タケコプター
タケコプターは、藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』に登場するひみつ道具。どこでもドアと並び、作中で多用される道具の1つ。
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[編集] 名称
連載初期は「ヘリトンボ」と名付けられていた。「タケコプター」の名称の初出は『小学三年生』1970年6月号掲載作品[1]だが、このエピソードが単行本に収録された際、「ヘリトンボ」に直されていた。その後しばらくの間「ヘリトンボ」と「タケコプター」の名称が混在しており、一度だけ、『幼稚園』1973年3月号掲載「はりええほんドラえもん」において「たけとんぼへりこぷたー」とされたこともある。
テレビアニメ第1作(1973年放送)では「ヘリトンボ」で統一されていたが、テレビアニメ第2作1期(1979年から2005年まで放送)からは「タケコプター」で統一されている。その理由は一説に、「ヘリトンボ」という単語が聞き取りづらかったからだといわれる[2]。その後しばらくして、原作においても「タケコプター」で統一されるようになる。
[編集] 形状
竹とんぼの軸の下方に小さい半球を取り付けた形をしている。なお、半球ではなく薄い小型の円盤(オセロの駒に近い)を取り付けた形で登場するとこもある。原作では統一されていないが、テレビアニメ第2作1期では中期ごろより半球型で統一されるようになる。各種図解では半球型で統一されている。
テレビアニメ第1作ではそのどちらでもなく円錐型であった。また1977年より1978年まで『てれびくん』の附録冊子に連載されていた漫画(しのだひでお作画)でも同じく円錐型とされていた。
[編集] 概要
通常は頭頂部に装着して使用する。始動方法の異なる2種類、および飛行原理の異なる2種類の機種が存在する。
始動方法の異なる2種類とは、体につけてボタンスイッチを押すと始動するタイプと、「飛びたい」という思念を受けると始動するのタイプの機種のこと。どちらもよく使われている。前者の場合、頭に乗せる前にスイッチを押すと、タケコプターが勝手に飛んでいってしまうおそれがある。
飛行原理の異なる2種類とは、強力な揚力を発生させて飛ぶタイプと、反重力を発生させて飛ぶタイプのこと。作中では前者を使用しているとみられる場面が散見される。[3]一方、1980年発表の図解では前者、1986年以降の現在に至り発表されている図解では後者だとしている。
反重力を発生させて飛ぶタイプは、始動すると使用者を包むように反重力場が発生するようになっている。そのため、ボタンスイッチを押すと始動するタイプの場合は、体のどの部位に装着しても飛行できるようになっている。作品初期ではドラえもんが背中に付けている描写が見られる。一般的には頭部に装着して使用するため、頭部以外の場所に装着する者はほとんどいない。しかし揚力を発生させて飛ぶタイプは、タケコプターが揚力を有しており、衣服の上に装着すると衣服だけが飛んでいってしまうことがあり[4]、それを防ぐためにドラえもんが背中に付けたこともある[5]。
空中だけでなく、水中(それも水圧のかなり高いところ)でも使用できる[6]。ただし、暴風雨が吹き荒れる中の使用は困難である[7]。またバッテリー駆動であり、80km/hで連続8時間利用するとバッテリーが上がってしまう[8]。また極度の低温下ではバッテリーが冷えて機能しなくなることがある[9]。『のび太と竜の騎士』からは充電式になった。
[編集] 機能・性能
[編集] 揚力を発生させるタイプの機能・性能
揚力を発生させるバージョンの内部図解は『ドラえもんひみつ全百科』(『てれびくん』1980年6月号付録)でのみ発表されている。
- 接着面: 強力きゅうちゃく板(きょうりょくきゅうちゃくばん。「テレパシーそうち」が付いており、使用者の思念により脱着を操作することが可能)
- スターター: スイッチ(半球部分にあるボタン)
- 方向転換のための装置: 小がたコンピューター
- 軸部分にある装置: 回てんぞうふくそうち
- プロペラ: スーパーウイング
- 揚力: 100キログラム、200キログラム[10]
「強力きゅうちゃく板」にはタコの足のように円形のイボがいくつも付いている[11]。図解では「強力きゅうちゃく板」の説明図の脇にタコの挿絵があり、タコに「しんせきかな?」と言わせている。このことから「強力きゅうちゃく板」は吸盤をモチーフとしているということを示唆している。また「板」と書いて「ばん」と読ませていることから、「板」は吸盤の「盤」の誤字である可能性がある。ちなみに反重力場を発生させるバージョンではこれを受けて「万能吸着盤」という名称を使用している。
