大倉山 (横浜市)

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大倉山
町丁
横浜市大倉山記念館
地図北緯35度31分28秒 東経139度37分24秒 / 北緯35.524544度 東経139.623358度 / 35.524544; 139.623358
日本の旗 日本
都道府県 神奈川県の旗 神奈川県
市町村 横浜市
行政区 港北区
人口情報2023年(令和5年)12月31日現在[1]
 人口 25,392 人
 世帯数 12,384 世帯
面積[2]
  1.823 km²
人口密度 13928.69 人/km²
設置日 2007年平成19年)11月19日
郵便番号 222-0037[3]
市外局番 045(横浜MA[4]
ナンバープレート 横浜
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神奈川県の旗 ウィキポータル 神奈川県
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大倉山(おおくらやま)は、 神奈川県横浜市港北区町名。現行行政地名は大倉山一丁目から大倉山七丁目。2007年平成19年)から2009年(平成21年)に渡る住居表示の実施により、それまでの太尾町(ふとおちょう)から大倉山に町名変更された。

一丁目には東急東横線大倉山駅が所在する。駅から北西側に登る大倉山公園にはプレヘレニック(前ギリシャ)様式[5]として設計された 大倉山記念館 が建ち、この地域のシンボルとなっている。

概要[編集]

2007年(平成19年)11月まで東急東横線大倉山駅の所在地であった太尾町が、同月19日の住居表示実施により大倉山一丁目に変更され、以後2009年(平成21年)10月実施の六丁目・七丁目をもってすべて「大倉山」に変更された。それ以前も大倉山駅を中心とする地域では大倉山が通称となっており、主として駅北側と東側にあたる旧太尾町以外の地域 ― 大曽根大曽根台師岡町大豆戸町等においても、施設名やマンション名の多くには「大倉山」が冠されている。また、港北区役所は大倉山駅東側の綱島街道に面しており同駅を最寄りとするが、住所は大豆戸町である。

一丁目は駅から東に向け綱島街道をまたぐ。二丁目から七丁目は大倉山駅西側に広がり、六丁目・七丁目は約2 kmに渡って鶴見川の東岸に面している。大倉山公園から太尾見晴らしの丘公園に至る丘陵稜線は二丁目・六丁目と大曽根台の境となる。二丁目の大倉山公園はの名所として知られ、梅林には約30種200本が植樹されている。開花期には観梅会が催され、多くの花見客が訪れる。一丁目の大倉山駅は大倉山の中でも東寄りに位置しており、六丁目・七丁目の一部は横浜市営地下鉄新羽駅に、六丁目の一部は東横線綱島駅にむしろ近くなっている。

地勢は大倉山駅前の商店街通り(市道大倉山第201号線/太尾道・綱島街道から新羽橋に至る)の北東側が上記大倉山公園から連なる丘陵となっており、通りの南西側には平坦な区域が広がっている。かつてこの区域では鶴見川がしばしば氾濫を起こし、東横線を止める事もあったが[6]1981年昭和56年)の「鶴見川流域整備計画」策定に始まる総合治水対策により、冠水することは無くなっている[7]

田園の広がる場所だったこともあり、その後の宅地開発では比較的余裕を持って区画されている。駅からやや離れた場所の多くでは戦後から高度成長期にかけ、まず工場倉庫に変わり、現在それらの跡地には比較的規模の大きなマンションが建設されている。大倉山では駅に近い低層の住宅街とやや離れた高層マンション群という住区の構成が見られる[8]

面積[編集]

面積は以下の通りである[2]

丁目 面積(km²)
大倉山一丁目 0.186
大倉山二丁目 0.310
大倉山三丁目 0.245
大倉山四丁目 0.175
大倉山五丁目 0.200
大倉山六丁目 0.337
大倉山七丁目 0.370
1.823

地価[編集]

住宅地の地価は、2024年令和6年)1月1日公示地価によれば大倉山三丁目37-5の地点で483,000円/m²[9]、大倉山七丁目4-14の地点で297,000円/m²[10]となっている。

沿革[編集]

町名変更の過程[編集]

