ハイパーループ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
車両部のイメージ図
イメージ

ハイパーループ (Hyperloop) とは、アメリカ合衆国実業家イーロン・マスクが構想を発表した次世代交通システム。2013年8月に公表された。

2016年にカリフォルニア州の州間高速道路5号線沿いの街にテスト路線を建設し、2018年を目処に旅客輸送を予定している[1]

背景[編集]

サンフランシスコロサンゼルスを結ぶカリフォルニア高速鉄道の計画(総工費約700億ドル)が、イーロンには建設コストが高過ぎて遅過ぎるうえに実用的でないとの認識があり、自身が経営するスペースX社とテスラモーターズ社の従業員からアイデアを募った[2]

概要[編集]

減圧(100pa程度)されたチューブをガイドとして、チューブ内を空中浮上(非接触)して進む。車体のうち先頭車両は鋭角ノーズとし、1車両あたり28人を想定。車両前面からチューブ内のエアを搭載したファンで吸い込み、底面から圧縮排出して車体を浮上させる。建設を想定している区間はロサンゼルスとサンフランシスコ間(全長610km)で、加速度0.5G程度で加速し、30分で結ぶ。最高速度は時速1,220km。建設には、期間が20年以上で全体建設費用見込みは75億ドル(7,100億円)を見込む。チューブの建設費用が必要経費の主要部分を占め、車体の経費は合計で10億ドル未満[3][4]。現在はロサンゼルスを拠点とするHyperloop Transportation Technologies(HTT)と、Hyperloop Oneの2社が開発を競う[5]。ポッド等、各要素技術はコンペ形式で採用する見通し[6]

Hyperloop Oneは5月11日にネヴァダ州で初の公開テストを実施して4秒間の走行で時速186kmを達成した[5]

現状と課題[編集]

綿密に調査を進めていくと様々な課題が浮上した。減圧した管内の維持に必要なエネルギー、車両へのエネルギーの供給(車載の蓄電池を使用する案があるものの、それでは不十分であることが判明)[7]、減圧下での浮上高の維持、管内の放熱、高速走行時の空気抵抗(管の直径が不十分だと空気抵抗が増すことが判明)等、問題が浮上している[8][9][10]。それらの課題の中には空気浮上、空気推進という当初の概念を維持する限り解決の目処の立たないものもある。

上述の理由により、従来進めてきた空気浮上を放棄してHyperloop Transportation Technologies (HTT)は2016年5月9日、ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)との間で、ハイパーループ・システムの浮上方式としてインダクトラック方式を独占的に使用するライセンス契約を締結したことを発表した[11][12][13]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

磁気浮上式鉄道
リニアモータ方式\磁気浮上方式 電磁吸引方式 電磁誘導方式
支持・案内分離式 支持・案内兼用式
地上一次リニア同期モータ トランスラピッド(TR-05〜、ドイツ)
M-Bahn(旧西ドイツ)
CM1(中国)
  超電導リニア(日本)
EET(旧西ドイツ)
MAGLEV 2000(アメリカ合衆国)
車上一次リニア誘導モータ KOMET(旧西ドイツ)
EML(日本)
HSST(日本)
バーミンガムピープルムーバ(イギリス)
トランスラピッド(TR-02・TR-04、旧西ドイツ)
トランスアーバン(旧西ドイツ)
ROMAG(アメリカ合衆国)
 
推進方式未定
(リニアモータも可能)
インダクトラック(アメリカ合衆国)