あすか (試験艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
あすか
Ase6102-H26,7,22.JPG
基本情報
建造所 住友重機械工業 浦賀造船所
運用者 Naval Ensign of Japan.svg 海上自衛隊
艦種 試験艦
艦歴
計画 平成4年度計画
発注 1992年
起工 1993年4月21日
進水 1994年6月21日
就役 1995年3月22日
要目
排水量 基準 4,250トン
満載 6,200トン
全長 151.0m
全幅 17.3m
深さ 10.0m
吃水 5.0m
機関 COGLAG方式、2軸推進[注釈 1]
LM2500ガスタービンエンジン×2基
LM2500ガスタービン発電機×1基
出力 43,000PS
速力 最大速 27ノット
乗員 70名+試験要員100名
兵装 Mk.41 mod.17 VLS×8セル
3連装短魚雷発射管×1基
搭載機 ヘリコプター1機搭載可能
C4ISTAR 射撃指揮装置3型[注釈 2]
レーダー OPS-14 対空捜索用
OPS-18 対水上捜索用
ソナー OQS-XX 艦首・艦底装備式
テンプレートを表示

あすかローマ字JS Asuka, ASE-6102)は、海上自衛隊の試験艦。海上自衛隊としては15年ぶりの試験専用艦で、省力化やステルス化を目的とした艦載兵器実験艦。同型艦はない。

なお艦名は試験艦の命名基準である名所・旧跡の文明・ 文化に関する地名という点から、日本の古代大和朝廷が栄えた地、「飛鳥」(奈良県明日香村)に因んで命名された。

曹士婦人自衛官7名が乗員となった最初の艦艇である。

設計・装備[編集]

船体は遮浪甲板型の船型を採用している。艦首・底には新水上艦用ソーナー(OQS-XX)を設置したことから、投錨の際の干渉を避け、また砕波発生位置をできるだけ後方にしてOQS-XXから遠ざけるように、艦首は鋭く突出している。OQS-XXはバウ・ドームのシリンドリカル・アレイ(CA)と艦底の長大なフランク・アレイ(FA)からなるが、予算の関係上、FAは片舷のみの装備とされた。艦橋構造物は4層よりなり、その最上部には射撃指揮装置3型(FCS-3)試作機のアクティブ・フェイズド・アレイ(AESA)アンテナを4面配したレーダー機器室が設置されていた。試験終了後、FCS-3試作機の部品はひゅうが型護衛艦の2隻に転用されており、現在ではAESAアンテナも含めてすべて撤去され、レーダー機器室にはカバーがかけられている。また平成26年(2014年)度以降、マルチファンクション・レーダー(FCS-3)の性能向上策の一環として開発されてきたXバンドの多機能レーダーの試作機が搭載されて海上試験が実施される見込みであり、既に準備工事の一部は始まっているものとされている[1]

艦橋構造物の直前には01甲板レベルに甲板室が設置され、ここは3甲板吹抜けの空所とされて、のちに新アスロック(後の07VLA)の運用試験のためのMk.41 mod.17 VLS(8セル)が設置された。また同様に、就役後に魚雷防御システムを構成する投射型静止式ジャマー(FAJ、第二煙突前方船体中央部)、自走式デコイ(MOD、右舷短魚雷発射管横)の試作品を搭載し、運用試験を実施しているほか、魚雷発射管も12式魚雷の試験のため更新されている。なお試験艦という性格上、艦艇乗組経験の乏しい試験要員の乗艦機会も多いことから、通常は一方通行のラッタルとされるところを二列並行の階段を配置し、また避難経路を示す誘導灯を設置するなどの配慮がなされている。また第2甲板に配置された固有乗員の居住区に加えて、これらの試験要員などの便乗者用として、第3甲板に約100名分の居住区が設けられているほか、試験関係者の打ち合わせに使える多目的講堂や試験器材などを設置できる計測室が設けられている[1]。なお本艦は、自衛艦として初めて女性自衛官が乗艦した艦でもあった[2]

主機としては、自衛艦としては初めてガスターボエレクトリック・ガスタービン複合(COGLAG)推進方式を採用した。これは、巡航機としてゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジン1基を発電機として用いたターボ・エレクトリック方式を、加速機として同じくLM2500 2基による機械駆動を用いるものであった。ただし、COGLAGの試験終了後は発電用LM2500は他に転用されて撤去されていることから、現在ではガスタービンエンジン2基のみが動力となっている。また運航要員の省力化も試みられており、操舵と主機操縦を操舵・主機遠隔操縦装置に統合したことで、従来はそれぞれの操縦員が必要だったのに対してワンマン・コントロールが可能とされたほか、ボタン式速力通信機の採用により主機の直接操縦が可能となった[2]

上甲板(第1甲板)後部はヘリコプター甲板とされており、着艦拘束移送装置等は備えられていないものの、H-60系ヘリコプターの発着が可能な面積が確保されている。またハンガーSH-60Jを収容できるようになっているが、それ以外にも試験機材の収容や悪天候時の試験要員待機所など様々に用いられている[1]。ヘリコプター甲板直下の作業甲板(第2甲板)には曳航ソナーの巻上げ装置が搭載されているが、これは試験用という性格上、護衛艦用の実戦装備と比してかなり大掛かりなものとされていた[2]

艦歴[編集]

「あすか」は、中期防衛力整備計画(平成3年度〜7年度)に基づく平成4年度計画4,200トン型試験艦6102号艦として、住友重機械工業浦賀造船所で1993年4月21日に起工され、1994年6月21日に進水、1995年1月19日に公試開始、1995年3月22日に就役し、開発指導隊群に直轄艦として編入され横須賀に配備された。建造費は278億3900万円。

2002年3月22日、開発指導隊群が廃止、開発隊群が新編され編入された。

2007年10月に行われたPSIの海上警備訓練では、本艦を容疑船役として護衛艦いかづち」の立入検査隊の臨検訓練が行われた。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災に対し、災害派遣のため地震発生後の53分後の15時45分に緊急出港をする。

歴代艦長[編集]

歴代艦長(特記のない限り2等海佐
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
1 樋口義治 1995年3月22日 - 防大11期 あすか艤装員長 1等海佐
2 佐治正憲 1998年 - 防大15期 かしま艦長 1等海佐
3 峰岡偉津夫 防大15期
4 久保田守 2006年11月29日 - 2008年11月19日 統合幕僚監部指揮通信システム部
指揮通信システム運用課情報保証班長
横須賀基地業務隊本部補充部付
5 山田 昇  
6 飯田隆一 2010年 -
7 堀場恒明 2015年8月3日 - 防大28期 呉海上訓練指導隊砲雷科長
8 中村正三 防大32期

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ 現在は発電機を撤去し、単純なガスタービン推進式となっている。
  2. ^ 現在は撤去されている。

出典[編集]

  1. ^ a b c 東郷行紀「洋上試験評価の担い手 : 試験艦「あすか」と「くりはま」」、『世界の艦船』第778号、海人社、2013年5月、 98-103頁、 NAID 40019640910
  2. ^ a b c 「新型試験艦「あすか」拝見!」、『世界の艦船』第497号、海人社、1995年6月、 12-15頁。

参考文献[編集]

  • 石橋孝夫 『図解海上自衛隊全艦船1952‐2002―海自創設50年史』 並木書房、2002年ISBN 978-4890631513
  • 「海上自衛隊全艦艇史」、『世界の艦船』第630号、海人社、2004年8月、 1-261頁、 NAID 40006330308

外部リンク[編集]