テレビドラマ

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テレビドラマ(アメリカ英語:television drama、television drama series、TV drama、 イギリス英語:dramatic programming)とは、テレビ番組の一種で、ドラマ形式のもののこと。英語では「drama」と言う語が映画とテレビのジャンルとして使われるとコメディと対立し、冗談が入っていないシリアスなストーリーを指す。英語では「situation comedy」(シチュエーションコメディ)は「drama」と別なジャンルである。それに対して、日本語ではドラマはコメディドラマを含む。英語では「comedy drama」は笑いもシリアスな話もあるストーリーで、その二つの様子を合わせたもの。英語の「situation comedy」(シチュエーションコメディ)は笑いのあるストーリーで、日本語のコメディドラマに近い意味がある。

概要

テレビ

米国

sitcom シチュエーションコメディ

米国のTVドラマでは、ひとつの定番は、米国では「sitcom シットコム」などと呼ばれているコメディドラマ(シチュエーションコメディ)で、内容としては、毎回、いかにも米国にありそうな「家庭」(のセット)が舞台になっていて、おきまりの家族の面々が登場し、日常生活を送るなかで、間の抜けた失敗をしたり、間の抜けた(視聴者が思わず笑ってしまうような)会話をし、(しばしば米国人流の大きなジェスチャーとともに)おかしな台詞が言われるたびに、テレビ音声としても(画面内の「家庭」にいるはずのない、架空の多数の観客の)「アハハハ..」といった笑い声(の合唱)が聞こえる、というタイプのドラマである。登場人物の中に、やたらと「おませ」な子供がひとりいて、その子が言う台詞によって、(普段、大人自身実はうすうす気付いているのだが、気付かないフリをしているような)大人の愚かさが浮き彫りにされ 笑いを誘う、というのはしばしば使われるパターンである。舞台が家庭ではなく職場になっていて、毎回、職場の同僚同士が馬鹿馬鹿しく笑えてしまうような会話をする、というタイプもある。

具体的には次に挙げるようなものである。

sitcomは、派手な事件が起きるわけでもなく、特殊撮影や特殊メイクを駆使するわけでもない。 よって、放送作家ユーモアのセンス、スクリプト台詞)の組み立てのセンス、また俳優たちの(アドリブも含めた)「掛けあいの妙技」に依っているテレビ番組である。撮影は、テレビ局内のスタジオに設けられたセットで行われるが、しばしば、セットを斜め上から見下ろせる階段状の「観客席」が設置してあり、そこに多数の観客が座って見ている中で行われる。つまり、テレビ番組の撮影でありながら、一般に、sitcomの撮影の現場では、眼の前の観客に対して生でコメディが演じられており、その状況の中でカメラがセットに向けられ撮影されている、という方式で行われている。なぜこのような方式で撮影されているかと言うと、この方式で撮影することで、俳優が演技をするとリアルタイムに観客の反応が、俳優にも現場監督にも把握できる、というメリットがあるのである。笑いをとる目的で書かれた「決め台詞」が (放送作家や俳優の意図に反して)実際に演じてみたところ、意外に観客の反応が良くない場合は、現場の監督からすかさず「ダメだし」が入り「撮り直し」となり、俳優は、観客がおもわず笑ってしまうレベルまで、台詞の「抑揚」を修正してみたり、ジェスチャーや表情を修正する、ということを何度も何度も繰り返す。どうにも反応が悪くてシラけた反応しか返ってこない場合は、場合によっては一部、台本を「カット」する。これを繰り返しつつ、少しずつ撮影が進んでゆく。こうした撮影の「観客」は、しばしば「ボランティアの希望者」がなっている。例えば、ハリウッドの観光地 チャイニーズ・シアターの前などに、呼び込みの「お兄さん」が現れて、道ゆく人(英語を理解できそうな風貌の観光客、仕事中ではなさそうな人 等々)に声をかける。「1時間後にsitcomの○○○○の撮影があるけれど、あなたもスタジオに見に行きませんか? 無料で楽しめますよ~」などと声掛けしているのである (人の集まりが悪い時などは、呼び込み係は「スタジオ見学した人には マクドナルドのドリンク券あげるよ~」などと言って誘うこともある。)。声を掛けられた側が「O.K」と答えて、スタッフが整理している行列の後ろに並ぶと、やがて大きなバスがやってきて行列に並んでいる人々をスタジオへと連れて行き、スタジオの階段席へと誘導され、有名なコメディ番組の生の撮影、普段 テレビで見ている俳優たちが自分の眼の前で生で演じているのを無料で鑑賞できる、というわけである。ゲラゲラと笑って観ているうちに撮影は数時間ほどで終了し、終了後観客たちは誘導され、やはりバスに乗せられ、最初に声掛けされた場所(たとえば、チャイニーズシアターの前など)でバスから降ろしてもらえ解散となる。観客の側にとっては、無料で、(普段テレビ画面で見る)俳優の生の演技を楽しむことができ、テレビ局の側にとっては、数百名もの人を、ほぼ無料で(バス運行代と、呼び込みのお兄さんのアルバイト賃だけで)「テスト視聴者」として利用でき、番組の質を上げて視聴率向上を狙える、ということになり、テレビ局側と観光客の間に即席の「give and take ギブ・アンド・テイク」の関係が成立し、互いに満足できるシステム、というわけである。

