全日本プロレス (セガのゲーム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

全日本プロレス(ぜんにほんプロレス)は、セガより発売されたプロレスゲームのシリーズ。

本項では、同社から発売されたシリーズ3作品について記載する。

概要[編集]

それまで全日本プロレスの許諾を得たプロレスゲームは、メサイヤより同名のプロレスゲームが、スーパーファミコンにおいてシリーズ化されてきた。本シリーズは第5世代および第6世代のハード向けに開発されており、ポリゴンが用いられていることが特徴。

全作品、家庭用ゲーム機向けタイトルであると同時に、互換基板を利用したアーケードゲームとしても稼働している。

システム[編集]

下記のシステムは、シリーズ全作品で共通している。

攻撃
攻撃は打撃(ATTACKボタン)、つかみ(HOLDボタン)、投げ(THROWボタン)の3タイプに分けられる。これらは三すくみの関係にあり、打撃は投げに勝つがつかみに負け、つかみは打撃に勝つが投げに負け、投げはつかみに勝つが打撃に負ける。
コンボ
特定の技を連続して出すことで、通常では出せない技が出せる。
また、一部の投げ技は、THROWボタンを押しっぱなしにすることで、直接フォールに移行する。
闘気
体力のほかに「闘気」というパラメータが存在。基本的には、技を受けるごとに闘気ゲージが増える。強力な技は、闘気ゲージがある程度蓄積していなければ出せない。
闘気がMAXになると、体力にかかわらずフォールを跳ね返すことができる。また『GIANT GRAM』以降では、「バーニング状態」に移行できる(後述)。
負傷
首やヒザなど、特定箇所への攻撃を受けるとダメージが蓄積(ダメージは箇所毎にパーセントで示される)。ダメージが50%以上になると、その箇所への攻撃を受けたり、その箇所を使った攻撃後に一時的に行動不能となることがある。100%になると、その箇所を使った攻撃が不能となり、その箇所への関節技でギブアップしやすくなる。3箇所が100%になると、レフェリーストップで敗北する。
REVERSAL
技を受ける特定のタイミングで「REVERSAL」という文字が表示され、その間にHOLDボタンを押すと、脱出や反撃が可能。
実況
家庭用ゲーム機版のみ、試合中に実況音声が流れる。実況のアナウンサーは作品ごとに異なるが、いずれも日本テレビ全日本プロレス中継」の実況を当時担当していた、同局のアナウンサーが務めている。

シリーズ作品[編集]

全日本プロレス FEATURING VIRTUA[編集]

セガサターン用ソフトとして、1997年10月23日発売。同時期にアーケード版が、互換基板のST-Vで稼働している。全日本プロレスの創立25周年を記念した作品で、タイトルにも記念ロゴが描かれている。

全日本プロレス所属・参戦のプロレスラーが実名で登場するほか、同社の対戦型格闘ゲームバーチャファイターシリーズより、ウルフ・ホークフィールドとジェフリー・マクワイルドが参戦。

実況は平川健太郎。また東京スポーツの協力を得て、試合終了後に東スポ紙面風の画面で結果が表示される。

サターン版では、日本テレビより提供された映像が流れる。

本作とのコラボレーションとして、覆面レスラー「ザ・ラクロス」として全日本プロレスに参戦していたジム・スティールが、ウルフ・ホークフィールドに扮して活動した。

システム[編集]

  • 試合はシングルマッチのみ。
  • サターン版には、オリジナルレスラーを育成する「フィーチャリングモード」を搭載。
  • サターン版のみ「ボルテージ」というパラメータが存在する。観客を盛り上げる行動をすると上昇、逆の行動をすると下降。1Pモードでは、ボルテージが一定量以上ないと三冠ヘビー級王座に挑戦できない。

GIANT GRAM 全日本プロレス2 in 日本武道館[編集]

ドリームキャスト用ソフトとして、1999年6月24日発売。同時期にアーケード版が、互換基板のNAOMIで稼働している。

前作に引き続き、バーチャファイターシリーズからウルフとジェフリーが参戦したほか、影丸も新たに登場。また、ジャイアント馬場は本作発売前に死去しているが、継続参戦している。

本作以降、一部の打撃技がヒットした際、バーチャファイターシリーズ同様の金属音が効果音として鳴るようになった。

ゲーム名のとおり、会場は日本武道館を再現している。実況は金子茂

システム[編集]

