飯田優也

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飯田 優也
阪神タイガース時代
(2019年5月25日、ナゴヤ球場にて)
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 兵庫県神戸市
生年月日 (1990-11-27) 1990年11月27日(33歳)
身長
体重
186 cm
85 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2012年 育成選手ドラフト3位
初出場 2014年6月11日
最終出場 2020年9月13日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
派遣歴

飯田 優也(いいだ ゆうや、1990年11月27日 - )は、兵庫県神戸市出身の元プロ野球選手投手)。左投左打。

実兄は元プロ野球選手の飯田一弥

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

4歳の頃、阪神・淡路大震災により西宮市の自宅で被災。猫に起こされ難を逃れたが、仮設住宅住まいを経験し、その後愛媛県の祖母の家で4年間を過ごす[1]

神戸弘陵高時代、背番号13で登録された3年時の夏に東兵庫予選大会決勝(この年は90回記念大会により兵庫を東西に分けて2校選出。)に進出したが、報徳学園に延長12回サヨナラ負けで準優勝だった。登板は3回戦の伊丹高等学校戦での中継ぎ1試合のみで、地元・甲子園球場での全国大会とは無縁であった。

高校卒業後は、北海道学生野球連盟に加盟する東京農業大学北海道オホーツク硬式野球部(進学時は東京農業大学生物産業学部硬式野球部)へ進学。進学後は1年時春からリーグ戦に出場。 3年時春のリーグ戦で優勝して大学選手権出場を果たし、神宮球場のマウンドを経験したが、初戦の横浜商科大学戦では6回一死二・三塁の場面で救援するものの、2点適時打を打たれ救援失敗。 先発した慶應義塾大学戦では制球が乱れ先頭から2連続四球、結局適時打を許し一死も取れずKOされ敗戦投手になった。

2012年のNPB育成ドラフト会議で、実兄・一弥の在籍する福岡ソフトバンクホークスから3巡目で指名。育成選手として入団した。東京農業大学北海道オホーツク硬式野球部の選手がNPBドラフト会議で指名された事例は、2005年の育成ドラフト会議小斉祐輔がソフトバンクからの指名で入団して以来7年ぶりであった。入団当初の背番号は131で、自身と同じ育成選手であった一弥と区別するために、ユニフォームの背ネームには「Y.IIDA」という表記が用いられた。

ソフトバンク時代[編集]

ソフトバンク時代
(2013年7月18日、こまちスタジアムにて)

2013年は、二軍公式戦において20試合に登板し54回1/3を投げ、1勝2敗、防御率2.32の成績を残す[2]。三軍戦では19試合に登板した[3]。シーズンオフにプエルトリコウィンターリーグに参加し、8試合先発登板し、2勝1敗、防御率3.13の成績を残した[4]

2014年の前半は二軍の先発ローテーションとして防御率1.63と安定した投球をする。5月11日に支配下選手登録され、背番号は42へ変更となった[5]。6月11日のセ・パ交流戦、対中日ドラゴンズ戦で2点ビハインドの8回から4番手として救援で出場し初登板、1回投げて打者を三者凡退にしとめた。6月15日のセ・パ交流戦、対横浜DeNAベイスターズ戦で初先発、4回に1点援護を貰い、5回まで無失点に抑えていたが、6回に先頭から連続四球を出し降板、2番手の森福允彦アーロム・バルディリスに逆転適時二塁打を打たれ敗戦投手となった。5回0/3を投げて打者21人に対し4被安打6奪三振2四球2失点だった[6]。6月22日、7勝でチーム勝ち頭の中田賢一が前回登板で右膝に打球を受け出場選手登録を抹消されたため[7]、未勝利ながら監督の秋山幸二により、セ・パ交流戦の優勝がかかった対読売ジャイアンツ戦の先発に抜擢された[8]。しかし、立ち上がりを攻められ1回と1/3を投げ、4安打6失点で敗戦投手となった[9]。7月30日、山形県野球場にて行われた対東北楽天ゴールデンイーグルス戦で先発し、6回を投げ打者23人に対し3被安打2四球4奪三振、無失点の内容でプロ初勝利を挙げた[10]。9月5日、対埼玉西武ライオンズ戦に先発し、自己最長の7回を投げ、2被安打2四球9奪三振1失点と好投し、本拠地福岡ヤフオク!ドーム初勝利となる2勝目を挙げた[11]ウエスタン・リーグでは東浜巨らとともに9勝を挙げ最多勝利投手となり[12]、リーグ優勝に貢献した。

