市川哲史
いちかわ てつし 市川 哲史 | |
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生誕 | 1961年3月16日(62歳)![]() |
職業 | 音楽評論家 |
市川 哲史(いちかわ てつし、1961年3月16日[2] - )は、日本の音楽評論家[3]、編集者、ラジオパーソナリティ、大学非常勤講師。岡山県津山市出身[2]。O型。
プロフィール[編集]
大学浪人中の1980年[3]から13年間、『ロッキング・オン』の雑誌を中心に洋邦問わず音楽評論活動を続ける。
当時、硬派な雑誌であった『ROCKIN'ON JAPAN』にX・BUCK-TICKといった後にヴィジュアル系と呼ばれるようなバンドを積極的に取り上げる。アーティストとの呑みの場をレポートをしたコラム「市川哲史の酒呑み日記」も連載した。
1993年に独立して10月に『音楽と人』を創刊するが[4]、社長と編集長を同時に務めていた1998年に自律神経失調症とうつ病を発症して失踪し自殺未遂を起こす[5]。地元岡山で隠遁生活を送るが、21世紀に入って復帰し、『weekly oricon』(連載「“帰ってきた”音楽評論家 市川哲史のオリコン番外地」)などで執筆活動を行なった。
2005年にヴィジュアル系について綴った著作『私が「ヴィジュアル系」だった頃。』を、2006年に続編『私も「ヴィジュアル系」だった頃。』を、2008年に『さよなら「ヴィジュアル系」〜紅に染まったSLAVEたちに捧ぐ』(2冊を再編集し加筆を加え文庫化)を、2016年には『逆襲の<ヴィジュアル系>-ヤンキーからオタクに受け継がれたもの』を発表している。
現在はマイペースの音楽素浪人生活中。『日経エンタテインメント!』で連載した「市川哲史の音楽は人なり。」は、いまどき珍しい「正直すぎる」アーティスト評で、相変わらず業界内に波紋を起こした。
2017年から2022年にかけて、『ヘドバン』Vol.16よりコラム「市川哲史の酒呑み日記 ビヨンド」を連載した。
人物[編集]
- 元々は洋楽畑の評論家であり、プログレやニュー・ウェイヴなどの評論を多く手がけた。洋楽作品のライナーノーツは500を超える。ロキシー・ミュージック、ひいてはブライアン・フェリーを敬愛しており、学生時代、親を騙して中野サンプラザまで来日公演を見に行ったことを、ブライアン・フェリー『IN YOUR MIND』の再発CDのライナーノーツで告白。
- 『ROCKIN'ON JAPAN』時代の同僚に山崎洋一郎がおり、X・BUCK-TICK担当の市川とエレファントカシマシやフリッパーズ・ギター、ニューエスト・モデルといった、「軟派」なV系と対応する「硬派」なバンドを担当した山崎で雑誌のページをめぐった、激しい争奪戦が行われていた。
- 創刊から休刊までの『音楽と人』は、現在と異なり、メジャー路線であるにもかかわらず、自分のプッシュするアーティストはリリース時期やセールスとは関係なくインタビュー大盤振る舞いとなる相当個人的な音楽雑誌であった。BUCK-TICK関連やBLANKEY JET CITY、橘いずみなどが偏愛され、大槻ケンヂと市川のフリートーク「哲ケン対談」がレギュラー掲載されていた。また、「市川哲史嫌い」のコーネリアスや「カバに似てますね」発言の中村一義などと丁々発止のやりとりが行われた。
- 90年代、ロンドンに住んでいた土屋昌巳に雑誌とかCDを送っていた[6]。
- 岡山県立津山高等学校時代、放送部の先輩にドラマーの三原重夫(元ローザ・ルクセンブルグ、メトロファルス、ルースターズ他)がいた[7]。
- スペースシャワーTV創生期は、構成作家でありながら鈴木杏樹やリサ・ステッグマイヤーらと共にVJをやったり、『酒呑み日記』実況中継までオンエアしていた。また、NACK 5の『ミッドナイトロックシティ』パーソナリティー時代には、毎週ゲストが勝手に集結して、豪華メンバーによる宴会が生放送されていた。
- 「ヴィジュアル系」というジャンル名の直接的な名付け親という説があるが、自身の著書で否定している。
- ブライアン・フェリーやXTCの日本オンリーのコンピレーション、ジャパンの日本盤におけるレア・トラックのボーナス収録では世界初CD化等の偉業があり、ジャパンに関しては国内の有志達によるトリビュートアルバム『Life in Tokyo』のプロデュースまで手がけている。失踪直前、XTCの日本のみのコンピレーションの選曲を担当したが、ライナーノーツは間に合わなかった。
- 音楽ライター業を休止していた際には「GLAYに借金をした」や「愛人と蒸発した」などの心無い憶測が繰り広げられた。後に当時、体調を崩し、自殺未遂を繰り返し神経衰弱になっていた事が本人によって明らかになる(hideの追悼記事より)。
- 近年は、シアトル・マリナーズの城島健司に英語を話させた男・坂本充との英会話本や、バンダイの人気食玩シリーズ「ウルトラ怪獣名鑑」本、テレビドラマ作品のノベライズなど、意外な分野での仕事も見られる。
書籍[編集]
- X PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK(1990年、ロッキング・オン)ISBN 978-4947599162
- X PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK 復刻版(2008年、ロッキング・オン) ISBN 978-4860520731
- ART OF LIFE(1992年、ロッキング・オン、YOSHIKIとの共著) ISBN 4-947599-19-7
- BT8992 Buck‐Tick's metamorphosis1989-1992 (1992年、ロッキング・オン) ISBN 4-947599-21-9
