Qi (ワイヤレス給電)

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製品の例(スマートフォンとその充電台)

Qi(チー)は、ワイヤレスパワーコンソーシアムWireless Power Consortium; WPC)が策定したワイヤレス給電国際標準規格である[1]。現在、携帯電話スマートフォンを対象とした5W以下の低電力向け規格のみ策定されている[1]

NTTドコモでは、Qi規格に準拠したワイヤレス充電機能をおくだけ充電と称しており、登録商標を保有している。

概要[編集]

Qiは、古くから実用化されていた「電磁誘導方式」を元にしている。これは、2つの隣接するコイルの片方に電流を流すと発生する磁束を媒介して、隣接したもう片方に起電力が発生する電磁誘導の原理を用いたものである。この方式によるワイヤレス給電システムは過去に幾つか実用化されていたが、独自開発のものが多く、企業間での機器の相互利用が出来ない状態が続いていた[1]。そのようなデメリットを解消するため、2008年にWPCが立ち上げられ、企業間での相互利用を可能とする国際標準規格を策定する事となり、2010年7月に『最大5Wの低電力向け』Qi規格(Volume I Low Power)の策定を完了した[1][2]

WPCでは、現在提供している低電力向けQi規格に加えて中電力向けQi規格(Volume II Middle Power[1])を策定する事を目指している[3]。この中電力向けQi規格ではまず15Wでの充電に対応し、将来的に120Wまで供給する事が可能となる[4]

通信[編集]

充電台(送電側)と携帯機器(受電側)との間では受電側から送電側への単方向通信が行われる。パッシブRFIDタグと同様の後方散乱変調を利用しており、受電側での負荷を変動させることによる2値ASKとなっている。通信速度は2kbpsで、1オクテットにつきスタートビット(1)、パリティビット(ODD)、ストップビット(0)それぞれ1ビットを伴う。

受電側は電力を受け取っている限り定期的にパケットを送り返すことになっており、これにより送電側は充電面上にあるものがQi対応機器なのかそれ以外の異物なのかを判断できる。通信の内容は受電量の必要量に対する差分、送電停止要求、受電中の電力、携帯機器の充電率が主であるが、充電開始時には受電側の識別情報が送られ、機器固有の情報が送られる場合もある。

策定団体[編集]

ワイヤレスパワーコンソーシアムは2008年12月17日設立で、事務局はアメリカ合衆国ニュージャージー州のIEEE-ISTOに置かれている。 2013年12月1日時点で188社が会員となっている。[5]

正会員(Regular membership
仕様策定をはじめとするコンソーシアム運営全般に責任を負う企業。業界ごとに定数があり、順次拡大しているが現在のところ最大25企業が正会員となる。
準会員(Associate membership
商標使用、ドラフト仕様へのアクセスとコメント、相互運用性試験への参加が可能になる。
ワイヤレスパワーコンソーシアム正会員企業
業界(定数) 企業
ワイヤレス給電(5) ConvenientPower, Fulton Innovation, Hanrim, PowerbyProxi, クアルコム
半導体(7) フリースケール・セミコンダクタ, IDT, ローム, STMicroelectronics, ソニー, テキサス・インスツルメンツ, 東芝
電機(3) ハイアール・グループ, フィリップス, LGエレクトロニクス
携帯電話(4) HTC, ノキア, Sangfei, ベライゾン・ワイヤレス
電池(2) パナソニック
携帯情報端末(1) Delta Energy Systems
自動車(2) Continental Automotive, Delphi Automotive
その他(1) Leggett & Platt

沿革[編集]

  • 2008年12月17日 - 充電式電池を開発している企業等によりWPC設立。設立時のメンバーは、ConvenientPower, Fulton Innovation, Logitech, National Semiconductor, Royal Philips Electronics, 三洋電機, Shenzhen Sang Fei Consumer Communications, Texas Instrumentsの8社[6]
  • 2009年8月17日 - 低電力用バージョン0.95規格書の策定と名称(Qi)およびロゴの公表。
  • 2010年7月23日 - Qiバージョン1.0規格書の策定、公開[1][2]
  • 2012年4月21日 - 低電力用Qiバージョン1.1規格書の公開。送電ユニットの設計自由度が大幅に上がり、異物検出能が改善された。

対応機種[編集]

NTTドコモ
ソフトバンクモバイル
  • MEDIAS CH 101N - N-01Dの兄弟機種。電池単体での充電は不可。
au (KDDI沖縄セルラー電話連合)

※全て京セラ

  • URBANO L01 (KYY21) - 利用するにはバッテリーパック、および裏フタ(背面パネル)をそれぞれQi対応のものに交換が必要。
  • URBANO L02 (KYY22) - 利用するにはバッテリーパックをQi対応のもの(上記のURBANO L01用と共通)に交換が必要。
  • URBANO L03 (KYY23) - 通常(Qi非対応)モデルとQi対応モデルが混在しており、利用可能なのは(本体色が)パープルブラックのQi対応モデルのみとなっている。
  • TORQUE G01 (KYY24)
イー・モバイル (イー・アクセス)
Google
三洋電機
サンワサプライ
  • ENERLINKシリーズ
ノキア
日立マクセル
  • エアボルテージシリーズ
パナソニック
  • チャージパッドシリーズ
  • DIGA ブルーレイレコーダー DMR-BZT920/830
  • DIGA フォトレコーダー DMR-HRT300
  • デジタルビデオカメラ HC-V720M
ペンタックス
  • PENTAX WG-3 GPS
TDK Life on Record(イメーション
  • ワイヤレススピーカー Q35
コニカミノルタテクノロジーセンター
  • Symfos LED-TASKLIGHT
デンソー
  • 車載用ワイヤレス充電器
トヨタ自動車

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f EE Times Japan (2011年2月11日). “「Qi」規格に集うワイヤレス給電、5W以下のモバイルから普及へ”. 2011年7月5日閲覧。
  2. ^ a b IT media (2010年12月2日). “2015年には充電の概念が変わる――ワイヤレス充電規格「Qi」の展望と課題”. 2011年7月5日閲覧。
  3. ^ Extention to medium power” (2011年3月23日). 2011年7月5日閲覧。
  4. ^ Further increase in design freedom for wireless power products” (2011年3月24日). 2011年7月5日閲覧。
  5. ^ Wireless Power Consortium Members”. 2013年12月1日閲覧。
  6. ^ WIRELESS POWER CONSORTIUM SELECTS CLOSE-RANGE MAGNETIC INDUCTION TECHNOLOGY FOR STANDARD AND WELCOMES OLYMPUS AS NEW MEMBER” (2009年1月20日). 2013年12月1日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]