crime drama 犯罪ドラマ

2000年以降に着目してみると、犯罪ドラマ(「crime(犯罪)もの」)の視聴率が高く、結果として多数作られている。たとえば、異常な犯罪事件が起き、主人公である警察官や捜査官がその事件の捜査を行う、といった筋書きのドラマが多いのである。


イギリス

イギリスのTVドラマの一例を挙げると、BBCで放送された『The Six Wives of Henry VIII』や『Our Friends in the North』を挙げることができよう。


日本

日本では、一日を通してテレビドラマが放映されている。中でも、午後8時から10時台に放送されるテレビドラマは視聴率が高く、予算も高額で、他の時間帯に比べ質も高いとされる。時の人気俳優や人気タレントも多く出演し、時の流行やファッション等、多方面に渡って社会に大きな影響を及ぼす作品も少なくない。

数あるテレビドラマの中でも、特にフジテレビ系列で月曜日午後9時から放送されるテレビドラマは「月9(げつく、げっく)[1]TBSで日曜日午後9時から放送されるテレビドラマ(日曜劇場)は「日9(にっく[要出典])」、日本テレビ系列で土曜日午後9時から放送されるテレビドラマ(日本テレビの土曜ドラマ)は「土9(ドック・ドキュウ・ツチク 等[2] )」と呼ばれ、高視聴率を記録した作品を数多く残している。また、午前に放映されるテレビドラマの中でも、NHK総合テレビ連続テレビ小説(朝ドラ)は人気があり、特にイヒロインを演じた女性俳優(新人であることが少なくない)がその出演を期に各局でプライムタイムのドラマ等に出演するようになることが少なくないため「登竜門」と言う言われ方をすることもある。

子供番組としての30分程度のドラマ(児童向けドラマ)も、1980年代までは比較的多く製作されていた。現在では、NHK教育テレビにおいて、道徳教育ドラマを就学年齢の児童生徒向けの学校放送や、『中学生日記』の時間枠として放送している。またテレビ朝日では、日曜朝7時半から8時半までの1時間枠を「SUPERヒーロータイム」と称し、未就学児童をコア・ターゲットとしたいわゆる「特撮」ドラマを放送している。

古くから続いているテレビドラマでは、NHK総合テレビの大河ドラマがある。歴史ドラマを恒常的に毎週放映するのはNHKだけであり、民放は主にトレンディドラマを放映する傾向がある。

1980年代までは当初1クールまたは2クールで制作予定が人気が出ると延長されて最終的に1年以上続くドラマになるということがよくあったが、近年は人気が出ても当初の放送予定を変えずに(変更は最終回の放送時間拡大程度)いったん終了させて、概ね3ヵ月から半年間のインターバルを経てから次のシリーズが製作されているものが大半を占めている。昔のように、1年中製作されるかたちで数年続いている作品は皆無に等しい。

大きな人気や高い評価を受けた作品の場合、新たに劇場公開用の映画作品として製作されることがある。テレビ放送初期は『三匹の侍』、『若者たち』のようなテレビ局のディレクターが映画版でも監督を務めるなどの一部スタッフの関わりを除けばテレビ局が関与しないことがほとんどであったが(テレビドラマ作品を「原作」として扱った)、1969年に映画『御用金』でフジテレビがテレビ局として初めて映画製作を手がけたことを皮切りに、テレビ局は映画事業に本格的に進出。現在ではテレビ局が主体となってテレビドラマ作品(特に連続ドラマ)の世界観を継承した新たなエピソードを、映画作品として製作するケースが多くみられる。その一方で近年では、テレビドラマ作品そのものが、再編集を経るか、またはそのままの形で劇場公開されるケースもある(単発ドラマにみられる)。

