アクトン・ベイビー

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アクトン・ベイビー
U2スタジオ・アルバム
リリース
録音 1990年
ハンザ・スタジオベルリン
ウィンドミルレーン・スタジオ(ダブリン
ジャンル ロック
時間
レーベル アイランド・レコード
プロデュース ブライアン・イーノ
ダニエル・ラノワ
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 全英2位
  • 全米1位
  • U2 年表
    魂の叫び
    (1988年)
    アクトン・ベイビー
    (1991年)
    ZOOROPA
    (1993年)
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    アクトン・ベイビー』 (Achtung Baby)は、アイルランドのロックバンド、U2アルバムである。1993年のグラミー賞最優秀ロック・グループ受賞。

    概要[編集]

    ルーツ・ミュージックに接近した1980年代後半の音楽性と決別し、対極的な「1990年代型U2」を宣言した作品。硬派なロックサウンドから、打ち込みを駆使したダンス・ビートへ転向し、歌詞も官能や不道徳を赤裸々にさらけだすものになった。ボーカルのボノはファーストシングル「ザ・フライ」について「4人の男でヨシュア・トゥリーを切り倒している音だ」と表現した[1]

    その衝撃的な変身ぶりは、ファンを中心に多くの物議を醸した。しかしそれと同時に多くの新たなファンを獲得した作品でもあり、それまでの商業的な大成功の後でのこの大胆な路線変更は、以前とは違い多くのミュージシャンからも評価を得るものとなった。

    U2が新路線を見出した背景には東西冷戦構造崩壊後の混沌とした世界情勢や、湾岸戦争の衛星テレビ中継(テレビの中の現実)、当時の若者を魅了したダンスミュージック・ムーブメント(「セカンド・サマー・オブ・ラブ」や「マッドチェスター」)があった。これら新時代の流れをシニカルかつスタイリッシュに捉えたのが本作である。また、本作のコンセプトを拡張した「ZOO TVツアー」の奇抜なステージセットやライブパフォーマンスも話題を呼んだ。

    レコーディングはベルリンの壁崩壊(1989年11月)後の巨大なうねりの中に位置していたベルリンで始まり、本作をプロデュースしたブライアン・イーノがかつてデヴィッド・ボウイと共にベルリン三部作を生み出したハンザ・スタジオを使用した。新作の方向性を巡ってメンバーの意見がまとまらず、ボノ曰く「10段階でいうと、解散の危機の9の段階まで来ていた」「バンドのラインナップを拡大して他のミュージシャンを入れることすら考えた」という状況だった[2]。しかし、メンバーが気に入っていたが没になった第二ブリッジを「ワン」のイントロに作り変えたことが、新たなU2サウンドを紡ぎだす突破口となった[2]

    アルバム・タイトルの由来は、バンドのサウンドマンであるジョージ・オハーリーがアルバム『』以降U2が自らの音楽スタイルを変化させながら巨大な存在へと変貌していく姿を描写して名づけた“デンジャラス・ベイビー”から来ているといわれている。Achtung(アハトン)とはドイツ語で「注意」(英語でいうattention)の意である。

    ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・ベストアルバム500(大規模なアンケートで選出)において62位。

    2011年にはアルバム発表20周年を記念してリマスタリング盤、シングルB面・レアトラックを収録した2CD盤、DVDなど特典付きのデラックス盤など4タイトルをリリース[3]。さらに、困難なレコーディングの模様を振り返るドキュメンタリー映画「フロム・ザ・スカイ・ダウン (From The Sky Down」(デイビス・グッゲンハイム監督)が公開された[4]

    楽曲解説[編集]

    収録曲[編集]

    1. ズー・ステーション - Zoo Station
    2. リアル・シング - Even Better Than the Real Thing
    3. ワン - One
    4. 夢の涯てまでも - Until the End of the World
    5. ワイルド・ホーセズ - Who's Gonna Ride Your Wild Horses
    6. ソー・クルエル - So Cruel
    7. ザ・フライ - The Fly
    8. ミステリアス・ウェイズ - Mysterious Ways
    9. 世界を抱きしめて - Tryin' to Throw Your Arms Around the World
    10. ウルトラ・ヴァイオレット - Ultraviolet (Light My Way)
    11. アクロバット - Acrobat
    12. 恋は盲目 - Love Is Blindness

    ビデオ[編集]

    1992年5月にビデオクリップ集『アクトン・ベイビー・ザ・ビデオ』(Achtung Baby: The Videos, The Cameos, and a Whole Lot of Interference from Zoo TV)を発表した。収録時間65分。

    ケヴィン・ゴドレイ監督の「リアル・シング」は演奏するU2を縦回転するカメラで撮り続けるという斬新な映像が評判になった。「ワン(ヴァージョン1)」ではメンバー4人が女装で出演する。

    • 電波妨害 - INTERFERENCE
    • リアル・シング - Even Better Than the Real Thing
    • 電波妨害 - INTERFERENCE
    • ミステリアス・ウェイズ - Mysterious Ways
    • ワン(ヴァージョン1) - One (version 1)
    • ザ・フライ - The Fly
    • 電波妨害 - INTERFERENCE
    • リアル・シング(ダンス・ミックス) - Even Better Than the Real Thing
    • ワン(ヴァージョン2) - One (version 2)
    • リアル・シング - Even Better Than the Real Thing
    • ワン(ヴァージョン3) - One (version 3)
    • 夢の涯てまでも - Until the End of the World

    脚注[編集]

    1. ^ ロッキング・オン2018年2月号」、ロッキング・オン、2018年、29頁。
    2. ^ a b ロッキング・オン2017年8月号」、ロッキング・オン、2018年、36-37頁。
    3. ^ U2、発売20周年を記念し『アクトン・ベイビー』4タイトル登場 - BARKS(2011年11月28日)
    4. ^ U2:メンバーが語る「アクトン・ベイビー」誕生秘話 日本未公開ドキュメンタリーがWOWOWで - まんたんウェブ(2011年12月26日)