農林中央金庫
農林中央金庫のデータ | |
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英名 | The Norinchukin Bank |
統一金融機関コード | 3000 |
SWIFTコード | NOCUJPJT |
法人番号 | 2010005004002 |
代表者氏名 | 河野良雄(平成21年4月1日就任)(理事長) |
店舗数 | 日本国内34店・日本国外5店 |
従業員数 | 3,123人 |
資本金 | 3兆4,259億円 |
総資産 | 68兆6,767億円 |
貸出金残高 | 13兆976億円 |
預金残高 | 39兆1,016億円 |
設立日 |
1923年12月20日 (産業組合中央金庫) |
所在地 |
〒100-8420 |
外部リンク | 農林中央金庫 |
特記事項: 総資産、貸出金残高、預金残高は2010年10月31日現在 |
農林中央金庫(のうりんちゅうおうきんこ、英称:The Norinchukin Bank、略称「農林中金」)は、1923年(大正12年)に設立された農協の系統中央機関の役割を持つ金融機関であり、国内最大規模の機関投資家である。
特殊法人であったが、1986年(昭和61年)に特別民間法人となり、農林中央金庫法を根拠法とする純粋な民間金融機関となった。
銀行免許を持つ金融機関でありながら金融庁ではなく農林水産省の所管となっている。
現在、各県の信用農業協同組合連合会(県信連)との経営統合を進めており、これまで宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、富山県、岡山県、長崎県、熊本県の各県信連との経営統合を完了した。
概要
農業協同組合(JA)、漁業協同組合(JF)、森林組合その他の農林水産業者の協同組織の金融の円滑化を目的として、預金の受け入れ、資金の移動や貸付、手形取引、有価証券運用および、根拠法である農林中央金庫法で定める業務を行っている。統一金融機関コード(いわゆる「銀行コード」)は、3000。
2006年(平成18年)3月31日現在、資本金は1兆4,650億円。総資産は70兆7,641億円。政府出資は1986年に廃止された。
小切手法(昭和8年法律第57号)の第59条、および「小切手法ノ適用ニ付銀行ト同視スベキ人又ハ施設ヲ定ムルノ件」(昭和8年勅令第329号)によると、農林中央金庫は銀行と同視されるため、小切手金の支払人たる資格を有することとなる。
系統金融機関における主たる業務として、系統組織、法人向けの融資や預金受け入れ(預金総額のうち8割強が会員からの受け入れである)を標榜しているが、近年においては国内最大規模の機関投資家としての側面を大きくしている。因みに、2006年(平成18年)3月31日現在において、有価証券と金銭の信託を含めた運用残高は、53兆円にのぼり、当該機関総資産の75%を占める。
また、割引農林債券「ワリノー」および利付農林債券「リツノー」「リツノーワイド」と呼ばれる金融債を発行していたが、リテール向けについては、2006年(平成18年)3月27日をもって売出しが中止された(但し、機関投資家向け募集形式では継続中)。また、投資信託や定期預金の新規受付も徐々に停止し、一部支店では大口法人以外の新規口座開設も今後受け付けない方向になる見通し。但し出来なくはないので店頭で応相談となる。債券がすべて償還されてから約2ヵ月後の2011年(平成23年)5月23日以降は、個人名義の口座がすべて本店へ統合され、個人顧客の取引チャネルが、本店窓口とテレバンのみとなる。この時点で、個人の取引が可能なものは、すでに保有している銘柄の投資信託の追加買付と解約のみとなっており、新規の取引は出来なくなっている。各地の支店は、各地の信連を統合した際の受け皿として機能している状態になっている。
そして、各店舗も地元のJAビル内に空中店舗化される傾向にあり、その一部については口座店が本店に移管されることになっているところもみられる。 空中店舗となった拠点はATMが撤去され、期間限定で地元JAのATMを無料利用できる形をとるが、それ以降は地元JAに移管して利用するなどの対策を各自でとらねばならない。
一方、2006年(平成18年)9月に期限付劣後債をユーロ市場で発行する事を発表。広く海外や国内の金融機関から資本調達する事で、系統組織に依存しない機動的な態勢を強化する目的。
2010年(平成22年)度半期の経常利益は1,039億円、純利益は834億円であった。
貸付・有価証券投資
- 1980年代後半のバブル景気時代に住宅金融専門会社(住専)に多額の貸し込みを行い、リスクの大きい物件の不動産融資に傾注していた住専は1990年代に入ってバブル崩壊とその後の平成不況による地価下落・住宅価格下落で破綻し、農業協同組合等の系列金融機関(JAバンク系)も破綻は時間の問題となっていたが、1996年の第136回国会、通称住専国会における特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法の制定で国費により住専の債権が買い取られたことで救済され破綻を免れた。
- 1986年(昭和61年)9月の農林中央金庫法の改正による特別民間法人化、2001年(平成13年)の金庫法全面改正を経て経営体制の大幅刷新、投資銀行へと大きく舵を切り[1]、資金余剰で金利の低い国内金融を縮小し金利の高い米国を中心とする外国債権購入・外国債券投資を増やし、この転換は米国の金利引き上げと円安傾向とあいまって利ざやが大きく大きな利益をもたらした。しかし、2007年後半から米国のサブプライムローン問題の顕在化でこれまでとは逆の米国の金利引き下げと米ドル安トレンドとなり、2008年(平成20年)3月期の最終利益は過去最高を達成したものの日本の株価の値下がりの影響による870億円あまりの損失と合わせて2743億円の損失も計上することとなった[2]。2008年(平成20年)度に入ってサブプライムローン問題はさらに深刻化、金融危機が米連邦住宅抵当公庫(ファニー・メイ)や米連邦住宅金融抵当公庫(フレディ・マック)の旧連邦政府系金融機関にも及び、ファニー・メイの株価だけでなく両社発行の社債価格も大幅に下落、両者の社債を日本国内で最大規模の5兆5000億円を保有[3]する農林中金は再び不動産金融で危機を迎えるのか予断を許さない状況だったが、政府管理下に置かれて元利払いが継続されるためこの問題は乗り越えた。9月中間決算で証券化商品の評価損として810億円を処理した。
沿革
- 1923年(大正12年)4月 「産業組合中央金庫法」(大正12年法律第42号)公布。
- 1923年(大正12年)12月 「産業組合中央金庫」の名称で営業開始。
- 1938年(昭和13年) 出資団体に漁業団体が加入。
- 1943年(昭和18年) 出資団体に森林組合が加入。名称を「農林中央金庫」と改める(法律名も「農林中央金庫法」と改称)。
- 1950年(昭和25年) 「割引農林債券」発行開始。
- 1973年(昭和48年) 「農水産業協同組合貯金保険法」(昭和48年法律第53号)公布、いわゆる「貯金保険機構」(預金保険機構のJAバンク版)の設置。
- 1986年(昭和61年)9月 金庫法の改正、特別民間法人になる。
- 2001年(平成13年) 農林中央金庫法の全面改正(平成13年法律第93号)、経営体制の大幅刷新。
- 2002年(平成14年)1月 「JAバンクシステム」スタート。
- 2003年(平成15年)4月 双日の優先株引き受け。
- 2004年(平成16年)9月 2006年3月後半債を最後に、農林債券「ワリノー」「リツノー」「リツノーワイド」の売出しを停止することを決定。
- 2004年(平成16年)9月 みずほ証券に農中証券を営業譲渡後、資本参加。
- 2005年(平成17年)3月 アドバンテッジパートナーズを通しダイエーに出資。