歴史

撮影機材・放送形態

1940年4月、テレビの実験放送で放送された『夕餉前』(脚本:伊馬鵜平)が、日本初のテレビドラマとされている。当時のスタジオは非常に狭く、またアイコノスコープ方式のカメラを使用していたため、俳優は、時に木材や紙などを発火させるほど強い照明に耐えなければならないなど、技術的制約が多い状況だった。同年10月には実験放送第2作『謡と代用品』が放送されたが、太平洋戦争1941年12月8日勃発)のために11年中断後、1952年に再開。

1953年にテレビの本放送が始まるが、当時は実用的な録画手段がなく、テレビドラマの多くは生放送またはフィルム制作であった。

ビデオは、1956年アメリカ合衆国2インチVTRが開発され、2年後の1958年には、日本に初輸入され、国産のビデオも開発された。同年6月、大阪テレビ放送(OTV、現・ABC)の『ちんどん屋の天使』において、日本で初めてテレビドラマにビデオテープが使用された。そして同年10月、ラジオ東京テレビ(KRT、現・TBS)の『私は貝になりたい』(主演:フランキー堺)では、本格的にビデオ録画が実用化され、技術的な先駈けとなった。また、その年の芸術祭賞を受賞し、それまで「電気紙芝居」と酷評されたテレビドラマが初めて人を感動させたとして、テレビドラマ史上に残る重要作品と位置付けられている。当初はビデオ機材もビデオテープも高価だったが、やがて普及していき、ドラマも生放送から収録する形態へと変わっていった。

1970年代までにビデオテープで収録されたテレビドラマの中には、原盤ビデオテープが別の番組撮影に使われて上書きされたことにより、映像が失われたものも少なくない。また、当初は撮影機材の大きさと、カメラの感度の低くさから、照明を煌々と照らしたスタジオ内で演技するより他なく、屋外の情景はスタジオ内でのセットで再現していた。どうしても屋外でのロケが必要な場合は、ビデオでの撮影を諦めて、16mmフィルムで撮影することもあった。そのため本編中にビデオ映像とフィルム映像が混在し画調や画質、場合によっては音質においても不連続が発生することがかつては多く見られた。いわゆるホームドラマはこうした技術的制約の苦肉の産物でもあった。

NHKのドラマはNHKですべて制作していたのに対して、民放では1950年代から外部の制作会社が制作したテレビドラマを放送した。それらは当初「テレビ映画」とも称され、劇場映画を作ってきたスタッフが制作にあたり、撮影もフィルムで行なわれた。大手では、1959年東映が出資したテレビ局NET(現・テレビ朝日)で、さらに1962年には新東宝を前身とする国際放映がTBSで、テレビ映画の制作に進出している。特撮ものは、合成などのノウハウが蓄積されているフィルムでの撮影が主となっていた。詳しくはテレビ映画を参照。

1970年代も半ばを過ぎると、これまでのビデオカメラのコストと技術的制約もなくなり、フィルムからビデオでの撮影に徐々に移行することとなった。フィルムが必要とする現像の手間以外だけでなく、ビデオ編集用の機材の発達と何よりもコストの問題で、映画会社系の制作会社もビデオ撮影を採用し始め、1990年代後半からフィルムで撮影されたドラマは激減。2000年代初頭には、刑事ドラマ時代劇もビデオ撮影に移行して、フィルム撮影はほぼ姿を消した(日本と違ってフィルムへのこだわりが強い欧米では大型テレビドラマの場合35ミリ映画用カメラを使ったフィルム撮影の方が主流である)。

モノクロ時代は消え物(料理)はそれらしく見えればいいということで、すき焼きを食べているシーンなのに食べているのは出汁の味しかしない物だった、本物が出てきたのはカラーになってからだった、と黒柳徹子は語っている[3]

2005年現在、地上デジタル放送への移行期を迎えて、ビデオでの撮影もNTSCからハイビジョンで収録するものが増えつつある。そのため、最近ではアナログ放送で放送する場合、NHKのドラマ全般(2005年4月 - )やテレビ朝日の木曜9時のドラマと「金曜ナイトドラマ」は、上下に少し黒帯の付く13:9のワイド画面で放送したりする。また、日本テレビ(2005年7月 - )とTBS(2004年10月 - )やフジテレビ(2004年1月 - )などでは、上下に若干黒帯が付く(ブラウン管テレビでは見えない)。テレビ朝日の木曜9時ドラマと「金曜ナイトドラマ」以外については、両端をカットして放送しているため、アナログ放送の画角4:3画面いっぱいで放送される。またフジテレビでは、アナログ向けとデジタル向けで別の収録テープに分けて放送している(画角に合わせてエンドロール等のテロップの位置を変えてある)ため、地方局での再放送や他系列放送の場合、機材の都合上アナログ向けとデジタル向けの2択を迫られることになる。前者の場合、デジタル放送でも標準画質でしか放送できないが、後者の場合、デジタル放送ではフルサイズ、アナログ放送ではレターボックスでの放送となる。

