タイラー・グラスノー

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タイラー・グラスノー
Tyler Glasnow
ロサンゼルス・ドジャース #31
ピッツバーグ・パイレーツ時代
(2017年4月15日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州ロサンゼルス郡ニューホール英語版
生年月日 (1993-08-23) 1993年8月23日(30歳)
身長
体重
6' 8" =約203.2 cm
225 lb =約102.1 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 投手
プロ入り 2011年 MLBドラフト5巡目
初出場 2016年7月7日
年俸 $17,500,000(2024年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

タイラー・アレン・グラスノーTyler Allen Glasnow, 英語発音:/ˈtaɪlɚ ˈælən ˈglæsˌnaʊ/; 1993年8月23日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡ニューホール英語版出身のプロ野球選手投手)。MLBロサンゼルス・ドジャース所属。

姓のGlasnowは"GLASS-now"[2](グラス - ナウ)と発音され、メディアによってはこれに基づき「グラスナウ」と表記されることもある。

経歴[編集]

プロ入りとパイレーツ時代[編集]

2011年MLBドラフト5巡目(全体152位)でピッツバーグ・パイレーツから指名され、プロ入り[3]

2012年は、ルーキー級ガルフ・コーストリーグ・パイレーツ、A-級ステート・カレッジ・スパイクスに所属した。

2013年は、A級ウェストバージニア・パワーに所属した[4]。最終的にシーズン111回を投げて防御率2.03、164奪三振を記録した[5]

2014年は、A+級ブレイデントン・マローダーズに所属した[6]

2015年は、AA級アルトゥーナ・カーブに昇格した。足関節の負傷により一時A-級ウェストバージニア・ブラックベアーズ英語版に降格するも回復後[7]、AA級アルトゥーナに復帰。その後AAA級インディアナポリス・インディアンスに昇格[8]。オフの11月20日に40人枠入りした[9]

2016年は開幕をAAA級インディアナポリスで迎えた。7月7日にメジャー初昇格を果たした[10]。同日のセントルイス・カージナルスとのデビュー戦で先発したが、5.1回を4失点の投球で敗戦投手となった[11]。同年、メジャーでは7試合に登板、うち4試合が先発登板で、防御率4.24、0勝2敗、WHIP1.50という成績に終わり、メジャー初勝利はならなかった。ただ、23.1イニングながら24個の奪三振(奪三振率9.3)という好成績だった。なお、マイナーではAA級アルトゥーナ及びAAA級インディアナポリスで計22試合に先発登板し、防御率1.93、8勝3敗、WHIP1.17、116.2イニングで144奪三振という支配的な投球だった。

2017年1月20日、背番号を24に変更した[12]。開幕前にMLB.comが発表したプロスペクト英語版ランキングでは9位だった[13]。このシーズンは15試合(13先発)に登板し、防御率7.69だった。打撃では23打席で打率.294、OPS.749と好調だった。

レイズ時代[編集]

2018年7月31日にクリス・アーチャーとのトレードで、オースティン・メドウズ及び後日発表選手[注 1]と共にタンパベイ・レイズへ移籍した[15]。背番号は20。移籍してからはすぐに先発ローテーションに組み込まれたが、1勝しかできなかった[16]。レイズでは11試合に先発登板し、55.2回を投げ、防御率4.20、64奪三振だった。

2019年は開幕から好調で、4月は5勝0敗、防御率1.75を記録してピッチャー・オブ・ザ・マンスを受賞した。しかし、5月10日のニューヨーク・ヤンキース戦で右前腕部を痛めると、10日間の故障者リストに登録された[17]。その後、60日間の故障者リストに移り、約4か月離脱。9月8日に復帰以降は少ないイニングではあったが好投で、最終成績は12先発(60.2回)で6勝1敗、防御率1.78だった。

2020年COVID-19の影響で60試合の短縮シーズンに。最終成績は11先発(57.1回)で5勝1敗、防御率4.08を記録し、奪三振率14.28と7暴投はリーグ1位だった。トロント・ブルージェイズとのワイルドカードシリーズ英語版では、初戦をブレイク・スネル、2戦目をグラスノーで勝ち進んだ。アメリカンリーグディビジョンシリーズ(ALDS)では中2日の先発を経験した。ポストシーズンで5イニング以上の投球の後に中2日で登板したのは2004年のデレク・ロウ以来16年ぶりであった[18]ロサンゼルス・ドジャースとのワールドシリーズでは2試合とも敗戦投手となり、優勝を逃した。

