長靴

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長靴(ちょうか、ながぐつ)は、いずれにしても基本的に、長い靴、という意味の言葉で、実際そのとおりの形なのだが、現代では読み方によって指すタイプが異なりがちで、

  • ちょうか、と読む場合は皮製のもので、軍人乗馬防寒のために用いるもの。
  • ながぐつ、と読む場合は、防水用のもの。これももともとは皮製だったが近年ではゴム製などが多い。

ただし、これはそういう傾向がある、という程度の話で、有名な『長靴をはいた猫』の主人公は剣士(軍人)なのだが、履いている靴は、"ちょうか" ではなく "ながぐつ" と物語中で解説されているので、"ちょうか" と "ながぐつ" の読み分けや意味の相違は必ずしも絶対的なものではない。

日本語では 長靴 - 半長靴 - 短靴 という、長さに着目して靴を分類したりグループ化する方法が基本的にあり、"長靴"はそのひとつである。

軍人用(乗馬用や防寒用)の長靴[編集]

乗馬用長靴

最近では乗馬用のものは、乗馬クラブなどでは通常 "乗馬ブーツ"や "乗馬用ブーツ"と英語からカタカナにした表現で言ってしまうので、"ちょうか" や "ながぐつ" の音の違いは問題にならない。

ブーツ軍服乗馬服を参照のこと。

防水の長靴[編集]

ラバー製の長靴

ゴム製のものはゴム長靴ゴム長と略されることもある。革製のものもある[2]

起源はウェリントン・ブーツである。現在、英米ではゴム長靴をrubber bootsやgum boots(ドイツではgummi stiefel)のほか、wellintonsやwelliesと呼ぶ時がある。

地面が水・泥水などの液体で濡れ(てい)る状況において、足を防護するために用いられる。また、靴底を中心とした消毒が必要な状況下[3]でも用いられる。

厨房や、水産・畜産・酪農現場などの作業用など。耐油性を持たせたものもある。

漁船上や、海岸などで釣りをする時などにも用いられることがある。特に長くて胴まで一体化した "胴付長靴" というものもある。

また、雨靴(レインブーツ)としても用いられる。

ゴム製・PVC(ポリ塩化ビニール)製の長靴は表面の全体にエナメル加工されたものが多く、ロングブーツ型のレインブーツもエナメル革(天然革やビニールの合成皮革にエナメルをほどこしたもの)を使用する場合が多い[4]

インジェクション長靴(金型への射出成型[5])というものもある[6]

ファッションとしての流行[編集]

1960年代後半にミニスカートにロングブーツの流行が起きると、ノキアが1967年にロングブーツのようなゴム長靴の製造を開始した。 日本では1969年に、アサヒゴムが「ハイレイン」のブランドでロングブーツの形をした細め長めの婦人用ゴム長靴を発売。色も赤、白、黄、黒とラインナップを揃え、他社もロングタイプの長靴を競って発売する。

それとは反対に1978年には、銀座かねまつが長靴の形をしたブーツをロングブーツに使うエナメル革で作り、エナメルの長靴が流行した。長い髪でフェミニンな美青年が女物の長靴や婦人用ロングブーツを履くというスタイルや、若い女性が晴れた日に長靴を履くというファッションも見られた[7]

2005年頃から、海外の女優やモデルたちがハンターやエーグルなどのゴム長靴を愛用するようになり、映画「Mr.&Mrs. スミス」ではアンジェリーナ・ジョリーが長靴姿を披露した。

女装の婦人服モデルアンドレイ・ペジックはMarc Jacobsの長靴モデルを務め、ホットパンツやミニスカートに長靴という組み合わせが、秋冬のコートにロングブーツというコーディネートに対し、春夏のおしゃれとして定着するようになる。

さらに、近年の日本では野外ロック・フェスティバルがブームとなり、晴れの日でも長靴というファッションが再び注目されるようになった。

長靴ファッションを扱ったファッション誌・エッセイなど[編集]

  • フランソワーズ・モレシャン 『F・モレシャンの知らなかったおしゃれ』(主婦と生活社 1978)
  • 大橋歩 『おしゃれの絵本』(講談社 1978)。 『おしゃれ大好きノート』(文化出版局 1985)。『おしゃれ上手』(講談社 1985)

長靴を履いた人物・キャラクター[編集]

長靴を履いたアイドル歌手の衣装[編集]

長靴を履いた女優の映画[編集]

長靴を主題・題材にした文学・ドラマ[編集]

  • 野田昌宏 『真っ赤な雨靴』[14]
  • 宮沢賢治 『蛙のゴム靴』
  • 江國香織 『赤い長靴』
  • 梶山季之青い旋律』(劇画『雨靴物語』上村一夫
  • かこさとし 『長靴』(1982年)
  • 團伊玖磨 『続パイプのけむり』「ゴム長」・『重ねてパイプのけむり』「長靴三銃士」
  • 「人生読本 ファッション』(河出書房新社)「雨の日の黒いゴム長靴」(谷村新司 1975.8)、「ブーツ考」」(後藤明生 1977.2)』、「レインコートの男と女」(三宅菊子 1980.10)
  • 池澤夏樹 『むくどりの巣ごもり』(朝日新聞出版)「ゴム長の一週間」
  • 志茂田景樹 『長靴の恋幽霊』(集英社)
  • テレビドラマ『チャコとケンちゃん』第17話「ママはお地蔵さま」(1968年7月25日)

長靴のブランド及び製造・販売会社[編集]

  • ACQUO - ACQUO of Sweden (@acquo_of_sweden) | Twitter
  • Kontio Classic - Nokia of Finland/Suomi(@nokia )| Twitter
  • kate spade new york - NY.USA (@katespadeny) | Twitter

脚注[編集]

  1. ^ ちょうか【長靴】の意味 - goo辞書(デジタル大辞泉)
  2. ^ ながぐつ【長靴】の意味 - goo辞書(デジタル大辞泉)
  3. ^ 靴底消毒 - 熊本県
  4. ^ 銀座かねまつ「アクアベル」シリーズなど
  5. ^ なんでも靴の用語集 | 靴のあれこれ - リーガルコーポレーション
  6. ^ ブーツ - オカモト化成品
  7. ^ 「日経ヒット商品番付1978」「アクロス 定点観測 ストリートファッション 」(パルコ出版)ほか
  8. ^ 1977年『第28回NHK紅白歌合戦』でも歌った。この時はキャンディーズ山口百恵しばたはつみ桜田淳子がそれぞれ傘にレインコート、ロングブーツタイプのゴム長靴を履いてバックダンサーを務めていた
  9. ^ Mi-Ke のプロモーションビデオ(1991)でメンバーの3人が電話ボックスから傘・レインコート・レインブーツで出てくる。
  10. ^ 「Lupin(ルパン)、(2010年2月17日にリリース)」(KARAの3枚目のミニアルバム)の3曲目に収録
  11. ^ 「おしゃれ泥棒(1966年7月13日公開)」。ウィリアム・ワイラー監督のコメディ。
  12. ^ 「雨の訪問者(1970年1月21日公開)」。原作・脚本はミステリ作家のセバスチアン・ジャプリゾ
  13. ^ 「愛と哀しみのボレロ(1981年5月27日公開)」。クロード・ルルーシュ監督の歴史ロマン映画。作中の親子を同じ俳優が一人二役で演技。
  14. ^ 「レモン月夜の宇宙船」 (ハヤカワ文庫 JA 90)収録

関連項目[編集]

外部リンク[編集]