地名は実業家であり、東洋大学学長も務めた大倉邦彦1932年(昭和7年)、現在の大倉山公園に創設した大倉精神文化研究所(その後建物を横浜市に移管し大倉山記念館として運営)に由来する。研究所創設以前、この地の丘は、観音山と呼ばれていたが、研究所創設に伴って通称大倉山と呼ばれるようになった。1926年(大正15年)2月に東京横浜電鉄(現東急電鉄)の神奈川線(丸子多摩川 - 神奈川)が開通、開業当初の駅名は「太尾」となったが、1932年(昭和7年)3月の渋谷 - 桜木町間の東横線全線開通時には研究所創設、梅園の観光開発に合わせ、「大倉山」へと改称された。邦彦自身は佐賀県士族・江原家の出身であり、東京日本橋の紙問屋であった大倉洋紙店(現新生紙パルプ商事)に入社後、創業家に婿入りした人物である。いわば昭和に入ってから東京日本橋を発した氏名が由来となった町名であり、14世紀の記録にも残る「太尾」の名が名実ともに消滅する町名変更には賛否両論が交わされた。横浜市は住民参加による異例の公聴会を開き、市議会はその意見を集約・審議を経た後、町名変更を可決した。公聴会以前に行われた住民アンケートの結果、約65 %が賛成であったが反対も30 %を越えていた[11][12]

旧町名(太尾町)[編集]

縄文時代には海岸線がこの辺りまで来ており、大倉山がのように海へ突き出していた。その形が動物の太いのように見えたことから太尾と名付けられたといわれている[6]。太尾の地名は、1352年の「鶴岡脇堂供僧次第」に見ることができる。その後、橘樹郡太尾村となり、村内を三分して東から上太尾(現在の駅前付近)、中太尾、下太尾(鶴見川沿い)と呼ばれた。1889年(明治22年)の市制町村制施行により橘樹郡大綱村太尾、1927年(昭和2年)には横浜市に編入されて神奈川区太尾町となり、1939年(昭和14年)に港北区太尾町となった。1947年(昭和22年)3月12日耕地整理に伴い新吉田町との境界を変更する[13]1960年(昭和35年)3月18日耕地整理に伴い大曾根町との境界を変更する[14]1965年(昭和40年)4月14日、新吉田町の一部を編入する[15]1976年(昭和51年)5月1日、太尾町の一部を大曾根町に編入する[16]1978年(昭和53年)5月29日新羽町の一部を編入する[17]1980年(昭和55年)7月28日、菊名町の住居表示の実施に伴い、菊名町の一部を編入し、太尾町の一部を菊名六丁目に編入する[18]1982年(昭和57年)7月19日、大曾根町の住居表示の実施に伴い、大曾根町の一部を編入し、太尾町の一部を大曽根台に編入する[18]1983年(昭和58年)11月28日、新羽町の一部を編入し、一部を新吉田町に編入する[19]2005年(平成17年)1月31日北新横浜一丁目、北新横浜二丁目の新設・住居表示の実施に伴い、新羽町の一部を編入する[20]。2009年(平成21年)10月19日の大倉山六丁目、大倉山七丁目の新設・住居表示の実施の際に太尾町の残部を新吉田東七丁目、新羽町に編入して太尾町は廃止となった[20]

大倉山への町名変更の後も、太尾小学校、太尾堤緑道、横浜太尾郵便局他にその名を残している。

町名の変遷[編集]

実施後 実施年月日 実施前(各町名ともその一部)
大倉山一丁目 2007年(平成19年)11月19日 太尾町(一部)
大倉山二丁目
大倉山三丁目
大倉山四丁目 2008年(平成20年)10月20日
大倉山五丁目
大倉山六丁目 2009年(平成21年)10月19日
大倉山七丁目 太尾町、新羽町、大豆戸町(各一部)

世帯数と人口[編集]

2023年(令和5年)12月31日現在(横浜市発表)の世帯数と人口は以下の通りである[1]

丁目 世帯数 人口
大倉山一丁目 1,807世帯 3,526人
大倉山二丁目 999世帯 1,873人
大倉山三丁目 2,121世帯 4,090人
大倉山四丁目 2,090世帯 4,364人
大倉山五丁目 2,491世帯 5,454人
大倉山六丁目 1,434世帯 2,895人
大倉山七丁目 1,442世帯 3,190人
12,384世帯 25,392人

人口の変遷[編集]

