どて焼き

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どて焼き
どて焼き

どて焼き(どてやき)は、牛のスジ肉味噌みりんで時間をかけて煮込んだもの。「どて煮」または「どて」ともいう。発祥は愛知県岡崎市、名古屋市、大阪と言われているがはっきりとした根拠や特定できる店などは無い。

概要[編集]

鉄鍋の内回りに土手状に味噌を盛り、その中央でまず具材を焼き、熱により溶け出した味噌で煮込んでゆくことからどて焼き(土手焼)、あるいはどて煮(土手煮)と呼ばれるようになった。

歴史[編集]

織田作之助は、大正後期から昭和初期の大阪を舞台とした小説、『夫婦善哉』の中で若旦那の柳吉をこう描写した[1]

夜店の二銭のドテ焼(豚の皮身を味噌で煮つめたもの)が好きで、ドテ焼さんと渾名がついていたくらいだ。

後述するように、愛知県静岡県遠州などで主に「どて煮」「どて」と呼ばれるどて焼きであるが、1923年(大正12年)1月9日付の『名古屋新聞』でこう記されている[2]

今の岡崎市は何をとる事が出来るのかと考へて見ると、昔乍らの名物八丁味噌だけが矢作川の流れと共に(中略)わづかに其の俤(おもかげ)をとどめてドテヤキは八丁味噌に限りそしてドテヤキは流石に岡崎がうまいと有難い賞讃を博している位なものしか思ひ出せぬ。

調理法[編集]

  1. 牛のすじ肉を下茹でし、アクと過剰な油脂分を抜く。
  2. 下茹での済んだすじ肉を適当な大きさにカットしたあと串に刺していき、白味噌を主体とした合わせ味噌、砂糖やみりん、出汁で、浅い鉄鍋で炒め焼きするようにしてから煮詰めていく。(最近では、串に刺さずに煮る店のほうが多い)
  3. 刻んだ青ネギと七味唐辛子をかけて供される。練りからしを添えることもある。

付け合わせとして蒟蒻を一緒に煮込むこともある。

東海地方[編集]

愛知県静岡県遠州などの東海地方にも同種・同名の料理があるが、どて焼きの名称はあまり一般的でなく「どて煮」「どて」と呼ばれる事のほうが多い。また、単に「もつ煮」といった場合にもこの土手煮を指す。牛すじ以外にの臓物を用いることも多く、スーパー・肉屋などではどて煮の材料として、下茹でした牛すじ肉または豚の臓物、あるいは双方ともに売っている店もある。調味料は主に八丁味噌など豆味噌を使う。どて煮とともに串カツを供する店では、頼めば串カツをどて煮の汁に浸してくれる。どて煮をご飯にかけたものをどて飯といい、名古屋名物の一つになっている。東海地方のコンビニエンスストアスーパーマーケットでは、どて煮の缶詰レトルト食品などが店頭に並んでいる。また、おでんのメニューの牛すじ串を味噌で煮こんでどて煮風にしたり、どて煮をおにぎりの具にしたものも販売されている。

脚注[編集]

  1. ^ 青空文庫 - 織田作之助 夫婦善哉(新字新仮名)
  2. ^ 『新編 岡崎市史 史料 近代下 10』 新編岡崎市史編さん委員会、1987年9月30日、924-925頁。

関連項目[編集]