タリス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
タリス

タリス: Thalys)とは、フランスベルギーオランダドイツの4カ国を結ぶ高速列車ユーロスターと同様、フランスのTGVを基本にしており、電化方式の異なる区間を走行するため、様々な工夫が施されている。 最高速度は300km/h

1996年1月より運転を開始し、同年6月アムステルダムまで延長、また1997年12月10日ケルンまでの系統が運行を開始した。 運営会社は「タリス・アンテルナシオナル」(: Thalys International)社で、本社はベルギーのブリュッセルに置かれている。株式保有比率は、フランス国鉄60%・ベルギー国鉄40%である。フランス国内でのテロ事件を受けて、2015年12月より乗車前に保安検査が実施される事になった。[1]

運行概況[編集]

タリス 路線図
KHSTa
ブール=サン=モーリス (スキー)
LSTR KHSTa
マルセイユ・サンシャルル (夏季)
LABZrg LSTRrf
(途中駅省略)
HST
マルヌ=ラ=ヴァレ=シェシー
HST FLUG
シャルル・ド・ゴール空港第2TGV
STR KBHFa
0:00 パリ(北駅)
STRlf ABZlg
ABZrg KHSTr
リール(ユーロップ駅) (2014-)
ZOLL
フランス/ベルギー国境
exSTRrg exLSTRq exLSTRq eABZrf
exHST STR
モンス (-2012)
exHST STR
シャルルロワ(南駅) (-2012)
exHST STR
ナミュール (-2012)
exLSTR BHF
1:22 ブリュッセル(南駅)
exLSTR STRrg STRq ABZgrxl exSTRlg
exLSTR ABZlf STRlg STR exLSTR
exLSTR STR KBHFe STR exLSTR
ブリュッセルナショナル空港
exLSTR STR FLUG STR exHST
ヘント(シント・ピーテルス駅) (-2012)
exLSTR STR STR exHST
ブルッヘ (-2012)
exLSTRlf eABZlg STR exKHSTe
2:45 オーステンデ (-2012)
BHF STR
2:21 リエージュ(ギユマン駅)
LSTR eHST
アントウェルペン(ベルヘム駅) (-2007)
LSTR exSTRrg eABZrf
LSTR exSTR BHF
2:04 アントウェルペン(中央駅) (2007-)
LSTR exSTRlf eABZlg
LSTR ZOLL
ベルギー/オランダ国境
LSTR BHF
2:41 ロッテルダム(中央駅)
LSTR eABZlf exSTRlg
LSTR STR exBHF
デン・ハーグ(HS駅) (-2009)
LSTR eABZrg exSTRrf
LSTR BHF FLUG
3:03 スキポール
LSTR KBHFe
3:21 アムステルダム(中央駅)
ZOLL
ベルギー/ドイツ国境
BHF
2:46 アーヘン(中央駅)
BHF
3:14 ケルン(中央駅)
BHF
3:45 デュッセルドルフ(中央駅)
HST FLUG
3:59 デュッセルドルフ空港
BHF
3:59 デュースブルク(中央駅)
BHF
4:12 エッセン(中央駅)
KBHFe
4:46 ドルトムント(中央駅)

時間はパリ北駅からの最速所要時間

系統[編集]

フランスのパリからベルギーのブリュッセルを経由し、オランダのアムステルダムおよびドイツのケルンに至る系統が基本である。このほかパリからベルギー国内主要都市に向かう系統が存在する。

2010年6月ダイヤ改正時点での系統別の1日当たりの運行本数は以下の通り。なおダイヤは曜日によって異なるため、以下では平日の本数(月曜または金曜のみ運転のものを除く)を掲げる。

上記のほか、スキーシーズンにはアルプス方面へ、夏のリゾートシーズンにはマルセイユまで、アムステルダムまたはブリュッセルから週末に運転されることもある。フランス国内の停車駅は以下の通り。

