反重力

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反重力(はんじゅうりょく)は、物質・物体に加わる重力を無効にしたり、調節したりする技術。現実の物理学では理論的に不可能であり、架空の技術である。多くはSF作品に宇宙航行の基礎技術として登場する。

概説[編集]

一般相対性理論では重力は時空幾何学的な歪みとして解釈される。歪みのない平坦な時空は重力が存在しない時空であり、そこを基準とすると重力は時空の収縮を示す。しかし、数学的には時空が膨張するような解を想定することも可能であり、物理学的にはそれを反重力(負の圧力)とみなすことが出来る。十分遠方から反重力場を観測すると重力場の時とは逆に、平坦な宇宙よりも空間が膨張し時間が加速しているように見える。

このような作用を生み出すエネルギーは負のエネルギー(直感的には負の質量と思ってよい)であり、有名なものとしてはワームホールの話題において登場するエキゾチック物質がある。そのようなSFに近いものではなく多少現実味のある例としては、宇宙の膨張に関わる宇宙定数真空のエネルギーが挙げられる。

いずれにせよこれらが示唆する「斥力として作用する重力場」は上手にとれば通常の重力場が作る時空の歪みをキャンセルすることが可能であり、事実上の反重力(厳密には「万有斥力」)として作用する。これが現代物理学がおぼろげに描く「反重力」である。

また、現在も議論が続いている現象として、ハチソン効果がある。

一方、SF作品に登場する反重力の設定は上記のみならず非常に多くの形態がある。最も有名なタイプは磁力の反発からイメージされたもので、「反重力場」は単純に重力場に反発する場として設定される。

SF作品中のアイデア[編集]

反重力やそれに類する技術理論はSFにおいては物語世界を成立させる基礎技術であるが、それそのものが必ずしも主題になるわけではない。

力学の面から考えると、重力とは天体上の物体に働く様々な力の合力である。これを要素に分けると、物体と天体の間に働く万有引力が最も大きいことが多く、結果としてその合力は物体が天体に引きつけられる力と見なされる。

  • 万有引力は離れた二つの物質の間に働く力であるから、物体の間において何らかの方法を用いてその伝達をさえぎってやれば、その影響を脱することができる、という方法も考案された。一例としてH・G・ウェルズ1901年に出版されたSF小説『月世界最初の人間』の中でケーバライト(ケイバーリット)なる重力遮断物質を考案し、これを地球側に敷けば、地球からの引力が働かなくなり、その代わりに宇宙からの引力が働くから、そのまま地球を離れ宇宙へ飛び立つことができるとした。
  • 万有引力は質量の存在によって生じるから、その物質の質量に何らかの形で介入することができれば、引力が調整できる、という方法も考案された。この場合、質量を増やすことによって重力を増やすこともできる。質量をゼロにすることで慣性の法則による制約を破るという余禄もある。「レンズマンシリーズ」には無慣性航法が登場するが、これもその考えに近いと思われる。
  • 重力波そのものを作り出す、という方法も考案された(デイヴィッド・ブリンの『ガイア』)。任意の方向に発生させた重力波で既存の重力の作用を打ち消す、というものである。
  • アメリカSFドラマスタートレック』のエピソードでは反重力を用いて惑星アーダナの雲の上に都市が建設されている[2]他、重量の大きな物体を持ち運ぶ際に反重力ユニットと呼ばれる装置が使用されていた。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 『最新ドラえもんひみつ百科 1』小学館、1998 - 「プロペラの回転によって反重力場が体の周囲に発生し、それによって飛ぶ」
  2. ^ Star Trek 邦題『宇宙大作戦スタートレック』第76話The Cloud Minders 邦題『惑星アーダナのジーナイト作戦』