チャレンジャー2

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チャレンジャー2
Challenger 2 Main Battle Tank patrolling outside Basra, Iraq MOD 45148325.jpg
性能諸元
全長 11.55m
車体長 8.3m
全幅 3.52m
全高 3.04m
重量 62.5t
懸架方式 ハイドロニューマチック式
速度 59km/h
行動距離 450km
主砲 L30A1 55口径120mm ライフル砲
弾薬搭載量52発)
副武装 L94A1 EX-34 7.62mm同軸機銃
L37A2 7.62mm機関銃
装甲 チョバム・アーマー
エンジン Perkins CV-12
4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル
1,200HP(895kW)
乗員 4名
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チャレンジャー2(FV4034 Challenger 2)は、イギリスが開発した主力戦車チャレンジャー1の改良型。

コソボ紛争ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争イラク戦争などに参戦。2035年まで運用する予定と発表されている。オマーンでも採用され、中東向け輸出仕様のチャレンジャー2Eと呼ばれる改良型も存在する。

開発経緯[編集]

1986年ヴィッカース・ディフェンス・システムズチャレンジャー1に代わる次期主力戦車として独自開発を始めた。その後、ヴィッカースはイギリス国防省にチャレンジャー2の計画書を提出した。1988年12月にイギリス国防省はヴィッカースと契約を結び、試作車を作るよう9,000万ポンドの支援を行った。

しかし、他社の参入で競争が発生し、M1A2 エイブラムスレオパルト2ルクレールなどが候補にあがったが、1991年6月にイギリス国防省は5億2,000万ポンドでチャレンジャー2を127両と同車の訓練車両13両を発注した。1993年にはオマーンがチャレンジャー2を18両注文した。イギリスも翌年の1994年に259両のチャレンジャー2と9両の訓練車両を追加発注して、8億ポンドを支払った。

これらの生産は、2箇所の工場で1993年から開始され、1994年7月に最初のチャレンジャー2が部隊へ届いた。その後、ヴィッカース・ディフェンス・システムズはロールス・ロイス・ホールディングス、次いでアルヴィス plcによる買収を経て、2004年以降はアメリカ合衆国に本部を置くBAE システムズ・ランド・アンド・アーマメンツのランド・システムズ・ウェポンズ・アンド・ビークルズ部門によって製造が行われ、下請契約の数は250を超えた。

チャレンジャー1はすべて退役し、現在はチャレンジャー2と交替している。

チャレンジャー1からの改善点[編集]

チャレンジャー2のプラットホームは、チャレンジャー1から大幅な変更はされていないため、外見はさほど変わらない。しかし、砲塔は再設計されており、問題の有った暗視装置の位置を砲塔の右から砲塔前部中央上面(主砲基部上に同軸配置)に移動し、前・側面装甲の改善を実施している。また、ステルス性の付与という情報もある[1]

L30A1 55口径120mm ライフル砲

主砲L11A5から新型の長砲身化したL30A1 55口径120mm(4.724インチ)ライフル砲に換装している[2]。これは、エレクトロスラグ再溶解鋼によって製造されているため主砲自体がかなりの強度をもっており、砲身内はクロミウム合金によって裏打ちされている。砲身の先端には砲口照合装置(マズル・レファレンス・システム)の反射鏡が、また、中間には排煙器が取り付けられている。砲身の指向は電動式で、ジャイロによって安定が保たれている。

ライフル砲が採用されたのは、イギリス陸軍粘着榴弾(HESH)の装備が続いていることに起因しているが、APFSDSなどの装弾筒付弾薬と比べて射距離が長いこと、建物装甲の薄い目標に対して効果があること、劣化ウラン弾およびタングステン弾よりも安価であること、ライフル砲は一般的に滑腔砲より命中精度が高いことなどがあげられる。搭載弾薬劣化ウランAPFSDS・タングステン合金APFSDS・HESH・煙幕弾のいずれかを選択できる[3]。間もなく劣化ウランAPFSDSのCHARM 1は改良されたCHARM 3で代替され、タングステン合金APFSDSもCHARM 2が導入される。イギリスでは慣例となっている弾薬分離式であるが、射撃速度の低下には至っておらず、むしろ、装薬が装甲化された保管庫に入れられているため、生存性の向上に繋がっている。

