虎辞書なる!!

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虎辞書なる!!』(とらじしょなる)は、2003年度からサンテレビジョンでプロ野球シーズン中に放送されている雨傘番組(中継カードのない日、若しくは中継予定が中止となった場合放映)である。基本的には金曜日の雨傘番組として20:00 - 21:24(2022年まで)→19:58 - 21:22(2023年以降)に放送されている。また、J SPORTSにも番販しており、「なにがなんでもタイガース!」のタイトルで、J SPORTS STADIUMもしくはアクティブ!ベースボールで中継予定試合が中止された雨傘番組として随時放送されている。

概要[編集]

サンテレビジョンが保管している阪神タイガース公式戦の中継アーカイブ映像から、阪神ファンの視聴者にとってとりわけ印象の強い好カードを厳選。該当するアーカイブ映像を再編集によって90分のダイジェストに凝縮したうえで、谷口英明(2020年3月まで同局アナウンサー)による解説を交えて放送している。

本編のオープニングでは、谷口が『タイガースファンの皆様こんにちは!感動の名場面、 名勝負、あの興奮をもう一度。オールドファンの皆さんはもちろん、ヤングファンの皆さんにとっても永久保存版となる「虎辞書なる!!」。今からでも遅くはありません、ぜひ録画のご用意をどうぞ』という口上を述べたうえで、試合の背景を簡単に解説。その後で、中継のダイジェスト映像を流している。谷口自身も1988年5月から2019年9月までスポーツアナウンサーとして阪神戦の実況陣に加わっていたため、放送回によっては、自身が実況を担当した中継を取り上げることがある。

例年はプロ野球レギュラーシーズン中の雨傘番組として不定期で放送されているが、2020年には、4月24日から毎週金曜日の20:00 - 21:24に期間限定のシリーズ番組として編成[注釈 1]。日本国内における新型コロナウイルスへの感染拡大の影響で、当初3月20日(金曜日・春分の日)に設定されていたレギュラーシーズンの開幕が大幅に遅れていることを背景に、『サンテレビボックス席』ナイトゲーム中継枠の代替番組として期間限定のレギュラー放送が急遽決まった[注釈 2]。当初は5月22日の第5回で終了する予定だったが、放送期間中に開幕の目途が立たなかった(同月25日に開幕日を改めて6月19日に設定することが決まった)ため、翌週(5月29日)以降も開幕の前週(6月12日)まで放送を続けた(通算の放送回数は8回)。

放送された試合[編集]