最も本数の多いパリ-ブリュッセル間では、6時台から21時台まで30分間隔(一部60分または90分間隔)のパターンダイヤが組まれ、パリ発は毎時01分・25分発、ブリュッセル発は毎時13分・37分発を基本とする。この区間では、行先の異なる編成を2本併結することもある。

パリ - ブリュッセル間ではLGV北線およびベルギー高速鉄道1号線を、ブリュッセル - アムステルダム間ではベルギー高速鉄道4号線およびオランダ南高速線を、ブリュッセル - リエージュ間ではベルギー高速鉄道2号線を、リエージュ - ドイツ国境間ではベルギー高速鉄道3号線アーヘン - ケルン間ではケルン-アーヘン高速線をそれぞれ走行する。

主な停車駅[編集]

主な都市での停車駅は以下の通り

アントウェルペンでは、当初アントウェルペン中央駅が頭端式の構造だったため、アントウェルペン始発・終着の列車以外は中央駅に乗り入れず、アントウェルペン=ベルヘム駅に停車していた。2007年に中央駅の地下を経由してアントウェルペン市内を縦断する新線が開通したため、同年12月9日からアムステルダム方面行の全列車が中央駅経由になり、ベルヘム駅は通過となった。アントウェルペン中央駅周辺の改良も参照。

過去の系統[編集]

ケルン方面行の列車の一部は1998年から2002年までデュッセルドルフまで延長運転されていた。(その後、ドルトムント行き設定に伴い復活) リエージュ方面行の列車の一部は2011年までナミュール経由で運行されていた。 2007年3月31日まで、一部の列車はパリ北駅ではなくパリ郊外のLGV東連絡線にあるシャルル・ド・ゴール空港第2TGV駅を経由しマルヌ・ラ・ヴァレ-シェシー駅ディズニーランド・パリの最寄り駅)を発着駅としていた。

シャルル・ド・ゴール空港第2TGV駅はシャルル・ド・ゴール空港と直結しており、エールフランスが就航していたパリ-ブリュッセル間の路線をタリスが置き換えた。その代わり、タリスの座席の一部はエールフランスの利用枠として確保されていた。その後ノースウエスト航空アメリカン航空も、鉄道サービスをコードシェアとして利用することに同意し、シャルル・ド・ゴール空港とブリュッセル南駅でサービスが行われていた。このため、タリスはIATAから2桁コードが指定されており、ブリュッセル南駅にもIATAコードが付けられている。KLMなどが加盟する航空アライアンスであるスカイチームはタリスの鉄道サービスを利用しスキポール空港とアントウェルペン=ベルヘム駅、ブリュッセル南駅間でコードシェアすることに同意していた。

2007年4月1日以降タリスと航空機のコードシェアは廃止され、代わってTGVがシャルル・ド・ゴール空港-ブリュッセル間のコードシェア運行を行なっている。

車両[編集]

PBA型
PBKA型

下記の通り走行区間毎に異なる電源方式に対応するため、タリス-PBA型とタリス-PBKA型が存在する。

  • LGV、フランスのパリ以北・マルセイユ以東およびアルプス地域の在来線 - 交流25kV50Hz
  • フランスのパリ以南及びオランダの在来線 - 直流1.5kV
  • ベルギーの在来線 - 直流3kV
  • ドイツ - 交流15kV16 2/3Hz

国によって複線区間の通行方向が異なる(フランス・ベルギーは左側通行、オランダ・ドイツは右側通行)ため、運転台は中央に配置している。

各国の信号システムに対応するため、複数の信号システムを搭載する。

  • フランス:TVM・KVB
  • ベルギー:TBL・TBL2
  • オランダ:ATB
  • ドイツ:INDUSI(PZB)・LZB

また、欧州汎用信号システムであるERTMSのレベル2(ERTMS2)対応が進められている。

PBA型、PBKA型とも10両編成で、8両の連接式客車の両端を、2両の動力車(機関車)で挟んでいる。 客車部分は順に一等車3両、ビュッフェ二等合造車1両、二等車4両の構成である。一編成あたりの定員は377名。

