オシリス・レックス
| オシリス・レックス | |
|---|---|
|
オシリス・レックス(想像図) | |
| 所属 | NASA, UA |
| 主製造業者 | LM |
| 国際標識番号 | 2016-055A |
| カタログ番号 | 41757 |
| 状態 | 運用中 |
| 目的 | 小惑星サンプルリターン |
| 観測対象 | ベンヌ |
| 打上げ機 | アトラス V |
| 打上げ日時 |
2016年9月8日 19時5分(EDT) |
| ランデブー日 | 2019年(予定) |
| 物理的特長 | |
| 質量 | 1,529kg |
| 主な推進器 | 200Nスラスター × 4 |
| 姿勢制御方式 | 三軸制御方式 |
| 搭載機器 | |
| OCAMS | OSIRIS-Rexカメラ |
| OVIRS | 可視赤外分光計 |
| OTES | 熱放射分光計 |
| OLA | レーザー高度計 |
| TAGSAM | サンプル採取メカニズム |
| 引用資料[1][2][3][4] | |
オシリス・レックス(英語: Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, Security, Regolith Explorer、OSIRIS REx)はアメリカ航空宇宙局ゴダード宇宙飛行センター(NASA/GSFC)がアリゾナ大学月惑星研究所などと共同開発しているベンヌからのサンプルリターンを目的とした宇宙探査機である。日本語では「オサイレス・レックス」「オサイリス・レックス」とも表記され、「アメリカ版はやぶさ」と呼ばれることもある[5]。ニュー・フロンティア計画の3番目のミッションであり、2016年9月に打ち上げが成功した。2018年12月3日にベンヌ付近(距離19キロメートル)へ到達。2019年1月1日にベンヌから2キロメートル以内に接近し、周囲を61時間で一周する軌道に入った[6]。 2020年にベンヌ表面から試料を採取し、2023年に地球へ持ち帰る予定である[7][8]。
概要[編集]
炭素質の地球近傍小惑星であるベンヌの詳細観測とサンプルリターン、ヤルコフスキー効果の観測を主目的としており[9]、また、2020年代に実施する有人小惑星探査の重要な一歩として位置づけられている[3]。総事業費は約10億ドルである[3]。
NASAは2017年2月、ベンヌへ向け飛行中のオシリス・レックスに、地球と太陽のラグランジュ点の一つ、L4に存在する可能性がある小惑星を観測するミッションを追加した[10]。
経緯[編集]
当初は「オシリス」という名称であった。2004年にアリゾナ大学とロッキード・マーティンによりディスカバリー計画の11番目のミッションの候補として初めて提案されたが、チャンドラヤーン1号へ相乗りする観測機器が選定されたため採用されなかった[11]。2006年にはゴダード宇宙飛行センターが加わり、同計画12番目のミッションの候補として再提案された[11]。理学、工学、ミッションデザインなどで良評価を得て、月探査機GRAILや金星探査機ヴェスパーとともに最終候補まで残ったものの、最終的にGRAILが採用されたため不採用となった[11]。不採用となった理由は、ディスカバリー計画の$425Mまでという予算枠に対して高すぎると判断されたためである[11]。その後、名称をオシリス・レックスへ変更し、ロケットを除き$650Mまで[9]とディスカバリー計画より多い予算をもつニュー・フロンティア計画の3番目のミッションとして2009年に再提案された[11]。同年12月29日には月サンプルリターン探査機ムーン・ライズや金星着陸機セイジとともに最終候補に残り[12]、2011年5月25日にニュー・フロンティア計画3番目のミッションとして正式に決定した[13]。採用されたのは3つの候補のうちマネジメントおよびコストの面で科学的目標が最も実現可能だと判断されたためである[3]。
2014年4月にミッションの詳細設計審査 (CDR) を終了し、製造フェーズへの移行が認められた[14]。
サンプルの採取方法[編集]
オシリス・レックスは、アームの先端に付けたTAGSAM という円盤形状の装置を小惑星の表面に押し付け、窒素ガスで表面物質を吹き飛ばしてサンプルを採取する方式を採用している。サンプルを採取した後は、TAGSAMはアームを使って回収カプセルに内に収納される。サンプルする物質は60グラム以上を想定している[15]。
JAXAとの協力[編集]
日本のJAXAと、NASAは、「はやぶさ2」とオシリス・レックスで回収したサンプルをシェアすることで2014年11月17日に両宇宙機関長が協定に署名した。NASAは、「はやぶさ2」のサンプル(1g以上を目標、最大では数g)の10%を、JAXAはオシリス・レックスのサンプル(60g以上を目標、最大では2kg)の0.3gを得る。この協定は、どちらかのミッションが失敗しても保証される。またNASAは、ディープスペースネットワークを使った「はやぶさ2」の深宇宙通信をサポートする[16]。
経過と予定[編集]
- 2016年9月8日 - 打ち上げ
- 2017年1月17日 - 深宇宙マニューバ
- 2017年9月17日 - 地球スイングバイ
- 2018年12月3日 - ベンヌ付近に到着(本体の着陸はせず、サンプル回収アームTAGSAMを使ってタッチアンドゴー方式で表面サンプルを(最大3箇所)採取する予定)
