世宗大王級駆逐艦

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世宗大王級駆逐艦
US Navy 100730-N-8539M-181 The Republic of Korea Navy guided-missile destroyer ROKS Sejong the Great (DDG 991) returns to Joint Base Pearl Harbor-Hickam after participating in Rim of the Pacific (RIMPAC) 2010 exercises.jpg
艦級概観
艦種 ミサイル駆逐艦
建造期間 2006年 - 建造中
就役期間 2008年 - 就役中
前級 李舜臣級駆逐艦(DDH)
次級 最新
性能諸元
排水量 基準:7,600 t[1]
満載:10,290 t[1]
全長 165.0 m
全幅 21.4 m
吃水 10.4 m
機関 COGAG方式
LM2500ガスタービンエンジン (26,250bhp) 4基
スクリュープロペラ 2軸
電力 ロールス・ロイスAG9140RFガスタービン発電機(3,000 kW[2] 3基
[3]
速力 最大:30ノット以上
巡航:16ノット
航続距離 5,500海里(20ノット)
乗員 300人以上
兵装 Mk.45 mod.4 62口径5インチ単装砲 1基
ゴールキーパー 30mm CIWS 1基
Mk 41 VLS (48+32セル)
SM-2 Block3B SAM
を発射可能
2基
国産VLS (48セル)
天竜英語版韓国語版
 CM: 32発
紅鮫 SUM: 16発
を発射可能
1基
Mk.49 21連装近SAM発射機 1基
海星SSM 4連装発射筒 4基
324mm3連装短魚雷発射管
(Mk.46 / 青鮫英語版韓国語版魚雷)
2基
艦載機 スーパーリンクスMk.99
哨戒ヘリコプター
2機
C4I イージス武器システム (AWS)
ASWCS-K対潜戦システム
レーダー SPY-1D(V) 多機能型(4面) 1基
AN/SPS-67(V)3 対水上捜索用 1基
ソナー DSQS-21 BZ-M 艦首装備
CAPTAS 曳航式
電子戦
対抗手段
SLQ-200電波探知妨害装置
KDAGAIE Mk.2 デコイ発射機 4基
SLQ-261K 対魚雷デコイ装置
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ装置

世宗大王級駆逐艦(せいそうだいおうきゅうくちくかん・セジョンデワンきゅうくちくかん)は、大韓民国海軍ミサイル駆逐艦の艦級。計画名はKDX-III[4][1]

イージスシステムを搭載しており、本級の就役により、大韓民国アメリカ合衆国日本スペインノルウェーに次いで世界で5番目のイージス艦保有国となる。

来歴[編集]

大韓民国海軍では、1970年前後にフレッチャー級駆逐艦を導入して艦隊駆逐艦の運用に着手したのち、1980年代には更にFRAM改修型のアレン・M・サムナー級ギアリング級を導入し、洋上作戦能力の強化を図っていた[5]。一方、1970年代朴正煕政権が発表した「自己完結型の国防力整備を目指した8ヶ年計画」に基づき、戦闘艦の国産化が着手され、まず東海級コルベット蔚山級フリゲートが建造された[6]

続いて初の国産駆逐艦としてKDX-I型(広開土大王級)が建造されることになり、当初は17~20隻の建造が計画されたものの、実際には1995年から2000年にかけて3隻が建造されるに留まった。またこれに続いて、韓国初の防空艦としてKDX-II型(李舜臣級)が建造され[6]、2003年から2008年にかけて6隻が就役した[1]

一方、これと並行して、より先進的な防空艦の取得計画が進められており、2001年より詳細設計が開始された。搭載システムとしては、欧州のAPARとアメリカのイージス武器システム(AWS)が遡上に載せられており、既にイージス艦を運用していた海上自衛隊への問い合わせも含めて検討を重ねた結果[7][注 1]、2002年7月には搭載システムとしてAWSが選定された。これによって建造されたのが本級である[1]

設計[編集]

設計面では、KDX-IIではKDX-Iと共通点が多かったのに対し、本級は、アメリカ海軍アーレイ・バーク級フライトIIAをタイプシップとしている。ただし国産VLSの追加搭載などに伴った設計変更が行われており、アーレイ・バーク級フライトIIAと比して、全長で9.7メートル、幅で1.1メートル大きくなり、基準排水量で約1,000トンの差がある。また艦首から艦橋までの前甲板に顕著なブルワークが付されている[8]。水線下の形状もアーレイ・バーク級とは明らかに異なり、流体力学上不合理なものとなっているとも指摘されている[6]

