魔人ドラキュラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
魔人ドラキュラ
Dracula
監督 トッド・ブラウニング
カール・フロイント
脚本 ギャレット・フォート
製作 トッド・ブラウニング
カール・レムリ・ジュニア
出演者 後述
音楽 フィリップ・グラス1999年
撮影 カール・フロイント
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 1931年2月12日(ニューヨーク初演)
アメリカ合衆国の旗 1931年2月14日
日本の旗 1931年10月8日
日本の旗 1996年11月23日(再リリース)
上映時間 75分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
ハンガリー語
製作費 $355,000
テンプレートを表示

魔人ドラキュラ』(原題:Dracula)はアメリカユニバーサル映画が製作したホラー映画1931年2月14日公開。主演ベラ・ルゴシ、監督はトッド・ブラウニング。日本では1931年10月8日にリリースされた。

ブラム・ストーカー原作『ドラキュラ』の初の正規映画化作品。世界的にヒットし、戦前のホラー映画ブームを巻き起こした。ユニバーサルは怪奇メーカーとして名をはせ、ドラキュラ役で主演したベラ・ルゴシも世界に知られる怪奇スターとなった。オープニングにチャイコフスキー白鳥の湖の序章が編曲されて使用されている。

ストーリー[編集]

ドラキュラ伯爵に扮するベラ・ルゴシ。

イギリスの事務弁護士レンフィールドは、トランシルヴァニアの貴族ドラキュラ伯爵に招かれてドラキュラ城を訪れた。伯爵はロンドンでの土地の購入を希望していた。しかし伯爵の正体は恐るべき吸血鬼であり、レンフィールドはその虜となり下僕にされてしまう。ドラキュラはレンフィールドに手引きさせて船を占拠してイギリスに渡る。カーファックス修道院を棲家とすると、東欧から移住してきた高貴な伯爵として社交界に現れ、次の獲物を狙って暗躍を始めるのであった・・・

概要[編集]

ブラム・ストーカー

1897年に発表されたイギリスのブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』は、1920年代に同国で舞台作品としてロングランヒットを記録し、1927年にはアメリカのブロードウェイ公演でも大成功を収めた。それに目を付けたユニバーサル映画は、当時急激に浸透していたトーキー作品として映画化を企画する。ドラキュラ役には「千の顔を持つ男」と称された当時高い人気を誇った怪優で、『London After Midnight』(1927年)で吸血鬼役(実際は吸血鬼に扮した刑事)を演じた経験のあるロン・チェイニーが内定、監督も同作のトッド・ブラウニングに決定した。しかしチェイニーは1930年に47歳の若さで急死してしまう。

ユニバーサルはチェイニーの代役として、プロードウェイ版舞台でドラキュラを演じたハンガリー出身の俳優ベラ・ルゴシを起用した。ルゴシは俳優として長いキャリアを持っていたが、ハンガリー訛りが強く英語下手の為、アメリカでは大役に恵まれずにいた。しかし、東欧の住人であるドラキュラ伯爵は適役であった。制作にあたってストーリー展開やドラキュラ像はほぼ舞台版が踏襲された。完成した本作はスローなテンポで荘厳なゴシックホラーの世界を映像で再現、アメリカのみならず世界的にヒットし、ホラー映画のブームを巻き起こす大成功作となった。

そして、当時49歳であったルゴシはドラキュラ俳優として絶大な名声を得て、怪奇の大スターとなった。原作でのドラキュラは冒頭のトランシルヴァニアのシーンでは人前に現れるが、イギリスに渡ってからはほとんど影のような存在となる。しかし、本作でルゴシの演じたドラキュラは、イギリスに渡って後も夜会服を身に纏い、全編に渡って風格と妖気を見せ付け、貴族的な二枚目であるドラキュラ像を作り上げた。またルゴシのハンガリー訛りはドラキュラの代名詞となった。ルゴシはこの後も多くのホラー映画に出演し、栄光と波乱に満ちた後半生を送る事となる。

本作の大ヒットを受けてユニヴァーサルは同年中に『フランケンシュタイン』を製作、本作以上の大ヒットと高評価を得て更に多くのホラー映画を量産した。

備考[編集]

  • 特に冒頭のドラキュラ城のシーンはクラシカルな雰囲気に満ちていて誤解し易いが、本作の時代設定は製作当時の現代であった1930年頃である。
  • 当時ベラ・ルゴシは英文が読めなかったため、代読させて台詞を丸暗記して撮影に臨んだ。
  • 本作と同時進行でスペイン語圏用に『ドラキュラ スペイン語版』が製作されている。セリフやセットを共有しているが、キャストはラテン系の役者になっている。ドラキュラ役はカルロス・ヴィリャリアス。

キャスト[編集]

役名 オリジナル英語版
俳優
日本語吹き替え
テレビ放映版
ドラキュラ伯爵 ベラ・ルゴシ 若山弦蔵
ミナ ヘレン・チャンドラー
ジョン・ハーカー デヴィッド・マナーズ
レンフィールド ドワイト・フライ
ヴァン・ヘルシング教授 エドワード・ヴァン・スローン

後継作品[編集]

本作の続編的作品として、1936年公開の『女ドラキュラ』(原題:Dracula's Daughter)、1943年公開の『夜の悪魔』(原題:Son of Dracula)があり、これらを合わせてユニバーサル映画のドラキュラ三部作とする場合がある。『女ドラキュラ』は本作の直後から始まるストーリーを描いており、エドワード・ヴァン・スローン演じるヘルシング教授も引き続き登場する直接の続編である。一方、『夜の悪魔』では舞台をアメリカに移している。その後、ユニバーサルホラーはフランケンシュタイン・モンスターや狼男、ドラキュラらが同時に登場する怪物エンターテインメント的路線となる。ユニヴァーサルのドラキュラ作品は以下の通り。

リブート[編集]

ユニバーサル・ピクチャーズは本作を新作『ドラキュラ』としてリブート[1]する予定である。

脚注[編集]

外部リンク[編集]