- 2021年3月21日 - 地球に向けて出発
- 2023年9月24日 - カプセルの地球帰還
名前を搭載するイベント[編集]
NASAはオシリス・レックスに世界中の人々の名前を載せるイベントを2014年1月から9月30日まで実施した。名前はマイクロチップにエッチングする形で搭載される。カプセルは2023年に地球へ戻ってくるが、名前は衛星本体に搭載されたままになるため、カプセルを地上に回収した後も探査機と共に飛び続ける[17]。
出典[編集]
- ^ Frank Morring, Jr. (2011年5月31日). “NASA Plans Asteroid Sample Return” (英語). Aviation Week (マグロウヒル) 2011年6月8日閲覧。
- ^ “OSIRIS REx Factsheet (PDF)” (英語). NASA. 2011年5月27日閲覧。
- ^ a b c d Victoria Jaggard (2011年5月25日). “NASA Asteroid Mission Set for 2016” (英語). ナショナルジオグラフィック 2011年5月26日閲覧。
- ^ “OSIRIS-REx Wins UA's Largest Grant Ever” (英語). アリゾナ大学 (2010年5月25日). 2010年5月26日閲覧。
- ^ 米国版「はやぶさ」、小惑星探し『日経産業新聞』2017年2月15日(先端技術面)。
- ^ 「日米が迫る"双子"小惑星/探査が本格化 互いの試料、交換へ」『朝日新聞』朝刊2019年1月17日(科学面)2019年1月22日閲覧。
- ^ “NASA's OSIRIS-REx Spacecraft Arrives at Asteroid Bennu”. NASAホームページ(RELEASE 18-109). 2018年12月4日閲覧。
- ^ 「小惑星ベンヌ 水の成分確認/NASAの探査機」 『日本経済新聞』夕刊2018年12月11日(社会・スポーツ面)掲載の共同通信配信記事、2018年12月26日閲覧。
- ^ a b Dante Lauretta (2008年6月5日). “The mission Osiris (PDF)” (英語). Marco Polo Workshop. 2011年5月26日閲覧。
- ^ “NASA's OSIRIS-REx Begins Earth-Trojan Asteroid Search”. NASAホームページ. 2017年5月13日閲覧。
- ^ a b c d e Michael Drake, Dante Lauretta (2009年5月18日). “The Genealogy of OSIRIS-REx (PDF)” (英語). International Symposium Marco Polo and other Small Body Sample Return Missions. 2011年5月26日閲覧。
- ^ “NASA Chooses Three Finalists for Future Space Science Mission to Venus, an Asteroid or the Moon” (英語). NASA (2009年12月29日). 2011年5月26日閲覧。
- ^ “NASA to Launch New Science Mission to Asteroid in 2016” (英語). NASA (2011年5月25日). 2011年5月26日閲覧。
- ^ “Construction to Begin on NASA Spacecraft Set to Visit Asteroid in 2018”. NASA. (2014年4月10日) 2014年4月12日閲覧。
- ^ “OSIRIS-REx Investigates Asteroid Bennu (CGビデオ)”. NASA. (2013年5月16日) 2013年8月10日閲覧。
- ^ “NASA, JAXA reach asteroid sample-sharing agreement”. Spaceflightnow. (2014年12月15日) 2014年12月23日閲覧。
- ^ “NASA Invites Public to Send Names on an Asteroid Mission and Beyond”. NASA. (2014年1月15日) 2014年1月26日閲覧。
関連項目[編集]
- ニュー・フロンティア計画: ジュノー、ニュー・ホライズンズに次いで3番目に選定
- はやぶさ
外部リンク[編集]
- オシリス・レックス計画 NASA公式サイト(英語)
- OSIRIS REx Factsheet (NASA/GSFC)(英語)
- NASA - Solar System Exploration(英語)
- オサイレス・レックス (オシリス・レックス) - 月探査情報ステーション
- 月探査情報ステーションブログ - NASA、新たな小惑星探査計画として「オサイレス・レックス」を選定
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