GTウイング

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GTウイングが付けられた180SX

GTウイング(ジーティーウイング)とは、自動車エアロパーツであるリアウイングのひとつであり、ステーを使ってウィングを高く取り付けたもので、GTマシンのリアウイングをユーザーカーにフィードバックしたため、このような名称で呼ばれる。

解説[編集]

Porsche 911 GT1-96のウイング

GTウイングは車体後部に取り付けられ、ダウンフォースを発生してリアタイヤのグリップ力を増し、同時に車体後部の気流を整流して風見効果とともに高速走行時の安定を向上させる効果がある。比較的面積の大きいウイングであることと、ルーフから発生する乱流から離れた位置にあるためダウンフォースが多く発生し、リアタイヤの接地性が上がりスピンの危険性が減るほか、トラクション性能のアップ(後輪駆動車の場合)にもなる。

風洞実験の動画>

レーシングカーなどでは取り付け角度を変えダウンフォースの調整を行いサーキットによってセッティングを変えるが、迎え角約13~14度で失速限界を超えるため、これ以上の角度は無意味となる[1]。機能的にも視覚的に大きな変化が生まれるパーツでもあるため、フルチューンされたマシンからドレスアップカーまで広く認知されている。またウイングが高い位置にあるため、純正ウイングよりも後方視認性が良くなる場合も多い。ダウンフォースの増大はドラッグの増大につながるため、最高速チャレンジ用の車両には取り付けられないこともある。

ウイングは初期のころはまっすぐな1枚羽の物であったが、時を経るに従い2枚羽の物、ルーフからの気流の角度に合わせ中央部を上に膨らませた形状の3Dタイプに発展を続けてきた。よりダウンフォースを得るためにウイングの後端部にガーニーフラップを取り付けたり、翼端板の脇に小さなウイングを伸ばすスロテッドウイング(通称:子持ちウイング)といった部品を付けるチューニングも行われている。多段ウイングは旅客機に使われるスロッテッドフラップのように気流剥離を抑えて、ウイングのダウンフォース効率を上げる機能がある。解析図1> 解析図2>

吊り下げ式のウイングを採用したNSX CONCEPT-GT

また、ウイングの下にリアスポイラーやガーニーフラップを付けることにより、ウイング下面の気流剥離を抑えてダウンフォースが増えることも多い。解析図>

空力の進化により、「スワンネック」と呼ばれるステーをウイング上部に接続した吊り下げ式のウイングも登場した。これは底面の気流をステーによって乱さないように考えられたレイアウトで、ステーの強度を最適化することによりストレートエンドでウイングの迎え角を自動的に減らす方向にたわませ、ドラッグを減らす効果もある。

パーツの構成[編集]

飛行機の翼を上下逆にした形状の板とその両端に取り付ける翼端板、車体に取り付けるためのステーと台座となる。左右の翼端板はウイング上面に発生する正圧が左右から下面の負圧域に回り込むのを低減させ、両端から発生する翼端渦を抑制して空気抵抗を減らし、ダウンフォース効率を上げるためにある。また風見効果は翼端板が大きいほど大きくなる。参考図>

素材[編集]

素材は以前はアルミニウム製が多かったが、FRP製法の確立や価格が下がったことなどを受けウイング部や翼端板、台座などにウエットカーボンを用いたものも広く出回るようになった。レース用などより軽量なマシンを目指す場合は非常に高価になるもののドライカーボンを用いたものもある。

ステーは通常アルミニウムなどの金属が使われる。軽量化のため肉抜きされている場合がほとんどである。ウイングの後部を固定するボルト穴は長穴もしくは複数の穴に加工されていることが多く、ウイングの傾きを調整することで発生させるダウンフォースの量をセッティングすることができる。

市販車用のGTウイング[編集]

市販車両に取り付けの際には純正ウイングの取り付け穴をふさぎ、新たに穴を開けGTウイングを取り付けるのが一般的である。このとき新たに空けた穴にシーリングを施さないと、そこから雨水でが発生する上に、トランク内の荷物が濡れるときがある。このような手間を省くために純正ウイング取り付け穴と同じ位置にステーを取り付けられる車種ごとに設計されたものもある。振動でステーがボディを傷つけるのを防ぐため間にゴムなどをかませることも望ましい。一般的なステーは純正ウイングよりもだいぶ高い位置にウイングを配するため高さがあり、4ドアセダンなど一部の車種では視覚的なバランスの関係で、一体感を出すためにローマウントタイプと呼ばれる低いステーも一部メーカーから発売された。トランクリッド部がある車だけではなく、ハッチバック車にも専用のステーを使い取り付けられるものがある。また、ウイングには大きなダウンフォースがかかるためにトランクリッドがへこむ恐れがあり、取り付け部やトランク内部に補強をする場合も多い。GTウイングは空気抵抗もそれなりにあるため、しっかり取り付けないと高速走行中にウイング自体がもぎ取れて後ろに吹っ飛んでしまい後続車に被害を与えかねないので、十分な注意が必要である。

取り付けた場合道路運送車両法に違反してしまう場合がある。リアバンパーの後端よりも後ろに出ておらず、車両の両脇から片側165mm以内に収まっているか翼端板と車体の間隔が2cm以内でボディと同一とみなされる場合は法に則るとされる。

脚注[編集]

  1. ^ https://www.mooncraft.jp/blogstaff/aerodynamic/gurney-flap/