国勢調査による人口の推移。

人口推移
人口
2010年(平成22年)[21]
23,541
2015年(平成27年)[22]
25,165
2020年(令和2年)[23]
25,534

世帯数の変遷[編集]

国勢調査による世帯数の推移。

世帯数推移
世帯数
2010年(平成22年)[21]
10,946
2015年(平成27年)[22]
11,687
2020年(令和2年)[23]
12,093

学区[編集]

市立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りとなる(2023年4月時点)[24]

丁目 番地 小学校 中学校
大倉山一丁目 全域 横浜市立大綱小学校 横浜市立大綱中学校
大倉山二丁目 1番〜7番38号
7番51号
7番47・48号
8〜37番
横浜市立太尾小学校
大倉山三丁目 57番1〜17号
57番21〜30号
57番32〜36号
58〜63番
1〜56番
57番18〜20号
57番31号
横浜市立大綱小学校
大倉山四丁目 全域
大倉山五丁目 全域 横浜市立太尾小学校
大倉山六丁目 全域
大倉山七丁目 1番〜40番2号
40番3号 横浜市立大豆戸小学校

事業所[編集]

2021年(令和3年)現在の経済センサス調査による事業所数と従業員数は以下の通りである[25]

丁目 事業所数 従業員数
大倉山一丁目 180事業所 1,343人
大倉山二丁目 108事業所 495人
大倉山三丁目 197事業所 1,529人
大倉山四丁目 53事業所 493人
大倉山五丁目 79事業所 664人
大倉山六丁目 62事業所 337人
大倉山七丁目 38事業所 369人
717事業所 5,230人

事業者数の変遷[編集]

経済センサスによる事業所数の推移。

事業者数推移
事業者数
2016年(平成28年)[26]
701
2021年(令和3年)[25]
717

従業員数の変遷[編集]

経済センサスによる従業員数の推移。

従業員数推移
従業員数
2016年(平成28年)[26]
4,624
2021年(令和3年)[25]
5,230

大倉山商店街[編集]

大倉山駅前の商店街通りは東の綱島街道に向けて「レモンロード」、西の新羽方面に向け「エルム通」、「オリーブ通」、「つつみ通」と続く。「エルム通」は1988年(昭和63年)の港北区役所移転を機に整備され、大倉山記念館の前ギリシャ様式のイメージをコンセプトに、白い壁と装飾柱のデザインで商店の建物が統一されている。電柱電線が地中化された歩道には花のプランターが置かれ、白い外壁に街路樹の緑が映える、明るい街並みを見せている[27]。美容室が多いことでも知られており、駅徒歩圏に20軒以上が店を構えている[28]

施設[編集]

公共施設[編集]

  • 大倉山記念館
  • 大倉山振興会館
  • 太尾下町会館
  • 港北水再生センター
  • 太尾会館

公園・緑地[編集]

  • 大倉山公園
  • 棒田谷緑地
  • 牢尻緑地
  • 太尾見晴らしの丘公園
  • 太尾堤緑道
  • 太尾公園
  • 太尾南公園

学校・幼稚園等[編集]

  • 神奈川県立港北高等学校
  • 横浜市立大綱中学校
  • 横浜市立大綱小学校
  • 横浜市立太尾小学校
  • 大倉山アソカ幼稚園
  • 森の樹保育園
  • 聖保育園
  • 保育室わおわお大倉山園
  • 横浜市太尾保育園
  • アスク大倉山保育園
  • 港北区地域子育て支援拠点どろっぷ

寺社[編集]

  • 龍松院
  • 歓成院
  • 太尾神社…大倉山総鎮守とされる

主な商業施設[編集]

スポーツ施設[編集]

※大倉山外に立地する施設にも「大倉山」の名が付くものが多い。大倉山駅より徒歩6分の「大倉山保育園」の住所は港北区大曽根、徒歩8分の「大倉山記念病院」の住所は港北区樽町一丁目である。また徒歩6分の「港北区役所」はマンション「東急ドエルアルス大倉山東」に隣接し、環状2号線を挟んだマンション群の多くに大倉山の名が付くが、住所は港北区大豆戸町(飛び地)である。

その他[編集]

日本郵便[編集]

警察[編集]

町内の警察の管轄区域は以下の通りである[31]

