ギャング・オブ・ニューヨーク
| ギャング・オブ・ニューヨーク | |
|---|---|
| Gangs of New York | |
| 監督 | マーティン・スコセッシ |
| 脚本 | ジェイ・コックス ケネス・ロナガン スティーヴン・ザイリアン |
| 原案 | ジェイ・コックス |
| 製作 | マーティン・スコセッシ アルベルト・グリマルディ |
| 製作総指揮 | ハーヴェイ・ワインシュタイン マイケル・ハウスマン |
| 出演者 | レオナルド・ディカプリオ キャメロン・ディアス ダニエル・デイ=ルイス |
| 音楽 | ハワード・ショア エルマー・バーンスタイン |
| 主題歌 | U2 「The Hands that Built America」 |
| 撮影 | ミヒャエル・バルハウス |
| 編集 | セルマ・スクーンメイカー |
| 配給 | |
| 公開 | |
| 上映時間 | 167分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $100,000,000[1] |
| 興行収入 | $77,812,000[1] 30億円[2] $193,772,504[1] |
『ギャング・オブ・ニューヨーク』(Gangs of New York)は、2002年のアメリカ映画。ミラマックス配給。
目次 |
概要 [編集]
『ギャング・オブ・ニューヨーク』はハーバート・アズベリーが1928年に出版した同名の著書から着想を得た映画で、1863年のニューヨーク・マンハッタンの一角であるファイブ・ポインツを舞台に繰り広げられるギャングの抗争と人間ドラマを描いたもの。2001年5月のカンヌ国際映画祭にダイジェスト版として公式出品されたのが初出。
監督のマーティン・スコセッシは「構想に30年を要した」と語っている。撮影はローマ郊外の大規模映画スタジオである「チネチッタ」に当時のニューヨークの町並みを完全再現して行われ[3]、撮影期間270日、制作費約150億円を投じて制作された。
本作品は、第75回(2002年)アカデミー賞で10部門にノミネートされたが何れも受賞には至らなかった。その他の賞として監督のマーティン・スコセッシはゴールデングローブ賞 監督賞を受賞。ダニエル・デイ=ルイスは英国アカデミー賞で主演男優賞を受賞した。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
あらすじ [編集]
19世紀初頭のアメリカ・ニューヨークでは、大飢饉に見舞われた故郷を離れ、アメリカン・ドリームを夢見たアイルランド人の移民達が毎日のように港から降り立っていた。しかし、貧しい彼らが住むことが出来たのは安アパートや売春宿の密集する混沌の町ファイブ・ポインツであり、そこは"ネイティブ・アメリカンズ"と名乗るアメリカ生まれの住人達の塒であった。"ネイティブ・アメリカンズ"に対抗する為、アイルランド移民達は徒党を組み、"デッド・ラビッツ"という組織を作り上げた。
1846年、"ネイティブ・アメリカンズ"と"デッド・ラビッツ"の抗争は熾烈を極め、ついにファイブ・ポインツを利権を賭けて最後の戦いが始まる。壮絶な戦いの末、"デッド・ラビッツ"のリーダーであり、少年・アムステルダムの父親でもあったヴァロン神父が"ネイティブ・アメリカンズ"のリーダー、ビル・ザ・ブッチャーに殺され、抗争は"ネイティブ・アメリカンズ"の勝利に終わった。アムステルダムも捉えられ、少年院に投獄されてしまう。監獄の中、アムステルダムは一人、ビル・ザ・ブッチャーへの復讐を誓った。
それから16年の月日が経った。成長したアムステルダムは再びファイブ・ポインツへ帰ってきた。しかしそこは既に"ネイティブ・アメリカンズ"が牛耳る腐敗した町となっていた。アムステルダムは素性を隠し、"ネイティブ・アメリカンズ"へ入団する。やがて持ち前の才能と度胸でめきめきと頭角を現し、"ネイティブ・アメリカンズ"のリーダー、ビルにも一目置かれる存在へとなっていった。そんな中、アムステルダムは女スリ師のジェニーと運命的な出会いを果たす。互いに惹かれ合い始める二人であったが、ビルにアムステルダムの素性が知られてしまい、裏切り者の汚名を着せられ、私刑にあい、"ネイティブ・アメリカンズ"を追放させられてしまう。
ジェニーの制止を振り切り、アムステルダムは新生"デッド・ラビッツ"を結成し、ファイブ・ポインツを賭けた最後の戦いに挑む。
スタッフ [編集]
- 監督:マーティン・スコセッシ
- 製作総指揮:ハーヴェイ・ワインシュタイン、マイケル・ハウスマン
- 製作:アルベルト・グリマルディ
- 共同製作:グラハム・キング
- 衣装:サンディ・パウエル
- 編集:セルマ・スクーンメイカー
- 原案:ジェイ・コックス
- 脚本:ジェイ・コックス、スティーヴン・ザイリアン、ケネス・ロナガン
- 撮影監督:ミヒャエル・バルハウス
- 美術:ダンテ・フェレッティ
- 音楽:ハワード・ショア
- 主題歌:U2 / The Hands that Built America
- 字幕翻訳:戸田奈津子
キャスト [編集]
( )内は日本語吹替を担当した声優。(VHS・DVD・BD/ テレビ放映の順に記載)
- アムステルダム・ヴァロン:レオナルド・ディカプリオ(森川智之/ 高橋広樹)
- 本作の主人公で、幼少の頃目の前で父親・ヴァロン神父を殺され、ビル・ザ・ブッチャーに復讐を誓う。復讐に使おうとしているナイフは、ビルがヴァロン神父を刺し殺したナイフである。
- ジェニー・エヴァディーン:キャメロン・ディアス(魏涼子/ 林真里花)
- 自身の美貌で男を誑かし、巧みに金品を掠め取り、ファイブ・ポインツでしたたかに生き延びる女スリ師。アムステルダムと出会い、互いに惹かれ合っていく。
- ビル・ザ・ブッチャー:ダニエル・デイ=ルイス、レックス・ラング(一部の声)(玄田哲章/ 牛山茂)
- かつてアムステルダムの父親を殺し、今はファイブ・ポインツを牛耳るギャング団"ネイティブ・アメリカンズ"のリーダー。ブッチャーの名の通り、肉屋としての顔もあり、包丁や投げナイフなど刃物の扱いに通じている。
- ヴァロン神父:リーアム・ニーソン(津嘉山正種/ 佐々木勝彦)
- アムステルダムの父でアイルランド移民団"デッド・ラビッツ"のリーダー。神父ながら先頭に立って戦う事も厭わぬ勇猛な人間だったが、ビルとの戦いの果て殺される。
- ジョニー:ヘンリー・トーマス(村治学/ 矢崎文也)
- "ネイティブ・アメリカンズ"の一味で、アムステルダムの幼馴染。
- モンク:ブレンダン・グリーソン(塩屋浩三/ 福田信昭)
- ビルの支配に屈する事無く戦う男。
- ウィリアム・ボス・トゥイード:ジム・ブロードベント(池田勝/ 稲垣隆史)
- ファイブ・ポインツを治める実在の政治家。
- ハッピー・ジャック:ジョン・C・ライリー(廣田行生/ 宝亀克寿)
- ヴァロン神父亡き後、ビルの軍門に下った警察官。
- マグロイン:ゲイリー・ルイス(辻親八/ 岩崎ひろし)
- ヴァロン神父亡き後、ビルの軍門に下り、右腕として活躍する男。
製作 [編集]
マーティン・スコセッシがハーバート・アズベリーの『ギャング・オブ・ニューヨーク』に感銘を受け、古きニューヨークに生きた犯罪者やギャング、移民などのアメリカのルーツを描く作品を撮りたいと思い始めたのは1970年ごろであったという[4]。この想いを友人でもあった脚本家ジェイ・コックスに打ち明け、意気投合したことから『ギャング・オブ・ニューヨーク』映画化という具体的な企画が立ち上がった。コックスは主人公となるアムステルダム・ヴァロンというキャラクターを生み出すに当たって、ブルース・スプリングスティーンの歌詞に非常に強いインスピレーションを受けたと語っている。
着想からさらに20年以上にわたり、スコセッシはコツコツとシナリオを書き続け、スティーブン・ザイリアンやケネス・ロナガンらも交え、推敲を重ねながら作られていた。主役となるレオナルド・ディカプリオも1991年ごろからこの企画に参加し、スコセッシと共同でビル役にと目をつけたダニエル・デイ=ルイスの説得にあたる[5]などしていた。
配役が決まった後、1863年のニューヨークを完全再現するという作業に取り掛かることになった。これはちょうどその頃、ニューヨーク・マンハッタンで発掘作業を行っていた建築家によって発掘された当時の皿や櫛といった85万点というアイテムを借り受けることで実現可能となった[6]。スタジオが決まり、それぞれのセットが決まると数ヶ月という異例のスピードでローマ・チネチッタスタジオに1846年及び1863年のニューヨークが再現された。
チネチッタでの撮影は127日間にわたり、2001年3月30日に終了した。
背景 [編集]
アズベリーの著書 [編集]
1928年に出版されたハーバート・アズベリーの『ギャング・オブ・ニューヨーク』は、ニューヨークのギャングたちの社会を、1863年頃から1927年まで、アズベリーが新聞記者として働くうちに耳にしたり、目撃したりしたことを書き綴った歴史書で、アイルランド移民の徒党からイタリアン・マフィア、チャイニーズ・マフィアなど、ギャングたちの歴史をつぶさに語っていくもの。映画の背景を理解するには原著が有用であるが、映画はそのごく一部をドラマとして再構成しているため、原作そのままの映画化とは異なる。2001年にハヤカワ文庫から日本語版が出版された。映画『明日に向って撃て!』の主人公たちも、このギャングの歴史の傍流の人物になり、原作の中にも登場してくる。