日付 カード 内容
1973年8月30日 阪神-中日 江夏豊が11回裏に自らサヨナラホームランを打ち、史上初延長戦ノーヒットノーランを達成
1982年4月29日 阪神-巨人 阪神の元祖守護神山本和行が先発登板して完封勝利、打っては3ランホームランの活躍
1982年6月3日 阪神-巨人 Mr.タイガース掛布雅之VS怪物・江川卓の対決
1982年7月2日 阪神-巨人 阪神チームタイ記録11連勝達成
1982年7月30日 阪神-巨人 一振りに懸けた浪花の春団治川藤幸三代打サヨナラヒット
1983年4月15日 阪神-巨人 G倒に燃えた炎のサイドスロー小林繁
1983年5月27日 阪神-巨人 工藤一彦が巨人打線を完封、槙原寛巳に投げ勝つ
1983年7月9日 阪神-広島 川藤幸三が代打サヨナラヒット
1983年7月14日 阪神-巨人 小林繁が西本聖と白熱した投手戦
1985年4月16日 阪神-巨人 木戸克彦プロ1号&伊藤文隆完投勝利
1985年6月6日 阪神-巨人 リチャード・ゲイル完封勝利&ランディ・バース2ホーマーの援護
1985年6月15日 阪神-大洋 中田良弘4年ぶり先発で13連勝&木戸克彦3打席連続ホームラン
1985年7月9日 阪神-ヤクルト 北村照文が我が子に贈るサヨナラツーベース
1985年8月27日 阪神-広島 岡田彰布2ホーマー5打点&チームも首位浮上
1985年8月30日 阪神-大洋 球団史上最強助っ人ランディ・バース2ホーマー
1986年9月26日 阪神-ヤクルト 試合を決めた柏原純一の一振り
1986年9月27日 阪神-ヤクルト 弘田澄男がプロ通算1500本安打達成
1987年6月11日 阪神-ヤクルト 仲田幸司が力投、打ってはプロ最初で最後のホームラン
1987年9月10日 阪神-ヤクルト 新人猪俣隆14奪三振を奪う渾身のプロ初完封勝利
1988年4月26日 阪神-大洋 マット・キーオが投げて8回1失点、打って3ランホームランの大活躍&掛布雅之がランニングホームラン
1988年7月31日 阪神-大洋 久保康生移籍後初勝利
1988年8月27日 阪神-広島 田尾安志代打サヨナラ満塁ホームラン
1989年6月8日 阪神-中日 マット・キーオ完封勝利
1991年5月24日 阪神-広島 野田浩司プロ初完封勝利
1991年6月14日 阪神-中日 中西清起、久保康生の投手リレーで首位の星野中日に快勝
1992年6月9日 阪神-中日 葛西稔プロ初完封勝利&2420日ぶりに首位
1992年9月11日 阪神-ヤクルト 日本最長6時間26分の試合、八木裕幻のサヨナラ弾
1993年10月21日 阪神-広島 岡田彰布タテジマ最後の打席
1994年4月19日 阪神-広島 藪恵壹プロ初勝利
1994年5月13日 阪神-ヤクルト 新庄剛志が延長12回にサヨナラ満塁ホームラン
1995年4月27日 阪神-横浜 スコット・クールボーが反撃のホームラン&グレン・デービスがサヨナラホームラン
1996年5月10日 阪神-巨人 オリックスからやって来た平塚克洋ここぞの一発
1998年5月26日 阪神-中日 川尻哲郎がノーヒットノーラン
1998年7月7日 阪神-横浜 矢野輝弘が横浜の大魔神佐々木主浩からサヨナラヒット
1999年5月14日 阪神-中日 大豊泰昭代打サヨナラホームラン
1999年7月8日 阪神-ヤクルト マーク・ジョンソン代打逆転サヨナラホームラン
2000年9月30日 阪神-広島 新庄剛志サヨナラホームラン
2001年6月29日 阪神-ヤクルト 上坂太一郎サヨナラホームラン
2001年8月29日 阪神-巨人 広沢克実お立ち台で六甲おろし
2001年10月1日 阪神-巨人 和田豊引退試合
2002年4月12日 阪神-横浜 井川慶完封勝利
2002年4月29日 阪神-中日 日本ハムからFA加入した片岡篤史2ホーマー&ジョージ・アリアス桧山進次郎も追随
2002年8月1日 阪神-横浜 濱中おさむ3打数3安打2ホームランで全打点。川尻哲郎&金澤健人完封リレー
2002年10月14日 阪神-中日 葛西稔、伊藤敦規遠山奬志星野伸之引退試合(2002年度ラストゲーム)
2003年4月26日 阪神-広島 大逆転勝利!!
2003年6月5日 阪神-中日 伊良部秀輝完投勝利
2003年6月17日 阪神-横浜 矢野輝弘のサヨナラスリーベース
2003年8月27日 阪神-巨人 死のロード明けの金本知憲の一振り
2003年9月15日[注釈 3] 阪神-広島 2003年歓喜の瞬間(チーム18年振りのセ・リーグ優勝)
2004年5月22日 阪神-巨人 ジェフ・ウィリアムスが巨人打線を封じ込み&金本知憲決勝打
2005年9月1日 阪神-中日 今岡誠3安打ホームラン連発
2005年9月29日 阪神-巨人 藤川球児最多登板記録&岡田阪神大願成就!!
2007年7月27日 阪神-横浜 藤川球児が6戦連続セーブ
2008年6月9日 阪神-オリックス 下柳剛・矢野輝弘・金本知憲の同級生トリオのお立ち台

特別番組・追悼企画[編集]

2009年12月31日~2010年1月1日には、『虎辞書なる!!年越しスペシャル~2010年は虎の年』を生放送。2009年シーズンの阪神のベストゲームのダイジェスト映像の放送、当時の主力選手・コーチたちによる名勝負の回顧企画、谷口と真弓明信監督(当時)の対談などで構成。2009年から2010年の変わり目には、当時の選手・コーチが2010年へのカウントダウンを披露した後に、新年の挨拶を述べていた。

2010年には、1月17日に小林繁が急逝したことを受けて、同月23日深夜(24日未明)に『追悼・小林繁 虎辞書なる!!〜あの興奮をもう一度〜G倒に燃えた炎のサイドスロー小林繁・伝説の巨人キラー』を急遽編成。「G倒に燃えた炎のサイドスロー小林繁」を改めて放送した。

