アメリカ級強襲揚陸艦

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アメリカ級強襲揚陸艦
艦級概観
艦種 強襲揚陸艦
艦名 国名
建造期間 2009年 -
就役期間 2014年 -
前級 ワスプ級強襲揚陸艦
次級 最新
性能諸元
排水量 満載: 45,570 t
全長 257.3 m (844 ft)
全幅 32.3 m (106 ft)
吃水 8.7 m (26 ft)
機関 CODLOG方式
ディーゼル発電機 (4,000 kW) 6基
補助電動機
(5,000 hp (3,700 kW)*)
2基
LM2500+ガスタービンエンジン(35,000 hp (26,000 kW)*) 2基
速力 最大22ノット
航続距離
乗員 士官:65名
曹士:994名
海兵隊員:1,687名~1,871名
兵装 ファランクスBlk.1B 20mmCIWS 2基
Mk.95 12.7mm連装機銃[1] 7基
Mk.29 8連装ミサイル発射機
(シースパロー短SAM)
2基
Mk.49 21連装ミサイル発射機
(RAM近SAM)
2基
艦載機 #航空運用機能参照
C4I SSDS Mk.2 mod.4
(CEC, NTDS対応)
レーダー AN/SPS-48E 3次元式 1基
AN/SPS-49A(V)1 対空捜索用 1基
AN/SPQ-9B 低空警戒用 1基
電子戦
対抗手段
AN/SLQ-32B(V)2 電子戦装置
Mk.53 NULKA デコイ装置

アメリカ級強襲揚陸艦(-きゅうきょうしゅうようりくかん、英語: America-class amphibious assault ship)は、アメリカ海軍強襲揚陸艦の艦級。

ワスプ級の最終艦をもとに、航空運用機能を増強して開発され、最終的には12隻の配備が予定されている。

設計

タラワ級の更新(Replacement)用として計画されたことから、LHA(R)と称されていた。

設計面では、ワスプ級の8番艦「マキン・アイランド」をベースとしており、45%が共通とされている。「マキン・アイランド」はそれまでのワスプ級姉妹艦と異なり、多様な新技術を取り入れた艦である。

「マキン・アイランド」は主機関にCODLOG方式(電気ガスタービン複合推進(hybrid-electric propulsion system)とも)が採用され、就役した米軍初の艦で、本級も同様の機関を採用している[2]。これは、低速機としてはディーゼル発電機と補助電動機(APS)による電気推進、高速機としてはゼネラル・エレクトリック LM2500+ガスタービンエンジンによる機械駆動推進を行うもので、高速機と低速機の切り替えは12ノットを基準とする。ワスプ級の7番艦まで搭載されていた蒸気タービン主機関と同等の出力を備える一方、燃料消費を半分以下に低減できるという低燃費性を備えている[3]

能力

航空運用機能

飛行甲板の構成はおおむねワスプ級のものが踏襲されており、ヘリコプター発着スポットは9ヶ所、エレベーターはデッキサイド式で2基(それぞれ力量34トン)が設けられている。当初は西欧諸国の軽空母イギリス海軍インヴィンシブル級など)のようなスキージャンプ勾配の設置も検討されたが、V/STOL機の発艦効率が向上する一方でヘリコプターの発着に使えるスペースが減少することから、最終的には棄却された[3]

従来から海兵隊で運用されていたV/STOL攻撃機ハリアー II、その後継機のF-35Bティルトローター輸送機MV-22B、大型輸送ヘリコプターCH-53E/Kをはじめとして、UH-1Y汎用ヘリコプターMH-60S多用途支援ヘリコプターAH-1W/Z攻撃ヘリコプターの搭載が予定されている。

搭載機数としては、制海艦運用の場合は固定翼機を中心に最大20機前後、通常はV/STOL機6機、MV-22B 12機を中心に各種回転翼機を加えて合計約30機が想定されている[3]

ドック型揚陸艦機能

本級の特徴は、航空機の運用を最重視したトレードオフの結果、従来の強襲揚陸艦で必須の装備であったウェルドックを廃止して、その分航空運用機能を増強した点とされており、実際に1・2番艦はそのようにして建造された。

しかし揚陸能力の弱体化を嫌がったアメリカ海兵隊の強い圧力により、2011年4月、3番艦以降よりウェルドックを復活してLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇を運用できるよう設計変更すると発表。そもそもアメリカ級は計画当初はウェルドックを組み込む事になっていたが、大型化による高価を危惧してキャンセルされた経緯がある。実現すれば、アメリカ級の売りである正規空母並みの航空機運用能力に加えて、LCACを用いた揚陸能力を持たせるために50,000トン超の大型艦になるという[4]

配備

全艦がインガルス造船所で建造予定。

艦番号 艦名 発注 起工 進水 就役
LHA-6 アメリカ
USS America
2007年
6月1日
2009年
7月17日
2012年
6月4日
2014年
10月11日
LHA-7 トリポリ[5]
USS Tripoli
2012年
5月31日[6]
2014年
6月22日

上記の通り、3番艦以降はドック型揚陸艦機能を復活させる予定とされている。ただし3番艦は、当初は2016年度予算での建造が計画されていたが、2013年度に策定された新しい建造計画では2017年度予算に延期された。

以後、4番艦が2018年度、5番艦が2020年度、6番艦が2022年度予算での建造を計画されている[3]

参考文献

  1. ^ 軍事研究 2015年7月号 217ページ
  2. ^ Lynn J. Petersen, Michael Ziv, Daniel P. Burns, Tim Q. Dinh, Peter E. Malek (2013年). “U.S. Navy efforts towards development of future naval weapons and integration into an All Electric Warship (AEW)” (PDF) (英語). 2013年10月7日閲覧。
  3. ^ a b c d 多田智彦「アメリカ級LHA(アメリカ) (特集 世界の次世代揚陸艦)」『世界の艦船』第770号、海人社、2012年12月、150-153頁、NAID 40019471106 
  4. ^ 軍事研究 2012年4月号 p146
  5. ^ アメリカ国防総省 (2012年5月4日). “Secretary of the Navy Announces LHA 7 Will Be Named USS Tripoli” (英語). 2013年10月6日閲覧。
  6. ^ Naval Sea Systems Office of Corporate Communications (2012年5月31日). “Navy Awards LHA 7 Construction Contract”. アメリカ合衆国海軍. 2016年2月19日閲覧。

外部リンク