ハスカップ

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ハスカップ
Lonicera caerulea L2.jpg
ハスカップ(北海道苫小牧市・2006年7月)
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: マツムシソウ目 Dipsacales
: スイカズラ科 Caprifoliaceae
: スイカズラ属 Lonicera
: ケヨノミ L. caerulea
変種 : ハスカップ var. emphyllocalyx
学名
Lonicera caerulea L.
var. emphyllocalyx Nakai
和名
クロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)

ハスカップ(学名:Lonicera caerulea var. emphyllocalyx)はスイカズラ科スイカズラ属の漿果樹で、樹高1m~2mの落葉低木。果実は液果で、食用になる。和名はクロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)。なお、クロミノウグイスカズラという転訛もあるが、ツル性の植物ではないため適切な名称ではない。苫小牧市ではゆのみと言う愛称で親しまれている[1]。俗に「フレップ」、「ネズミフレップ」[2]と言う所もある。海外では「ハニーベリー / Honeyberry / honey berry」[3][4]と呼ばれている。

解説[編集]

名称は、ハスカップの実をさすアイヌ語のハㇲカㇷ゚(ラテン文字表記:haskap)に由来する。

その語源はハㇲ・カ・オ・ㇷ゚(has-ka-o-p)であり、ハㇲ[5](has)は「枝」、カ(ka)は「上」、オ(o)は「なる」、ㇷ゚(p)は「もの」の意であるから、合わせて「枝の上になるもの」という意味になる。このうち連続する母音の後者(o)が消えて、ハㇲカㇷ゚(haskap)という発音になったと考えられる。

ハスカップの果実は「アイヌの不老長寿の果実」といわれて宣伝されてきたが、これは商品を販売するための創作であり[6]、アイヌにとっては身近な植物であり、特別なものではなかった。

分布[編集]

北方系の植物で、シベリア中国東北部朝鮮半島サハリン樺太)、千島列島カムチャツカ半島などの寒冷な地域に分布する。

日本では、北海道全域に自生地が散在する。釧路湿原、別寒辺牛湿原、霧多布湿原大樹町周辺、別海町周辺、標津湿原など、北海道東南部の海岸沿いの低湿地や、大雪山美幌峠知床など、高山から亜高山にかけて分布するが、勇払原野が、最大の自生地である。

本州以南では高山植物として知られ、栃木県の日光戦場ヶ原、静岡県の荒川岳などに、わずかに自生している。原産地はロシアのバイカル湖周辺で、渡り鳥によって運ばれた種子が根付いたと考えられている。

特徴[編集]

ハスカップの実

枝は褐色で、薄く折り重なるような特徴のある樹皮を持つ。葉は長さ3-8cm、幅1.5-3.0cmの楕円形で、対生する。5月中頃、クリーム色でラッパ状の花を2個ずつ下向きにつける。果実ははじめは黄緑色だが、熟すとブルームにより粉白色を帯び、青みがかった黒色になる。果実の大きさは、1-1.5cm位で、形は長円、卵形、銚子形、円筒形など変異がある。野生のものは酸味が強く甘みはほとんどなく、やせた土壌ではより酸味が強くなる。この実にはビタミンCアントシアニンカルシウムなどが豊富に含まれている。

利用[編集]

ジャム果実酒菓子などの加工用[7]として北海道内では広く栽培されており、千歳市美唄市厚真町は主要なハスカップ産地である。厚真町[8][9]は、ハスカップの栽培面積が日本一である[10]

品種改良により、甘みを増したものや多く実のなるものも広まっている。味はブルーベリーに似ている。

  • 1992年(平成4年)に北海道立中央農業試験場が選んだ「ゆうふつ」が品種登録された。
  • 2010年(平成21年)には、厚真町のハスカップ栽培農家、山口善紀さんにより「あつまみらい」と「ゆうしげ」が品種登録された。いずれも糖度が高く、大粒で2.5㎝程ある[11]
  • 2012年(平成24年)には、苫小牧市の農家により「みえ」が品種登録された[12]

ほとんどの場合、食品として加工された状態のものが流通している。これは生のままの保存が極めて難しい(生のままだと、徐々に果肉や皮が柔らかくなり、溶け出して液状化してしまう)ためである。近年では冷凍技術の発達により、実を冷凍した状態で流通している場合もあるが、流通量は極少である。

  • ハスカップを使った商品として古くからあるものに、苫小牧市の菓子メーカー三星 (菓子製造)が1953年(昭和28年)から発売している北海道銘菓[13]よいとまけ[14]がある。これは、ロールカステラの内側と外側にハスカップジャムが塗ってあり、食べる際にジャムが手につき、ベタベタになるため、「日本一食べにくいお菓子」[15]として知られている。従来の「よいとまけ」は、カットされていなかったが、切る際にベタベタして切りにくいということから、最近のものは、予めカットされ、切りにくさは解消された。
  • 森永製菓は、2004年から北海道限定でハスカップ果汁を使用したチューイングソフトキャンディ「ハイチュウ ハスカップ」を発売している。
  • 飲料では、日本コカ・コーラが、2011年、フレーバーウォーター[16]い・ろ・は・す ハスカップ」[17]を北海道限定で発売している。YouTuber HIKAKINが「HikakinTV」で紹介している。[18]

