私立学校
私立学校(しりつがっこう、英: Private school)とは、広義においては国立の教育施設、公立の教育施設に該当しない教育施設のことである。
概要
私立学校とは、狭義には、学校教育法第2条に基づく学校のみを指し、さらに狭義には、私立学校法第2条第3項に基づく学校のみを指す。広義には、国立の教育施設、公立の教育施設に該当しない教育施設のすべてを指すこともある。私立学校の多くは、私立学校法に基づく学校法人が設置する学校である。略称は私学(しがく)。口頭で「市立」と区別する場合、「わたくしりつ」とも呼ぶ(対する市立は「いちりつ」)。
また、構造改革特別区域制度開始により、該当特区に限り株式会社や特定非営利活動法人も設置できるようになった(朝日塾中学校など)。しかし、構造改革特別区域法においては、設置者が株式会社や特定非営利活動法人の学校について、学校教育法においては「私立学校」と読み替えているものの、私立学校法における読み替えはない。したがって、株式会社や特定非営利活動法人は、私立学校法上の「私立学校」には該当しない。またこれらの設置者は、私学助成の対象とはならない。
特徴
所轄
私立学校の設置・廃止・変更などの認可は、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、各種学校については、都道府県知事が行い(教育委員会の所轄ではない)、大学、短期大学、高等専門学校については文部科学大臣がおこなう(学校教育法第4条)。
幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校
学校教育法(法律)・学校教育法施行規則(省令)に基づいて公示される幼稚園教育要領(告示)・学習指導要領(告示)は、法令に特別の定めがある場合を除き、すべての学校が満たさなければならない教育課程の基準である。
教育行政上、公立の幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校は、教育要領・学習指導要領から逸脱することはきわめて困難であるが、国立および私立の幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校は、教育要領・学習指導要領からの逸脱が容易である。そのため、各校独自の方針に基づいた斬新的な教育課程を編成することも可能ではあるが、教育要領・学習指導要領に定める教育課程の基準から逸脱することは法令・告示違反に該当し[要出典]、逸脱の範囲が在籍者や教職員の人権を犯すものとなれば、裁判で学校の設置者等が敗訴することも多い[要出典]。
学校教育法施行規則の別表、教育要領・学習指導要領は、教育課程の最低基準を定めたものであるので、学校週5日制を実施せず、土曜日も授業を行っても法令・告示上とも、問題はない。また、宗教教育も可能なため、学費の高さや、幼稚園受験・小学校受験(お受験)や中学入試をもってしてもこれら特徴のある私立学校へ入学する傾向もある。
中学受験・高校受験倍率の高い私立学校には、大きく分けて次の2種類がある。
- 附属校タイプ
- 大学に附属していて、ほとんど無試験で大学まで進学できる(いわゆる「エスカレーター式」)学校。
- 進学校タイプ
- 学力重視の教育をしていて難関大学への一般入試での合格者が多い学校。
- また上記の2タイプを兼ね備えた学校も存在する。
他の特徴として、「男女別学が多いという事」[要出典]「中学校を併設していない高校はある程度存在するが、高校を併設していない中学校はほとんど存在しないという事」[要出典]などがあげられる。
私立学校の教員採用に関しては、各校が独自の採用方法を採っている。だが、地域によっては私学協会が私学適性検査を実施していることがあり、教員への応募者は、これを受けてエントリーすることもある。
私立高校の一部は、甲子園の高校野球大会での優勝・上位入賞の実績を多く持っている学校があり、全国からの志望者が押し寄せることもある。
補助金
日本国憲法89条の中で「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業」への公金の支出を禁止しているが、「学校教育法および私立学校法」に基づく私立学校は公の支配に属すると解釈され補助金(私学助成)を受けている(また、私立学校法に基づかない私立の幼稚園も例外的に認められている)。
インターナショナル・スクール、他にアメリカンスクール・朝鮮学校・中華学校・ブラジル学校の場合は、設置者が、学校法人であるか、私立学校法第64条第4項に規定する法人(準学校法人)であれば、私学助成を受けることが可能である。
私立学校の割合
- 幼稚園(59.2%:79.1%)
- 小学校(0.8%:0.9%)
- 中学校(6.3%:6.2%)
- 高等学校(24.2%:29.3%)
- 中等教育学校
- 高等専門学校
- 短期大学(88.2%:91%)
- 大学(74.8%:73.5%)
- 大学院
(校種(学校数比率:学生数比率)、2003年[要出典])
補足説明
- 大学
- 日本の大学の四分の三は私立である。私立大学について詳しくは、『私立大学』を参照すること。
- 高等専門学校
- 私立の高等専門学校は少なく、全国に3校(サレジオ(旧育英)工業高専・近畿大学工業高専・金沢工業高専)あるのみである。
なお、高知高専に関しては、1962年に国立へ移管された特殊な経緯をもつ。
- 特別支援学校
- 数は少ないがそれなりに見られる。
- 専修学校・各種学校
- 専修学校・各種学校の大半は、私立学校である。
地域的な集中
中学校
私立中学は日本に700校あるが、東京都179校、大阪府63校、神奈川県62校、兵庫県39校、京都府24校、千葉県23校、埼玉県20校と、首都圏と近畿圏に集中している(2003年時点)。
しかし東京都でも中学校全体の21,2%と少数派である(生徒数比率は24%)。他の20校以上ある都道府県の学校数は、静岡県22校、愛知県21校、広島県27校、福岡県29校である。学齢期の日本人であれば義務教育制度によって公立中学への入学が保障されている。そのため、公立中学校の滑り止めになる私立中学校は存在しないことになるとされる。
高等学校
私立高校は日本に1318校あり、東京都は238校で大阪府は106校で、中学校ほど一地域に集中していない。
高校は公立も入学試験があるため、公立高校の偏差値が高い地域では公立高校入試の滑り止めになる私立高校も存在する。