仮想移動体通信事業者

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仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、Mobile Virtual Network Operator, MVNO)は、携帯電話PHSなどの物理的な移動体回線網を自社では持たないで、実際に保有する他の事業者から借りて(再販を受けて)、自社ブランドで通信サービスを行う事業者のこと。対義語として、自社網をMVNO事業者に提供する側を、移動体通信事業者 (MNO)と呼ぶ。

なお、総務省による定義では、

  1. MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、
  2. 当該移動通信サービスに係る無線局を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者

とする[1]

概略[編集]

OEM製品の、移動体通信サービス版ともいえる。サービス卸元の事業者としては、卸先の事業者の販売・営業体制を活用することができ、卸先の事業者にとっても、物理的な移動体回線網設備の負担なくサービスを提供できる。

また、両者間の契約形態(帯域貸しなどその他)から、同程度のサービスを、卸元よりも卸先が安価に提供することも多い。

電話番号は、概ね関東・甲信越地域で卸元と契約した場合に発番される番号が割り当てられる(ディズニー・モバイルは、契約した各地域毎の番号帯が割り当てられる)。ただし、イー・アクセスの自社回線[2]は、開業当初から全国一社体制だった関係もあり、地域別の附番は行っていないため、総務省が同社割り当てた番号帯のいずれも附番されうる。

日本では、MNOによるMVNO(KDDI+WiMAXソフトバンクモバイルSoftBank 4Gなど)が、MVNOの中でも比率が高いとされ、純粋なMVNO事業者の展開比率が諸外国に比べて低いとされる。また、2014年時点では、MVNO事業者のほとんどはNTTドコモの回線を利用したものが大半とされている。

経緯[編集]

日本でのMVNO第一号は日本通信 b-mobile(ビーモバイル)。その後、他の企業も参入している。下記参照。

データ通信系[編集]

当初はウィルコムのPHS回線のMVNOが多かった(特記ない限り同社のMVNO)が、2008年からはNTTドコモイー・モバイルの回線を、2009年からはUQコミュニケーションズモバイルWiMAX網を利用したISPによるMVNOが増えている。