  • 新たに「MOVEボタン」が追加。リング内外への移動、およびタッグマッチにおけるタッチやカットプレーに使用する。
  • タッグマッチが可能となった。ツープラトン攻撃を仕掛けることも可能。ドリームキャスト版では4人同時プレイもできる。
  • 闘気がMAXの際、フォールされてカウントを2.0以上で跳ね返すと、「バーニング状態」に移行。バーニング中はフォールを跳ね返しやすくなる、REVERSALが出しやすくなるなど有利になる。
  • 前作の「ボルテージ」に類する、「観客動員数」と「人気度」というパラメータが存在。ただし、両方とも試合中には表示されない。
  • 前作の「フィーチャリングモード」に相当する「育成モード」を搭載。本作では、「エディットしたレスラーで試合をし、受けた技を覚える」という仕組みになっている。
    • ドリームキャスト版で育成したオリジナルレスラーは、ビジュアルメモリを介してアーケード版でも使用できた。
    • 本作に先駆け、携帯型ゲーム機『ジャイアントチャンネル』が同年5月20日発売。実際には同名ミニゲームがプリインストールされたビジュアルメモリで、ミニゲームの成績によりオリジナルレスラーのコスチュームが増えた。

GIANT GRAM 2000 全日本プロレス3 栄光の勇者達[編集]

ドリームキャスト用ソフトとして、2000年8月10日発売。同時期にアーケード版が、互換基板のNAOMIで稼働している。開発はワウ エンターテイメント

『GIANT GRAM』のバージョンアップ版。ジャイアント馬場をはじめ、力道山ザ・デストロイヤーといった往年の名レスラーが、存命・物故者問わず多数参戦している。一方、バーチャファイターシリーズからの参戦はなくなった(ジム・スティール版のウルフは継続参戦)。また前作同様、ドリームキャスト版の育成モードで育てたオリジナルのレスラーを、ビジュアルメモリを介してアーケード版で使用できる。

本作の発売前、全日本プロレスの所属選手・スタッフが大量離脱し、新団体「プロレスリング・ノア」を旗揚げする事態となった。しかし、本作はお蔵入りすることなく発売された[1]

実況は若林健治

システム[編集]

  • 闘気がMAXであれば、いつでもバーニング状態に移行可能になった。
  • バーニング中にのみ出せる「バーニング技」が追加。一部レスラーには、リング内のほか場外でのみ出せるバーニング技を持つ者もいる。
  • ドリームキャスト版に「名勝負再現モード」が追加。過去の名勝負と同じ展開になるよう、特定のタイミングで指示された技を出していく。再現ノルマを規定値以上満たせばクリアし、ダイジェストムービーが閲覧できる。全ステージをクリアすると、「3本勝負モード」と「オールジャパンモード」が追加される。限られたステージをクリアするごとに、育成モードのショップに隠しコスチュームが追加される[2]
  • 「育成モード」において、前作になかった「覚えた技の消去」および「技の合成」の要素が追加。

出場レスラー[編集]

本作のオリジナルレスラー、エディットレスラーを除く。●はゲーム発売時点での物故者。

レスラー 1作目 2作目 3作目
ジャイアント馬場
三沢光晴
川田利明
田上明
小橋建太
秋山準
馳浩 [3]
小川良成
大森隆男
高山善廣
本田多聞
垣原賢人
志賀賢太郎
力道山
ジャンボ鶴田
スタン・ハンセン
スティーブ・ウィリアムス
ゲーリー・オブライト
ジョニー・エース
ベイダー
ウルフ・ホークフィールド[4]
マイク・バートン
ジョニー・スミス
マウナケア・モスマン
ザ・デストロイヤー
ブルーザー・ブロディ
フリッツ・フォン・エリック
ボボ・ブラジル
ブルーノ・サンマルチノ
ドン・レオ・ジョナサン
ジン・キニスキー
ウルフ・ホークフィールド[5]
ジェフリー・マクワイルド
影丸

隠しレスラー[編集]

[2]

脚注[編集]

  1. ^ ドリームキャスト版パッケージや取扱説明書、アーケード版インストラクションカードに、著作権表示として「株式会社プロレスリング・ノア」が併記されている。
  2. ^ a b 『ファミ通 No.614』エンターブレイン、2000年9月22日、40頁。 
  3. ^ 隠しキャラクターとしての参戦。
  4. ^ 実際にマットへ登場したジム・スティール扮するウルフがベースのバージョン。
  5. ^ ゲーム版のバーチャファイターがベースのバージョン。