルドー(フランス) イリヤ・シックシン(露)
56 2012 ボン(ドイツ) ヤン・シマラ(チェコ)
57 2013 オルシュティン(ポーランド) 樊麾(仏)
58 2014 シビウ(ルーマニア) 樊麾(仏)
59 2015 リベレツ(チェコ) 樊麾(仏)
60 2016 サンクト・ペテルブルク(ロシア) イリヤ・シックシン(ロシア)
61 2017 オーベルホフ(ドイツ) イリヤ・シックシン(ロシア)
  • 1957年-1959年優勝者のF.デュバルは、1930年に来日して日本棋院による指導を受け、帰国後にドイツ囲碁連盟を創設するなどヨーロッパでの囲碁普及に貢献した。
  • 1993年大会は、チェコスロバキアが分裂した直後にプラハで開かれた大会であったが、チェコ囲碁協会へのスロバキア囲碁協会の協力もあって成功を収めた。
  • 2013年大会は、中国でプロ棋士であった樊麾がフランス国籍を取得しフランス代表として優勝している。準優勝のPavol Lisy(スロバキア)は欧州囲碁連盟初のプロ棋士採用で第一号のプロとなった。

外部リンク[編集]