2001年10月にDDIポケット(現ウィルコム)のPHS網を借りて、年額制データ通信サービスを開始。日本でのMVNO第一号。
2008年6月 NTTドコモのFOMAFOMAハイスピード含む)網を利用したb-mobile3GでのMVNOをスタート。
2009年3月 NTTドコモFOMAハイスピード回線レイヤー2での初のMVNOサービスを開始
2009年6月 KDDI沖縄セルラー電話(各auブランド)3G回線レイヤー3でのMVNOサービスを開始
@nifty do LTE - NTTドコモのFOMA(FOMAハイスピードも含む)/Xi(LTE)を利用した定額制データ通信サービス。2012年10月15日から提供開始。
@nifty EMOBILE LTE - イー・モバイルのEMOBILE G4EMOBILE LTEを利用した定額制データ通信サービス。2012年4月26日から提供開始。
@nifty EMOBILE G4 -イー・モバイルのEMOBILE G4を利用した定額制データ通信サービス。2012年9月30日をもって新規申込受付を終了
@nifty WiMAX - UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX網を利用した定額制及び準定額制データ通信サービス。
@nifty Mobile BB - イー・モバイルのEMモバイルブロードバンドを利用した定額制及び準定額制データ通信サービス。2011年8月25日をもって新規申込受付を終了。
@nifty Mobile P - ウィルコムのAIR-EDGEを利用した定額制データ通信サービス。2011年3月31日をもってサービス終了。
Tikiモバイル 3G - NTTドコモのFOMAハイスピード網を使ったデータ通信サービス(日本通信との協業となる)
2011年3月22日より、Android端末をセットにしたTikiモバイル ANDも開始した。
IIJモバイル - NTTドコモ、イー・モバイルのHSDPA、LTE通信を利用した企業向けモバイルアクセス通信
ACCA mobile (D) - NTTドコモのFOMAハイスピード網を使ったデータ通信サービス。イー・モバイルのMVNOは現在受付中止
モバイルPCアクセス タイプD・モバイルPCアクセス タイプK・モバイルPCアクセス タイプW・モバイルPCアクセス タイプE
モバイル/リモートアクセス ドコモモデル
Arcstar IP-VPN モバイルアクセス
OCNモバイル - NTTドコモ網を使ったMVNO
OCNビジネスモバイル(d)
OCN高速モバイルEM - イーアクセス網を使ったMVNO
ぷららモバイル NTTドコモのFOMAハイスピード網を利用したMVNO 
ぷらら「高速モバイルオプション (EM)」イー・モバイルのEMモバイルブロードバンド網を利用したMVNO
BitWarp / bitwarp PDA
So-net モバイル 3G - So-net会員向けのNTTドコモのFOMAハイスピード網を使ったデータ通信サービス。光ポータブル(PWR-100F)や、ノートパソコン「VAIO type P」、などが対応。
BIGLOBE LTE - NTTドコモのXi(LTE)・ FOMAハイスピード網を利用したMVNO
BIGLOBE 3G - NTTドコモのFOMAハイスピード網を利用したMVNO
KWINS - ウィルコムのPHS回線
KWINS 3G - KDDI/沖縄セルラー電話(各auブランド)のCDMA 1X WIN
  • hiho
hi-ho LTE typeD - NTTドコモのXi(LTE)・ FOMAハイスピード網を利用したMVNO
G-BOOK」シリーズ KDDI/沖縄セルラー電話(各auブランド)の通信網(CDMA 1X/1X WIN)を利用 主にカーナビへの情報配信
WILLCOM CORE 3G(NTTドコモのHSPA網(FOMAハイスピード)を利用したMVNO):同社のXGPサービス網 (WILLCOM CORE XGP) の繋ぎサービスであるため、最長で2012年12月までのサービスとなる予定であったが、WILLCOM CORE XGP事業を分離する方向で検討されているため、今後の展開は未定となる。HYBRID W-ZERO3のように、音声はWILLCOMのPHS、データ通信はWILLCOM CORE 3Gをつかうといった応用もされている。
WILLCOM CORE 3GソフトバンクモバイルのHSPA網(3G ハイスピード)を利用したMVNO):2010年10月より、WILLCOM CORE 3Gソフトバンクモバイル3G ハイスピード)網を利用したサービスが追加される。これに伴い、従前からのドコモ網を利用したサービスの新規受付は、2010年9月で終了となる。
みまもりほっとライン - i-Potというひとり暮らしのお年寄り用の通信機能のついた電気ポットで、利用状況を親族にメールで通知する。NTTドコモのMVNO
eoモバイル - イーモバイルのEMモバイルブロードバンド網を利用(eo光ネットのオプション扱い)
mineo - au4G LTE(データ)・CDMA 1X WIN(音声)網を利用(KDDIグループを除き、au網を使用する初のMVNO)
Master's ONE セキュア・リモートアクセスサービス 定額FOMAデータ通信プラン - NTTドコモのFOMAハイスピード網、Xi網を利用(日本通信の協力による)。固定IPアドレスが利用可能となるプランがあるのが特徴。
edion KuaLnet - UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX網を利用した定額制データ通信サービス(2009年10月22日からサービス開始)
データ定額ボーナスパック - イー・アクセスの回線を利用した定額サービスと、ソフトバンクモバイル自社網の従量制サービスをセットにしたもので、USIMカードを差し替えて利用する為、2枚のUSIMカードが付属している。そのためソフトバンクモバイルの純増数としてもカウントされる。
自社のULTRA SPEEDサービス開始後は、UIMカード1枚でEMOBILE G4サービスのデュアル利用が可能なサービスも開始されている。
2012年2月には、Wireless City PlanningのMVNOとして、AXGPデータ通信サービス「SoftBank 4G」を開始。
DIGIMAX - UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX網を利用した定額制データ通信サービス(2009年11月1日からサービス開始)
amobile - イー・モバイル網を利用したサービス(2011年4月6日からサービス開始)
NTTドコモ、FOMAハイスピード網を使い、「ベリーデータ定額 日本」というサービスを法人向けに展開。MiFiといわれるモバイルWiFiルータを使った定額通信サービスを2010年4月から展開している。
NTTドコモ、FOMAハイスピード網を使い、a2networkと同様MiFiといわれるモバイルWiFiルータを使った定額通信サービスを2010年6月から展開している。こちらは個人向けが中心となる。
NTTドコモ、FOMAハイスピード網を使い、「VECTANTセキュアモバイルアクセス」という定額での企業アクセス用の閉域IP接続サービスを展開している。
日本HPが発売するノートパソコンに、FOMAモジュールを搭載し、HP Mobile Broadbandという名称でNTTドコモのFOMAハイスピード網を利用した、プリペイド課金型SIMカードを販売している。また2010年11月には月額固定料金のモバイルWiFiルータの発売も開始している。
DTIハイブリッドモバイルプラン - NTTコミュニケーションズの公衆無線LANとNTTドコモのHSPA網双方が利用できる定額制データ通信サービス。
freebit mobile - NTTドコモのHSPA網双方が利用できる定額制データ通信サービス。端末と通信サービスを一括提供。
NTTドコモのFOMAハイスピード網を使い、android OS搭載のRstreamA1というFoxconn製のスマートフォンIP電話対応のアプリケーションを搭載し、定額のデータ通信とIP電話のサービスの提供を行っている。2011年1月より提供開始。
NTTドコモのFOMAハイスピード網を使い、android搭載のスマートフォンIDEOS X5にIP電話対応のアプリケーションを搭載し、定額のデータ通信とIP電話のサービスの提供を行っている。2011年7月より提供開始。
UQコミュニケーションズのMVNOとして、自社のCDMA 1X WINとのデュアル通信形式にて、データ通信専用端末による+WiMAXサービスを開始。2011年には、スマートフォンとのデュアル通信サービスの提供も始めている。
楽天51%、イー・アクセス49%出資のジョイントベンチャーによるMVNO事業者で、Rakuten SUPER WiFiブランドによるLTE通信サービスを手掛けている。端末も、イー・モバイルのロゴではなく、Rakuten SUPER WiFiのロゴが付くものとなっている。
  • 楽天ブロードバンドLTE
NTTドコモの Xi(LTE)網を使ったMVNOデータ通信サービス
ASAHIネット LTEというサービス名でNTTドコモのXi(LTE)網を使ったMVNOデータ通信サービス
ビックカメラSIM NTTドコモXi(LTE)網を使ったMVNOデータ通信サービス
NTTドコモのXi(LTE)網を使ったMVNOデータ通信サービス
NTTドコモのXi(LTE)網を使ったMVNOデータ通信サービス
  • シグナル
同社が手がける他拠点ネットワーク(WAN)のリモートアクセス用のサービスで、NTTドコモのXi(LTE)網を使ったMVNOデータ通信サービス
  • Hi-bit
Value SIM - インターネットサービスプロバイダーであるToppaのNTTドコモのXi(LTE)網を使ったMVNOデータ通信サービス
  • ジェネス
@モバイルくん - NTTドコモのXi(LTE)網を使ったMVNOデータ通信サービス

