ヌート・ガンレイ

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ヌート・ガンレイ
Nute Gunray
スター・ウォーズシリーズのキャラクター
初登場ファントム・メナス』(1999年)
サイラス・カーソン
トム・ケニー(『クローンウォーズ』)
プロファイル
種族 ニモイディアン
性別 男性
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ヌート・ガンレイ (Nute Gunray) は、アメリカSF映画『スター・ウォーズ』シリーズの新三部作(『エピソード1/ファントム・メナス』『エピソード2/クローンの攻撃』『エピソード3/シスの復讐』)に登場する架空の人物。種族はニモイディアン(ニモイディア人)で、性別は男性。

人物

他のニモイディアンと同じく、天性の競争心と殺人的なビジネス観を持ち合わせ、通商連合最高幹部会議で絶大な影響力を持つ。物語中では一貫して、通商連合の総督(通商連合の最高権力者)の地位にある。このためガンレイ総督とも呼ばれる。死と労働を極端に嫌う種族であるため、彼の周りには多くのドロイドが配置されている。

外見は鼻もなく独特のエイリアン的醜怪な容貌で、スター・ウォーズの悪役キャラクターの中でも最も不人気なキャラクターの一人である。銀河系の公用語ベーシックを独特のアクセントで話し、比較的美声の持ち主でもある。

利潤の追求と己の保身のためなら手段を選ばない非道な小悪党であるガンレイだが、臆病なばかりか優柔不断でもあったルーン・ハーコなどとは違い、巨大企業のトップに上り詰めただけの能力は有している。エピソード1の艦内における特使のジェダイとの交戦時には矢継ぎ早に指示を下し(特にドロイディカの早期投入はジェダイ撃退の決め手となった)、特使を攻撃した後はアミダラ女王の通信に対して「特使など来ていない」と即座にウソをついてナブー首脳団を混乱させて間を置かず侵攻するなど、手腕自体は高かった。

エピソード2以降は出番が減ったが、それでもジオノーシスの戦いでパドメの抵抗に対しジャンゴ・フェットの投入を急いだり(ドゥークーに止められたが)、単体で強大な戦闘力を持つグリーヴァスに対して生身で啖呵を切ったりと、他の分離主義者幹部に比べて大きな存在感を残していた。

活動

エピソード1では主要な敵として辣腕を振るう。ダース・シディアスの命を受けて通商連合の偽装貨物船(武装した貨物船)の艦隊を率いてナブーを封鎖し、最高議長から派遣された特使のジェダイクワイ=ガン・ジンオビ=ワン・ケノービ)も撃退したが、ナブー占領を合法化するために必要なアミダラ女王の署名が得られないままにアミダラと合流したジェダイに逃げられる。シディアスが派遣したシス卿ダース・モールの捜索も及ばず、アミダラ女王はグンガンと協力関係を結ぶ。ガンレイはグンガン軍の撃破に主力軍を投入したが、これは陽動であり、手薄になったナブー王宮を直接奇襲される。それでもガンレイは采配を取ってパドメ・アミダラを捕らえることに成功したが、そこにパドメの影武者が到着。影武者としか会ったことの無かった彼はとっさに本物のパドメを捨てて影武者を捕らえるよう命じてしまい、その隙に本物のパドメもガンレイのブラスターを奪って反攻に転じ、結局、彼自身の判断力の早さが仇となる形でガンレイは捕らえられた。ほぼ同時期に、衛星軌道上のドロイドコントロール艦もアナキン・スカイウォーカーら攻撃隊により沈められたためにドロイド軍は機能を停止、ダース・モールも戦死してしまい、ナブーの戦いは通商連合の敗北に終わった。以降、目の敵とも言うべきパドメに対して殺意を抱くようになりナブーの水中に生息するモンスターを生物兵器を使い大繁殖させるなどの行為を行った。この失敗で、通商連合の私設軍は大きな打撃を受け、ヌート・ガンレイも逮捕された。しかし、ガンレイは銀河共和国の体制が腐敗しきっていることを利用し、有力者に賄賂を掴ませたおかげで、裁判で有罪の判決を受けながらも総督の地位を守った。また、大幅な縮小を命じられた私設軍も、密かに再建した。

エピソード2では、ドゥークー伯爵率いる分離主義運動に呼応して10年前に苦汁を舐めさせられたアミダラ元老院議員暗殺を条件に、経済面・軍事面で独立星系連合(分離主義勢力)を支える事を約束。以後、分離主義評議会の幹部としてクローン大戦で共和国と敵対した。緒戦のジオノーシスの戦いにも参加しており、ドロイド軍指揮の一翼を担うが、形勢不利と判断すると、速やかに脱出・逃走した。なお、グリーヴァス将軍とは二人が初めて会ったときガンレイがグリーヴァスをドロイドだと間違えたため不仲だった。