[編集] 反重力場を発生させるタイプの機能・性能
藤子の漫画『ドラえもん』の作中では揚力を発生させるタイプを使用する描写が散見されるが、1986年以降に発売された各種百科本では反重力場を発生させるタイプの図解のみを使用している。そのため表向きはこちらが公式設定とされている可能性がある。
- 接着面: 万能吸着盤[12][13]、牽引ビーム[14]、けん引ビーム[15]
- スターター: スイッチ(半球部分にあるボタン)[13][15]、念波キャッチ始動開始型コンピューター(軸部分上端の球状部分にある)[12]。スターターを持たないため、手で羽を軽く動かす必要がある、とする資料もある[14]。
- 動力: 小型バッテリー2個[14][13]、内蔵電池[12]、小型電池2個[15]
- 電動機: 強力モーター[14][13][15]。
- 方向転換のための装置: コンピューター(脳波で動く)[12]、コンピュータ(脳波で動く)[13][15]
- プロペラ: 反重力ボード[14][12][13]
[編集] 用語
- 方こう性きのう
- 揚力を発生させるタイプにおいて、使用者の体の変化や思考を「小がたコンピューター」が読み取り、方向や飛行速度を迅速に変えることのできる機能[11]。
- ちなみに反重力場を発生させるバージョンでは、脳波で動くコンピュータに脳波を伝えてプロペラの回転速度を変化させ、それにより重力場の方向を操って自在に飛ぶことができるようになっている。ただし、これを方向性機能と呼ぶかは不明。
[編集] 用例
漫画『ドラえもん』で最初に登場した道具である(「タイムマシン」の名称登場を除いては)。ひみつ道具の中では比較的安価らしく、常に数本ストックされている。のび太は常にドラえもんからタケコプターを何本か借りて、自分のポケットに入れてあるらしく、ドラえもんがいない場面でも、このタケコプターで空を飛ぶ場面が何度か見受けられる。また、のび太の机の引き出しにも数本ほど常備されている。
25年後の世界では、のび太の息子のノビスケも使用している。また22世紀の世界では、セワシの友人たちも皆使用していることから、この道具が個人用の飛行手段として広く普及していることがわかる。
映画ドラえもんではすべての作品に登場している。
[編集] 実世界での研究
ヘリコプターなどと同じ原理のつもりで実際にこの形状でタケコプターを製作しても翼面積が不足しており、また角運動量保存の法則の観点からも飛ぶことはできない。このことは、柳田理科雄著の『空想科学読本』にて、プロペラの回転力によって飛ぶのなら体ごと空中に持ち上げることはできず、使用者は体がばらばらになって死亡した挙句頭皮だけがはがれて飛んでいってしまうと指摘された。ただし、公式設定『最新ドラえもん秘密百科 1』によればタケコプターは「プロペラの回転によって反重力場が体の周囲に発生し、それによって飛ぶ」とされており、『こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』』(山本弘著、太田出版)でも「ファンの中では常識である基本設定[16]を知らずに書いている」と批判された。ただし、後の『空想科学読本8』において、柳田は反重力で飛んでいるのだとしたら考証はできないとの旨を述べており、実際、その他の研究及び商品化などは全て揚力で飛ぶ前提で進められている。
千葉大学が1999年に飛び級入試を行った際、「タケコプターは実現可能であるか」を問う問題が出題された。問題にある選択肢の4つの道具の1つであり、残りの3つはエネルギー節約熱気球、消光電球、望遠メガフォン[17]また、平成14年度大学入試センター試験・総合理科にも、ひみつ道具の実現性について問う穴埋め問題が出題された。この問題では、どこでもドアとスモールライトが取り上げられた[17]。
[編集] 実世界での商品化
形状はやや違うものの、タケコプターをつけたドラえもん型のラジコンヘリコプターや、プレイヤーが頭にタケコプター型のコントローラを載せることで画面内のドラえもんの飛行を操作する体感テレビゲーム「ドラえもん 体感タケコプター! ~空とぶ大冒険~」といった商品が市販されている。
