2016年リオデジャネイロオリンピックの柔道競技

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リオデジャネイロオリンピックにおける柔道競技は、2016年8月6日から12日までオリンピックトレーニングセンターホール2で開催された。国際柔道連盟(IJF)管轄。

出場選手[編集]

本大会は前回大会同様、各階級とも男子32名、女子24名が出場。IJFワールドランキングに基づき、男子は上位22名、女子は14名が出場するが1カ国につき1名のみの出場となっている[1][2]。その他開催国枠、各大陸予選を勝ち抜いた選手が出場[3]

競技日程[編集]

時間はブラジル時間(UTC-3)。

  • 8月6日:男子60kg級、女子48kg級
  • 8月7日:男子66kg級、女子52kg級
  • 8月8日:男子73kg級、女子57kg級
  • 8月9日:男子81kg級、女子63kg級
  • 8月10日:男子90kg級、女子70kg級
  • 8月11日:男子100kg級、女子78kg級
  • 8月12日:男子100kg超級、女子78kg超級

競技結果[編集]

男子[編集]

種目
60kg級 ロシア ベスラン・ムドラノフ
ロシア (RUS)
カザフスタン エルドス・スメトフ
カザフスタン (KAZ)
日本 高藤直寿
日本 (JPN)
ウズベキスタン ディヨルベク・ウロズボエフ
ウズベキスタン (UZB)
66kg級 イタリア ファビオ・バシレ
イタリア (ITA)
韓国 アン・バウル
韓国 (KOR)
日本 海老沼匡
日本 (JPN)
ウズベキスタン リショド・ソビロフ
ウズベキスタン (UZB)
73kg級 日本 大野将平
日本 (JPN)
アゼルバイジャン ルスタム・オルジョフ
アゼルバイジャン (AZE)
ジョージア ラシャ・シャフダトゥアシビリ
ジョージア (GEO)
ベルギー ディルク・バンティヘルト
ベルギー (BEL)
81kg級 ロシア ハサン・ハルムルザエフ
ロシア (RUS)
アメリカ合衆国 トラヴィス・スティーブンス
アメリカ合衆国 (USA)
アラブ首長国連邦 セルジュ・トマ
アラブ首長国連邦 (UAE)
日本 永瀬貴規
日本 (JPN)
90kg級 日本 ベイカー茉秋
日本 (JPN)
ジョージア ヴァルラーム・リパルテリアニ
ジョージア (GEO)
中国 程訓釗
中国 (CHN)
韓国 郭同韓
韓国 (KOR)
100kg級 チェコ ルカシュ・クルパレク
チェコ (CZE)
アゼルバイジャン エルマール・ガシモフ
アゼルバイジャン (AZE)
日本 羽賀龍之介
日本 (JPN)
フランス シリル・マレ
フランス (FRA)
100kg超級 フランス テディ・リネール
フランス (FRA)
日本 原沢久喜
日本 (JPN)
イスラエル オル・サッソン
イスラエル (ISR)
ブラジル ラファエル・シルバ
ブラジル (BRA)

女子[編集]

種目
48kg級 アルゼンチン パウラ・パレト
アルゼンチン (ARG)
韓国 鄭普涇
韓国 (KOR)
日本 近藤亜美
日本 (JPN)
カザフスタン オトゴンツェツェグ・ガルバドラフ
カザフスタン (KAZ)
52kg級 コソボ マイリンダ・ケルメンディ
コソボ (KOS)
イタリア オデッテ・ジュフリーダ
イタリア (ITA)
日本 中村美里
日本 (JPN)
ロシア ナタリア・クジュティナ
ロシア (RUS)
57kg級 ブラジル ラファエラ・シルバ
ブラジル (BRA)
モンゴル ドルジスレン・スミヤ
モンゴル (MGL)
日本 松本薫
日本 (JPN)
ポルトガル テルマ・モンテイロ
ポルトガル (POR)
63kg級 スロベニア ティナ・トルステニャク
スロベニア (SLO)
フランス クラリス・アグベニュー
フランス (FRA)
イスラエル ヤーデン・ジェルビ
イスラエル (ISR)
オランダ アニカ・ファンエムデン
オランダ (NED)
70kg級 日本 田知本遥
日本 (JPN)
コロンビア ジュリ・アルベアル
コロンビア (COL)
ドイツ ラウラ・ヴァルガス=コッホ
ドイツ (GER)
イギリス サリー・コンウェイ
イギリス (GBR)
78kg級 アメリカ合衆国 ケイラ・ハリソン
アメリカ合衆国 (USA)
フランス オドレー・チュメオ
フランス (FRA)
ブラジル マイラ・アギアル
ブラジル (BRA)
スロベニア アナマリ・ベレンシェク
スロベニア (SLO)
78kg超級 フランス エミリ・アンデオル
フランス (FRA)
キューバ イダリス・オルティス
キューバ (CUB)
日本 山部佳苗
日本 (JPN)
中国 于頌
中国 (CHN)

