エニアグラム

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エニアグラムの一つ

エニアグラム(円九分割図:enneagram)とは、円周を九等分して作図される図形である。円周上の九つの分割点に1から9までの番号を振り、3-6-9の点を結んで正三角形を描き、さらに1-4-2-8-5-7の点を直線で結んだ図形を描く。1-4-2-8-5-7は、1を7で割って得られる循環小数0.142857142857...に対応している。エニアグラムの語はギリシャ語に由来し、エネア(ennéa)が九を意味し、グラム(grámma)が図を表す言葉、を意味する。厳密には、エニアグラムという言葉はこの図形を指す。昨今ではこのエニアグラムを利用した性格論との関係で使われることが多い。その場合には、人間の性格9種類に分類したエニアグラム、またはそれに基づく性格論を指す。本項目では主としてこれについて詳述する。

エニアグラム性格論は、9つの相互に関連した性格の類型であるとされ、そのように教えられている。現代のエニアグラム論の起源と歴史は論争になっているが、 オスカー・イチャーソ英語版クラウディオ・ナラニョ英語版の教えに由来している。ナラニョの理論は、ゲオルギイ・グルジエフの初期の教えの一部から影響を受けている。類型としてのエニアグラムは、幾何学図形で表され9つの性格のタイプで、enneatypes と呼ばれることもある。エニアグラム性格類型の教師たちの教えは様々であり、必ずしも一致していない。[1]

エニアグラム性格類型は、セミナー、雑誌、書籍、DVDなどにより、スピリチュアリティとビジネス管理の文脈の中で広まっている[2][3]。ビジネス管理の文脈では、一般的に職場の人間関係への洞察を深めるための類型として使われている。スピリチュアリティの文脈では、より高次の存在、精髄、輝きへの道として提示されることが多い。どちらの文脈でも、自己啓発、自己理解、自己発達を助けるものとして扱われており[2]、ある程度人気がある。

エニアグラムの正確な計量的心理テストは限られており、査読された研究は関連する学会で広く受け入れられていない。疑似科学であり、解釈の対象であり、科学的なテストや検証が困難、「信頼性や有効性が実証されていない判断方法」等と批判されている[4][5]

歴史[編集]

象徴図形としてのエニアグラムは、ゲオルギイ・グルジエフ1915年ごろにロシアでの講義でこれを紹介したことが、のちに広く知られることの最初のきっかけとなった。そのときの講義録はのちに英語に翻訳されたほか、P・D・ウスペンスキーの『奇跡を求めて』に一部を引用されることで一般に知られるようになった。グルジェフはこれを「三の法則」と「七の法則」の組み合わせによる宇宙の創造と維持の原理を明らかにし、成長と発展の道筋を指し示す象徴図形として教えた。

性格論との関係でエニアグラムが利用されるようになったのは1970年代以降である。ボリビアで生まれたオスカー・イチャーソ英語版がグルジエフに間接的に触発され、グループワークを主導、アリカ学院英語版を設立し、拠点をチリから北米に移して活動し、Enneagram of Personality という言葉を作った[1][2]。イチャーソが自己啓発やスピリチュアリティに関わる現代のエニアグラムの主要な源であると考えられている。チリ生まれの精神科医クラウディオ・ナラニョはアリカ学院でイチャーソからエニアグラム性格類を学び、1970年代にアメリカでエニアグラム性格類型を発展させ、キリスト教の霊性に合わせ、カトリックの司祭たちに影響を与えた。イチャーソはナラニョを否定し、他のエニアグラム性格類型の教師たちはナラニョのやり方には誤解や誤用があると感じた。ナラニョの初期の生徒たちの理解は主流とは異なっている。[2]1980年から90年に、多くの作家がエニアグラム性格類型の本を出版した。

関連文献[編集]

エニアグラム性格論:

  • Maria, Beesing 『エニアグラム入門』 春秋社1984年
  • ヘレン・パーマー『新エニアグラム』阪急コミュニケーションズ(1996年)
  • ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン『エニアグラム あなたを知る9つのタイプ 基礎編』角川書店(2001年)
  • ウィリアム・パターソン『グルジェフを求めて/第四の道をめぐる狂騒』コスモス・ライブラリー(2003年)
  • ティム・マクリーン、高岡よし子『エニアグラム 自分のことが分かる本』マガジンハウス(2009年)
  • Riso, Don Richard; Hudson, Russ (1999). Wisdom of the Enneagram. Bantam. ISBN 0-553-37820-1. 

エニアグラム総論:

  • P.D.ウスペンスキー 『奇蹟を求めて』 浅井雅志訳、平河出版社
  • 前田樹子『エニアグラム進化論』 春秋社

脚注[編集]

  1. ^ a b Ellis, Albert; Abrams, Mike; Dengelegi Abrams, Lidia (2008). Personality theories: critical perspectives. SAGE. ISBN 978-1-4129-7062-4. https://books.google.com/books?id=4_FOIKi2_tYC&pg=PA569&lpg=PA569&dq=%22New+age+theories+of+personality:+The+Enneagram%22#v=onepage&q=%22New%20age%20theories%20of%20personality%3A%20The%20Enneagram%22&f=false. "Ichazo has disowned Naranjo, Palmer and the other Jesuit writers on the Enneagram on the grounds that his descriptions of the nine types represent ego fixations that develop in early childhood in response to trauma." 
  2. ^ a b c d Clarke, Peter (2004). Encyclopedia of new religious movements. Taylor & Francis. ISBN 0-203-48433-9. https://books.google.com/books?id=KLipBC05pF8C&pg. 
  3. ^ Kemp, Daren (2004). New age: a guide : alternative spiritualities from Aquarian conspiracy to Next Age. Edinburgh University Press. ISBN 978-0-7486-1532-2. https://books.google.com/books?id=xz4EWg1WWmMC&pg=PA80&dq=%22New+age%22+%22Enneagram%22#v=onepage&q=%22Enneagram%22&f=false. 
  4. ^ Kaluzniacky, Eugene (2004). Managing psychological factors in information systems work: an orientation to emotional intelligence. Idea Group Inc (IGI). ISBN 978-1-59140-198-8. https://books.google.com/books?id=SwE8RVv6C8AC&pg=PA66&dq=Enneagram+scientific#v=onepage&q=Enneagram%20ad%20hoc&f=false. 
  5. ^ Bruce A. Thyer; Monica Pignotti (15 May 2015). Science and Pseudoscience in Social Work Practice. Springer Publishing Company. pp. 64–. ISBN 978-0-8261-7768-1. https://books.google.com/books?id=EQFPCQAAQBAJ&pg=PA64. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]