吸血鬼ドラキュラ (1958年の映画)

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吸血鬼ドラキュラ
Dracula
監督 テレンス・フィッシャー
脚本 ジミー・サングスター
原作 ブラム・ストーカー
製作 アンソニー・ハインズ
製作総指揮 マイケル・カレラス
出演者 ピーター・カッシング
クリストファー・リー
マイケル・ガフ
音楽 ジェームズ・バーナード
撮影 ジャック・アッシャー
編集 ビル・レニー
製作会社 ハマー・フィルム・プロダクション
配給 日本の旗 東和
公開 アメリカ合衆国の旗 1958年5月8日
イギリスの旗 1958年6月16日
日本の旗 1958年8月2日
上映時間 82分
製作国 イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 £81,000
次作 吸血鬼ドラキュラの花嫁
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吸血鬼ドラキュラ』(きゅうけつきドラキュラ、原題:Draculaアメリカ公開題名: Horror of Dracula)は、1958年イギリスハマー・フィルム・プロダクション製作の映画。ブラム・ストーカー原作の『吸血鬼ドラキュラ』の映画化。ホラー映画史上屈指の傑作として名高い。戦後ホラーの黄金コンビとされるピーター・カッシングクリストファー・リーの共演作で、監督はテレンス・フィッシャー。初のカラーフィルムによるドラキュラ映画でもある。

ストーリー[編集]

1885年、ジョナサン・ハーカーは吸血鬼であるドラキュラ伯爵を退治すべく、司書としてトランシルヴァニアのドラキュラ城を訪れたが、逆に吸血鬼の毒牙にかかってしまう。ハーカーを追ってヴァン・ヘルシング博士がドラキュラ城に到着したが、既にドラキュラは城を発った後だった。ドラキュラはハーカーの婚約者ルーシーを狙っていた。

ルーシーの元を訪れたヘルシングだが、既に彼女もまたドラキュラの毒牙に犯されつつあった。ヘルシングはルーシーの兄アーサー・ホルムウッドと妻のミナにルーシーを守るべく助言するが、それも虚しくルーシーは絶命してしまう。そして埋葬されたルーシーは吸血鬼と化して復活する。ヘルシングは訝しがるアーサーに吸血鬼の脅威を説明、ルーシーの胸に杭を打ち込む事によりその魂を解放した。アーサーも納得し、ヘルシングと共にドラキュラとの闘いに挑む決意をするが、ドラキュラは次にミナを狙いつつあった・・・

製作[編集]

本作はイギリスハマー・フィルム・プロダクション1957年に制作・公開した『フランケンシュタインの逆襲』の大ヒットを受け、その翌年1958年に制作した古典派ホラー第二弾である。『フランケンシュタイン』と並ぶユニバーサル映画の名作ホラー『魔人ドラキュラ』(1931年)のリメイク的位置付けの作品で、同作以来のブラム・ストーカーによる小説『吸血鬼ドラキュラ』を映画化作品。

主要スタッフ・キャストは前作『フランケンシュタインの逆襲』とほぼ同様の人材が起用され、ピーター・カッシングが吸血鬼ハンターのヴァン・ヘルシング役で主演、ドラキュラ伯爵はクリストファー・リーが演じた。監督も同じくテレンス・フィッシャー。興行収入では前作を上回る世界的ヒットとなり、ハマー・フィルムをクラシックホラー映画の名門に押し上げ、フィッシャーをホラーの名匠とした。また、カッシングとリーは共に世界的知名度を持つ怪奇映画の大スターとなり、以降も多くの作品で共演(通算22本)、この分野の黄金コンビと称されるようになった。ドラキュラ役のリーが主演と記述される事も多いが、前作同様に主演はカッシングである。

『フランケンシュタインの逆襲』では破滅へ向かう狂気の科学者を演じたカッシングは、本作では一転して吸血鬼の恐怖と闘う正義の博士を演じ、当たり役とした。また、前作ではグロテスクなメイクで言葉をしゃべらない怪物役であったリーが、本作では風格と迫力溢れる伯爵を演じ絶賛された。リーはその後も多く作品でドラキュラを演じ、『魔人ドラキュラ』のベラ・ルゴシと並び立つ、戦後を代表するドラキュラ俳優となっていく。