2021年1月に年俸調停を回避し、1年400万ドルの契約に合意した[19]。4月1日のマイアミ・マーリンズとの開幕戦で自身初となる開幕投手を務めた[20]。6月15日に右肘内側側副靱帯英語版の部分断裂と診断された。6月上旬から突如としてMLB機構が投手の粘着物質を一切禁止英語版としたことが故障の原因であると明かした[21]。8月4日にトミー・ジョン手術を受けてシーズンを終えた[22]。このシーズンは14試合に登板して5勝2敗、防御率2.66、123奪三振、WHIP0.93などを記録した。

2022年9月に復帰登板をした。

2023年5月に復帰[23]。7月は6試合に先発登板し、38.1回を投げて、防御率2.11、51奪三振を記録[23]。この成績が評価され、8月2日に2019年4月以来通算2度目となるピッチャー・オブ・ザ・マンスを受賞した[23]

ドジャース時代[編集]

2023年12月16日にライアン・ペピオジョニー・デルカとのトレードで、マニュエル・マーゴットと共にロサンゼルス・ドジャースへ移籍した[24]。また、移籍と同時にドジャースと5年総額1億3650万ドルの契約延長に合意した[24]。2028年の契約は2100万ドルのプレイヤーオプションとなる[25]

2024年3月11日にMLB史上初となる韓国ソウルでのサンディエゴ・パドレスとの開幕戦で移籍初年度ながら通算2度目となる開幕投手を務めることが発表された[26]。開幕前にはパドレスのペドロ・アビラタイラー・ウェイド韓国代表元兌仁と共に韓国の少年野球選手への野球教室に参加した[27]。この際に元にボールの握りなどを伝授した[27]。3月20日に開幕ロースター入りし[28]、同日の開幕戦で開幕投手を務めた。

選手としての特徴[編集]

投球データ(2021年レギュラーシーズン)
球種 割合 平均球速 最高球速
% mph km/h mph km/h
フォーシーム 51.6 97.0 156.1 100.7 162.1
スライダー 32.2 87.5 140.8 92.3 148.5
カーブ 13.7 83.5 134.4 88.3 142.1
チェンジアップ 2.5 91.5 147.2 93.6 150.6

203cmの長身から投げ下ろす最速101.4mph[29]の速球と、縦に大きく割れるカーブの二球種で三振の山を築く本格派。パイレーツでエースだったゲリット・コールに匹敵する好素材という評価もあるが、現時点ではリリースポイントが不安定で制球に難がある。また、牽制クイックにも課題が残っている[30]

詳細情報[編集]

年度別投球成績[編集]





















































W
H
I
P
2016 PIT 7 4 0 0 0 0 2 0 0 .000 105 23.1 22 2 13 0 3 24 2 1 13 11 4.24 1.50
2017 15 13 0 0 0 2 7 0 1 .222 305 62.0 81 13 44 2 2 56 3 0 61 53 7.69 2.02
2018 34 0 0 0 0 1 2 0 4 .333 243 56.0 47 5 34 2 1 72 7 1 28 27 4.34 1.45
TB 11 11 0 0 0 1 5 0 0 .167 225 55.2 42 10 19 1 3 64 5 1 27 26 4.20 1.10
'18計 45 11 0 0 0 2 7 0 4 .222 468 111.2 89 15 53 3 4 136 12 2 55 53 4.27 1.27
2019 12 12 0 0 0 6 1 0 0 .857 230 60.2 40 4 14 0 0 76 2 0 13 12 1.78 0.89
2020 11 11 0 0 0 5 1 0 0 .833 238 57.1 43 11 22 0 0 91 7 0 26 26 4.08 1.13
2021 14 14 0 0 0 5 2 0 0 .714 340 88.0 55 10 27 0 0 123 8 0 26 26 2.66 0.93
2022 2 2 0 0 0 0 0 0 0 ---- 26 6.2 4 1 2 0 0 10 1 0 1 1 1.35 0.90
2023 21 21 0 0 0 10 7 0 0 .588 485 120.0 93 13 37 0 1 162 11 0 52 47 3.53 1.08
MLB:8年 127 88 0 0 0 30 27 0 5 .526 2197 529.2 427 69 212 5 10 678 46 3 247 229 3.89 1.21
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績[編集]



投手(P)












2016 PIT 7 0 2 1 1 .667
2017 15 4 7 1 0 .917
2018 34 6 7 1 0 .929
TB 11 4 4 0 1 1.000
'18計 45 10 11 1 1 .955
2019 12 1 5 0 0 1.000
2020 11 4 5 0 0 1.000
2021 14 6 3 0 0 1.000
2022 2 0 0 0 0 ----
2023 21 12 8 0 1 1.000
MLB 127 37 41 3 3 .963
  • 2023年度シーズン終了時

表彰[編集]

記録[編集]

背番号[編集]

  • 51(2016年)
  • 24(2017年 - 2018年7月30日)
  • 20(2018年8月1日 - 2023年)
  • 31(2024年 - )