丁目 番・番地等 警察署 交番・駐在所
大倉山一丁目 全域 港北警察署 大倉山交番
大倉山二丁目 全域
大倉山三丁目 全域
大倉山四丁目 全域
大倉山五丁目 全域
大倉山六丁目 全域
大倉山七丁目 全域

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 令和5(2023)年 町丁別人口(住民基本台帳による)町丁別人口_令和5年12月” (XLSX). 横浜市 (2024年1月11日). 2024年1月13日閲覧。 “(ファイル元のページ)(CC-BY-4.0)
  2. ^ a b 横浜市町区域要覧、1 - 41頁
  3. ^ a b 大倉山の郵便番号”. 日本郵便. 2021年8月11日閲覧。
  4. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2019年6月24日閲覧。
  5. ^ 第40回 大倉山記念館はプレヘレニックではない? - 公益財団法人大倉精神文化研究所<港北区の歴史と文化(シリーズ わがまち港北)(2011年版/2017年9月9日閲覧)
  6. ^ a b 公益財団法人大倉精神文化研究所 (1999年6月27日). “We Love こうほく第14回「大倉山・太尾・新羽地区を歩く」”. 2012年5月27日閲覧。
  7. ^ 中央大学 (2007年8月). “鶴見川多目的遊水地の洪水調節効果の評価” (PDF). 2012年5月28日閲覧。
  8. ^ レントライフ (2014年10月). “大倉山エリアのご案内”. 2014年10月5日閲覧。
  9. ^ 不動産情報ライブラリ 国土交通省地価公示(標準地) 横浜港北-9”. 国土交通省. 2024年4月22日閲覧。
  10. ^ 不動産情報ライブラリ 国土交通省地価公示(標準地) 横浜港北-2”. 国土交通省. 2024年4月22日閲覧。
  11. ^ 東京新聞最終面・TOKYOどんぶらこ. 東京新聞社. (2007-11-10) 
  12. ^ タウンニュース社 (2007年10月25日). “タウンニュース港北区版・太尾町が大倉山に”. 2012年5月27日閲覧。
  13. ^ 横浜市町区域要覧、3 - 145頁
  14. ^ 横浜市町区域要覧、3 - 147頁
  15. ^ 横浜市町区域要覧、3 - 147頁、3 - 148頁
  16. ^ 横浜市町区域要覧、3 - 154頁
  17. ^ 横浜市町区域要覧、3 - 155頁
  18. ^ a b 横浜市町区域要覧、3 - 156頁
  19. ^ 横浜市町区域要覧、3 - 157頁
  20. ^ a b 横浜市町区域要覧、1 - 168頁
  21. ^ a b 平成22年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2012年1月20日). 2019年8月16日閲覧。
  22. ^ a b 平成27年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2017年1月27日). 2019年8月16日閲覧。
  23. ^ a b 令和2年国勢調査の調査結果(e-Stat) -男女別人口,外国人人口及び世帯数-町丁・字等”. 総務省統計局 (2022年2月10日). 2023年4月27日閲覧。
  24. ^ "小・中学校等の通学区域一覧(通学規則 別表)". 横浜市. 2023年4月1日. 2023年9月18日閲覧
  25. ^ a b c 経済センサス‐活動調査 / 令和3年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 事業所数、従業者数(町丁・大字別結果)”. 総務省統計局 (2023年6月27日). 2023年9月15日閲覧。
  26. ^ a b 経済センサス‐活動調査 / 平成28年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 都道府県別結果”. 総務省統計局 (2018年6月28日). 2019年10月23日閲覧。
  27. ^ 沢原馨 (2006年4月). “横浜線沿線散歩・大倉山エルム通り”. 2012年5月27日閲覧。
  28. ^ eエキテン (2006年4月). “大倉山駅(神奈川)×美容室・美容院・ヘアサロン”. 2012年5月27日閲覧。
  29. ^ 平成26年 港北グラフィック (PDF) (横浜市)
  30. ^ 郵便番号簿PDF(2022年度版) 表紙等付属資料” (PDF). 日本郵便. 2022年12月16日閲覧。 “郵便番号データダウンロード 郵便番号簿PDF(2022年度版)
  31. ^ "交番案内/港北警察署/神奈川県警察". 神奈川県警察. 2023年9月18日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]