永瀬貴規

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獲得メダル
日本の旗 日本
男子 柔道
世界選手権
2015 アスタナ 81kg級
世界団体
2014 チェリャビンスク 81kg級
2015 アスタナ 81kg級
ワールドマスターズ
2015 ラバト 81kg級
グランドスラム
2013 東京 81kg級
2014 東京 81kg級
2016 バクー 81kg級
2014 パリ 81kg級
2015 東京 81kg級
ユニバーシアード
2013 カザニ 81kg級

永瀬 貴規(ながせ たかのり、1993年10月14日 - )は、長崎県長崎市出身の日本柔道選手。階級は81kg級。身長181cm。組み手は右組み。段位は弐段。得意技は内股[1][2]。現在は旭化成に所属[3]

経歴[編集]

柔道は6歳の時に世界選手権の中量級で2位になった大叔父の平尾勝司が師範を務める養心館で兄とともに始めた[4][5]。小学校高学年になると修喩館にも通うようになった[1][2]長崎大学教育学部附属小学校5年の時には全国小学生学年別柔道大会の40kg級に出場するが、栃木県代表の高藤直寿に敗れて5位だった。6年の時には45kg級に出場するが、再び高藤に敗れてベスト16止まりだった。なお、小学生当時から会場で兄や上級生の試合を熱心に観戦したり、テレビ放映された柔道大会を録画して技を覚えていくなど研究熱心な姿勢を見せていた。また、両親からは大会で負けても決して叱られることはなかったという[5]長崎大学教育学部附属中学校3年の時には全国中学校柔道大会の66kg級に出場するが、舞鶴中学3年の竪山将に判定で敗れて5位だった[2]

柔道部監督の松本太一に「オレと一緒に日本一になろう」と熱心な勧誘を受けて長崎日大高校に進学すると、早くも1年の時には高校選手権の81kg級で優勝を飾った。2年の時にはインターハイの個人戦と団体戦でともに5位にとどまった。3年の時には8月のインターハイで優勝を果たした[1]。9月の全日本ジュニアでは決勝で天理大学1年の丸山剛毅内股すかしで敗れるが、11月の講道館杯では高校生ながら3位となった[6]。12月のエクサンプロヴァンスジュニア国際では優勝を飾った。なお、中学高校時代は他のヨーグルトより酸味が少なくタンパク質が豊富なカスピ海ヨーグルトを毎日食していたという[5]

2012年には筑波大学に進学して全日本ジュニアで優勝すると、続くアジアジュニアでも優勝を飾った[1][7]。2年の時にはロシアのカザニで開催されたユニバーシアードに出場すると、決勝でウズベキスタンのヤヒョー・イマモフを大外刈の技ありで破って優勝を果たした。また、団体戦でも優勝を飾った[8][9]。11月の学生体重別団体ではチームの優勝に貢献すると、続く講道館杯でも優勝を飾った[1]グランドスラム・東京に出場した時点では世界ランキングが126位に過ぎなったにもかかわらず、準々決勝で世界2位であるグルジアアブタンディル・チリキシビリ足車で破ると、準決勝ではロンドンオリンピック5位であるパーク24中井貴裕に合技で一本勝ち、決勝でも世界チャンピオンのフランスロイク・ピエトリを足車で破って5試合オール一本勝ちで優勝を飾った。これにより、世界ランキングが一挙に23位にまで上昇した[10]