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2018年8月14日にシェーン・バズと発表されている[14]

出典[編集]

  1. ^ Tyler Glasnow Contract Details, Salaries, & Earnings” (英語). Spotrac. 2023年12月24日閲覧。
  2. ^ Baseball Referenceによる
  3. ^ LA North: Pirates pick Hart's Tyler Glasnow in fifth round of MLB draft”. ESPN. 2015年6月20日閲覧。
  4. ^ Pirates minor league notebook: Former 5th-round pick Glasnow shining in rotation”. Pittsburgh Tribune-Review. 2015年6月20日閲覧。
  5. ^ Pirates' big risk with pitch-heavy draft focus might soon pay off”. Pittsburgh Tribune-Review. 2015年6月20日閲覧。
  6. ^ Prospect Glasnow makes scoreless season debut”. ピッツバーグ・パイレーツ. 2015年6月20日閲覧。
  7. ^ Pirates prospect Tyler Glasnow struggles in rehab outing”. Pittsburgh Post-Gazette (2015年6月20日). 2015年6月20日閲覧。
  8. ^ Bill Brink (2015年7月30日). “Pirates notebook: Top prospect Tyler Glasnow promoted to Class AAA”. Pittsburgh Post-Gazette. 2016年2月22日閲覧。
  9. ^ Bill Brink (2015年11月20日). “Pirates add four to 40-man roster”. Pittsburgh Post-Gazette. 2016年7月8日閲覧。
  10. ^ Towering Tyler Glasnow ready to fill a tall order for Pirates”. ESPN (2016年7月7日). 2024年3月27日閲覧。
  11. ^ Piscotty, Grichuk both homer as Cardinals beat Pirates
  12. ^ MLB公式プロフィール参照。2017年1月21日閲覧。
  13. ^ 2017 PROSPECT WATCH” (英語). MLB.com (2017年1月28日). 2017年2月5日閲覧。
  14. ^ Marc Topkin (2018年8月14日). “Rays get RHP Shane Baz as player to be named from Pirates in Chris Archer deal” (英語). TBO.com. 2018年8月17日閲覧。
  15. ^ Pirates show they're all-in with trade for Rays pitcher Chris Archer”. ESPN (2018年8月1日). 2018年8月5日閲覧。
  16. ^ Tyler Glasnow strikes out 5 in Rays debut”. MLB.com. 2018年12月25日閲覧。
  17. ^ レイズ・グラスノー最大6週間離脱へ、右前腕部負傷”. 日刊スポーツ (2019年5月12日). 2020年10月10日閲覧。
  18. ^ Tyler Glasnow Rays ALDS Game 5 starter”. MLB.com (2020年10月9日). 2022年1月16日閲覧。
  19. ^ AL champion Rays avoid arbitration with Tyler Glasnow, 3 others”. ESPN (2021年1月16日). 2022年1月16日閲覧。
  20. ^ Adam Berry (2021年4月2日). “'This is your year': Glasnow deals in opener” (英語). MLB.com. 2021年4月9日閲覧。
  21. ^ レイズのグラスノーが右肘手術で長期離脱へ 負傷原因はMLBにあると批判”. 日刊スポーツ (2021年6月16日). 2022年1月16日閲覧。
  22. ^ レイズ右腕グラスノーがトミー・ジョン手術、長期離脱へ”. 日刊スポーツ (2021年8月5日). 2022年1月16日閲覧。
  23. ^ a b c Shanthi Sepe-Chepuru (2023年8月2日). “Monthly award winners for July announced” (英語). MLB.com. 2023年8月3日閲覧。
  24. ^ a b DODGERS ACQUIRE TYLER GLASNOW & MANUEL MARGOT” (英語). MLB.com (2023年12月17日). 2023年12月16日閲覧。
  25. ^ Dodgers Acquire Tyler Glasnow, Manuel Margot; Glasnow Signed To Contract Extension” (英語). MLB Trade Rumors (2023年12月16日). 2023年12月16日閲覧。
  26. ^ AJ Cassavell, Juan Toribio (2024年3月18日). “Dodgers, Padres probables set for season-opening Seoul Series” (英語). MLB.com. 2024年3月21日閲覧。
  27. ^ a b Do-Hyoung Park (2024年3月15日). “Enthusiasm reigns at Play Ball event in Seoul” (英語). MLB.com. 2024年3月21日閲覧。
  28. ^ Dodgers announce Seoul Series 26-man roster” (英語). MLB.com (2024年3月20日). 2024年3月21日閲覧。
  29. ^ 2020年10月6日の地区シリーズで記録。
  30. ^ 「2016プロスペクト・ランキングトップ100」『月刊スラッガー』2016年5・6月合併号 日本スポーツ企画出版社 68頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]