- 2005年(平成17年)9月 2006年(平成18年)2月 三菱UFJフィナンシャル・グループに合計2000億円の出資。
- 2006年(平成18年)9月 ユーロ市場において劣後債権を発行する事を決定。
- 2008年(平成20年)3月 同庫ATMサービスを廃止し、キャッシュカードの使用を停止。
- 2011年(平成23年)5月23日 個人利用者の口座店をすべて、本店へ統合
歴代理事長
- 産業組合中央金庫
- 岡本英太郎:1923年(大正12年)12月20日 - 1928年(昭和3年)12月20日
- 八条隆正:1928年(昭和3年)12月20日 - 1933年(昭和8年)4月21日
- 有馬頼寧:1933年(昭和8年)4月21日 - 1937年(昭和12年)6月4日
- 石黒忠篤:1937年(昭和12年)6月7日 - 1940年(昭和15年)7月24日
- 荷見安:1940年(昭和15年)8月13日 - 1943年(昭和18年)3月11日
- 農林中央金庫
- 荷見安:1943年(昭和18年)3月11日 - 1946年(昭和21年)11月5日
- 湯河元威:1946年(昭和21年)11月5日 - 1956年(昭和31年)8月15日
- 楠見義男:1956年(昭和31年)8月15日 - 1966年(昭和41年)11月21日
- 片柳真吉:1966年(昭和41年)12月24日 - 1977年(昭和52年)5月25日
- 森本修:1977年(昭和52年)5月25日 - 1991年(平成3年)5月24日
- 角道謙一:1991年(平成3年)5月24日 - 2000年(平成12年)6月26日
- 上野博史:2000年(平成12年)6月27日 - 2009年(平成21年)4月1日
- 河野良雄:2009年(平成21年)4月1日 -
関連会社
- 農中証券(2004年(平成16年)3月に(旧)みずほ証券へ営業を全部譲渡し、現在は清算手続中)
- 農中信託銀行
- 農林中金インターナショナル(農林中金が全額出資していたイギリスの証券会社。現在は清算手続中)
- 農中情報システム(農林中央金庫・JAのシステム設計、開発を担当)
- 農林中金総合研究所
- 農林中金全共連アセットマネジメント(旧称:「農中投信投資顧問」)
- 三菱UFJニコス…2006年(平成18年)10月より、新たにJAカードをNICOSブランドで提供
- など
融資系列及び出資企業
- クミアイ化学工業 - 農薬トップ、全農と親密
- コープケミカル - 三菱マテリアルが第二位株主のため、三菱グループに近い
- ニチロ(現・マルハニチロ食品) - 旧称「日魯漁業」。みずほコーポレート銀行及び三菱グループと親密(経営統合先の旧マルハは、旧興銀系)
- 雪印乳業 - 前身は「北海道酪農協同組合」、現・「雪印メグミルク」。みずほコーポレート銀行と親密
- みずほ証券 - 旧法人が子会社だった農中証券の営業譲渡先。2011年(平成23年)9月に、みずほコーポレート銀行の完全子会社となるが、従来からの関係を継続するため、再度の資本参加を検討している。
- ボーソー油脂 - 三井物産と親密
- 日本曹達 - 旧興銀系列の代表的企業だが、りそなグループなどにも接近
農林中央金庫出身の人物
脚注
- ^ FACTA2007年10月号「〔企業スキャン〕農林中金―「農」衰退でファンド化」
- ^ MSN産経ニュース 2008年5月27日「農林中金 サブプライム関連損失1869億円計上」
- ^ NIKKEI NET 2008年7月17日「農林中金、米住宅公社債5兆5000億円を保有 国内で最大規模」
関連項目
- JAバンク、全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
- 協同クレジットサービス、三菱UFJニコス(JAカード)
- JFマリンバンク、全国漁協オンラインセンター
- 財務省、金融庁
- 農林水産省、林野庁、水産庁
- UCギフトカード
- 住宅金融専門会社
- 甲子信用組合
- 伊藤かずえ イメージキャラクターを勤めた。