主砲左に同軸L94A1 EX-34 7.62mm チェーンガンが装備されている。対空用にもL37A2 7.62mm機関銃が装填手ハッチ前部に装備されており、7.62mm弾薬は4,200発が搭載されている。

電子機器[編集]

主砲を含め、火器は全てエレクトリック・コントロール、スタビライゼーション・システムによって操作が可能である。コンピュータカナダのコンピューティング・デバイス(ジェネラル・ダイナミクス)社製32ビット・プロセッサー2基とMIL STD1553B データバスが搭載されており、戦場情報システム(BICS)の能力がある。

車長SAGEM社製VS 580-10旋回式パノラマサイトとレーザー測距儀が使用でき、有効範囲は仰俯角±35度である。また、計8個のペリスコープが備えられており、全周の視界が確保されている。砲塔の360度旋回は、9秒で完了する。タレス社製TOGS II 赤外線装置も搭載されており、暗視装置も使用できる。この映像は、車長だけでなく砲手のモニターにも表示できる。砲手はレーザー測距儀による200メートルから10キロの安定した視界を得ることができる。操縦士にはタレス社製のPDP映像強化型ペリスコープが用意されており、これで夜間の視界も確保できる。

近代化[編集]

イギリス陸軍は、チャレンジャー2に対してライフル砲から滑腔砲への換装を計画していた。計画名称はCLIP(Challenger Lethality Improvement Programme)といい、120mm ライフル砲で使用する砲弾がすでに製造されていないこと、砲弾と装薬が別々の分離装薬式で装填に手間がかかること、他のNATO諸国との互換性がないこと、といった問題を一挙に解決するために行うものであった。計画では、ドイツラインメタル社製55口径120mm滑腔砲を搭載する見込みであったが、予算不足により計画は中止。今後の予定は立っていない。

ERA、スラットアーマーなどで防御力を強化されたチャレンジャー2

一方、防御力の強化は段階的に行われており、コソボ紛争に派遣された車両には車体前面・側面スカート部にERA モジュール装甲が装着され、2003年イラク戦争派遣車両には、ほぼ同様の装備が標準化されていた。イラク戦争後の駐留時には、砲塔側面にもERAが装着され、車体と砲塔の後半部にはスラット・アーマー(バー・アーマー)が装着されるようになった。2008年-2009年頃にアフガニスタンに派遣された車両では、前述のERA、バー・アーマーに加え、偽装網・対IEDアンテナなどが追加装備され、一部の車両にはRWS(リモートコントロール式機銃)が装備されていた。

派生型[編集]

タイタン架橋戦車(TITAN Armoured Vehicle Launcher Bridge, AVLB)
チャレンジャー2の車体を使用した架橋戦車
トロージャン(Trojan Armoured Vehicle Royal Engineers, AVRE)
油圧アームやドーザーブレードを装備した戦闘工兵車。AVREは"Armoured Vehicle Royal Engineers"の略。
CRARRV
装甲回収車型。CRARRVは"Challenger Armoured Repair and Recovery Vehicle"の略。元々はチャレンジャー1の車体を基に開発された装甲回収車だが、近年、履帯・起動輪・転輪などがチャレンジャー2と同じ物にアップグレードされている。また、戦車型と同様に、ERAバー・アーマーなどを追加装備された車両も存在する。

採用国[編集]

登場作品[編集]

ゲーム[編集]

エースコンバット6 解放への戦火
ガングリフォン
ガングリフォンII
大戦略シリーズ
バトルフィールド2
EU戦車として登場する。

脚注[編集]

  1. ^ コーエー刊『戦車名鑑 1946~2002 現用編』71頁
  2. ^ Products & Services Challenger 2 - BAE Systems
  3. ^ RO Defence 120mm tank gun ammunition - Jane's

外部リンク[編集]