2015年は先発から中継ぎ投手に転向、3月29日の対千葉ロッテマリーンズ戦でシーズン初登板するも、4月8日の対楽天戦でサヨナラ負けを喫するなど[13]、11試合で防御率6.28と状態が上がらず、5月25日に一軍選手登録から外れた[14]。しかし、ファームでの調整を経て、7月20日に一軍登録されると[15]、24試合で4ホールドを挙げるなど、チームの連覇に貢献した。成績は、中継ぎとして35試合に登板、41回1/3を投げ、0勝1敗4ホールド、防御率は3.48だった[16]

2016年は年間50試合の登板を目標に掲げ[16]、開幕を一軍で迎える[17]。5月27日の対オリックス・バファローズ戦では、中継ぎ投手として2回2/3を投げ、シーズン初勝利を挙げる[18]。しかし、8月21日の対北海道日本ハムファイターズ戦において、一死もとれずに降板するなど安定感を欠き[19]、二軍へ降格した。シーズンを通して30試合に登板、41イニング、1勝0敗4ホールド、防御率は3.29の成績を残した[20]

2017年FA移籍したポスト森福允彦として、オープン戦2試合で無失点など、嘉弥真新也と左腕中継ぎ投手の開幕一軍登録枠を争うが[21]、開幕一軍入りを果たせなかった[22]。4月23日の対楽天戦で同年一軍公式戦初登板を迎える[23]。その後17試合に登板し、0勝0敗2ホールド、防御率2.79のまずまずの成績を残すが、制球が安定せず、6月28日に一軍選手登録を抹消される[24]。抹消中にウエスタン・リーグ公式戦11試合で防御率1.93と好調だったことから、7月26日に一軍へ復帰[25]。しかし、復帰後の登板機会はわずか2試合で、シーズン全体でも19試合で2ホールドを挙げただけだった。

2018年、前半戦を終了した時点で、一軍公式戦への登板が1試合にとどまっていた[26]

阪神時代[編集]

2018年7月26日に、松田遼馬との交換トレードで阪神タイガースへ移籍した[27]。背番号は、移籍前まで松田が着用していた56。移籍後の一軍公式戦登板は、8月26日の対読売ジャイアンツ(巨人)戦(東京ドーム)のみで、先発に起用されたものの3回4失点という内容に終わった[28]

2019年、春季キャンプから一軍に帯同すると、中継ぎ要員として、ソフトバンク時代の2016年以来3年ぶりに開幕一軍入りを果たした[29]。開幕後は一軍公式戦1試合に投げただけで、4月4日に出場選手登録をいったん抹消されたが、7月26日に再び登録。7月27日の対巨人戦(東京ドーム)に同点で迎えた延長10回裏の二死一・二塁から登板すると、サヨナラ負けのピンチを凌いだ後にチームが勝ち越したため、一軍公式戦としては自身3年ぶりの勝利を挙げた[30]

2020年、春季キャンプは一軍に帯同した[31]が開幕一軍を逃す[32]。開幕後も一軍公式戦での登板はなかった[33]

オリックス時代[編集]

2020年8月28日に小林慶祐との交換トレードでオリックス・バファローズへの移籍が発表された[注 1][35][36]。背番号は39[37]。9月2日のソフトバンク戦(京セラドーム)にて、古巣相手に移籍後初登板し1回無失点に抑えると[38]、9月6日の楽天戦(楽天生命パーク)でも2点リードの場面で登板し1回を無失点に抑え移籍後初勝利を挙げた[39]

2021年10月5日、戦力外通告を受けた[40]

オリックス退団後[編集]

オリックス退団後は大阪にバーを開店した[41]

選手としての特徴・人物[編集]

オーバースローで投げ下ろす最速146km/hのストレートと[42]、スライダーを軸に、カーブやフォークも投げられる[43]。プロ入り後にはチェンジアップを習得し、以降得意球としている[43]

