ローンチカスタマー
ローンチカスタマー (英: launch customer) とは、航空機メーカーに対して、新たな航空機(特に旅客機や貨物機)について、メーカーに製造開発を踏み切らせるだけの充分な規模の発注を行い、その新型機製造計画を立ち上げる(ローンチする)後ろ盾となる顧客(カスタマー)のことを指す。
目次
概要[編集]
中堅から大手の航空会社がローンチカスタマーとなることが一般的で、1社で数機〜数十機もの大量発注を行い、単独でローンチカスタマーになることもあれば、2社以上が共同で発注することである程度の数を確保することにより、複数の航空会社が同時にローンチカスタマーになる場合もある。
一般的には前者が多いが、高価で大量発注が難しいエアバスA380(旅客型)やボーイング747-8(貨物型)などの超大型機は2社がローンチカスタマーになった。同じ機種でもタイプごと(旅客型・貨物型の別や改良型)にローンチカスタマーが異なることも少なくない。キックオフカスタマーと呼ばれることもある(同義ではないとする見方もあるが、そもそもkick-off customerという用語は英語としてはあまり使われていない模様)。なお、ローンチカスタマーとなった航空会社は、新型航空機の設計に大きく関与する権利を得る。
必要性[編集]
ローンチカスタマーはメーカーに製造開発を踏み切らせるだけの充分な規模の発注を行うものであるが、これは1960年代ごろから航空機の高性能化や人件費の高騰により、開発費が大幅に増加したことが原因である。
メーカーにとっては、実機の開発に移るまでは設計者と図面だけであるため、大して費用はかからないが、いざ開発・生産に入れば、特に民間機は旅客の命や貨物を預かる必要が発生することから安全性が最優先され、さらに高い居住性を確保する必要も発生する。その分高い技術を必要とすることから、1機種で数千万から数億ドル単位のすさまじい開発費がかかってしまう。そうして完成した機体が、エアラインのニーズに見合わずに売れなければ、生産者にとって開発費がそのまま多額の負債となり、大幅なリストラクチャリングを迫られるか倒産の憂き目に遭うことになる。実際に多額の費用をかけて開発した旅客機が販売不振であったために事業撤退したロッキード社や、買収や吸収合併で会社が消滅したコンベア社やマクドネル・ダグラス社などの例もある(多数の職人と技能を必要とする航空機生産者にとって致命的なものとなる)。
そこで、新型機の構想段階で航空会社に需要などを打診すると共に受注を要請し、実際にどの程度のニーズがあるのか見極める手法として始められた。仮に航空会社から実際に一定規模の需要があれば、その後の発注も見込め採算に乗ることが期待できることから、その時点で開発製造を決定する。現在ではほぼ全ての中、大型機でこの開発手法が採られている。
機種別のローンチカスタマー[編集]
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大手2大航空機メーカー、ボーイング社とエアバス社を筆頭に、主要メーカーの機種におけるローンチカスタマーを例に挙げてみる。
- 注)ボーイング社の機種は下記以外の型式もあるが、代表的なそれを書いた。
ボーイング社[編集]
- ボーイング707
- ボーイング727
- ボーイング737
- ボーイング747
- 旅客型
(IC-インターコンチネンタルの略) - 貨物型(F-フレイターの略)
- ルフトハンザドイツ航空(-200F型)
- カーゴルックス航空(-400F型)
- エールフランス(-400ERF型)
- カーゴルックス航空(-8F型)
- キャセイパシフィック航空(-8F型)
- 旅客型
- ボーイング757
- ボーイング767
- ボーイング777
- 旅客型
- ユナイテッド航空(-200型)
- ブリティッシュ・エアウェイズ(-200ER型)
- キャセイパシフィック航空(-300型)
- 日本航空(-300ER型)[1]
- エールフランス(-300ER型)[1]
- パキスタン国際航空(-200LR型)
- 貨物型
- エールフランス(-200F型)
- 旅客型
- ボーイング787
- 全日本空輸(-8型)
- ニュージーランド航空(-9型)
- シンガポール航空(-10型)
旧マクドネル・ダグラス(ダグラス・エアクラフト)[編集]
エアバス社[編集]
ロッキード(現ロッキード・マーティン)[編集]
ボンバルディア[編集]
- DHC-8
- 琉球エアーコミューター(Q400CC)
日本のメーカー[編集]
脚注[編集]