ヨシュア・トゥリー
『ヨシュア・トゥリー』 | ||||
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U2 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | ウィンドミルレーンスタジオ, ダブリン 1986年 | |||
ジャンル | ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | アイランド・レコード | |||
プロデュース |
ブライアン・イーノ ダニエル・ラノワ | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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U2 アルバム 年表 | ||||
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『ヨシュア・トゥリー』 (The Joshua Tree ) は、アイルランドのロックバンド、U2のアルバムである。"Joshua Tree"とはアメリカ南西部の砂漠地帯に生えるユッカの樹のこと。
概要[編集]
前作『焰』からの3年間、U2はアフリカ救済、エイズ撲滅などのチャリティーイベントに参加して世界的な知名度を得ており、本作でその人気が爆発する。全米チャートで9週連続1位を獲得し、全世界でのセールスは2,500万枚を超え[1]、同バンドのキャリアにおいて最も売れたアルバムとなっている。発売当時、アメリカの『TIME』誌はU2の写真を表紙に載せ、”Rock's Hottest Ticket”という見出しを付けた。
グラミー賞では最優秀アルバム賞、最優秀ロック・グループ賞を獲得(1988年)。シングルヒットした「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム」(1989年のグラミー賞最優秀パフォーマンス・ミュージック・ビデオ受賞)や「アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー 」「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」は、U2の代表曲としてライブでも歌われ続けている。
音楽面ではアメリカ文化への傾倒がより顕著になり、ブルースやカントリー、ゴスペルなどのルーツ・ミュージックを積極的に吸収し、従来のU2にはなかった静謐さと骨太さを併せ持ったコントラストの深い独自のサウンドを構築している。アメリカ政府の対ニカラグア政策(コントラ支援)を告発する「ブレット・ザ・ブルー・スカイ」、イギリスの炭鉱労働者がモチーフの「レッド・ヒル・マイニング・タウン」、チリのピノチェト政権下の行方不明者をテーマにした「マザーズ・オブ・ザ・ディサピアード」など硬派な姿勢を貫きながら、セールスでも大成功した。
『ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・ベストアルバム500』(大規模なアンケートによる選出)に於いて、27位にランクイン[2]。
アメリカ議会図書館が毎年公表している全米録音資料登録簿(将来に渡って保存すべき録音資料)に、2013年分の登録作品のひとつとして選ばれた[3]。
収録曲[編集]
1面
- ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム(約束の地) - Where the Streets Have No Name
- アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー (終りなき旅) - I Still Haven't Found What I'm Looking for
- ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー - With or Without You
- ブレット・ザ・ブルー・スカイ - Bullet the Blue Sky
- ランニング・トゥ・スタンド・スティル - Running to Stand Still
2面
- レッド・ヒル・マイニング・タウン - Red Hill Mining Town
- 神の国 - In God's Country
- トリップ・スルー・ユア・ワイヤーズ - Trip Through Your Wires
- ワン・トゥリー・ヒル - One Tree Hill
- エグジット - Exit
- マザーズ・オブ・ザ・ディサピアード - Mothers of the Disappeared
ドキュメンタリー[編集]
1999年に、同名のメイキング・ドキュメンタリー映像が発売された。U2のメンバーとプロデューサーのブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワらが制作時を振り返る内容で、エルヴィス・コステロのコメントも収めている。
この中に「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム」のミュージック・ビデオ撮影風景が登場する。ロサンゼルス市街地でゲリラ撮影したものだが、この際ボノがホテル屋上の広告塔から着想した物語が、2000年に映画『ミリオンダラー・ホテル』(ヴィム・ヴェンダース監督)になった。
記念行事[編集]

2007年には20周年記念として、リマスター盤が発売された。限定版のスーパー・デラックス・エディションにはシングルのB面曲、未発表曲が収録されたボーナスCDと、1987年7月4日にパリのヴァンセンヌ競馬場で行われたライブが収録されたDVDがセットになっている。
2017年6月2日には30周年記念盤が発売された。通常盤は2007年のリマスターと同仕様。デラックス盤には1987年のマディソン・スクエア・ガーデン公演(音源未発表)を収録したディスク2が付属し、スーパー・デラックス盤には2017リミックスやB面曲・アウトテイクが付属する[4]。
2017年5月から10月にかけて、「ヨシュア・トゥリー・ツアー2017」全50公演が行われ、約270万枚のチケットが売れ、約360億円の興業収入を挙げた[5]。当ツアーでは『ヨシュア・トゥリー』に収録されている11曲をトラックナンバー通りに演奏するという試みが行われ、ライブで演奏されたことのない「レッド・ヒル・マイニング・タウン」も初披露された[6]。ステージには縦41m×横61mの超大型8KLEDスクリーンがセットされ[6]、アルバムジャケットを撮影したアントン・コービンによる映像が投影される。
2019年にはオセアニア・アジア地域をまわる「ヨシュア・トゥリー・ツアー2019」を開催し、13年ぶりの日本公演を行った[7]。
使用された曲[編集]
- 「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム(約束の地)」 - テレビ朝日系『ニュースステーション』10代目オープニングテーマ。
脚注[編集]
- ^ ロック史に残る重要な1枚、U2の名作中の名作『ヨシュア・トゥリー』の30周年記念盤が6月2日リリース! - ユニバーサルミュージック(2017年3月10日)2018年7月28日閲覧
- ^ 500 Greatest Albums of All Time: U2, 'The Joshua Tree' | Rolling Stone
- ^ "米国議会図書館、将来にわたり保存すべき録音資料としてU2の"The Joshua Tree"など25作品を追加". カレントアウェアネス・ポータル.(2014年4月3日)2013年4月5日閲覧。
- ^ U2の名盤『ヨシュア・トゥリー(30周年記念盤)』本日発売! 8月にはU2の全オリジナル・アルバムが待望の紙ジャケット・リリース決定! - ユニバーサル・ミュージック(2017年6月2日)
- ^ U2【ヨシュア・トゥリー・ツアー2017】が終了 総収益は約360億円を突破 - ビルボードジャパン(2017年11月2日)
- ^ a b “U2、巨大スクリーンが圧巻の『ヨシュア・トゥリー』再現ツアーがスタート”. OKmusic. (2017年5月16日) 2018年7月28日閲覧。
- ^ “【ライブレポート】U2、目もくらむような巨大スクリーンと強烈なメッセージ”. BARKS. (2019年12月4日) 2019年12月5日閲覧。