実在のギャングとの関係 [編集]
レオナルド・ディカプリオ扮するアムステルダム・ヴァロンは本作にのみ登場するフィクションである。一方、"ネイティブ・アメリカンズ"に登場するビル・ザ・ブッチャー、モンク、ジョニー・シロッコはそれぞれビル・ザ・ブッチャー・プール、モンク・イーストマン、ジャック・シロッコという実在のギャングをモチーフとしているが、彼らが活躍した時期は"デッド・ラビッツ"が消滅した後の事であり、名前だけの存在となっている。実際のモンク・イーストマンはユダヤ系ギャングであったが、作中ではアイルランド系ギャングとして登場しており、史実の捏造が行われている。また、中国系のギャングについては、チャイナタウンがかろうじて登場するのみで作中でほとんど触れられる事がないままになっている。
公開の延期 [編集]
本来、本作品は2001年のクリスマスに世界同時一斉公開を予定していたが、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件の影響で公開が1年以上延期されるという事態が発生している。映画のエンディングには、スコセッシによる世界貿易センタービル崩壊に対しての祈りとテロリズムに対する怒りのコメントが追記された。
脚注 [編集]
- ^ a b c “Gangs of New York (2002)”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年4月4日閲覧。
- ^ “日本映画産業統計 過去興行収入上位作品 (興収10億円以上番組) 2003年(1月~12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2010年4月4日閲覧。
- ^ 美術を担当したダンテ・フェレッティによって最も安価な賃貸料で契約ができたため。またスコセッシはインタビューでフェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティといったイタリアの映画監督を挙げ、「この伝統あるスタジオで撮影できることは大変名誉な事だ」と語っている。(映画評論家 佐藤睦雄によるインタビュー・公式パンフレットより)
- ^ 『ギャング・オブ・ニューヨーク』公式パンフレットより。
- ^ ビル役として最初に目されたのは『タクシードライバー』などでスコセッシと共に仕事をしたロバート・デ・ニーロであったが、アングロサクソン系に見えないとの理由から実現はせず、ダニエル・デイ=ルイスに白羽の矢が立った。しかし、1997年に出演した『ボクサー』以降俳優業を半引退しており、本人はフィレンツェで靴屋の修行をしていた。スコセッシ本人の強い説得により本作品への出演が実現した。
- ^ その後、これらのアイテムは2001年のアメリカ同時多発テロ事件の影響により完全に消失してしまう。
参考文献 [編集]
- 『ギャング・オブ・ニューヨーク』公式パンフレット(2002年、松竹株式会社)
- 『ギャング・オブ・ニューヨーク』- ハーバート・アズベリー、富永和子訳(2001年、早川書房、ISBN 9784150502546)
- 『ギャング・オブ・ニューヨーク メイキング写真集』- Mario Tursi、曽根田憲三訳(2002年、スクリーンプレイ、ISBN 9784894073241)
- 『ニューヨークを読む』- 上岡伸雄(2004年、中央公論新社、ISBN 9784121017345)
- 『アカデミー賞 アメリカ主要映画賞全記録』- 武藤寿隆(2004年、共同通信社、ISBN 9784764130654)
- 『マンハッタン一番乗り』- アイク田川(2006年、新風社、ISBN 9784289014019)
- 『ポストモダン都市ニューヨーク』- 伊藤章(2001年、松柏社、ISBN 9784775400012)
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
- 公式ウェブサイト
- ギャング・オブ・ニューヨーク - allcinema
- ギャング・オブ・ニューヨーク - KINENOTE
- Gangs of New York - AllMovie(英語)
- Gangs of New York - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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