演出面でもゴシックホラーのクラシカルな雰囲気に、スピード感溢れる展開を融合させた吸血鬼映画の代表作として、またホラー映画史上屈指の傑作として、現在でも高い評価を受けている。本作の好評に伴い、ハマーはその後1974年まで、本作を含めて合計9本のドラキュラシリーズ作品を製作した。(後述)

キャスト[編集]

役名 俳優 吹替版
ヴァン・ヘルシング博士 ピーター・カッシング 横森久
ドラキュラ伯爵 クリストファー・リー 松宮五郎
アーサー・ホルムウッド マイケル・ガフ 外山高士
ミナ・ホルムウッド メリッサ・ストリブリング 能瀬礼子
ジョナサン・ハーカー ジョン・ヴァン・アイゼン 矢島正明
ルーシー キャロル・マーシュ
ゲルダ オルガ・ディッキー 麻生美代子
タニア ジャニーナ・フェイ
ドクター・セワード チャールズ・ロイド・パック 辻村真人
葬儀屋 マイルス・マルソン
女吸血鬼 ヴァレリー・ガウント 来宮良子
警官 ジョージ・メリット 大宮悌二
インシュタット通行所の官吏 ジョージ・ベンソン
その他 宮内幸平
古谷徹

※DVDに日本語吹き替えはない。(発売日2003年2月7日)

スタッフ[編集]

原作との相違[編集]

原作とはいくつかの大きな相違がある。原作はイギリスが主要舞台であるが、本作ではドラキュラ城があるトランシルヴァニアから地続きで、同地からさほど遠くないと思しき周辺地で主にストーリーが展開する。具体的な地域の特定は難しく、イギリスと誤記している資料も多い。

原作で実質上の主人公であるハーカーは、ドラキュラの正体を知らずに、弁理士として招かれドラキュラ城を訪れるが、本作では最初からドラキュラ退治を目的としてドラキュラ城を訊ねる。しかしハーカーは吸血鬼の犠牲となって早々と没し、ヘルシングが主役として、アーサーと共にドラキュラと闘う。そのヘルシングも原作の重厚な老教授とは違い、シャーロック・ホームズを思わせる痩身、俊敏で鋭利な博士として描かれている。原作でヘルシングはプロフェッサーで、一般にも「ヘルシング教授」と呼称される事が多いキャラクターだが、本作ではドクターである。

原作でヘルシングとともにドラキュラに立ち向かう2人の仲間、ジャック・セワード、キンシー・モリスの内、モリスは登場せず、セワードはルーシーの主治医として僅かに登場するが、ドラキュラと闘う事はない。原作でセワードが行っていた蓄音機による日記はヘルシングが受け継いでいる。また本作ではアーサーの妹がルーシー、妻がミナとなっているが、原作ではルーシーはアーサーの婚約者、ミナはジョナサン・ハーカーの婚約者であり後の妻である。この変更はハーカーの死亡で役の重要性が変化したことによると思われる。

シリーズ作品[編集]

  1. 吸血鬼ドラキュラ (1958年) *本作
  2. 吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)
  3. 凶人ドラキュラ (1966)
  4. 帰って来たドラキュラ (1968)
  5. ドラキュラ血の味 (1970)
  6. ドラキュラ復活・血のエクソシズム (1970)
  7. ドラキュラ'72 (1972)
  8. 新ドラキュラ/悪魔の儀式 (1973)
  9. ドラゴンvs7人の吸血鬼 (1974)
本作の好評によりハマーの看板シリーズとして8本の後継作品が作られたが、その系譜はやや変則的である。2は1の続編だがドラキュラは登場せず、ヘルシングがドラキュラの使徒である吸血鬼と闘う内容。6年の空白期間を経て制作された3から6までは復活したドラキュラが主役でヘルシングは登場しない。7.8では1以来のリーとカッシングの共演が実現するが、(製作当時の)現代に蘇ったドラキュラが、ヴァン・ヘルシングの子孫と闘う異色作。9は中国を舞台にヘルシングとドラキュラが闘う更なる異色作で、リーは8を最後に引退宣言をした為、ドラキュラはジョン・フォーブス・ロバートソンが演じている。

外部リンク[編集]