Mk 41 (ミサイル発射機)

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Mk 41 VLS上面、ミサイル・セルの蓋。

Mk 41 垂直発射システム(Mk 41 Vertical Launching System)は、世界的に広く用いられているミサイル発射システム。垂直発射方式を採用しており、スタンダード艦対空ミサイルトマホーク巡航ミサイルアスロック対潜ミサイルなど、幅広い種類のミサイルを運用することができる。

なお、ミサイル発射機単体としては、アメリカ海軍ではMk 158またはMk 159として別に制式番号を付与しており、厳密には、Mk 41とはミサイル発射システム全体に対する名称である。

概要[編集]

Mk 41は、現在世界でもっとも多く運用されている垂直発射装置である。典型的なVLSとして、弾薬庫が発射機を兼ねているほか、Mk 41固有の特徴として、複数種類のミサイルを同時に並行して収容し、任意のミサイルを迅速に発射できることから、複合的な脅威に対する優れた対応能力を有する。

イージス戦闘システムの要であり[1]、現在、各国で就役している全てのイージス艦に搭載されている。また、カナダイロクォイ級ミサイル駆逐艦日本たかなみ型護衛艦など、それ以外の戦闘艦にも数多くが搭載されている。

構成[編集]

ミサイル・セルの高さとミサイルの種類。

Mk 41システムは、ミサイル弾薬庫と発射機を兼ねるケース(ミサイル・セルと呼称)を最小単位としており、これを8セル集めたのが1モジュールとなる。また、全高が異なる3つの機種があり、大型なものほど、より多くの種類のミサイルを運用することができる。

Strike-Length
もっとも大型のモジュールで、全高は約7.7m(303inch)、トマホーク巡航ミサイルスタンダード SM-2/SM-6艦隊防空およびSM-3弾道弾迎撃ミサイルシースパローおよびESSM個艦防空ミサイル垂直発射式アスロック対潜ミサイルを運用することができる。
アメリカ海軍がこれまでに運用しているMk 41はいずれもStrike-Lengthモジュールを使用しているが、このうち、発射機単体については、8モジュールで構成されるものをMk 158、4モジュールで構成されるものをMk 159として制式化している。これらには、それぞれ1モジュールずつ、ミサイル・セル3つ分のスペースを使ってミサイル再装填用のクレーンを設置した ストライク・ダウン・モジュールと呼ばれるものが組み込まれていたが、洋上でのミサイル再装填がきわめて困難であることから、後期の搭載艦では組み込まれなくなった。
Tactical-Length
中型のモジュールで、全高は約6.8m(266inch)、全高が大きいトマホーク巡航ミサイルや、スタンダードミサイルのなかでも大型であるSM-2ERやSM-3、SM-6は搭載できないが、それ以外のミサイルは運用できる。
Self-Defense
全高約5.3m(209inch)。もっとも小型だが、Tactical Lengthモジュールと同様のミサイルを運用することができる。

また、それぞれのミサイルは、専用のキャニスターを介してミサイル・セルに収容される。Mk 13はスタンダードSM-2MR、Mk 14はトマホーク、Mk 15はVLA用のキャニスターであり、シースパロー/ESSM用のキャニスターとしては、1発のみ収容できるMk 22と、1セルに4発収容できるMk 25がある。また、弾体が大型化したスタンダードSM-2ERやSM-6、BMD用のSM-3を収容するためのMk 21も開発され、配備されている。

なお、現在では、モジュール単位ではなく、単一のセルでの搭載が可能な機種(Single Cell Launcher:SCL)も開発されており、Mk 25キャニスターによるESSMの試射を成功させている。

運用と搭載艦[編集]

Mk 41を最も早く搭載したのはタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の6番艦「CG-52 バンカー・ヒル」以降の艦で、61セルのMk 158発射機2基を搭載し、Mk 41 VLSのシステム全体の呼称としてはMk 41 Mod 0とされている。続いて、スプルーアンス級駆逐艦の一部艦が前甲板のアスロック8連装発射機Mk 16にかえて61セルのMk 158発射機1基を搭載し、これはMk 41 Mod 1とされた。