各国メダル数[編集]

国・地域
1 日本 日本 3 1 8 12
2 フランス フランス 2 2 1 5
3 ロシア ロシア 2 0 1 3
4 イタリア イタリア 1 1 0 2
5 アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 1 1 0 2
6 ブラジル ブラジル 1 0 2 2
7 スロベニア スロベニア 1 0 1 2
8 アルゼンチン アルゼンチン 1 0 0 1
8 チェコ チェコ 1 0 0 1
8 コソボ コソボ 1 0 0 1
11 韓国 韓国 0 2 1 3
12 アゼルバイジャン アゼルバイジャン 0 2 0 2
13 ジョージア ジョージア 0 1 1 2
13 カザフスタン カザフスタン 0 1 1 2
15 コロンビア コロンビア 0 1 0 1
15 キューバ キューバ 0 1 0 1
15 モンゴル モンゴル 0 1 0 1
18 中国 中国 0 0 2 2
18 イスラエル イスラエル 0 0 2 2
18 ウズベキスタン ウズベキスタン 0 0 2 2
21 ベルギー ベルギー 0 0 1 1
21 イギリス イギリス 0 0 1 1
21 ドイツ ドイツ 0 0 1 1
21 オランダ オランダ 0 0 1 1
21 ポルトガル ポルトガル 0 0 1 1
21 アラブ首長国連邦 アラブ首長国連邦 0 0 1 1

概要[編集]