日本飛行協会の長島宏行は、タケコプターのような空を飛べる道具が実際にあった場合に免許が必要かどうかについて、「航空法第11条但書では、ひとり乗りの場合には機体の重量が180kgよりも軽く、プロペラや車輪や座席が備わったものを超軽量動力機という。ハンググライダーにエンジンや車輪、座席をつけたものがこれにあたるが、タケコプターはこれに該当しないので、航空機と見なされず、飛行機のそばを飛んではいけないなどの制限はいくつかあるが、免許は必要ない。」と述べている[18]。
長野県松本市のGEN Corporationでは一人乗りヘリコプター「GEN H-4」の製造・販売をしている。世界最小のヘリコプターとしてギネスブックにも認定されている。(乾燥重量75kg、エンジン125cc×4基、二重反転ローター直径4m)
なお日本テレビの『ザ!鉄腕!DASH!!』ではTOKIOのメンバーが実際に実写版タケコプター(TV内の名称は「シゲコプター」)をさまざまな材料を用いて製作すると言う企画が放送されたが、結果として巨大なものとなり人体を持ち上げることは不可能であることが事実上証明された形となった。ちなみにBGMは前週の予告編では「ドラえもんのうた」が使用されたが、放送時には「夢をかなえてドラえもん」が使用された。
[編集] 脚注・出典
- ^ てんとう虫コミックス『ドラえもん』1巻収録「ご先祖さまがんばれ」
- ^ 水出弘一『「ドラえもん」と野比家の謎 ― さようなら、ドラえもん』小学館、1997年。
- ^ 『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』では反重力で飛ぶものではないという旨の発言があり、『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』や『ドラえもん のび太と銀河超特急』ではタケコプターが勝手に飛んで行ってしまう描写がある。
- ^ 『小学四年生』1970年1月号掲載「未来の国からはるばると」(てんとう虫コミックス第1巻収録)
- ^ 『のび太の魔界大冒険』
- ^ 『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』
- ^ 『ドラえもん のび太とアニマル惑星』による。作中では「台風の複眼」(映画では「台風の目の目」と呼ばれる)を併用することで対応している。
- ^ 『ドラえもん のび太の恐竜』
- ^ 『ドラえもん のび太の日本誕生』
- ^ 『ドラえもん新ひみつ50』(『コロコロコミック』1980年7月号掲載)小学館、1980年。
- ^ a b 『ドラえもんひみつ全百科(ドラえもんひみつオールひゃっか)』(『てれびくん』1980年6月号付録)
- ^ a b c d e 『ドラえもんのひみつ道具使い方事典 3』小学館、1991年。
- ^ a b c d e f 『最新ドラえもんひみつ百科 1』小学館、1998年。(記事中で参考にした部分「FILES.3 ひみつ道具と四次元ポケット」は『コロコロコミック』1996年6月号掲載分)
- ^ a b c d e 『ドラえもん道具カタログ』(F.F.ランドスペシャル <スーパー・メカノ=サイエンス>)中央公論社、1986年。
- ^ a b c d e 『決定版ドラえもん大事典』小学館、2001年。
- ^ 上記の通り設定自体が複数存在し、それぞれが公式に書籍で紹介されている上に、劇中で原理について触れられていない為、「ファンの間で常識である」とは言い切れない面もある。
- ^ a b 。『藤子・F・不二雄ワンダーランド ぼく、ドラえもん』第5号 2004年5月5日発行
- ^ 『藤子・F・不二雄ドリームシアター もっと!ドラえもん』小学館、2005年10月3日発行
[編集] 参考文献
- 『ドラえもんひみつ全百科』(『てれびくん』1980年6月号付録)小学館、1980年
- 『ドラえもん新ひみつ50』(『コロコロコミック』1980年7月号掲載)小学館、1980年
- 『ドラえもん道具カタログ』(F.F.ランドスペシャル <スーパー・メカノ=サイエンス>)中央公論社、1986年
- 『ドラえもんのひみつ道具使い方事典 3』小学館、1991年
- 『最新ドラえもんひみつ百科 1』小学館、1998年(記事中で参考にした部分「FILES.3 ひみつ道具と四次元ポケット」は『コロコロコミック』1996年6月号掲載分)
- 『決定版ドラえもん大事典』小学館、2001年
[編集] 関連項目
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