金与正

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
金汝貞から転送)
移動先: 案内検索
金与正
各種表記
ハングル 김여정
漢字 金與正
発音: キム・ヨジョン
日本語読み: : きん よせい
: きん よしょう
ローマ字 Kim Yŏchŏn
英語表記: Kim Yeo-jong[1]
テンプレートを表示

金 与正[2][3](キム・ヨジョン、1987年9月26日 - )は、北朝鮮の第2代最高指導者の金正日の四女で、同国の第3代最高指導者の金正恩の実妹。母は高英姫朝鮮労働党中央委員会委員、同党中央委員会宣伝扇動部副部長[4]。現在の漢字表記が判明するまでは、金予正[5][6]金汝貞[7]金汝静[8]とも表記された。

人物[編集]

情報は限られており、金正日の専属コックだった藤本健二の回想録によると、金正日の寵愛を得ていた。また1996年から2001年まで、金正恩と共に「パク・ウン」「チョン・スン」という変名で、朝鮮民主主義人民共和国駐スイス大使館職員の子供として、スイスベルンの国際学校で英語ドイツ語フランス語を学んでいた。そのスイスの留学の時の写真は2010年6月に公開された[9]

2010年9月、金正恩が朝鮮労働党代表の会議で金正日の継承者に擁立された後、指導者の集まる記念写真の中に姿が見えるようになった(金正日の最後の妻である金玉の側で)。[10]2011年2月、金与正は兄の金正哲シンガポールエリック・クラプトンの演奏会を観覧して車に乗り込む姿をKBSによって捉えられた[11]

金正日の葬儀で正式に姿が公開された。朝鮮労働党組織指導部にいるとされていたが[12][13][14][15]、2014年3月9日に最高人民会議第13期代議員選挙が実施された際に北朝鮮国営メディアによって名前が初めて報道され、「朝鮮労働党中央委員会の責任幹部」として紹介されスーツ姿で投票する写真が報じられた[16][17]。なおこの際、朝鮮中央通信の中国語版などは漢字表記として金予正を用いた[5][6]。同年3月30日に韓国の聯合ニュースが昨2013年から労働党書記室長の職に就いていると報じた[18]。同年4月3日、朝鮮通信は金正恩の妹の名前について朝鮮中央通信社が「金与正」と知らせてきたと報じた[3]

2014年9月3日に朝鮮中央通信は金与正を金正恩第一書記の同行者としての紹介する際の順番を副部長級より前に紹介したことで、権力序列から党書記級の実力者となった可能性が出た[19]。また、この2014年9月3日を最後に、金正恩は1ヶ月近く公の場に姿を見せず、動静が分からなくなった時は[20]の金与正が最高指導者を代行しているとの情報も出た[21]

2014年11月27日に放送された朝鮮中央放送のニュース番組では、「朝鮮労働党中央委員会副部長」の肩書きで報じられた[22]。思想統制や体制の宣伝を担当する「宣伝扇動部」、または党の中枢で人事などの権限を持つ「組織指導部」に所属しているという見方があった[23]

2015年1月2日、聨合ニュースが、金与正が崔竜海の次男の崔ソンと結婚したという見方を報じたが[24]2016年4月に訪朝した藤本健二によると、金正恩と金与正に面会した際に与正はまだ独身であると聞かされたという。また与正について金正恩から「朝鮮労働党の宣伝扇動部副部長を務めている」と聞かされたという[25][26]

2016年5月に開催された朝鮮労働党第7次大会で同党中央委員会委員に選出された。序列は43位であった[4]

金正日の後継者候補として[編集]

NHKスペシャル[27] で放映された内容によれば、一時期、金正恩とならび、金正日が金与正を後継者候補として考えていた時期があったという。同番組に出演した元ロシア極東連邦管区大統領全権代表・コンスタンチン・プリコフスキーは、2001年訪露した金正日に随行した際に「自分の子供の内、正恩と与正が政治に関心を示しており、これから二人のどちらかを教育して後継者にするつもりだ」と聞かされたと語っている。