  • 女子52kg級に出場予定だったサウジアラビアのジョウド・ファーミイが今大会を欠場した。初戦を勝ち上がると2戦目でイスラエルのジリ・コーヘンと対戦することになるので、それを避けるために試合に出場しなかったのではないかとも指摘されている。しかし、サウジアラビアの公式筋はファーミイが事前の練習でケガをしたために欠場したのだと説明した[4]
  • 男子100kg超級の初戦で今大会銅メダルを獲得したイスラエルのオル・サッソンがエジプトのイスラーム・エルシャハビに一本勝ちしたが、その直後にサッソンが握手を求めるとエルシャハビは後ずさりをしてこれを拒み、畳から降りようとした。しかし、審判に呼び戻されて一礼はした。エルシャハビは自国の強硬派やマスコミからイスラエルとの対戦を拒否するように盛んに圧力がかけられていたという。それでも本人の意思により試合には出場したものの、握手は拒むこととなった。IJFによれば、柔道の試合で礼をすることは義務だが、握手は各選手の任意であるとの見解を示しており、この件で処分を科すか決まっていないという。一方でIOCは、「五輪精神に反した行動で受け入れることはできない」として事実関係を調査した結果、オリンピックにおけるフェアプレーと友好精神に悖る行為だと認めて厳重注意処分とした。また、エジプトオリンピック委員会にも選手への適切な教育を求めることとなった。後に本人は次のような釈明を行った。「試合の棄権を求める声もあり、試合前から重圧があった。柔道のルールを守った上で、(イスラエルを敵視する)アラブ人やイスラム教徒の感情を尊重し、握手は拒むことを決めた」「相手選手は過去にエジプト選手に握手を拒まれたことがある。私が握手を拒むと分かっていて、あえて近づいてきた。世界が注目する中、問題を政治化したのは相手選手だ」[5][6][7][8]
  • 男子73kg級の準決勝で大野将平巴投げで一本負けしたが銅メダルを獲得したベルギーのディルク・バンティヘルトは、試合後に浮かれ気分で練習パートナーとコパカバーナ海岸へ繰り出した。しかし、練習パートナーが強盗に携帯電話を奪われたので追いかけたところ、逆に強盗に顔面パンチを喰らった。当初、女の強盗に殴られたとの報道もなされたが、警察によれば殴ったのは間違いなく男の強盗だったという[9]
  • 男子81kg級の2回戦でレバノンのナシフ・エリアスが、アルゼンチンのエマヌエル・ルセンティに反則の対象となる肘の極め方をしたとして反則負けを言い渡された。これに納得がいかないエリアスは怒り狂いながら喚き散らして礼もせずに畳を降りた。1時間後、IJFに促されて再び畳に上がると礼をして結果を受け入れた。試合後にエリアスは、「感情をコントロールできなかった。柔道家として恥ずかしい。全ての人に謝りたい」とコメントした[10]
  • コソボの選手としてオリンピックで初めてのメダルとなる金メダルを獲得した女子52kg級のマイリンダ・ケルメンディが、2016年6月にフランス南部で合宿をしていた際にドーピング検査を拒否していたことが発覚した。しかし、この時は権限のない検査官からの打診だったため、ケルメンディのコーチがIJFに問い合わせたところ、応じる義務はないと助言されたことにより拒否したのだという。ドイツの選手もこの検査官に対して、これと同じ対応をした。その後に受けた検査では陰性だったこともあり、IJFはケルメンディ側に問題はなかったと結論付けた[11][12]
  • 女子57kg級の決勝戦で地元ブラジルのラファエラ・シルバがモンゴルのドルジスレン・スミヤと対戦すると、開始1分過ぎにシルバがドルジスレンの支釣込足朽木倒のような形で切り返して技ありを取った。このポイントを守りきったシルバが優勝することとなったが、ポイントを取った場面ではシルバの腕がドルジスレンの脚にもろに触れていたために、帯から下に触れる行為を反則負けとする現行ルールに抵触する行為だとして、モンゴルのファンからIJFのFacebookに抗議や侮辱の声が渦巻くことになった。これに対してIJFは、シルバはポイントを取った際に標準的な組み方をしており、テクニカルアセスメントに記されている「取が両手でしっかりと組んで攻撃している場合、攻撃中に(取の腕が)受の脚に触れてもよい」に違反しておらず、シルバの攻撃に問題はなかったとの公式見解を示した[13][14]
  • 前回のロンドンオリンピックで金メダルが0だった日本男子チームが今大会2個の金メダルを獲得した。また、1988年のソウルオリンピックで7階級制度になってから初めてとなる全階級でのメダル獲得ともなった。女子は金1つを含めて5個のメダルを獲得しており、これにより柔道競技では史上最多となる12個のメダルを獲得することになった。この結果に対して強化委員長の山下泰裕は、「もっと金が欲しかったが、世界のレベルは上がっている。日本柔道は完全復活したと世界はみている」と語った[15]。一方、国ぐるみによる組織的ドーピングの発覚で一時はオリンピックへの出場禁止の可能性もあったロシアは、前回の3個には及ばなかったものの2個の金メダルを獲得した[16]。前回2個の金メダルを獲得した韓国は世界ランキング1位になったことのある選手が男子に4名もおり、自国では史上最強チームともみなされていたが、銀メダルと銅メダルの2個に終わった。女子は銀1個だったが、アトランタオリンピック以来20年ぶりに決勝進出を果たした[17]。また、今大会では男子100kg超級でフランスのテディ・リネール、女子78kg級でアメリカのケイラ・ハリソンがそれぞれオリンピック2連覇を達成した[18]

優勝者の世界ランキング[編集]

男子[編集]

60kg級  ロシアの旗 ロシア ベスラン・ムドラノフ  16位
66kg級  イタリアの旗 イタリア ファビオ・バシレ  29位
73kg級  日本の旗 日本 大野将平  6位
81kg級  ロシアの旗 ロシア ハサン・ハルムルザエフ  6位
90kg級  日本の旗 日本 ベイカー茉秋  1位
100kg級   チェコ ルカシュ・クルパレク 3位
100kg超級  フランスの旗 フランス テディ・リネール 1位

女子[編集]

48kg級  アルゼンチンの旗 アルゼンチン パウラ・パレト 2位
52kg級  コソボの旗 コソボ マイリンダ・ケルメンディ  2位
57kg級  ブラジルの旗 ブラジル ラファエラ・シルバ  14位
63kg級  スロベニアの旗 スロベニア ティナ・トルステニャク 1位
70kg級  日本の旗 日本 田知本遥 12位
78kg級  アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ケイラ・ハリソン 1位
78kg超級  フランスの旗 フランス エミリ・アンデオル 5位