PBA型[編集]

フランス・ベルギー・オランダ乗入れ用車両。発着ターミナル駅であるパリ・ブリュッセル・アムステルダムの頭文字から命名された。 3電源(直流1.5kV・直流3kV・交流25kV50Hz)に対応する。 信号システムはTVM・KVB・TBL・ATB・ERTMS2に対応する。 汎用型TGV車両である、TGV-R型がベースである。

フランス国鉄のみが、4531型として10編成を保有する。

PBKA型[編集]

フランス・ベルギー・ドイツ・オランダ乗入れ用車両。パリ・ブリュッセル・ケルン・アムステルダムの頭文字から命名された。 4電源(直流1.5kV・直流3kV・交流25kV50Hz・交流15kV16 2/3Hz)に対応する[2]。 信号システムはTVM・KVB・TBL・TBL2・ATB・INDUSI・LZB・ERTMS2に対応する。 両端の動力車(機関車)は、2階建てTGV車両であるTGV Duplex型が、客車はTGV-R型がベースである。

4カ国の鉄道事業者が保有し、フランス国鉄は4341型、ベルギー国鉄は4300型、オランダ鉄道は4300型、ドイツ鉄道は409型として、それぞれ保有する。計17編成が存在する。

パリ - ブリュッセル間やパリ - アムステルダム間など、ドイツに乗入れない運用にもつく。 ICEのエシェデ事故後に、車両不足を補うため周辺各国から車両が貸し出され、代走列車に使用されたが、タリスも貸し出されてドイツ国内を走行した[3]

歴史[編集]

  • 6月4日:パリ - ブリュッセル、アムステルダム間で運行開始。パリ - リール間のLGV北線以外は在来線走行し、
    パリからの所要時間はブリュッセルまで2時間07分、アムステルダムまで4時間47分。
  • 12月14日:ベルギーでHSL1が開業し、パリからの所要時間はブリュッセルまで1時間25分に短縮
    、同時にドイツのアーヘンとケルン、ベルギーのブルージュ、シャルルロワ、ヘント、モンス、ナミュール、オーステンデに乗り入れ開始。
  • 6月14日:ベルギーでHSL3が開業し、ブリュッセル - ケルン間が高速化。
  • 12月13日:ベルギーでHSL4、オランダでHSL-Zuidが開業し、アントワープ - アムステルダム間が高速化
  • 10月4日:冬ダイヤよりナミュール経由リエージュ方面、ブリュッセル経由オーステンデ方面の運行を休止[4]
  • 7月11日:ドイツ鉄道(DB)が撤退し、2015年までにSNCFとSNCBが共同で設立する新会社での運行となることを決定。[5]
  • 8月10日:累積利用客数が1億人に達する。[6]
  • 冬ダイヤよりデュッセルドルフ空港駅に乗り入れ開始。
  • 4月3日:設立した子会社を通じて、LCCやライドシェアリングに対抗するための廉価版列車IZYをパリ - ブリュッセル間にて運行開始予定

輸送実績[編集]

タリス年間輸送人員と営業収入
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
輸送人員 4,72[8] 4,98[9] 5,5[10] 5,8[11] 6,0[12] 5,8[13] 5,95[14] 6,15[15] 6,5[16] 6,2[17] 6,5[18] 6,07[19] 6,45[19] 6,65[20] 6,60[21]
営業収入 60[22] 115[23] 190 220 266 294 310 301 318 335 363 364 392 382 432 470 479

単位:乗客数は百万人。 収入は100万ユーロ

将来[編集]

建設中のベルギー高速鉄道3号線(リエージュ - ベルギー・ドイツ国境)、ベルギー高速鉄道4号線(アントウェルペン - ベルギー・オランダ国境)、オランダ南高速線(オランダ・ベルギー国境 - スキポール)が完成すると、タリスは高速新線経由となり、例えばパリ - アムステルダム間は現在よりも1時間短い約3時間で結ばれる予定である。これらの区間は、欧州統一信号システムであるERTMSレベル2が導入されるため、タリス型車両の対応が進められている。

