オレイン酸

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オレイン酸
構造式
分子模型
分子式 C18H34O2
分子量 282.47
CAS登録番号 [112-80-1]
密度 0.89 g/cm3, 液体 (25 ℃)
融点 16.3 °C
沸点 195 °C/100 Pa
SMILES CCCCCCCC\C=C/CCCCCCCC
(O)=O
出典 ICSC, NIST

オレイン酸(オレインさん、oleic acid)は動物性脂肪植物油に多く含まれている脂肪酸である。炭素原子間の二重結合を介して、CH3(CH2)8 と (CH2)8COOH が結合している一価の不飽和脂肪酸である。シス型のシスモノエン脂肪酸。18:1 (n-9) の略号で表される。

オレイン酸の命名は、オリーブ (Olea europaea) の油から単離されたことが由来である。浅黄色から黄褐色をした液体で、ラードのようなにおいをしている。水には溶けず、クロロホルムアセトンエチルエーテルなどの有機溶媒に溶ける。比重は25℃で 0.89、融点 16.3℃。オリーブ油などの不乾性油チョコレートに多く含まれる。二重結合をひとつしか含まないので酸化されにくいが、飽和脂肪酸と比較すれば当然酸化されやすい。

オレイン酸は皮膚刺激性が少なく、クリームやローション等の化粧品の原料に多く用いられている。

不飽和脂肪酸共通の性質は不飽和脂肪酸の項に詳しい。

生成、変換[編集]

植物、微生物、ヒトを含めた動物の体内では、脂肪酸シンターゼによってアセチルCoAマロニルCoAから直鎖の飽和脂肪酸が作られる。順次アセチルCoAが追加合成されるので原則脂肪酸は偶数の炭素数となる。体内で余剰の糖質タンパク質等が存在するとアセチルCoAを経て、飽和脂肪酸の合成が進む。脂肪酸の合成は炭素数16のパルミチン酸で一旦終了する。16:0のパルミチン酸は、長鎖脂肪酸伸長酵素により、18:0のステアリン酸に伸張される。ステアリン酸は、体内でステアロイルCoA 9-デサチュラーゼ(Δ9-脂肪酸デサチュラーゼ)によりステアリン酸のw9位に二重結合が生成されてω-9脂肪酸の一価不飽和脂肪酸である18:1のオレイン酸が生成される[1]。融点70℃のステアリン酸が融点16℃のオレイン酸に変換されることで体内の脂肪酸の融点が下がり、体温環境下で脂肪酸を液体に保ち、流動性を増加させる。

例えば豚の体脂肪であるラードや牛の体脂肪であるヘットにはオレイン酸が全脂肪中50%近く含まれている。母乳の全脂肪中の1/3がオレイン酸で占められている。

このオレイン酸から、植物や微生物中で、ω6位に二重結合を作るΔ12-脂肪酸デサチュラーゼ によりオレイン酸の二重結合が一個増えてω-6脂肪酸であるリノール酸が生成される。ついでω3位に二重結合を作るΔ15-脂肪酸デサチュラーゼ によりリノール酸の二重結合が更に一個増えてω-3脂肪酸であるα-リノレン酸が生成される。ヒトを含めた後生動物にはリノール酸・α-リノレン酸を作る酵素が存在しないので、これらの不飽和脂肪酸は必須脂肪酸となる[2]

植物油の脂肪酸構成[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Oshino N, Imai Y, Sato R (1971). “A function of cytochrome b5 in fatty acid desaturation by rat liver microsomes”. J. Biochem. 69 (1): 155-167. PMID 5543646. 
  2. ^ Olga Sayanova, Richard Haslam, Irina Guschina, David Lloyd, William W. Christie, John L. Harwood and Johnathan A. Napier (2006). “A Bifunctional Δ12,Δ15-Desaturase from Acanthamoeba castellanii Directs the Synthesis of Highly Unusual n-1 Series Unsaturated Fatty Acids”. The Journal of Biological Chemistry 281: 36533-36541. doi:10.1074/jbc.M605158200. 
  3. ^ a b c d e Nutrient database, Release 24”. United States Department of Agriculture. 2012年3月26日閲覧。 All values in this column are from the USDA Nutrient database unless otherwise cited.
  4. ^ a b c Fats, Oils, Fatty Acids, Triglycerides”. Scientific Psychic (R). 2012年3月26日閲覧。 All values for ω-3, ω-6, ω-9 fats (not hydrogenated) are from Scientific Psychic (R) unless otherwise cited.
  5. ^ a b c d e f g Wolke, Robert L. (2007年5月16日). “Where There's Smoke, There's a Fryer”. The Washington Post. http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/05/15/AR2007051500398.html 2011年3月5日閲覧。 
  6. ^ Nutiva, Coconut Oil Manufacturer,http://nutiva.com/the-nutiva-kitchen/coconut-oil-recipes/
  7. ^ The Culinary Institute of America (2011). The Professional Chef. New York: Wiley. ISBN 0-470-42135-5. 
  8. ^ Scheda tecnica dell'olio di palma bifrazionato PO 64.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]