(出典[19]JudoInside.com)。

世界ランキング1位の成績[編集]

男子[編集]

60kg級 大韓民国の旗 韓国 金源鎮 7位
66kg級 大韓民国の旗 韓国 アン・バウル 銀メダル
73kg級 大韓民国の旗 韓国 安昌林 3回戦敗退
81kg級 ジョージア (国)の旗 ジョージア アブタンディル・チリキシビリ 5位
90kg級 日本の旗 日本 ベイカー茉秋 金メダル
100kg級 アゼルバイジャンの旗 アゼルバイジャン エルマール・ガシモフ 銀メダル
100kg超級 フランスの旗 フランス テディ・リネール 金メダル

女子[編集]

48kg級 モンゴルの旗 モンゴル ムンフバット・ウランツェツェグ 5位
52kg級  ルーマニア アンドレア・キトゥ 7位
57kg級 モンゴルの旗 モンゴル ドルジスレン・スミヤ 銀メダル
63kg級 スロベニアの旗 スロベニア ティナ・トルステニャク 金メダル
70kg級 オランダの旗 オランダ キム・ポリング 2回戦敗退
78kg級 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ケイラ・ハリソン 金メダル
78kg超級 中華人民共和国の旗 中国 于頌 銅メダル

(出典[19]JudoInside.com)。

日本人選手の成績[編集]

男子[編集]

60kg級 高藤直寿  銅メダル
66kg級 海老沼匡  銅メダル
73kg級 大野将平  金メダル
81kg級 永瀬貴規  銅メダル
90kg級 ベイカー茉秋 金メダル
100kg級 羽賀龍之介 銅メダル
100kg超級 原沢久喜 銀メダル

女子[編集]

48kg級 近藤亜美 銅メダル
52kg級 中村美里 銅メダル
57kg級 松本薫  銅メダル
63kg級 田代未来 5位
70kg級 田知本遥 金メダル
78kg級 梅木真美 2回戦敗退
78kg超級 山部佳苗 銅メダル

(出典[19]JudoInside.com)。

脚注[編集]

  1. ^ “Rio 2016 – IJF Judo Qualification System” (PDF). IJF. http://www.intjudo.eu/upload/2014_02/06/139168400889764938/2014_02___rio_2016___qualification_system___final___judo___en_1.pdf 2015年3月28日閲覧。 
  2. ^ Osbourne, Paul (2014年2月18日). “International Judo Federation reveals Rio 2016 qualification process”. Inside the Games. http://www.insidethegames.biz/sports/summer/judo/1018472-international-judo-federation-reveals-rio-2016-qualification-process 2015年3月28日閲覧。 
  3. ^ 第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)柔道競技 出場資格制度について
  4. ^ Saudi judo competitor 'forfeits her first round match to avoid going up against an Israeli'
  5. ^ エジプト選手、イスラエル選手との握手拒否 IOC、事実関係調査へ
  6. ^ リオ五輪柔道、エジプト選手がイスラエル選手の握手拒む 会場からブーイング
  7. ^ 【五輪柔道】握手拒否のエジプト選手に厳重注意処分 IOC「フェアプレーと友好精神に反する」 すでに本国送還
  8. ^ エジプト:「重圧あった」リオ五輪で握手拒否の柔道選手 毎日新聞 2016年9月14日
  9. ^ 柔道銅メダリストの顔面青あざ、そのトホホな理由…強盗追いかけ逆襲に!?
  10. ^ 判定に激高のレバノン選手、1時間後に反省し謝罪 - 柔道
  11. ^ 柔道女子金メダルのケルメンディが検査拒否…6月にフランスで
  12. ^ 柔道女子ケルメンディに過失なし 6月の薬物検査拒否で
  13. ^ IJFルール2014-2016テクニカルアセスメント
  14. ^ Le ippon de Silva, nouveaux éclaircissements
  15. ^ 男子、本家復権へ一歩=全7階級でメダル
  16. ^ Khalmurzaev wins Russia's 2nd judo gold of Rio Olympics
  17. ^ S. Korean judo unable to live up to hype
  18. ^ Judo Olympic Games 2016
  19. ^ a b c judobase.org

外部リンク[編集]