2009年から2010年にかけて車内や外装のリニューアルが行われる。最初に施工されたのはPBA型の4537編成で、2009年1月8日に竣工セレモニーが実施された[24]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ AFPBB News [1]<高速列車乗客に保安検査を開始、仏パリ北駅 Thalys introduces security gates after Paris attacks>
  2. ^ 世界の高速列車(hochgeschwindigkeitszüge.com)[2]によると、当初Thalys International社は、ケルン-ライン=マイン高速線が開業した暁にはこの路線経由でPBKAをフランクフルトへ延長することを希望したが、タリスが交流15kV下で低出力であるため走行条件を満たさないことは既定事項であり、この計画が具体化することはなかった(Der Plan musste aber ad acta gelegt werden.)。こちら[3]にも同様の記載あり。
  3. ^ Erik's Rail News [4]
  4. ^ (フランス語)Thalys suspend totalement la circulation de ses trains le 3 octobre
  5. ^ (英語)Thalys restructuring approved by partners
  6. ^ (英語)Thalys passes 100 million mark
  7. ^ (ブルームバーグ)ブリュッセル孤立-テロで空港閉鎖、タリスやドイツ鉄道も運行停止
  8. ^ Unknown (20 januari 1999). “Thalys trook 57 procent meer treinreizigers in 1998; NMBS: Internationaal treinverkeer zit duidelijk in de lift.”. De Financieel-Economische Tijd: p. 26 
  9. ^ Unknown (2000年2月8日). “Thalys vervoert bijna 5 miljoen passagiers”. NRC Handelsblad: p. 15 
  10. ^ Unknown (2001年1月10日). “Opnieuw goed jaar voor Thalys”. De Financieel-Economische Tijd: p. 9 
  11. ^ Van der Heide, Lolke (2002年7月27日). “Vliegen zonder vleugels ; Hogesnelheidstrein komt nog niet los van strijd om nationaal belang”. NRC Handelsblad: p. 11 
  12. ^ Unknown (6 januari 2003). “Thalys: zes miljoen passagiers in 2002”. Nieuws.nl. http://buitenland.nieuws.nl/67003l 
  13. ^ Unknown (16 januari 2004). “Thalys vervoert minder passagiers”. BN/De Stem 
  14. ^ Unknown (20 januari 2005). “Recordjaar voor Thalys”. Rotterdams Dagblad (Rotterdam): p. 716 
  15. ^ Unknown (3 januari 2006). “Kort Nieuws”. AD/Algemeen Dagblad: p. 15 
  16. ^ Unknown (10 januari 2007). “6,5 miljoen reizigers voor Thalys”. De Tijd: p. 4 
  17. ^ Unknown (16 januari 2008). “Thalys verliest reizigers maar behoudt omzet”. De Tijd: p. 6 
  18. ^ Thalys.com 2008
  19. ^ a b Volkskrant (2011)
  20. ^ Press release Thalys
  21. ^ Press release Thalys
  22. ^ Botman, Hans (27 maart 1999). “Thalys raast door”. Algemeen Dagblad: p. 49 
  23. ^ Van Gelder, Harry (26 maart 1999). “Belgen, Fransen, Duitsers en Nederlanders exploiteren hogesnelheidslijn liever samen ; Europese spoorbedrijven verwerpen concurrentie”. De Volkskrant (Brussels): p. 2. http://www.volkskrant.nl/vk/nl/2680/Economie/archief/article/detail/491319/1997/03/22/Thalys-levert-NS-komende-jaren-200-miljoen-verlies-op.dhtml 
  24. ^ Olivier Constant「タリス リニューアル車デビュー」、『鉄道ファン』2009年4月号(通巻576号)、交友社、2009年2月、 pp. 132-133。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]