2018年には、1月4日に星野仙一が逝去したことを受けて、同月21日の16:00 - 17:25に『星野仙一さん追悼特別番組 虎辞書なる!!2003年歓喜の胴上げ』を急遽編成。「2003年歓喜の胴上げ」を改めて放送した。

2020年4 - 6月の期間限定シリーズでは、期間中の5月1日にマット・キーオが急逝したことを受けて、「マット・キーオ 低迷期を支えた虎のエース」を期間延長後のシリーズ最終回(6月12日)に編成。キーオへの追悼の意を示す字幕を、本編終了後のエンディングパートに挿入した。

2004年から2008年まで阪神の一軍監督を務めた岡田彰布が監督へ復帰した2023年には、『虎辞書なる!!今年はアレ年よスペシャル~1985・2005年岡田彰布の軌跡~』を、1月2日(月曜日)の16:00 - 17:25に編成。過去の放送で取り上げた中継のアーカイブ映像から、現役選手時代の1985年(2本の本塁打を放つなど活躍した8月27日の対広島戦)と第1次監督時代の2005年(セントラル・リーグでの優勝を決めた9月28日の対巨人戦)の映像を2本立て方式で放送した。ただし、進行役は谷口ではなく村上昴輝(サンテレビの現役アナウンサー)で、進行パートも湊川神社(神戸市中央区)の境内で2023年の「アレ」(岡田の口癖)祈願を兼ねて収録。また、岡田が監督復帰後初めて『熱血!タイガース党』(オフシーズン限定の生放送番組)に出演していた2022年10月28日に、同番組のスタジオセットで別途収録したメッセージ映像をエンディングパートに組み込んでいた。

サンテレビ開局記念の特別企画[編集]

2014年[編集]

開局45周年記念企画の一環として、「虎辞書なる!!あの興奮をもう一度」と称する視聴者投票を3月下旬から実施。当番組で放送した「名勝負」65試合(1970年代:2試合、1980年代:26試合、1990年代:18試合、2000年代:19試合)を投票の選択肢に定めたうえで、いずれか1試合について、4月20日まで特設サイトで投票を受け付けていた。

同年5月2日に生放送の開局45周年記念番組『サンテレビ"的"』では、第2部(19:00 - 20:30)に特別企画を内包したうえで、谷口がスタジオから進行。「2003年歓喜の胴上げ」を再び放送した。

2019年[編集]

開局50周年記念企画の一環として、「虎辞書なる!!総選挙~あなたが選ぶ名勝負~」と称する視聴者投票を3月中旬から実施。局内の記録媒体に現存する阪神戦の中継映像から、当番組での過去の放送分を含む50試合を投票の選択肢に定めたうえで、いずれか1試合について、4月13日まで特設サイトで投票を受け付けていた。5月3日(金曜日・憲法記念日)の20:00 - 21:30に、同名の特別番組で得票数の上位5試合を発表するとともに、1位に選ばれた試合(「2003年歓喜の胴上げ」)の映像を放送。

その他[編集]