- BJC(1993年、ロッキング・オン) ISBN 4-947599-23-5
- ROCK GIANTS 70'S(1993年、ロッキング・オン) 構成・編集・文=市川哲史/斉藤まこと 市川哲史によるROGER WATERS(ex.Pink Floyd)とROBERT FLIPP(King Crimson)のインタビューを収録。 ISBN 978-4947599247
- キリト 偽装 音楽業界(2003年、オリコン・エンタテインメント) ISBN 4871310582
- ORANGE RANGE チーズ☆バター☆ジューシーメー(2005年、オリコン・エンタテインメント) ISBN 4-847028015
- 私が「ヴィジュアル系」だった頃。(2005年、竹書房) ISBN 4-8124-2191-8
- 私も「ヴィジュアル系」だった頃。(2006年、竹書房) ISBN 4-8124-2643-X
- さよなら「ヴィジュアル系」〜紅に染まったSLAVEたちに捧ぐ(2008年、竹書房) 上記2冊を再編集し加筆を加え文庫化したもの。 ISBN 4-812434815
- ウルトラ怪獣名鑑戯画報 (名鑑シリーズ) (2008年8月26日、竹書房)幻のフィギュア「ナメゴン」(モノクロversion)付属。 ISBN 978-4812435656
- ウルトラ怪獣名鑑戯画報・インターネット限定版 (名鑑シリーズ) (2008年8月26日、竹書房) 幻のフィギュア「ナメゴン」(カラーversion)付属。 ISBN 978-4812435663
- 853〜刑事・加茂伸之介 上(2010年3月3日、竹書房)ドラマノベライズ ISBN 978-4812441503
- 853〜刑事・加茂伸之介 下(2010年4月20日、竹書房)ドラマノベライズ ISBN 978-4812441510
- 遺留捜査 (2011年6月25日、竹書房)ドラマノベライズ ISBN 978-4812446270
- 遺留捜査 2 (2012年9月7日、竹書房)ドラマノベライズ ISBN 978-4812490990
- 一所懸命(2013年1月25日、竹書房、鈴木奈々+市川哲史) ISBN 978-4812493120
- 「警察ドラマ」のトリビア 〜ドラマを100倍楽しむために(2014年、竹書房〈竹書房新書〉、倉科孝靖と共著) ISBN 978-4812496909
- 誰も教えてくれなかった本当のポップ・ミュージック論(2014年4月19日、シンコーミュージック) ISBN 978-4401639656
- 逆襲の<ヴィジュアル系>-ヤンキーからオタクに受け継がれたもの(2016年8月5日、垣内出版) ISBN 978-4773405002
- どうしてプログレを好きになってしまったんだろう(2016年12月21日、シンコーミュージック) ISBN 978-4401643264
- どうしてヘヴィ・メタルを好きにならなかったんだろう(2018年3月26日、シンコーミュージック) ISBN 978-4401645848
- すべての道はV系へ通ず。(2018年8月6日、シンコーミュージック)藤谷千明との共著 ISBN 978-4401646395
- プログレ「箱男」(2019年4月25日、シンコーミュージック)ISBN 978-4401647316
連載[編集]
コラム[編集]
- 雑誌
- 日経エンタテインメント!「市川哲史の音楽は人なり。」(2009年5月号 - 2012年4月号(最終回)、日経BP社)
- ヘドバン「市川哲史の酒呑み日記 ビヨンド」 (第1回:Vol.16(2017年11月24日発売号)[8] - 最終回:Vol.36(2022年11月5日発売号)、シンコー・ミュージックMOOK)
- Web
- カケハシ・レコード 「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」(2017年3月21日(第一回) - 、kakereco.com) 連載中
ラジオ[編集]
- MIDNIGHT ROCK CITY-金曜日と人-(1995年5月5日 - 1996年 3月29日、FM NACK 5)
- sioriと市川先生の夜の音楽室(2008年7月5日 - 9月27日、TBCラジオ)
脚注[編集]
- ^ “市川哲史 - Real Sound|リアルサウンド”. Real Sound (2016年8月27日). 2019年9月16日閲覧。
- ^ a b “一所懸命 / 鈴木 奈々/市川 哲史【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア”. 紀伊國屋書店 (2013年). 2019年9月16日閲覧。
- ^ a b Ichikawa, Fujitani 2018.
- ^ Ichikawa, Fujitani 2018, p. 348.
- ^ Ichikawa, Fujitani 2018, p. 290.
- ^ 音楽と人2019年5月号p28. 2019年5月10日閲覧。
- ^ 三原の公式サイトより。 https://web.archive.org/web/20191002185309/http://i.gmobb.jp/mihara/hitonoketu1.htm
- ^ ヘドバン Vol.16<シンコー・ミュージック・ムック>.シンコーミュージック・エンタテイメント.2017年12月2日閲覧。
参考文献[編集]
- 市川哲史、藤谷千明 (2018-08-26). すべての道はV系へ通ず。. シンコーミュージック・エンタテイメント. ISBN 978-4-401-64639-5