オレイン酸

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オレイン酸
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識別情報
CAS登録番号 112-80-1 チェック
ChemSpider 393217 ×
日化辞番号 J2.460K
KEGG C00712
ChEMBL CHEMBL8659 ×
IUPHARリガンド 1054 チェック
特性
化学式 C18H34O2
モル質量 282.46 g mol−1
外観 Pale yellow or brownish yellow oily liquid with lard-like odor
密度 0.895 g/mL
融点

13.4 °C, 287 K, 56 °F [1]

沸点

360 °C, 633 K, 680 °F [2][3](標準気圧<1atm>ではこの温度で分解する)

への溶解度 不溶
エタノールへの溶解度 可溶
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC:1005(日本語)
KIS-NET (日本語)
JT Baker(英語)
NFPA 704
NFPA 704.svg
1
0
0
関連する物質
関連物質 エライジン酸 (trans異性体)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

オレイン酸(オレインさん、: oleic acid、数値表現 18:1(n-9)または18:1(Δ9))は動物性脂肪植物油に多く含まれている脂肪酸である。分子式 C18H34O2、示性式 CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH で、炭素原子間の二重結合を介して結合している一価の不飽和脂肪酸である。シス型のシスモノエン脂肪酸。18:1 (n-9) の略号で表される。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[4]

オレイン酸の命名は、オリーブ (Olea europaea) の油から単離されたことが由来である。浅黄色から黄褐色をした液体で、ラードのようなにおいをしている。水には溶けず、クロロホルムアセトンエチルエーテルなどの有機溶媒に溶ける。比重は25℃で 0.89、融点 16.3℃。オリーブ油などの不乾性油チョコレートに多く含まれる。二重結合をひとつしか含まないので酸化されにくいが、飽和脂肪酸と比較すれば当然酸化されやすい。

オレイン酸は皮膚刺激性が少なく、クリームやローション等の化粧品の原料に多く用いられている。

不飽和脂肪酸共通の性質は不飽和脂肪酸の項に詳しい。

生成、変換[編集]

植物、微生物、ヒトを含めた動物の体内では、脂肪酸シンターゼによってアセチルCoAマロニルCoAから直鎖の飽和脂肪酸が作られる。順次アセチルCoAが追加合成されるので原則脂肪酸は偶数の炭素数となる。体内で余剰の糖質タンパク質等が存在するとアセチルCoAを経て、飽和脂肪酸の合成が進む。脂肪酸の合成は炭素数16のパルミチン酸で一旦終了する。16:0のパルミチン酸は、長鎖脂肪酸伸長酵素により、18:0のステアリン酸に伸張される。ステアリン酸は、体内でステアロイルCoA 9-デサチュラーゼ(Δ9-脂肪酸デサチュラーゼ)によりステアリン酸のw9位に二重結合が生成されてω-9脂肪酸の一価不飽和脂肪酸である18:1のオレイン酸が生成される[5]。融点70℃のステアリン酸が融点16℃のオレイン酸に変換されることで体内の脂肪酸の融点が下がり、体温環境下で脂肪酸を液体に保ち、流動性を増加させる。

例えば豚の体脂肪であるラードや牛の体脂肪であるヘットにはオレイン酸が全脂肪中50%近く含まれている。母乳の全脂肪中の1/3がオレイン酸で占められている。

このオレイン酸から、植物や微生物中で、ω6位に二重結合を作るΔ12-脂肪酸デサチュラーゼ によりオレイン酸の二重結合が一個増えてω-6脂肪酸であるリノール酸が生成される。ついでω3位に二重結合を作るΔ15-脂肪酸デサチュラーゼ によりリノール酸の二重結合が更に一個増えてω-3脂肪酸であるα-リノレン酸が生成される。ヒトを含めた後生動物にはリノール酸・α-リノレン酸を作る酵素が存在しないので、これらの不飽和脂肪酸は必須脂肪酸となる[6]

植物油の脂肪酸組成[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ICSC 国際化学物質安全性カード オレイン酸
  2. ^ Young, Jay A. (2002). “Chemical Laboratory Information Profile: Oleic Acid”. Journal of Chemical Education 79: 24. Bibcode 2002JChEd..79...24Y. doi:10.1021/ed079p24. http://www.acs.org/content/dam/acsorg/about/governance/committees/chemicalsafety/safetypractices/clip-oleic-acid.pdf. 
  3. ^ National Toxicology Program, Chemical Properties, CAS:112-80-1
  4. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  5. ^ Oshino N, Imai Y, Sato R (1971). “A function of cytochrome b5 in fatty acid desaturation by rat liver microsomes”. J. Biochem. 69 (1): 155-167. PMID 5543646. 
  6. ^ Olga Sayanova, Richard Haslam, Irina Guschina, David Lloyd, William W. Christie, John L. Harwood and Johnathan A. Napier (2006). “A Bifunctional Δ12,Δ15-Desaturase from Acanthamoeba castellanii Directs the Synthesis of Highly Unusual n-1 Series Unsaturated Fatty Acids”. The Journal of Biological Chemistry 281: 36533-36541. doi:10.1074/jbc.M605158200. 
  7. ^ a b USDA National Nutrient database, Release 24,28”. United States Department of Agriculture. 2012/3/26,2016/03/21閲覧。
  8. ^ Fats, Oils, Fatty Acids, Triglycerides”. Scientific Psychic (R). 2012年3月26日閲覧。
  9. ^ 特に引用の表示がない場合、脂肪酸の値はUSDA National Nutrient databaseの値を掲載している。ω3-ω9の値については一部Scientific Psychic(R)の値となっている。
  10. ^ a b c d e f g Wolke, Robert L. (2007年5月16日). “Where There's Smoke, There's a Fryer”. The Washington Post. http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/05/15/AR2007051500398.html 2011年3月5日閲覧。 
  11. ^ Nutiva, Coconut Oil Manufacturer,http://nutiva.com/the-nutiva-kitchen/coconut-oil-recipes/
  12. ^ The Culinary Institute of America (2011). The Professional Chef. New York: Wiley. ISBN 0-470-42135-5. 
  13. ^ Scheda tecnica dell'olio di palma bifrazionato PO 64.
  14. ^ 精製度により発煙点は大きく変わる

関連項目[編集]

外部リンク[編集]