Y染色体ハプログループ

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Y染色体ハプログループの系図

Y染色体ハプログループ(Yせんしょくたいハプログループ)とは、父系で遺伝するY染色体ハプログループ(=ハプロタイプ集団)のことである。言語学上の区分に近いが、外見上の人種区分とは違うパターンが少なからずある。(これは遺伝子の系統と集団の系統が異なるen:Incomplete lineage sortingによる。)

概要

ハプログループJの分布図
ハプログループEの分布図
ハプログループNの分布図
ハプログループOの分布図
ハプログループQの分布図
ファイル:Haplogroup R (Y-DNA).PNG
ハプログループRの分布図
東アジアのY染色体ハプログループの移動

ハプログループは同じハプロタイプに属する(正確には同じSNPを持つ)人々の集まりである。Y染色体のSNPは、突然変異により生まれ、新たなサブグループを形成する。

系統樹

Y染色体アダム

A(A00~A3(側系統)) アフリカで多い。コイサン語族と関連。カポイド人種。

BT

B アフリカ、ピグミーネグリロ人種)に多い。

CT
DE
D

D1a1 チベット等に多い。

D1a2a 日本固有。アイヌ人沖縄人に特に多い。

E アフリカで多い。コンゴイド人種。

CF
C
C1

C1a1 日本固有。日本列島でわずかに見られる。

C1a2 ヨーロッパなどでわずかに見られる。クロマニョン人

C1b2 オーストラリア先住民オセアニア先住民で多く見られる。

C2 モンゴル高原シベリア北東アジア北アメリカ先住民に多い。アルタイ諸語古シベリア諸語ナデネ語族と関連。

F

F*, F2 中国南西部のラフ族彝族に多い。その他ベトナムシンガポールタイ東南アジアにも少し見られる。

G コーカサスで多く、ヨーロッパでも少し見られる。

H インド、特にドラヴィダ人に多い。

IJK
IJ

I バルカン半島北欧で多く見られる。クロマニョン人

J 中東紅海地中海沿岸。特にアラビア半島に多い。

K

K* パプアニューギニアに多く見られるほか、オーストラリアなど。東南アジアでも少数だが見られる。

K1

L インド・パキスタンで見られる。

T インド、中東、東アフリカ、ヨーロッパで低頻度ながら見られる。

K2

MS パプアニューギニアに多い

NO

N フィン人エストニア人サモエド人などウラル系民族ヤクート人など、北ユーラシアに広く分布する。

O
O1

O1a 台湾先住民に多い。オーストロネシア語族と関連。

O1b O1b1中国南部東南アジアに多く、オーストロアジア語族と関連。O1b2日本朝鮮半島満州など東アジア北東部に多い。

O2 中国大陸や朝鮮半島で多い。日本でも15%~20%程見られる。シナ・チベット語族と関連。

P

Q 南北アメリカ大陸のネイティブアメリカンに非常に多い。ケット人などシベリアの一部でも見られる。

R

R1a 東ヨーロッパ、北インド、中央アジアに多い。西ユーラシア全域で見られ、インドヨーロッパ語族サテム語と関連。

R1b 西ヨーロッパに特に多く、ヨーロッパ全域で一般的に見られる。特にケルト系民族バスク人に多い。インド・ヨーロッパ語族ケントゥム語と関連。

Y染色体ハプログループと人種

Y染色体ハプログループの拡散と人種。褐色がネグロイド、青色がオーストラロイド、黄色がモンゴロイド、桃色がコーカソイド

崎谷満は人類のY染色体ハプログループが出アフリカ後にイラン付近を起点にして南ルート北ルート西ルートの3ルートで拡散したとしている[1][2]。すなわち南ルートをとった集団がオーストラロイド、北ルートがモンゴロイド、西ルートがコーカソイド、非出アフリカがネグロイドということになる。

関連項目

外部リンク

脚注

  1. ^ 崎谷満(2009)『新日本人の起源』勉誠出版
  2. ^ 崎谷満(2009)『DNA・考古・言語の学際研究が示す 新・日本列島史』勉誠出版
ヒトY染色体ハプログループ系統樹
Y染色体アダム (Y-MRCA)
A0 A1
A1a A1b
A1b1 BT
B CT
DE CF
D E C F
G H IJK
IJ K
I J K1 K2
L T MS NO P K2*
N O Q R