2017年6月に福岡ヤフオク!ドームに住み着き保護された野良猫の子猫を「ニャーゴ」と名付け自宅で飼い始めた。しかし、猫アレルギーということが判明し、知人に譲った[24]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2014 ソフトバンク 12 11 0 0 0 2 5 0 0 .286 244 58.1 47 5 29 0 0 59 3 1 23 21 3.24 1.30
2015 35 0 0 0 0 0 1 0 4 .000 176 41.1 30 3 22 2 1 44 2 0 16 16 3.48 1.26
2016 30 0 0 0 0 1 0 0 4 1.000 174 41.0 36 3 14 0 1 35 4 0 15 15 3.29 1.22
2017 19 0 0 0 0 0 0 0 2 ---- 98 22.1 18 2 15 0 2 17 2 0 6 6 2.42 1.48
2018 1 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 3 0.1 0 0 1 0 1 0 0 0 2 2 54.00 10.00
阪神 1 1 0 0 0 0 0 0 0 .--- 16 3.0 5 1 2 0 0 3 0 0 4 4 12.00 2.33
'18計 2 1 0 0 0 0 0 0 0 .--- 19 3.1 5 1 3 0 1 3 0 0 6 6 16.20 2.40
2019 3 0 0 0 0 1 0 0 0 1.000 20 3.1 5 0 5 0 0 6 0 0 4 4 10.80 3.00
2020 オリックス 4 0 0 0 0 1 0 0 0 1.000 24 4.0 11 0 1 1 0 5 1 0 7 7 15.75 3.00
通算:7年 105 12 0 0 0 5 6 0 10 .455 755 173.2 152 14 89 3 5 169 12 1 77 75 3.89 1.39
  • 2021年度シーズン終了時

年度別守備成績[編集]



投手












2014 ソフトバンク 12 2 9 0 1 1.000
2015 35 0 4 0 0 1.000
2016 30 0 7 1 0 .875
2017 19 2 3 0 0 1.000
2018 1 0 1 0 0 1.000
阪神 1 0 1 0 0 1.000
'18計 2 0 2 0 0 1.000
2019 3 0 0 0 0 ----
2020 オリックス 4 1 1 0 0 1.000
通算 105 5 26 1 1 .969
  • 2021年度シーズン終了時

記録[編集]

初記録

背番号[編集]

  • 131(2013年 - 2014年5月10日)
  • 42(2014年5月11日 - 2018年7月26日)
  • 56(2018年7月27日 - 2020年8月27日)
  • 39(2020年8月28日 - 2021年)

登場曲[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 本来のトレード期限は7月31日までだが、新型コロナウイルスの影響で公式戦の開幕が3か月遅れたことに伴う特例措置として、日本野球機構日本プロ野球選手会の合意により、2020年はトレード期限が9月30日まで延長となった[34]

出典[編集]