また、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦Mk 41 Mod 2として、前甲板に29セル(後期建造艦では32セル)のMk 159、後甲板に61セル(後期建造艦では64セル)のMk 158を搭載している。このうち、特にアーレイ・バーク級については、設計時よりMk 41の開発が知られていたため、その搭載するイージスシステムおよびトマホークシステムの重要なサブシステムと位置づけられて、セル数については徹底的な検討が行われたことが知られている[1]

一方、カナダイロクォイ級ミサイル駆逐艦は、1990年代初頭に行われたTRUMP改修によって29セルのMk 41を搭載し、アメリカ国外では初の搭載例となった。これは、スタンダード SM-2MRの運用にのみ用いられている。これに対し、1994年より就役を開始したドイツ海軍ブランデンブルク級フリゲートではシースパロー艦対空ミサイルの運用に用いられており、逆に1996年より就役を開始した日本むらさめ型護衛艦においては、垂直発射式アスロック(VLA)の運用のみが行われており、艦対空ミサイルについては別に搭載した Mk 48 VLSで運用している。

この他にも採用が相次ぎ、現在では11ヶ国の海軍で16クラス、173隻の艦艇に搭載されて運用されている。

搭載艦[編集]

 アメリカ海軍

 オーストラリア海軍

 オランダ海軍

Naval Ensign of Japan.svg 海上自衛隊

 カナダ海軍

 スペイン海軍

 タイ海軍

 大韓民国海軍

 デンマーク海軍

 トルコ海軍

 ドイツ海軍

 ニュージーランド海軍

 ノルウェー海軍


モデル一覧[2]
mod セル数 搭載例
0 122
(61+61)
タイコンデロガ級
1 61 スプルーアンス級
2 90
(29+61)
アーレイ・バーク級フライトI/II、こんごう型[3]
4 16 ブランデンブルク級
T 29 イロクォイ級
5 8 アンザック級
7 96
(32+64)
アーレイ・バーク級フライトIIA
(DDG-79-90)
8 16 サーリヒレイス級
9 むらさめ型
10 32 ザクセン級
11 40 デ・ゼーヴェン・プローヴィンシェン級
12 48 アルバロ・デ・バサン級
13 32 李舜臣級
15 96
(32+64)
アーレイ・バーク級フライトIIA
(DDG-91-)
16 8 アデレード級
17 試験艦「あすか」[4]
18 32 たかなみ型[5]
20 96
(32+64)
あたご型[5]
22 16 ひゅうが型
29 32 あきづき型[6] [7]

脚注[編集]

  1. ^ a b 大熊(2006)による
  2. ^ Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. ISBN 9781557502629. http://books.google.co.jp/books?id=4S3h8j_NEmkC. 
  3. ^ NJSS (2009年9月16日). “「みょうこう」臨時修理(誘導武器)垂直発射装置VLS MK41 MOD2”. 2015年6月15日閲覧。
  4. ^ 防衛省 (2006年8月25日). “公共調達の適正化について(平成18年8月25日付財計第2017号)に基づく随意契約に係る情報の公表予定価格 契約金額 落札率 (物品役務等) (PDF)”. 2012年10月18日閲覧。
  5. ^ a b Ricardo T. Alvarez (2010-6) (PDF). Reducing the Logistics Footprint in Naval Ships Through the Optimization of Allowance Equipage Lists (AELs). NPS. http://www.dtic.mil/cgi-bin/GetTRDoc?AD=ADA524564 2012年10月18日閲覧。. 
  6. ^ yasu_osugi (2015年7月18日). “Mk41VLS of DD-117 Suzutuki”. 2015年7月24日閲覧。
  7. ^ NJSS (2015年1月17日). “「てるづき」臨修 垂直発射装置VLS MK41 MOD29 調査”. 2015年6月15日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

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