地上波民放系のドラマ番組で、唯一BSデジタルでの先行放送が行われていた「女と愛とミステリー」(テレビ東京系)は、2001年1月の番組発足以来、一貫して16:9のハイビジョン放送を実施していたBSジャパンと技術的な制約で、デジタル放送開始後も4:3の標準画質で収録されたテープをアップコンバートせざるを得なかったテレビ東京(とその系列局)では、テロップ(サブタイトル・エンドロールなど)の挿入位置及びレイアウトが異なっていた。しかし、後継番組である「水曜ミステリー9(BSミステリー)」に関しては、2005年4月の開始時点でハイビジョン放送(デジタル帯)とサイドカット処理(アナログ帯)を同時進行させるために必要な送出マスターの更新が完了していたこともあり、テープの「作り分け」は行われていない。差し替えタイトル(→「BSミステリー」)が入るBSジャパンのサイマル放送(ハイビジョン画質)でも、地上波と同じ仕様で収録されたテープが基本的には使われているが、他系列向けに納品されているテープはその限りではなく、前番組同様複数の収録方式(ハイビジョン・SDサイドカット・SDレターボックスなど)が混在している。

近年ではハイビジョン収録の普及により、プログレッシブカメラ(30pカメラなどと呼ばれる)を用いて撮影したり、シネライクガンマという機能で画質を調整したりすることによって、従来のビデオ撮影とは異なった、映画フィルムのような階調の映像で放送される作品が多くなっている。

一方、ここ数年インターネットの動画サイトが一般に浸透した影響により、平均15分程度で終わる動画の視聴に慣れた世代にCMなしで45分ないしは1時間分の視聴をさせるのは難しいとの指摘もある。[4]

出演者とスタッフ
  • ラジオ放送を行なっていたNHKと民放テレビ局は、ラジオドラマを制作するために自前の放送劇団を組織して専属の俳優を持っていた。テレビの草創期は芸能プロダクションが未発達だったこともあり、その初期はラジオ時代と同様にNHKが自前でタレントを養成して、ドラマやバラエティに出演させた。また、五社協定により映画会社所属の俳優のテレビ出演に制限があったため、新劇の俳優を多く使ってきた。その後は、芸能プロダクションが隆盛。養成機関で演技の訓練を受けていないタレントがドラマに出演したり、人気俳優を抱えるプロダクションが、配役に影響力を及ぼすことも多い。
  • 最近では、制作局のアナウンサーが出演することが多くなってきている。本業であるニュースキャスターやレポーターとして出演(本人役ということもあれば別名になる場合も名無し(アナウンサーA・リポーターB)という場合もある)というケースもあれば、まったく違う役柄で出演することもある。この場合の大半は、出演するアナウンサーがレギュラーを受け持つ情報番組でドラマ宣伝する意図もある。
  • 放送されるテレビ局では初回放送まで様々なPR活動をしている。主に出演者のインタビューや撮影風景を密着取材を放送する事前特番がある。しかし、2000年代頃からはそれらに加え、放送日の1週間くらい前から主演級俳優らがバラエティー番組に立て続けにゲスト出演しPRを行なう。また放送当日の朝の情報ワイドショー番組から夕方の報道番組にゲスト生出演をはしごしている(土日に放送されるドラマの場合、特に日曜日は生放送番組が少ないため金曜日に生出演している)。
    • 基本的に全国ネットの番組でPRされるのであるが、『王様のブランチ』など、一部地域で放送されていない番組でも行われるため、地域(特に両番組とも未ネットの近畿地方)によっては全くPRされないことも多々ある。
  • アメリカ人プロデューサーであるデーブ・スペクターは、日本のテレビドラマについて「(今のドラマは)演技も良くないし、物語に工夫がない」とし、その理由として「力のある芸能プロダクションが売り込む俳優・女優・タレントを使わざるを得ない業界構造がある」と述べている[5]
制作会社

日本で放送されたテレビドラマ

日本で過去に放送された、また現在放送されているテレビドラマについては、日本のテレビドラマ一覧を参照。

日本のテレビドラマの輸出

日本のテレビ番組の海外輸出比率は2011年で0.15%と非常に低い。理由としては、国内だけで十分収益が上げられるマーケットがあるため海外輸出に熱心でないことや、日本の音楽の著作権や出演者の肖像権などが強く守られているため、海外の買い手にとって扱いにくいコンテンツになっていることなどが挙げられる[6]

脚注

関連項目

テレビドラマの一覧(国別)
テレビドラマのジャンル
テレビドラマの形態
手法
その他

外部リンク