ドラキュラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

文学
画像:Lit.jpg
ポータル
各国の文学
記事総覧
出版社文芸雑誌
文学賞
作家
詩人小説家
その他作家

ドラキュラは、イギリス時代のアイルランド人の作家、ブラム・ストーカーの恐怖小説『吸血鬼ドラキュラ(きゅうけつき-)』に登場する男性吸血鬼(バンパイア)。転じて、現在の日本では吸血鬼一般を表す言葉としてもしばしば使われる。ドラキュラはルーマニア語で「ドラゴンの子供」「悪魔の子」という意味を表す。

目次

[編集] 概要・特色

処女の生き血を好む。太陽光線、ニンニクなどに弱いと造形、設定されている。ドラキュラとはあくまでも小説に登場するキャストの名前であるが、本小説が余りにも有名になったため、現在ではドラキュラと言えば吸血鬼の意味として使われることが多い。

ドラキュラのモデルは15世紀のルーマニア、トランシルバニア地方出身のワラキアヴラド3世(ヴラド・ツェペシュ)とされているが、実際のところ使われているのはドラキュラというヴラドのニックネームと、出身地が現在のルーマニアという点だけである。例えばヴラドはワラキア人であり、公爵(prince)だが、この小説におけるドラキュラはトランシルヴァニアセーケイ人伯爵(count)である。ドラキュラ伯爵はヴラドと名乗ってはいないし、自分の過去についての語るときもヴラド公を連想させる逸話は無い。ストーカーは43歳のとき、アーヴィングの家でハンガリーのブダペスト大学の東洋言語学教授アルミニウス・ヴァーンベーリに出会い、その後ある図書館で『ワラキア公国とモルダヴィア公国の物語』に「串刺し公」ヴラド・ツェペシュの記述をみつけたのであるが、ヴラドの名前と簡単な逸話以外ほとんど知らなかったと思われる。

むしろ、小説中のドラキュラの造形にはアイルランドの吸血鬼伝説及び、ドラキュラ以前に書かれた同じアイルランド人作家でカレッジの先輩であるシェリダン・レ・ファニュの『カーミラ』(1872年)の影響が強く見られる。実際、ドラキュラの初稿では舞台はトランシルヴァニアではなくカーミラと同じオーストリアだった。貴族的な美形、棺桶で眠るなどもカーミラと共通で以降の吸血鬼作品のモデルになった。

後に『魔人ドラキュラ』(Dracula、1931年)をはじめとして、多くのドラキュラを扱った映画が製作されており、その中でヴラド・ツェペシュをイメージした設定が付け加えられていったため、ヴラド・ツェペシュ=ドラキュラが定着したものと思われる。撫で付けたオールバックの髪、黒いマントといった今日的なドラキュラの外見的イメージもこの映画の影響による所が大きい。

この小説がルーマニア語に初めて翻訳されたのは1989年に共産主義政権が終わった後の1990年であり、それまで、ルーマニアではドラキュラ伯爵は無名の存在だった。ヴラド家の居城があったトランシルバニアの地元でも、吸血鬼伝説はない。ヴラド・ツェペシュは統制のために見せしめの串刺しを行い、串刺し公と呼ばれた領主ではあった。しかし、当時の社会情勢を考えれば、ヴラド・ツェペシュが他の領主と比べて格別に残忍だったということでもない。ヴラド・ツェペシュに関して吸血鬼に類する記録や伝説、伝承は皆無である。ドラキュラのモデルがヴラドとされていることについては、地元では、観光に利用できると喜ぶ反面、郷土の英雄を怪物扱いしていると複雑な気持ちを抱いている。尚、ヴラドがドラキュラと呼ばれていた、及び自称していたのは事実であるが、これは単にヴラドの父が竜公(ドラクル)と呼ばれた事に起因する。竜公の息子の小竜公という意味である。ストーカーは恐らく、そういったバックグラウンドは知らずにこの名前の響きを気に入って吸血鬼の名前に採用したものと思われる。

[編集] 『吸血鬼ドラキュラ』


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


[編集] プロット

新たな獲物を求めて密かにイギリスに侵入したドラキュラ伯爵に対して、その存在に気づき、これを退治しようとするヴァン・ヘルシング教授とその仲間たちの戦いを描く。物語は通常の小説とは異なり、全て日記や手紙、電報新聞記事、蓄音機などによる記述で構成されている。淡々とした記述で徐々に恐怖を盛り上げてゆくゴシックホラーの典型であるが、今日的な感覚ではそのクライマックスは地味であっけない。

[編集] 登場人物

ドラキュラ伯爵
トランシルヴァニアカルパチア山脈に居を構える貴族。
彼がロンドンのカーファックス屋敷を買いたい、とホーキンズに依頼した事から物語が始まる。
ジョナサン・ハーカー
ホーキンズの代理としてカーファックス屋敷の買い入れを依頼された新人弁理士
ドラキュラ城に囚われるも脱出。しかしその恐怖体験から寝込んでしまう。
ミナ・ハーカー
ジョナサン・ハーカーの婚約者。旧姓マリー。
物語後半で伯爵に襲われるも、それを逆手にとり逆に伯爵を追い詰める。
ルーシー・ウェステンラ
ホイットビーで心臓の弱い母親と住んでいる女性。ミナの友人。
夢遊病であり、それが元で伯爵に吸血されてしまう。
エイブラハム・(ヴァン・)ヘルシング教授
ジャック・セワードの恩師。ルーシーの治療を頼まれたアムステルダム大学名誉教授。
ルーシーの衰弱が吸血鬼の仕業だといち早く気づき、対策を練る。
アーサー・ホルムウッド(ゴダルミング卿)
ルーシーの婚約者の男爵。セワード、モリスとは親友。
ジャック・セワード
カーファックス屋敷の近所の精神病院の院長。ルーシーの求婚者の一人。
ルーシーの病変に恩師ヴァン・ヘルシング教授の助けを求める。
キンシー・モリス
北米テキサス州の大地主。ルーシーの求婚者の一人。
レンフィールド
セワードが院長を務める精神病院の患者。蜘蛛などを食べ、その命を奪うという独自の観点を持つ。

[編集] 映画

人名は、ドラキュラを演じた役者名

[編集] 関連作品

[編集] ドラキュラの登場する作品

吸血鬼を題材にした作品の一覧」も参照。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク