アトラク=ナクア

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アトラク=ナクア(Atlach-Nacha:アトラック=ナチャ、アトラク=ナチャ、アトラナート)は、創作神話クトゥルフ神話に登場する架空の神。蜘蛛の神で、ツァトゥグァと共に幽閉された。ン・カイの中、もしくは下に住み、広大な深淵に巨大な巣を張りつつ、無限の幽閉期間を送っている。

人間と同じくらいの大きさのクモで、昆虫の器官を多数持っている。真紅の目を持ち、体は黒檀色の毛で覆われ丸太のような脚を持ち、甲高い声を出すとされる。いつ、どこで生まれたのかは定かではない。全てのクモを支配するものとされているが、その説は迷信らしい。自分の作業を邪魔されることを極端に嫌う。なぜ深淵の谷間に巣を張るのか、目的は不明。一説には巣が完成した時が世界の終焉の時だという。

登場作品はクラーク・アシュトン・スミス七つの呪い』。

ツァトゥグァ同様に土星から飛来し、地中海東岸の古代フェニキアで信仰された。北部シベリアにある山の地下に幽閉されており、巨大な淵の端から端へと巣を張り巡らすことで永遠の時を過ごしている。同書にはアザトースについても言及があり、時空の外から万物を支配する盲目の白痴神アザトースのたわごとは「混沌」の音だと言われ、そいつは「<古きものども>の<長老>神」に対する反乱を指揮した咎で、次元空間の宇宙から真暗闇の超空間の中に投げ込まれた。[1][注 1]

眷属[編集]

チィトカア(Tch'tkaa)[編集]

レッサー・オールド・ワン。蜘蛛神アトラク=ナクアの従者である「灰色の織り手」どもの長。ヴーアミタドレスの地下で、配下の一族と共にアトラク=ナクアに仕えている。

登場作品はリン・カーター深淵への降下』、アン・K・シュウェーダー『灰色の織り手の物語(断章)』(共に新紀元社『エイボンの書』)。

灰色の織り手(はいいろのおりて、Gray Weavers)[編集]

蜘蛛神アトラク=ナクアに仕える多足の種族。ツァトゥグァのためにアトラク=ナクアがサイクラノーシュから渡って来た際、つき従った。長はチィトカアで、彼等は「チィトカアの信徒」と呼ばれるとされている[2]が、原文は"fellows of Tch'tkaa"[3](チィトカアの同胞らよ!)となっている。

レンの蜘蛛[編集]

ドリームランドに棲息する、紫色の大蜘蛛。名前のレンは、レン高原のこと。ラヴクラフトの『未知なるカダスを夢に求めて』に登場した生物であり、後にクトゥルフ神話に取り込まれてアトラク=ナクアの眷属とされた。

日本におけるアトラク=ナクア[編集]

高橋葉介が、『夢幻紳士』怪奇編に、蜘蛛の怪異をテーマとした短編『蜘蛛』を発表した。この作品中では、新種の大蜘蛛の名前としてアトラク=ナクアが用いられている。蜘蛛のホラーということで名前を流用しただけであるが、日本での代表的な起用例の一つである。

アリスソフトは1997年にアダルトゲームアトラク=ナクア』を発表する。こちらも名前の流用が主眼であって、内容はクトゥルフ神話を目的としてはいない。しかし主人公である「比良坂初音(ひらさか はつね)」のキャラクターは日本のクトゥルフ作品におけるアトラク=ナクアの造形に大きな影響を与えており、『ANGEL FOYSON』『怪物王女』『這いよれ! ニャル子さん』などで擬人化されたアトラク=ナクアは、セーラー服を纏った長い黒髪の古風な美少女という、比良坂初音に対するオマージュ的なデザインとなっている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ アトラチ=ナーチャと表記される。土星はサイクラノーシュとは表記されない。

出典[編集]

  1. ^ 創元推理文庫『賢者の石 (コリン・ウィルソン)英語版』コリン・ウィルソン(中村保男訳)、II章「夜の涯への旅」371-372ページ。
  2. ^ アン・K・シュウェーダー『灰色の織り手の物語(断章)』「エイボンの書」(新紀元社)
  3. ^ 『Rede of the Gray Weavers』「THE BOOK OF EIBON」ISBN 156882193X 所収

関連項目[編集]