シャーロック・ホームズの冒険 (テレビドラマ)

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シャーロック・ホームズの冒険
ジャンル サスペンス
スリラー
ミステリードラマ
放送時間 60分
放送期間 1984年~1994年(41回)
放送国 イギリスの旗 イギリスITV
日本の旗 日本NHK総合
他多数
制作局 グラナダテレビ
製作総指揮 マイケル・コックス、ウインダム・デービス
演出 ほか
脚本 デレック・マーロウアラン・プラターリチャード・ハリス
出演者 ジェレミー・ブレット
デビット・バーク
エドワード・ハードウィック
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シャーロック・ホームズの冒険』は、英国グラナダTV製作のテレビドラマである。日本ではNHKにおいて日本語版が製作され、1985年から1995年に初回放映、その後何度も再放送がなされた。

作品の特徴[編集]

原作に忠実であることを意識して作られており、物語の背景となる19世紀ヴィクトリア朝の、古き良き高雅なロンドンを再現。その時代考証は一見の価値がある[誰?]。また鹿撃帽にインバネスコートといった名探偵お馴染みの姿は原作発表当時のイラストレーターだったシドニー・パジェットの創作であることから本作ではほぼ姿を見せない等、徹底している。

特筆すべきは相棒にしてホームズの伝記作家でもあるワトスン医師の描かれ方である。それまでの映像作品などではホームズを引き立てるため、どちらかと言えば騒がしく愚鈍な人物として描かれてきた彼を、信頼できる真の英国紳士として復活させた。

後期に至っては、原作自体が映像化困難なもの、出来が悪いものを何とか鑑賞に堪えるものとするため、様々なアレンジが加わっている(中には非難の声の大きいものもある)。また初期に使われていたベーカー街外観のセットも、観光ルートになってしまい使用できず、様々なアプローチが取られている。

2012年末に発売された12枚組のBlu-RayセットではSD解像度からの変換ではなくフィルム原版からのHDテレシネにより高解像度化が実現。NHK-BSプレミアムで2013年10月6日から14年10月19日まで放送された「ハイビジョンリマスター版」にも同マスターが使用された。[1] NHK-BSで放送された『刑事コロンボ』同様追加部分の吹き替え出演者はクレジットされていない。

正典のうち、主演俳優の体調面の理由もあり、未映像化作品となったものは次の通り。

主要登場人物[編集]

シャーロック・ホームズジェレミー・ブレット(声:露口茂諸角憲一
世界で最も高名な探偵。常に知的刺激を求めることが最優先とし世間的には変人の類である。風変わりな事件の捜査には寝食を惜しんで当たるが、何事もなく退屈をもてあますとワガママになって荒れ、コカインに手を出す悪癖を持つ(NHK放映版では負の側面がほぼ全てカットされている)。本質は騎士道精神に満ち溢れた礼儀正しい紳士で友情にも非常に厚い。相棒ワトスンに人間的に全幅の信頼を置いている(知性に関してはその限りでない)。趣味でバイオリンの演奏をするときもある。
論理の信奉者で、在り得ない事を除けば、如何に信じられないことだろうと真実であるという信条を持つ。多種多様な犯罪捜査に関する知識を持ち、当時の警察よりも先んじて指紋等の重要性に気付いている辺りに、先見性が伺われる。女性に対する視線は辛辣そのもの。だが才気や行動力を見せる女性に対してはその限りではなく、大家であるハドスン夫人には慈愛を持って接している。
演じるジェレミー・ブレットは舞台の名優であり、エキセントリックかつ紳士という複雑なホームズ像を見事に表現。最高のホームズ役者として今なお知られている。役の重圧、妻の死去による双極性障害の悪化などから、幾度も降板の意志を示していたが、要望に応え続投。後期シリーズでは幼少時のリウマチ熱により弱っていた心臓の状態を喫煙や双極性障害の治療薬の副作用などで悪化させ、更に心臓病の薬の副作用で太ってしまうなど体調の芳しくない中、撮影途中で倒れてしまう事態に陥る。結局第6シリーズ終了後心臓麻痺で死去。原作全てを映像化という本シリーズファンの夢は潰えてしまった。
NHK放映版での吹替は露口茂。後に発売されたDVD完全版では、露口が引退状態のためか、NHK放映版でカットされた部分は諸角憲一が担当した。ただし、さほど声質が似ていないため、話を通してホームズの声が度々変わるという状態になっている。
ジョン・H・ワトスン
第1・2シリーズ:デビッド・バーク(声:長門裕之金尾哲夫立木文彦
第3シリーズ以降:エドワード・ハードウィック(声:福田豊土園江治
ホームズの同居人かつ唯一無二の親友であり、話の語り手である医師。インドでの軍医経験があるが負傷して帰国し、友人を介してホームズと知り合う。奔放なホームズに悩まされることも多いが、常に友情と尊敬の念で彼を見守る。ホームズ曰く最高の相棒である。
なお、原作よりは多少推理力・観察力が鋭くなっている。
原作では結婚後開業医としてホームズとの同居生活に終止符を打つが、本作ではドラマ製作の都合から未婚のまま同居を続けている。
初期シリーズでは血気盛んな若き元軍医をデビッド・バークが演じたが、家族と過ごす時間を増やしたいという理由で降板。作中でも第2シリーズ最終作最後の事件から次シリーズまで3年の空白があることから俳優交代はスムーズに行われた。後期ワトスンのエドワード・ハードウィックは穏やかな初老のワトスンを見事に演じ、作品のムードに落ち着きを与えている。
DVD完全版では、長門が重鎮であること、福田が逝去していることなどから、代役が追加吹替を行っている。
ハドスン夫人ロザリー・ウィリアムズ(声:竹口安芸子
ホームズが下宿するベーカー街221Bの家主。奔放な下宿人に相当手を焼いている。とは言えホームズの金払いの良さ、また彼が尊敬できる人物であることから、母のような立場で彼を見守っている。事件解決のためホームズが仮病を使った時、朝まで帰ってこなかった時などは心底から心配している描写が見られ、本作の人間関係の暖かさを象徴している。
後に発売されたDVD完全版でも、引き続き竹口本人が追加吹替を行っている。
レストレード警部コリン・ジェボンズ(声:川辺久造
ロンドン警視庁(通称スコットランド・ヤード)の警部。ある時はホームズに敵愾心を燃やして対抗し、ある時は目の前でホームズの才能を見せ付けられて賛嘆する。役人らしく尊大なところはあるが、自分の手に余る難事件の相談をもちかけにベーカー街の2人を訪ねることもある。ホームズが名声に興味を示さない気質のために、事件解決の手柄を譲り受けている。
ブラッドストリート警部ブライアン・ミラー(声:村越伊知郎
スコットランド・ヤードの警部。行動的で標準的な捜査を行う。ホームズには協力的で一定の敬意を払っているが、時として行動を諌めたり諫言したりすることもある。
マイクロフト・ホームズチャールズ・グレイ(声:松村達雄:9話/それ以降:久米明
シャーロック・ホームズの兄。ディオゲネス・クラブなるロンドン一風変わりなクラブの創設者の一人。シャーロックよりも頭脳は明晰であるが、行動力がないために探偵には向かないと兄弟は自分達を評している。その頭脳を買われて、英国政府の情報分析や政策決定に深く関わっているとされる。
本作においては後述する制作上の事情から登場作数も原作より増えた。演じるチャールズ・グレイの明朗さもあって、割と行動的な好々爺として描かれている。
ジェームズ・モリアーティ教授:エリック・ポーター(声:南原宏治
シャーロック・ホームズ最大の敵。天才数学者という表の顔を持ちながら、ロンドンひいては欧州の犯罪を影で糸引く怪人物。ホームズの度重なる妨害に業を煮やし、彼の抹殺に乗り出す。本作においては、原作での初登場作となる「最後の事件」以前に放映された「赤毛同盟」において登場する。わずか2話のみの登場ながら、原作の挿絵にもよく似ている風貌のエリック・ポーターの重厚な演技により、いわば急遽登場したホームズの仇敵に恐ろしいまでの現実感が与えられた(吹替の南原の威圧感ある演技も一役買っている)。

サブタイトル一覧[編集]

英国放映版準拠。日本で放映順に変化のあった場合は()内にて。海外ではシリーズ名が変化していたが日本では一貫して「シャーロック・ホームズの冒険」である。

第1シリーズ/The Adventures of Sherlock Holmes
初短編集第一話の映像化。王族にも態度を変えないホームズの頑なさ、変装の妙技、そして全編を通じてホームズを驚嘆させた唯一の「あの女性」エレーナ・アドラー(原作訳本ではアイリーン・アドラー)の登場とバラエティに富んでいる。
暗号解読のシーンはNHK版では放映時間の都合でカットされた。
NHK再放送分より、一部語句が不適切な表現として変更されている。
第2シリーズ/The Adventures of Sherlock Holmes
マイクロフト初登場。
レストレード警部初登場。原作中の焼死体をめぐる無理のある設定が若干変更されている。
奇抜な着想の名エピソード。本作では次回の伏線としてモリアーティ教授が登場。
第3シリーズ/The Return of Sherlock Holmes
ホームズの帰還を描く。ワトスンは二代目。
原作では昔話として語られるのみだが、本作ではワトスンを伴っての訪問中の突発事に変更されている。
放送訳題は「第二の血痕」になっている。
  • 第18(19)話 もうひとつの顔/The Man with the Twisted Lip
邦訳題は「唇のねじれた男」が一般的であるがNHK基準に引っかかったか変更。
レストレード警部が合流する機会の多いエピソード。テーブルクロス引きをホームズがさりげなく行うシーンがある。
第4シリーズ/The Return of Sherlock Holmes
この時期ジェレミーは降板を考えており、短髪なのはそのためである。
原作は中篇。怪奇趣味を演出するあるシチュエーションは時代にそぐわないため削除されている。
第5シリーズ/The Casebook of Sherlock Holmes
馬車が主流だった時代に、シリーズ初の自動車(1901年型メルセデス)が登場する。
当時19歳のジュード・ロウが出演している。ジュード・ロウはその後ガイ・リッチーシャーロック・ホームズでワトスンを演じた。
原作での無茶な設定を怪奇趣味を施すことで映像化している。
2時間スペシャルシリーズ
シリーズ唯一のホームズのキスシーンが見られる。
同名原作を元にしてはいるが脚色が多い。
  • 第35話 未婚の貴族/The Eligible Bachelor
原作「独身の貴族(別題:『花嫁失踪事件』)」を元にした一作。
第6シリーズ/The Memoirs of Sherlock Holmes
原作においてホームズが黒人をののしるシーンがあるが(初期の原作では見られなかった差別意識である)、台詞態度とも真摯なものに変更。
ワトスン役のハードウィックのスケジュールの都合でマイクロフトが三度登場。
戯曲を書き直した原作に、「三人ガリデブ」を組み合わせて映像化されたもの。ジェレミーが発作を起こし撮影直前に入院したため、登場シーンはマイクロフトに変更され、冒頭と終盤のジェレミーの出演は別撮りである。
復帰したジェレミー演じる最後のホームズである。

脚注[編集]

  1. ^ 第5シリーズまでは画面両サイドに黒枠が付くスタンダード・サイズで第6シリーズはハイビジョンサイズ。ただし第6シーズン初回=第36話 三破風館 はHD解像度ではない。NHK-BSでの番組オープニング途中に以下のスーパーが入る。 "本エピソード「三破風館」はオリジナルフィルム紛失のためハイビジョン画質ではありません。ご了承ください。"

外部リンク[編集]