  • タイトルの「虎辞書なる」は、谷口による造語で、英語の「トラディショナル(Traditional :伝統的)」に「虎の辞書(阪神戦中継のアーカイブ映像)」という意味を重ねている。
  • 試合の映像に移る時の「あなたは歴史の証人です!」と言う台詞はサンテレビの谷口のページにて取り上げられていて、キャッチコピーにもなっている。
  • ちなみにサブタイトルは2通りあり、番組ロゴの下に書かれる「あの興奮をもう一度」と、新聞テレビ欄に書かれる「懐かしの阪神名勝負が甦る」の2通りである。
  • 放送期間はプロ野球のシーズン中だが、サンテレビでは基本として年度上半期(4 - 9月)のみ放送。10月以降は、阪神の試合の消化状況にかかわらず、翌年3月までの年度下半期限定で『熱血!!タイガース党』を放送している。ただし、2020年には前述したようにレギュラーシーズンの開幕が延期されたため、シーズンの全日程が終了する11月上旬までを当番組の編成期間に設定していた。
  • J SPORTSでは、オンシーズンは雨傘番組として、オフシーズンは独立した番組として放送されていた。
  • サンテレビでも、雨傘番組としてだけではなく、独立した番組として放送される時もある。独立した番組として放送される時は、移動日や予備日の為阪神戦そのものが無い時が多い。
  • 放送に際しては、中継のアーカイブ映像から、選手の成績(打者なら打率・本塁打数、投手なら勝敗・防御率など)に関するテロップを再編集で割愛。スコアやカウントの表示については、放送時点(または中継時)の『サンテレビボックス席』での仕様に準じたテロップを再編集で新たに挿入しているため、書体などが中継時点のテロップと異なる場合がある。その一方で、投手の投球スピードについては、アーカイブ映像のスピードガン表示を再編集後も残している。
  • アーカイブ映像の保管状態によっては、再編集でも完全に補正できないほどの乱れが残っていることがあるため、該当する映像を放送する場合にはその旨を説明するテロップを本編の冒頭に挿入している。
  • 放送対象の中継映像で他球場の試合経過・結果が紹介されている場合には、実況アナウンサーによる速報のアナウンスを極力残す一方で、中継時に使用していた速報の字幕テロップを編集で消去している。中継時に受付・紹介していた視聴者からの応援メッセージや、中継時にサンテレビの放送席へ迎えていた「ゲスト」(視聴者代表)のコメント音声については、シーンに応じて残している。
  • 基本として阪神が勝利した試合の中継アーカイブ映像を使用しているが、本編の放送枠が80分に満たないことなどから、当該回のテーマや試合の展開と直接関連しないイニングの映像を大幅に割愛したうえで放送。このような事情から、試合終了後のヒーローインタビューの映像まで流すことはほとんどない。大半の放送回では、中継の再編集映像を試合終了直後のシーンまで流してから、エンディング(谷口の補足解説)パートに直結させている。
  • 通常は1回で1試合分の中継映像を放送するが、2020年6月5日放送分では、「江夏&川尻 ノーヒットノーラン」というテーマで、両者がノーヒットノーランを別々に達成した試合(2試合分)の中継映像(詳細前述)を2本立て方式(前半は川尻登板試合のダイジェスト映像・後半は江夏登板試合の9回表以降の映像)で構成。谷口は川尻がノーヒットノーランを達成した試合を実況していたため、当該試合の映像の再放送を始める前の挨拶で、阪神ファンに向けて「(川尻も江夏も)絶対に打たれません! 安心して下さい」という口上を入れていた。谷口に代わって村上が進行した2023年の『今年はアレ年よスペシャル~1985・2005年岡田彰布の軌跡~』でも、このような2本立て構成を採用。

注釈[編集]

  1. ^ 放送期間中には、衛星放送NHK BS1『あの試合をもう一度!スポーツ名勝負』、スカイA『今こそ見たい!スカイAスタジアム タイガースベストゲーム』、G+『Fun! BASEBALL!! 2019 Selection』)でも、当番組と同じ時間帯に同じ事情・趣旨で阪神戦中継の再放送を随時実施。週によっては、サンテレビも衛星放送も受信できる世帯で、「金曜日の20・21時台に阪神の別々のカードの再放送を別々のチャンネルで同時に視聴できる」という事態が生じている。当番組で「輝くいぶし銀 和田豊」(1994年5月13日の阪神対ヤクルト戦の再放送)を編成していた2020年5月22日を例に取れば、2005年9月29日に阪神がセントラル・リーグ優勝を決めた対巨人戦の完全再放送(NHK BS1制作分)が、「2005阪神V 夢のリレー"JFK"」と題して19:00 - 21:50に『あの試合をもう一度!スポーツ名勝負』内で実施されていた。
  2. ^ サンテレビ「虎辞書なる!!」放送へ 開幕を待ち焦がれる虎党へ送る(『デイリースポーツ2020年4月7日付記事)
  3. ^ 当日に阪神の優勝が確定するには、デーゲームの対広島戦に勝利したうえで、優勝マジック対象チームのヤクルトが横浜との薄暮試合(横浜スタジアムで17:00開始)に敗れることが条件になっていた。実際には阪神が広島戦をサヨナラ勝利で終えたため、甲子園球場では試合終了後も阪神ナインを待機させたうえで、広島戦への入場者向けにスコアボード内のオーロラビジョンを使って横浜 - ヤクルト戦テレビ中継のパブリックビューイングを実施。サンテレビも、広島戦に続いてパブリックビューイングの模様を放送したため、ヤクルトの敗戦による阪神の優勝決定の瞬間(19:33)から完全生中継に至った。

関連番組[編集]

外部リンク[編集]