その他、羊羹[19]グミ[20]ゼリー[21]キャラメルジュースソフトクリーム[22]などに加工されている。ホリ (製菓業)では「ドラキュラの葡萄」[23]というハスカップの果汁液を販売している。珍しいものでは、ベル食品の「ハスカップカレー」がある。[24]また、小樽市の中野製菓が、ハスカップを使ったかりんとう[25]を発売している。

近縁種[編集]

ハスカップに近縁で、同じスイカズラ属ウグイスカグラ(鶯神楽)(学名:Lonicera gracilipes var. glabra)は、別名をウグイスノキ(鶯の木)と言い、北海道(南部)、本州四国九州の山地に自生する。淡紅色でラッパ状の花を2個ずつ下向きにつける。果実は赤い液果で、甘く食べられ、ハスカップと同様にジャムにも出来る。

市町村の花に指定している自治体[編集]

関連する文化[編集]

楽曲[編集]

  • 北海道出身の演歌歌手、美咲じゅん子が、2010年に、ハスカップを歌った「ゆのみの花」を発売した。[26][27]
  • 2016年に苫小牧市の三上俊一さん作詞の「ハスカップ音頭」が発売された。[28][29][30]
  • 千歳市ローカルアイドル、小娘 (シャオニャン)が2019年、ハスカップのPRソング「ハスカップ小町」を発売した。[31][32]

マスコットキャラクター[編集]

ハスカップレディ[編集]

苫小牧市の観光親善大使「ハスカップレディ」は、毎年8月上旬に開催する「とまこまい港まつり」[40]で選ばれ、1年間市内外の各種イベントや観光キャンペーンなどでPR活動を行う。[41]

脚注[編集]

  1. ^ ハスカップについて。(三星公式ホームページより)
  2. ^ http://kampong.life.coocan.jp/Nov05/Part1/contents/haskap.html
  3. ^ Haskap Berry・Honeyberry・黒実鶯神楽・ハスカップ
  4. ^ ハニーベリー(ハスカップ、ブルーベルベット)の種
  5. ^ 標準的なカナ表記では「ハㇱ」となる。
  6. ^ 月刊シロロ4月号”. www.ainu-museum.or.jp. 2020年1月22日閲覧。
  7. ^ 北海道新聞 記事「ハスカップ活用の歴史は 苫小牧で企画展」 2016.2.28 1933年(昭和8年)、旧国鉄沼ノ端駅にあった商店「近藤待合(まちあい)」が苫小牧市内で初めてのハスカップ加工品「ハスカップ羊羹」を発売。地域振興のために製造。その後もハスカップの最中やあめなどを販売。1953年三星が、ジャムを巻いたロールケーキ「よいとまけ」を発売し、ハスカップの知名度を高めるきっかけとなる。
  8. ^ 北海道厚真町
  9. ^ 厚真町観光協会
  10. ^ 北国のベリー「ハスカップ」
  11. ^ 北海道らしいベリーズといえばこれ!ハスカップって何?
  12. ^ 行きましたハスカップで町おこしの厚真町
  13. ^ 懐かしの北海道銘菓15選|定番&安心のお土産が勢ぞろい!
  14. ^ “日本一食べにくい”のに愛されすぎ!「よいとまけ」はハスカップたっぷりの北海道名菓
  15. ^ 日本一食べにくいお菓子「よいとまけ」は本当に日本一食べにくいのか検証してみた
  16. ^ フレーバーウォーターの真実とは、水じゃない!?
  17. ^ いろはすハスカップを買う前にチェックしたいことをまとめました
  18. ^ いろはすハスカップ味!Japanese Famous Water!
  19. ^ http://www.haskap.jp/
  20. ^ はすかっぷグミ
  21. ^ https://morimoto-shinya.jp/products/detail/38
  22. ^ 美味!ハスカップ
  23. ^ ハスカップ果汁液 「ドラキュラの葡萄」
  24. ^ えっ、紫色のカレー!?「ハスカップカレー」をベル食品が発売し話題
  25. ^ 小樽 中野製菓 《ハスカップかりんとう》
  26. ^ ハスカップの歌
  27. ^ ゆのみの花 (ハスカップ) 歌・美咲じゅん子
  28. ^ ハスカップ音頭
  29. ^ ハスカップ音頭完成 苫小牧の三上俊一さん、37年前に作詞
  30. ^ ハスカップ音頭(北海道苫小牧市)
  31. ^ 千歳のご当地アイドル・シャオニャン結成15周年 全国流通第2弾CD発売へ
  32. ^ 小娘(シャオニャン) 「千歳初恋物語」、「花園、、、快感!」、「ハスカップ小町」
  33. ^ 苫小牧市公式キャラクター「とまチョップ」の部屋(とまチョップオフィシャルサイト)
  34. ^ とまチョップ
  35. ^ 初山別村
  36. ^ しょさまる・初山別村イメージキャラクター
  37. ^ しょさまる
  38. ^ あつまるくん
  39. ^ カゴメ株式会社と北海道のタイアップ事業:リトルベリーズが「野菜生活100 ハスカップミックス」を紹介。
  40. ^ 第63回 とまこまい港まつり
  41. ^ 2019ハスカップレディ