クローン戦争中は、共和国側の惑星を分離主義勢力側に取り込む切り崩し工作などを行っていた。その最中、アミダラ元老院議員の活躍により、惑星ローディアで共和国勢力に身柄を拘束されるも、ガンレイが共和国に口を割ることを恐れたドゥークーは、腹心のアサージ・ヴェントレスを送り込み、ガンレイは彼女の協力を得て脱出。普段は小心者の彼だが、クローン兵を背後からブラスターで襲い、ガンレイの見張りを命じられていたアソーカ・タノを嘲笑うなど、珍しく自身で戦った。

戦争が長引くにつれ、ガンレイはこの戦いに嫌気が差していった。分離主義勢力の影の後援者であるダース・シディアスは、彼に富と勝利のビジョンを約束していたが、もはやそれさえもガンレイの平和への切なる思いを和らげる力にはならなかったのだ。また、彼はグリーヴァス将軍の逆鱗に触れる危険を冒してまでも、このサイボーグ将軍のリーダーシップに疑問を呈していた。そして、シディアスが分離主義評議会をムスタファーへ移動させると告げたとき、彼はようやく戦争が終わりに近づいたと確信したのだった。

彼の考えは正しかった。しかし、それは同時に彼自身の破滅でもあった。ダース・シディアスが分離主義勢力を裏切り、銀河皇帝の従者に処理を一任したのである。もはやガンレイたちに利用価値がなくなったシディアスは、ムスタファーに弟子のダース・ベイダーを送り込み、彼らを虐殺させた。ベイダーは分離主義の企業家たちとその取り巻きをライトセーバーの光刃で次々と切り刻み、最後に残されたのがガンレイだった。怯えたニモイディアンの総督は平和を唱え、必死に命乞いをしたが、ベイダーは彼を無情にも一太刀で斬り捨て、その後に静寂が訪れたのである。

ダース・シディアスとの関係

物語中において、シス卿ダース・シディアスと深い繋がりを持っている。シディアスに対しては常にへりくだり、まるで臣下のような態度をとっているものの、シス卿に心からの忠誠心があったわけではない。彼らは基本的に、互いを利用するだけの関係である(都合の悪いことは隠そうとしたり、「(ナブー封鎖の)話に乗ったのは間違いではないか」と副官ルーン・ハーコも疑問を示していた)。

彼がシス卿と関わるようになったのは、通商連合の総督の地位につく頃からであるとされる。当時、ライバルと熾烈な権力争いをしているガンレイに、助力と引き替えに協力するように接触してきたのが、ダース・シディアスであった。彼は、シディアスから得た秘密情報をもとにライバルを蹴落とし、総督の地位を得たのである。この後も、表で活動するガンレイと、裏で暗躍するシディアスは、関係を保ち続けた。

しかしエピソード3では、野望が成就し、もはや裏に隠れている必要がなくなったシディアスに利用価値を見限られ、シディアスの使者ダース・ベイダーに殺害される。映画版では容赦なく殺害されるが、ガンレイの「戦争は終わった。シディアス卿は我々にピース(peace=平和)を約束した!」という疑問に対するシディアスの答えは、小説版でアナキンの「誤解があったようだな。シディアス卿はピース(piece=切れ端)にすると約束したのさ」という台詞として明かされる。

その他

  • スーツアクター声優ジェダイ・マスターキ=アディ=ムンディと同じサイラス・カーソンがつとめている。ともに着ぐるみに近いキャラクターながら、アナキンの不平に目を伏せて無言で場をいさめた重厚なムンディと、映画中では軽率さが際だち、最後までダース・シディアスに振り回される悲惨な悪役となったガンレイ総督を、対照的に演じ分けている。日本語吹き替え版での声優は鈴木勝美。アニメ『スター・ウォーズ クローンウォーズ』での声優はトム・ケニー
  • ヌート・ガンレイは金の亡者であり、また日本人が話すようなたどたどしい英語を話すため、アメリカの一部の市民団体から人種差別だと抗議を受けた事がある。しかし、声を担当したサイラス・カーソンは「彼らには見たところ鼻がない。だから鼻が無いような発音をするイメージのあるタイ人の英語をまねてセリフを話した。」と、語っている。
  • ガンレイをはじめニモイディアンがみな高い帽子を被っているのは、その中に顔の表情を動かす機械が入っているため(設定上は自分たちの地位、権力、富を誇示するためのもの)。エピソード1の頃は瞬きと口を開閉する程度だったが、エピソード2ではコンピュータ・プログラムによるリップシンク、エピソード3では顔全体の筋肉の動きの再現などその技術は飛躍的に進んでいた。なお初期のデザイン画では彼らが使役するバトル・ドロイド同様の細長い頭部となっており、その名残としてバトル・ドロイドは彼らニモイディアンの骨格を模して造られたとされている。

関連項目