なお、日本のイージス艦にはないアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦のようにメインマストの左右にある支柱は後から追加されたものであり、当初の構想図にも1番艦の進水時にもなかったものである。

主機も、KDX-I/IIではCODOG方式を採用していたのに対し、本級ではアーレイ・バーク級と同様に、ゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジン4基で可変ピッチ・プロペラ2軸を駆動するCOGAG方式となっている[4][1]。なおこのLM2500は、韓国のサムスンテックウィン社によってライセンス生産されている[9]

なお2014年10月26日には、本級全艦の水中放射雑音が設定された基準値を超えていることが判明した。軍はネームシップの就役3ヶ月前の2008年9月にこの問題を把握していたが、就役が近いという理由で納入メーカーに数億ウォンの賠償金を課しただけで実戦配備していた[10]

装備[編集]

上記の経緯より、本級はAWSを中核とした戦闘システムを備えており、米ロッキード・マーティン社によって、イージス艦載戦闘システム (AEGIS Shipboard Combat System)として統合されている[11]

C4ISTAR[編集]

戦闘システムの中核となるイージス武器システム(AWS)はベースライン7.1の発展型が搭載された。多機能レーダーはAN/SPY-1D(V)が採用されており[12]、そのパッシブ・フェーズドアレイ・アンテナの装備要領はアーレイ・バーク級フライトIIAと同様である[8]

探信儀としては、タレス社と共同開発したDSQS-21BZ-Mを搭載した[8]。対潜戦システムとしては、アーレイ・バーク級ではAN/SQQ-89が搭載されていたのに対し、本級ではASWCS-Kが搭載された[13]。これはノルウェー海軍のイージス艦であるフリチョフ・ナンセン級フリゲートで搭載されたコングスベルグ社のMSI-2005F対潜システムをもとに、同社とロッキード・マーティン社が共同で開発したものである[14][15][16]。またCAPTAS Mk.2(V)1曳航ソナーも搭載された[17]

電波探知妨害装置としては、アーレイ・バーク級フライトIIAではAN/SLQ-32(V)3が搭載されていたのに対し、本級では、KDX-IIと同系統のSLQ-200(V)1K「ソナタ」が搭載された[1]。またこれと連動するデコイ発射機も、KDX-I/IIと同じくKDAGAIE Mk.2を搭載した[17]

衛星通信[編集]

本級は、就役当初、アメリカ軍の衛星通信システムに連接する能力を持っていないことが指摘されていた[18]。しかしその後、Mini-DAMAとして知られるAN/USC-42衛星通信端末用のAV2099衛星通信アンテナを搭載していることが確認されており、またアメリカ側も対外有償軍事援助により同端末を韓国に対して輸出したことを発表している[19]

また、韓国軍自身の通信基盤として、ムグンファ3号5号によるANASIS衛星通信システムも導入されている。このほか、民間の商用衛星通信として、有名なインマルサットや、アメリカのKVHインダストリーズ社と日本のスカパーJSAT社によるローミング・サービスも搭載している[20]。これらは、アメリカ軍が同盟国との統合作戦に使用するために整備しているCENTRIXSなどに接続するために用いられる。

武器システム[編集]

艦対空ミサイルの発射装置として、艦首甲板に48セル、また艦尾側に32セルのMk.41 VLSを備えている。ミサイルとしてはSM-2MRブロックIIIB艦隊防空ミサイルまたはESSM個艦防空ミサイルが搭載されており[1]、またSM-2についてはSM-6への更新が決定された[12]CIWSはKDX-IIと同構成で、RAM近接防空ミサイルゴールキーパーを併用している[1]

艦対艦ミサイルとしては、国産の海星(ヘ・ソン)の4連装発射筒を4基搭載する。また艦尾側のMk.41と並べて国産のVLSを48セル備えており、紅鮫対潜ミサイル16発および天竜(チョニョン)英語版韓国語版艦対地ミサイル32発を収容している[12]艦砲はKDX-IIと同構成で、62口径127mm単装砲(Mk.45 mod.4)を艦首甲板に搭載した。また短距離用の対潜兵器もKDX-IIと同じくK745「青鮫」魚雷英語版韓国語版324mm3連装短魚雷発射管(Mk.32)を搭載した[1]