2014年2月のグランドスラム・パリでは、準々決勝でチリキシビリの前に指導3で敗れて3位にとどまった。4月の体重別では決勝でJRA長島啓太を指導3で破って今大会初優勝を飾り、世界選手権代表に選ばれた[11]。続く全日本選手権では、2回戦で体重別100kg級優勝の熊代佑輔を小外刈、準々決勝で体重別90kg級優勝の吉田優也を指導2、準々決勝で元チャンピオンで100kg超級の高橋和彦を有効で破る健闘を見せるが、準決勝では東海大学4年の王子谷剛志に合技で敗れたものの、81kg級の選手ながら3位入賞を果たした[12]。8月の世界選手権では準々決勝でチリキシビリに指導3で敗れると、その後の3位決定戦でもピエトリに技ありで敗れて5位に終わった[13]世界団体では、準決勝のグルジア戦で世界王者のチリキシビリと再戦して、GSの末に内股で有効を奪ってチームの勝利を決定付けると、決勝では地元ロシアの選手に大内刈で一本勝ちして、チームの優勝に貢献した[14]。12月のグランドスラム・東京では、準々決勝でオリンピックチャンピオンである韓国金宰範を技ありで破ると、準決勝では世界チャンピオンであるチリキシビリを小外掛で昨年に続いて一本勝ち、決勝ではUAEセルジュ・トマゴールデンスコアに入ってから指導3で破って、今大会2連覇を達成した[15]

2015年2月にはグランプリ・デュッセルドルフに出場するものの、初戦でベラルーシの選手に背負投で一本負けを喫した。4月の体重別では決勝で長島を指導3で破って2連覇を果たして、世界選手権代表に選ばれた[16]。5月のワールドマスターズでは決勝でロシアのイワン・ニフォントフ崩上四方固で破って初優勝を飾った[17]。6月の全日本学生柔道優勝大会では大会8連覇を狙った東海大学と決勝で対戦すると、代表戦において100kg級のウルフ・アロンを指導2で破り、筑波大学を国公立大学として初めてとなる優勝へ導いた[18][19]。 8月の世界選手権では準決勝でチリキシビリを有効で破ると、決勝ではピエトリに崩上四方固で一本勝ちして優勝を飾った。日本選手がこの階級で優勝するのは初めてのこととなった(前身の階級である78kg級を含めると、1995年の世界選手権古賀稔彦が優勝して以来20年ぶりになる)[4][20][21]世界団体では決勝で勝利するなどしてチームの優勝に貢献した[22]。10月の学生体重別団体では準々決勝で東海大学と対戦して引き分けると、チームも敗れて5位にとどまった。12月のグランドスラム・東京では準決勝で韓国のイ・スンスと対戦すると、指導1でリードした中盤に内股を仕掛けたが跨れたために、股間の下に入り込んだ左手が相手の上裾を掴んだ状態から、相手を掬い投げのように勢いよく投げた。しかしながら、それがポイントにならないどころか、反則負けの対象となる足取りと見なされて3位に終わり、今大会3連覇はならなかった。監督の井上康生ジュリーに対して、一連の攻撃では下半身に触れておらずルール上反則にならないと猛然と抗議した。ビデオで何度もチェックし直すと、下半身には触れていなかったことが明らかになったために、審判側は誤審を認めて謝罪した。だが、結局判定が覆ることはなかった。永瀬を指導する筑波大学総監督の岡田弘隆は、「主審は仕方がない。ビデオでチェックするジュリー(審判委員)の知識と理解が足りなかった。ちょっとレベルを疑います」とコメントした[23][24][25]

2016年4月の選抜体重別では決勝でJRA長島啓太を技ありで破って今大会3連覇を飾り、リオデジャネイロオリンピック代表に選出された[26]。代表決定後の会見では、「何が何でも金メダルを取りたい。相手が嫌がるような柔道をする」とコメントした[27]。 5月のグランドスラム・バクーでは準決勝で世界ジュニアチャンピオンであるオランダのフランク・デウィットと対戦して技ありを先取されるも終了間際に技ありを取り返し、GSに入ってから指導を取って逆転勝ちすると、決勝ではブルガリアのイワイロ・イワノフを小外刈で破って優勝を飾った[28][29]

世界ランキング[編集]

IJF世界ランキングは2641ポイント獲得で2位(16/8/1現在)[30]

  • 世界ランキングの年度別変遷
2013年 2014年 2015年
順位 23 10 2

(出典[1]JudoInside.com)。

戦績[編集]

以降は81kg級での戦績

(出典[1]JudoInside.com)。

有力選手との対戦成績[編集]

(2016年8月現在)

