スターン (地名)

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スターン (-stān、ـستان) は、ペルシアの文化的な影響の強い中央アジアから中東にかけて地方の名称を形成する語尾(地名接尾辞)として用いられるペルシア語由来の言葉。一般的に、その地方の多数派を占める民族の名称の語尾に接続して、地名を形成する。語源は、インド・ヨーロッパ祖語の -sta に由来する。

現代ペルシア語では、「~が多い場所」を意味する接辞として用いられるエスターン (-estān) であり、他の言語でも-istan、-estanの形で用いられることが多いが、-i-、-e-が付かず単に-stanの形で用いられているものもある。また、現在の各地域の言葉では、ペルシア語由来の長母音アーを長母音のまま発音する場合と短母音化して発音する場合があり、同様に日本語のカタカナの表記では「スタン」と「スターン」の両者が用いられる。概して、現地の支配的な言語で長母音が維持されている地名の場合、研究者には圧倒的にスターン表記が好まれるが、一般にはスタン表記も広範に用いられる傾向がみられる。

国名[編集]

日本語名及び英語名[編集]

  • アフガニスタン(アフガーニスターン):Afghanistan
  • ウズベキスタン:Uzbekistan(ロシア語、英語名。ウズベク語自称はO'zbekiston)
  • カザフスタン:Kazakhstan(ロシア語、英語名。カザフ語自称・ペルシア語名はQazaqistan)
  • タジキスタン(タジーキスターン):Tajikistan
  • トルクメニスタン:Turkmenistan(ペルシア語、ロシア語、英語名。トルクメン語自称はTürkmenistan)
  • パキスタン(パーキスターン):Pakistan(パークはペルシア語で「清浄」を意味する)
  • キルギスタン(クルグズスタン):Kyrgyzstan(キルギスの旧正式国名。現在も公式に認められている自称)

中央アジア〜中東圏における呼称[編集]

  • Arabestan:アラベスターン(アラビアペルシア語名)
  • Armenestan:アルメネスターン(アルメニアペルシア語名。現代トルコ語ではErmenistan)
  • Bulgaristan:ブルガリスターン(ブルガリアのペルシア語、アルメニア語名)
  • Chinastan:チナスタン(中国のアルメニア語名)
  • Hayastan:ハヤスタン(アルメニアのアルメニア語による自称国名。アルメニア人の自称民族名ハイに由来)
  • Hindustan:ヒンドゥスタン、ヒンドスタン、ヒンディスターン(本来インドのインダス川流域をペルシア語文化圏からみた際の呼称。今日ではインド全体を指して多くの言語で用いられる)
  • Hırvatistan:フルヴァティスタン(クロアチアのトルコ語、ペルシア語名)
  • Hunastan:フナスタン(ギリシアのアルメニア語名)
  • Gurjistan:グルジスターン(グルジアのペルシア語名。現代トルコ語ではGürcistan)
  • Lehastan:レハスタン(ポーランドのアルメニア語名)
  • Lehistan:レヒスタン(ポーランドのオスマン語名。クリミア・タタール語では今日も使われている)
  • Macaristan:マジャリスターン(ハンガリーのペルシア語、トルコ語名。ハンガリー人の自称民族名マジャルに由来)
  • Moğolistan:モオリスタン(モンゴルのトルコ語名)
  • Parsqastan:パルスカスタン(ペルシアのアルメニア語名)
  • Rusastan:ルサスタン(ロシアのアルメニア語名)
  • Sırbistan:スルビスタン(セルビアのトルコ語、ペルシア語名)
  • Vrastan:ヴラスタン(グルジアのアルメニア語名)
  • Yunanistan:ユナニスタン(ギリシアのトルコ語名)

地方名[編集]

比喩の地域呼称[編集]

  • ロンドニスタン(Londonistan): ロンドンをイスラム・テロ組織の温床とする見方から。

関連項目[編集]