同型艦[編集]

一覧表[編集]

1番艦は現代重工業2004年8月25日に発注され、2004年11月に1番艦の建造着工。2008年12月実戦配備。当初、安龍福とし、池徳七尹永夏が艦名候補として検討されたが、2007年に世宗大王と名付けられた。また、同年6月28日には尹永夏が犬鷲型ミサイル艇に命名され、艦名候補から外れた。

艦番号 艦名 建造 起工 進水 竣工
DDG-991 世宗大王 現代重工業 2006年
5月20日
2007年
5月25日
2008年
12月22日
DDG-992 栗谷李珥 大宇造船海洋 2006年
11月9日
2008年
11月14日
2010年
8月31日
DDG-993 西厓柳成龍 現代重工業 2007年
12月28日
2011年
3月24日
2012年
8月30日

運用史[編集]

計画初期では、イージス艦6隻建造の構想もあったと伝われているが、最終的には3隻の建造で決定された。

運用維持及び補修などに必要な予算確保などの問題があるとの指摘もある[21]。ただし2013年12月10日、韓国軍当局はイージス艦3隻を新たに導入し、6隻態勢に増強する計画を確定した。[22]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ このとき問い合わせを受けた海上幕僚監部防衛部長は、韓国海軍におけるイージス艦の必要性という根本部分に疑義を呈したものの、その疑問は結局解消されなかった[7]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j Wertheim 2013, pp. 406-408.
  2. ^ http://www.rolls-royce.com/Images/MMS%20FS%2053%2008%201%20Allison%20AG9140%20and%20AG9140RF%20_tcm92-9324.pdf rolls-royce.com
  3. ^ http://www.rolls-royce.com/marine/news/2004/041129_korea.jsp Rolls-Royce wins Republic of Korea Navy order and strengthens regional presence
  4. ^ a b Saunders 2009, p. 462.
  5. ^ 香田 2009.
  6. ^ a b c 大塚 2013.
  7. ^ a b 香田 2016.
  8. ^ a b c 海人社 2009.
  9. ^ GE Aviation (2004年11月15日). “GE to Supply Samsung Techwin with LM2500 Gas Turbine for Korean KDX Destroyer” (英語). 2012年1月12日閲覧。
  10. ^ 「戦作権」の核心戦力であるイージス艦...不良抱えて購入 YTN 2014年10月26日
  11. ^ Defense Security Cooperation Agency (2002年3月18日). “Defense Security Cooperation Agency NEWS RELEASE - Republic of Korea – AEGIS Shipboard Combat Systems (PDF)” (英語). 2011年11月27日閲覧。
  12. ^ a b c 大塚 2016.
  13. ^ U.S. Department of Defense Office of the Assistant Secretary of Defense (Public Affairs) (2004年3月5日). “Defense.gov: Contracts for Friday, March 05, 2004” (英語). 2011年11月27日閲覧。
  14. ^ Lockheed Martin Corporation (2003年6月18日). “Lockheed Martin Contracts with KDA for Korean Destroyer Program” (英語). 2012年11月25日閲覧。
  15. ^ BUREAU OF POLITICAL-MILITARY AFFAIRS (2008年1月31日). “2008 Foreign Military Training: V. Course Descriptions--Part 1” (英語). 2011年11月27日閲覧。
  16. ^ Tom Muir (2008年1月10日). “AWD combat system RFIs” (英語). 2013年6月7日閲覧。
  17. ^ a b 多田 2009.
  18. ^ 久保田るり子 (2007年5月20日). “韓国、5番目のイージス艦保有国に 「世宗大王艦」進水式へ”. 2007年5月23日閲覧。
  19. ^ U.S. Department of Defense Office of the Assistant Secretary of Defense (Public Affairs) (2001年2月26日). “Defense.gov: Contracts for Friday, February 26, 2001”. 2011年11月27日閲覧。
  20. ^ milsatmagazine.com (2011年7月). “Close Support - Crucial Communications For Countering Piracy” (英語). 2011年10月30日閲覧。
  21. ^ 「イージス艦を浮かべたが…」 後の課題が多数”. 東亜日報(韓国語). 2007年5月25日閲覧。
  22. ^ http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/10/2013121000671.html

参考文献[編集]

関連項目[編集]

同時期のイージス艦

外部リンク[編集]