金正日家系図[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Kim Jong-un The New York Times, May 15 2012
  2. ^ 北朝鮮、金正恩氏の妹の漢字表記を通知 日本経済新聞、2014年4月3日
  3. ^ a b 金正恩氏の妹、表記「金与正」に 朝鮮中央通信変える 朝日新聞 2014年4月3日
  4. ^ a b 北朝鮮党大会、金与正氏が党中央委に選出”. 東亜日報 (2016年6月1日). 2016年6月2日閲覧。
  5. ^ a b “正恩氏が投票、同行者に実妹?予正氏の名前”. 読売新聞. (2014年3月10日). http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20140309-OYT1T00470.htm 2014年3月10日閲覧。 
  6. ^ a b “正恩氏の妹、公式報道か 北朝鮮”. 朝日新聞. (2014年3月10日). http://www.asahi.com/articles/DA3S11020822.html 2014年3月10日閲覧。 
  7. ^ 北朝鮮、金正恩に随行して馬に乗る妹・金汝貞の姿を公開 中央日報、2012年11月20日
  8. ^ 金正恩体制の最重要人物は金正日妹の金慶喜 金玉は遠ざかるか NEWSポストセブン(SAPIO 2012年2月1・8日号)、2012年1月21日
  9. ^ キム・ジョンウン、キム・ヨジョンの留学時代の写真を追加公開 Daily NK 2010-06-08
  10. ^ 金正日第四任夫人曝光(圖) 鳳凰網 2010年10月02日
  11. ^ 韩国媒体: 金正日次子到新加坡 玩乐购物至少一周(图) 新西兰中文网 2011-2-17
  12. ^ 年輕女人陪同金正恩亮相 疑似金正日女兒 全球新聞 2011年12月21日
  13. ^ 「金正恩の妹キム・ヨジョンの権力高まる可能性」 中央日報 2012年02月16日
  14. ^ 謎に包まれたキム・ヨジョン、金正恩最側近となるか Daily NK 2012年4月6日
  15. ^ 「金正恩の妹、党代表者に非公式選出」 Daily NK 2012-04-06
  16. ^ 正恩氏が投票、同行者に実妹?予正氏の名前 読売新聞 2014年3月9日閲覧
  17. ^ 北選挙、投票した金第1書記に“妹”同行か 日テレNEWS24 2014年3月9日閲覧
  18. ^ 金第1書記妹、書記室長に=慶喜氏よりも重責-北朝鮮 時事通信 2014年3月30日
  19. ^ 金第1書記妹、昇格の可能性=党書記級の実力者か-北朝鮮 時事通信 2014年9月4日
  20. ^ ALASTAIR GALE (2014年10月8日). “姿見せぬ金正恩氏、深まる謎―実権喪失との説も”. ウォール・ストリート・ジャーナル. http://jp.wsj.com/news/articles/SB11713596470002413933104580201681650956348 2014年10月9日閲覧。 
  21. ^ “金正恩氏不在の北朝鮮、妹の金与正氏が代行就任か”. CNN. (2014年10月9日). http://www.cnn.co.jp/world/35054908.html 2014年10月9日閲覧。 
  22. ^ 金正恩第1書記の妹、朝鮮労働党中央委副部長に 読売新聞 2014年11月27日
  23. ^ 長砂貴英 (2014年12月18日). “キム総書記死去3年 北朝鮮は”. NHK NEWS WEB. http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_1218.html 2014年12月20日閲覧。 
  24. ^ 金第1書記の妹 ナンバー2・崔竜海の息子と結婚か 聨合ニュース 2015年1月日
  25. ^ “金正恩の唯一の友人が明かす平壌「極秘会談3時間」の一部始終 「私は戦争などする気はないのだ」スクープインタビュー”. (2016年4月27日). http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48646?page=2 2016年6月2日閲覧。 
  26. ^ “正恩氏「仕方なくミサイル撃っている」? 面会の元専属料理人に 日本世論にも関心”. 産経新聞. (2016年4月27日). http://www.sankei.com/world/news/160427/wor1604270042-n1.html 2016年4月27日閲覧。 
  27. ^ NHKスペシャル「キム・ジョンウン 北朝鮮の内幕」 2012年5月放映