  1. ^ 飯田開幕ローテへ 飼い猫に救われた…4歳の時自宅で被災”. 西日本スポーツ (2015年1月18日). 2017年11月28日閲覧。
  2. ^ 2013年度 福岡ソフトバンクホークス 個人投手成績(ウエスタン・リーグ)”. 日本野球機構. 2017年12月23日閲覧。
  3. ^ 2013年 3軍個人成績 投手成績(ホークス)2013年10月8日現在”. 福岡ソフトバンクホークス オフィシャルサイト. 2013年12月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月23日閲覧。
  4. ^ 若鷹奮闘記2013 in ウインターリーグ - 福岡ソフトバンクホークスオフィシャルサイト
  5. ^ 支配下選手契約について福岡ソフトバンクホークスオフィシャルサイト2014年5月11日配信
  6. ^ 一球速報 - 福岡ソフトバンクホークスオフィシャルサイト
  7. ^ タカ、交流戦連覇逃す 序盤に7点差、追い上げ及ばず 2014年6月22日朝日新聞
  8. ^ ソフトB未勝利左腕 22日G戦先発 交流戦連覇へ抜てき 2014年6月18日スポニチ Sponichi Annex
  9. ^ 2桁安打の反撃を見せるも交流戦連覇ならず・・・ ゲームレポート | 福岡ソフトバンクホークスオフィシャルサイト
  10. ^ 先発・飯田がうれしいプロ初勝利!チームは今季2度目の6連勝! ゲームレポート | 福岡ソフトバンクホークスオフィシャルサイト
  11. ^ ソフトB明日にもM14 飯田ホーム初勝利 2014年9月6日 日刊スポーツ
  12. ^ ウエスタン・リーグ表彰 | 2014年 表彰選手”. 日本野球機構. 2021年12月3日閲覧。
  13. ^ ソフトB飯田悔し「力を出せなかった」サヨナラ負け 日刊スポーツ 2015年4月8日掲載。
  14. ^ ソフトB飯田が2軍落ち 本領発揮できず 日刊スポーツ 2015年5月26日掲載。
  15. ^ ソフトバンクが飯田を1軍登録 日刊スポーツ 2015年7月20日掲載。
  16. ^ a b ソフトバンク飯田700万増「来季は50試合いく」 日刊スポーツ 2015年12月4日掲載。
  17. ^ ソフトバンク 開幕1軍登録選手一覧 日刊スポーツ 2016年3月23日掲載。
  18. ^ ホークス飯田、中継ぎで今季初白星 「みんなの勝利。その一員になれた」 Full-Count 2016年5月27日掲載。
  19. ^ 1死もとれず…2軍で再調整へ 飯田 西日本スポーツ 2016年8月22日掲載。
  20. ^ ソフトバンク飯田「開きがあった」400万減を保留 日刊スポーツ 2015年12月1日掲載。
  21. ^ ソフトバンク、ポスト森福絞られた 飯田か嘉弥真”. 日刊スポーツ (2017年3月14日). 2017年11月28日閲覧。
  22. ^ ソフトバンク 開幕1軍登録メンバー一覧”. 日刊スポーツ (2017年3月29日). 2017年11月28日閲覧。
  23. ^ 2017/04/23(日)第6回戦 福岡ソフトバンク vs 楽天イーグルス”. 福岡ソフトバンクホークスオフィシャルサイト (2017年4月23日). 2017年11月28日閲覧。
  24. ^ a b ソフトバンク5年目左腕・飯田が引き取ったヤフオクドームの子猫”. スポーツ報知 (2017年7月26日). 2017年11月28日閲覧。
  25. ^ ホークス飯田、真砂、栗原1軍合流”. 西日本スポーツ (2017年7月26日). 2017年11月28日閲覧。
  26. ^ ソフトバンク飯田優也と阪神松田遼馬のトレード合意 日刊スポーツ 2018年7月26日
  27. ^ “トレードの成立について”. 阪神タイガース公式サイト. (2018年7月26日). http://hanshintigers.jp/news/topics/info_5716.html 2018年7月27日閲覧。 
  28. ^ “移籍後初先発の飯田は3回4失点「勢いを止めることができませんでした」”. デイリースポーツ. (2018年8月26日). https://www.daily.co.jp/tigers/2018/08/26/0011579607.shtml 2019年2月28日閲覧。 
  29. ^ “木浪、鳥谷、北條、近本ら/阪神開幕一軍メンバー”. 日刊スポーツ. (2019年3月27日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201903270000555.html 2019年7月28日閲覧。 
  30. ^ “阪神飯田3年ぶり白星「これから貢献できるように」”. 日刊スポーツ. (2019年7月27日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201907270000944.html 2019年7月28日閲覧。 
  31. ^ “春季キャンプ2020メンバー”. 阪神タイガース公式サイト. (2020年2月13日). https://hanshintigers.jp/news/camp2020/member/ 2020年8月29日閲覧。 
  32. ^ 2020年6月18日の出場選手一覧”. 日本野球機構 (2020年6月18日). 2020年8月29日閲覧。
  33. ^ “【阪神】飯田優也投手とオリックス・小林慶祐投手の交換トレードが成立”. 東スポWeb. (2020年8月28日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/204243 2020年8月29日閲覧。 
  34. ^ 今季は延長十回まで、トレード期限は9月30日で合意”. サンケイスポーツ (2020年6月10日). 2020年9月8日閲覧。
  35. ^ "オリックス・小林慶祐と阪神・飯田優也の電撃トレード発表". スポーツ報知. 報知新聞社. 28 August 2020. 2020年8月29日閲覧
  36. ^ “トレード成立のお知らせ”. オリックス・バファローズ オフィシャルウェブサイト. (2020年8月28日). https://www.buffaloes.co.jp/news/detail/00003689.html 2020年8月28日閲覧。 
  37. ^ "トレード(2020年度)". npb.jp. 日本野球機構. 28 August 2020. 2020年8月29日閲覧
  38. ^ "オリックス飯田優也が移籍後初登板、監督代行も評価". 日刊スポーツ. 2 September 2020. 2020年9月6日閲覧
  39. ^ "オリックス飯田優也が移籍後初勝利「頑張ります」". 日刊スポーツ. 6 September 2020. 2020年9月6日閲覧
  40. ^ オリックス吉田一将、飯田優也ら8人戦力外通告 榊原翼は来季育成契約か”. 日刊スポーツ (2021年10月5日). 2021年12月3日閲覧。
  41. ^ iidayuya [@iidayuya] (2022年11月1日). "大阪ミナミでBARをやることになりました!". Instagramより2024年2月23日閲覧
  42. ^ “ホタテ漁も経験…育成出身ソフトB飯田 松井裕に投げ勝った”. スポニチ Sponichi Annex. (2014年7月31日). http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/07/31/kiji/K20140731008660560.html 2015年3月4日閲覧。 
  43. ^ a b 週刊ベースボール2014年8月18日号 P67
  44. ^ “育成出身のソフトB左腕飯田が三者凡退デビュー!次は先発で起用”. Sponichi Annex. (2014年6月11日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/06/11/kiji/K20140611008347200.html 2021年12月3日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]