国籍 選手名 内容
グルジアの旗 アブタンディル・チリキシビリ 4勝2敗
フランスの旗 ロイク・ピエトリ 2勝1敗
アラブ首長国連邦の旗 セルジュ・トマ 2勝
カナダの旗 アントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ 2勝
ロシアの旗 イワン・ニフォントフ 2勝
ブルガリアの旗 イワイロ・イワノフ 1勝
韓国の旗 金宰範 1勝

(参考資料:ベースボールマガジン社発行の近代柔道バックナンバー、JudoInside.com等)。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 「柔道全日本強化選手名鑑 2016」近代柔道 ベースボールマガジン社、2016年4月号
  2. ^ a b c 「解体新書 永瀬貴規」近代柔道 ベースボールマガジン社、2014年1月号、28-31頁
  3. ^ 柔道部 | 旭化成株式会社
  4. ^ a b 永瀬「2強」破って初の世界王者 苦戦続いた男子81キロ級に光  産経新聞 2015年8月27日
  5. ^ a b c 永瀬貴規母・小由利さん、鋼ボディー作ったカスピ海ヨーグルト サンケイスポーツ 2015年12月2日
  6. ^ 柔道 長崎日大高 永瀬81㌔級で3位 講道館杯で高校生初入賞
  7. ^ 筑波大学柔道部 部員紹介
  8. ^ 柔道永瀬が金、山県100m決勝へ/ユニバ 日刊スポーツ 2013年7月8日
  9. ^ Universiade Kazan 2013 - DAY 2 Results
  10. ^ 強いぞ永瀬、オール一本で初優勝/柔道 日刊スポーツ 2013年11月30日
  11. ^ 高藤、海老沼、大野を選出=世界選手権代表-全柔連 時事通信 2014年4月6日
  12. ^ 21歳の王子谷が初優勝 決勝で上川に一本勝ち MSN産経ニュース 2014年4月6日
  13. ^ 田代が銅メダル、永瀬は5位 世界柔道 日本経済新聞 2014年8月28日
  14. ^ 男子が団体金、女子は銅 柔道世界選手権 日本経済新聞 2014年8月31日
  15. ^ 永瀬頼もしV2「81キロ級で世界で勝てるのは僕だけ」 スポーツニッポン 2014年12月7日
  16. ^ 海老沼、中矢ら選出=世界選手権代表-柔道 時事通信 2015年4月5日
  17. ^ 永瀬が優勝=柔道マスターズ 時事通信 2015年5月25日
  18. ^ 筑波大、国公立勢初の優勝=東海大の8連覇阻止-全日本学生柔道男子 時事通信 2015年6月28日
  19. ^ 筑波大・永瀬が初優勝の立役者 世界選手権で雪辱誓う/柔道 サンケイスポーツ 2015年6月28日
  20. ^ 柔道世界選手権81キロ級 永瀬が日本勢初優勝 NHK 2015年8月27日
  21. ^ World Championships 2015, Astana
  22. ^ 日本、団体で男女アベック優勝 柔道世界選手権 日本経済新聞 2015年8月30日
  23. ^ 永瀬、準決勝で魔さか反則負け…意地の銅でリオ五輪代表は内定/柔道 サンケイスポーツ 2015年12月6日
  24. ^ 永瀬、韓国選手に不可解な反則負け! 審判長は謝罪 朝日新聞 2015年12月6日
  25. ^ 【柔道グランドスラム誤審騒動】“被害者”永瀬の師匠は怒り収まらず 東京スポーツ 2015年12月8日
  26. ^ 近藤、松本らリオ五輪代表=男子は永瀬、大野ら選出-柔道 時事通信 2016年4月3日
  27. ^ 【リオ五輪代表会見コメント集】田知本「チャンピオンになって帰ってきたい」 サンケイスポーツ 2016年4月4日
  28. ^ 永瀬が優勝=柔道グランドスラム 時事通信 2016年5月7日
  29. ^ Baku Grand Slam 2016 - Azerbaijan
  30. ^ World ranking list

外部リンク[編集]