音声通話系[編集]


サービス終了または、事業撤退[編集]

インフォニックス社は複数のMVNO事業を展開していたが、初期投資がかさんだことによる資金ショートにより、一部の事業が清算となったため、セレクトモバイルを基盤とした以下のサービスは、基盤ごとKDDIに引き取られることとなった。[3]。しかし、いずれも2012年7月27日をもって新規受付・機種変更受け付けを終了し、JALマイルフォン以外は2013年2月28日、JALマイルフォンは同年6月30日を以ってサービスが終了となる。[4] [5]

以下のサービスは事業継続のメリットがなくなったため、サービスを終了している。

高級携帯電話 MVNO
VERTU Constellation
  • NOKIAの子会社で、高級携帯電話ブランドVERTU(ヴァーチュ)が2009年5月よりNTTドコモ網を利用しMVNOサービスを開始。銀座旗艦店をオープンさせ、"VERTU Club"といわれる、サービスを展開。端末はプラチナ宝石螺鈿をちりばめた職人手作りの携帯電話を利用し、電話やメールでホテルやレストラン、航空券の予約などを行えるコンシェルジュサービスを利用できる。またNTTドコモの国際ローミングサービスWORLD WINGも対応する[6]。携帯電話メーカが展開する日本初のMVNOだったが、スマートフォンの台頭などによるVERTU事業、さらにはノキアそのものの業績悪化に伴い、ドコモとの回線契約期限が切れる2011年8月31日をもってサービス終了。

なお、MVNOとは称していなかったが、現在で言うMVNOに近いものとして、次のサービスがあった。

  • YOZAN時代末期のアステル東京が2004年9月より「全国コールサービス」としてDDIポケット(当時)網に接続するサービスを開始したが、その実態はアステル電話機にDDIポケットの番号を書き込むというものであった(旧番号への着信は1ヶ月間無料で新番号に転送された)。これにより自社網は一切使えず、通話以外の機能は一切使えなかった。対象者は同年8月末時点での契約者に限られ、2005年3月に受付終了、同年11月30日にアステル東京自体がサービス終了した。同サービス利用者のウィルコムへの移行は番号変更なしでできた。

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]