エニアグラム

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エニアグラム(円九分割図:enneagram)とは、円周を九等分して作図される特定の象徴図形である。円周上の九つの分割点に1から9までの番号を振り、3-6-9の点を結んで正三角形を描き、さらに1-4-2-8-5-7の点を直線で結んだ図形を描く。1-4-2-8-5-7は、1を7で割って得られる循環小数0.142857142857...に対応している。エネアが九を意味し、グラムが図を表す言葉から来ている。

厳密には、エニアグラムという言葉はこの図形を指す。昨今ではこのエニアグラムを利用した性格論との関係で使われることが多い。その場合には、人間の性格9種類に分類したエニアグラム、またはそれに基づく性格論を指す。本項目では主としてこれについて詳述する。

象徴図形としてのエニアグラム[編集]

象徴図形としてのエニアグラムは、ゲオルギイ・グルジエフ1915年ごろにロシアでの講義でこれを紹介したことが、のちに広く知られることの最初のきっかけとなった。そのときの講義録[1]はのちに英語に翻訳されたほか、P・D・ウスペンスキー『奇跡を求めて』に一部を引用されることで一般に知られるようになった。グルジェフはこれを「三の法則」と「七の法則」の組み合わせによる宇宙の創造と維持の原理を明らかにし、成長と発展の道筋を指し示す象徴図形として教えた。グルジエフによるエニアグラムの扱いは性格論でのエニアグラムの扱いとは異なると見られてきたが、両者間の決定的な違いを認めながらも、グルジエフに由来する理論をもって性格論のエニアグラムを検証し、根拠付ける試みもされている[2]

性格論との関係でエニアグラムが利用されるようになったのは1970年代以降である。これを最初に試みたのはボリビアに生まれてグルジエフに間接的に触発されたグループワークを主導、アリカ学院を設立してのtに北米でも活動したオスカー・イチャーソである。のちに、イチャーソの同僚からその理論を学んだヘレン・パーマードン・リチャード・リソほか、主としてクリスチャン心理学者アメリカなどでこれを一般に広めた。

アリカ学院とヘレン・パーマーらの間でのこの理論の著作権をめぐる紛争を背景に、エニアグラムとそれを使った性格論の起源と由来をめぐり、根拠に乏しい情報が流布されてきた。それはたとえば、エニアグラムおよびそれを使った性格論は昔からスーフィーの間で知られていたものであるという伝説である。だが、現在ではほぼだれもが認めるに至ったこととして、「九つの性格」のエニアグラムとして知られるものの原型は、オスカー・イチャーソが1970年台においてすでに編み出していた「自我の囚われ」(ego fixation)の九つのパターンをあらわすエニアグラムを使ったモデルにある。日本には鈴木秀子によって1980年代末に紹介された。

象徴図形としてのエニアグラムの起源について、史実として確認できる情報は皆無である。これを世界に知らしめた人物であるゲオルギイ・グルジエフは、エニアグラムの起源について明言していない。だが、グルジェフの理論においてエニアグラムがあらわすとされる「三の法則」と「七の法則」をめぐる知識に関しては、それはアトランティスの時代においてすでに知られていたもので、アトランティスの滅亡後には、古代中国にてその知識が再構築されたほか、ピタゴラスをはじめとする少数の者たちに知られ、さらに昨今ではブハラ周辺のダルヴィッシュ(スーフィーの道に従う者たち)らの間で知られていたというストーリーを残している。[3]

エニアグラム性格論[編集]

性格の主な九分類法[編集]

リソによる分類法[4]
タイプ1 改革する人。(良識的で理想主義のタイプ。高潔。きっぱりした。自己抑制的で、完全主義者。)
タイプ2 助ける人。(思いやりがあり、人間関係を重視するタイプ。寛容。気持ちを表現する。八方美人。所有欲が強い。)
タイプ3 達成する人。(成功志向で実際的なタイプ。適応力がある。卓越している。強迫観念に駆られた。外面を気にする。)
タイプ4 個性的な人。(繊細で引っ込みがちなタイプ。表現力がある。ドラマティック。自己陶酔的。気まぐれ。)
タイプ5 調べる人。(真剣で知的なタイプ。洞察が鋭い。革新的。秘密主義的で、孤立する。)
タイプ6 忠実な人。(真剣に関わる、安全志向なタイプ。愛嬌のある。責任感が強い。心配性で、疑り深い。)
タイプ7 熱中する人。(活動的で、面白いこと好きなタイプ。自発的。多芸多才。欲張りで、注意散漫。)
タイプ8 挑戦する人。(パワフルで、仕切るタイプ。自信に満ち、判断力に富む。強情で、対決的。)
タイプ9 平和をもたらす人。(のんびりしていて、控えめなタイプ。受容的。安心させる。周りに合わせる。自己満足的。)

参考図書[編集]

エニアグラム性格論:

  • Maria, Beesing 『エニアグラム入門』 春秋社1984年
  • ヘレン・パーマー『新エニアグラム』阪急コミュニケーションズ(1996年)
  • ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン『エニアグラム あなたを知る9つのタイプ 基礎編』角川書店(2001年)
  • ウィリアム・パターソン『グルジェフを求めて/第四の道をめぐる狂騒』コスモス・ライブラリー(2003年)
  • 安村 明史『9タイプ・コーチング 部下は9つの人格に分けられる』PHP研究所(2006年)
  • ティム・マクリーン、高岡よし子『エニアグラム 自分のことが分かる本』マガジンハウス(2009年)
  • Riso, Don Richard; Hudson, Russ (1999). Wisdom of the Enneagram. Bantam. ISBN 0-553-37820-1. 

エニアグラム総論:

  • グルジエフ「エニアグラム講義録」郷尚文訳
  • P.D.ウスペンスキー 『奇蹟を求めて』 浅井雅志訳、平河出版社
  • 郷尚文『グルジエフ総論:エニアグラム:動く象徴から読み解く成長の道筋と性格の型』電子書籍:Amazon(グルジェフに由来する理論に基づくエニアグラム性格論の検証と根拠付けを含む)
  • 前田樹子『エニアグラム進化論』 春秋社

脚注[編集]

  1. ^ グルジェフ『エニアグラム講義録』郷尚文訳、電子書籍:Amazon
  2. ^ 郷尚文『グルジェフ総論:エニアグラム:動く象徴から読み解く成長の道筋と性格の型』電子書籍:Amazon
  3. ^ グルジェフ『ベルゼバブが孫に語った物語 - 人間の生に対する客観的で公正な批判』 郷尚文訳、電子書籍:Amazon
  4. ^ ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン『エニアグラム あなたを知る9つのタイプ 基礎編』角川書店(2001年),Riso, Don Richard; Hudson, Russ (1999). Wisdom of the Enneagram. Bantam. ISBN 0-553-37820-1.,を参考

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

エニアグラム性格論関連団体:(五十音順)

エニアグラムの原理と理論: