ボクサー級強襲揚陸艦

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ボクサー級強襲揚陸艦
USS プリンストン
基本情報
艦種 ヘリコプター揚陸艦 (LPH)
運用者  アメリカ海軍
就役期間 1959年 - 1970年
計画数 4隻
建造数 3隻
前級 セティス・ベイ (CVHA-1)
次級 イオー・ジマ級 (LPH)
要目
基準排水量 25,800 トン
満載排水量 36,780 - 37,500 トン
全長 270.7 m
最大幅 45 m
水線幅 28.3 m
吃水 8.61 m
主缶 8缶
主機 蒸気タービン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 37,500 hp (28.0 MW)×2
速力 27ノット (50 km/h)
航続距離 17,600海里 (32,600 km)(12ノット (22 km/h)巡航時)
搭載能力 揚陸資材:2,000t
乗員
  • 操艦要員:1,610名(LPH-4は1,331名)
  • 上陸部隊:1,800名(LPH-4は1,300名)
兵装 38口径5インチ連装砲×4基
搭載機 輸送ヘリコプター×30機
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ボクサー級強襲揚陸艦(ボクサーきゅうきょうしゅうようりくかん、英語: Boxer-class amphibious assault ships)は、アメリカ海軍が運用していた強襲揚陸艦ヘリコプター揚陸艦)の艦級。エセックス級航空母艦長船体型3隻に所定の改装を施して艦種変更したものである。

概要[編集]

アメリカ海軍では、ミッドウェイ級フォレスタル級など第二次世界大戦後に就役を開始した大型空母の増勢と、従来対潜戦を担当していた軽空母(CVL)や護衛空母(CVE)では新型のS2F艦上哨戒機に対応困難となっている情勢を受けて、従来正規空母として扱われていたエセックス級の一部について、1953年以降対潜空母(CVS)として種別変更していた。しかしその後、艦上機ジェット化が更に進展すると、SCB-125改修でアングルド・デッキを装備した艦でなければCVSとしての任を果たせなくなっていった。このことから、従来通りのアクシアル・デッキの艦の新たな用途として注目されたのが、海兵隊水陸両用作戦を支援するためのヘリコプター揚陸艦任務であった。

まず1959年1月30日付でボクサー(CVS-21)が艦種変更されてLPH-4となり、同年3月にはプリンストン(CVS-37)がLPH-5に、ヴァリー・フォージ(CVS-45)がLPH-8となった。なお、レイク・シャンプレイン(CVS-39)もLPH化が検討されていたが、これはキャンセルされた[1]

改装[編集]

艦種変更に伴って施された改装は下記のとおりである[2]

  • 固定翼機の発着艦装置の撤去
  • 主ボイラー・主機関の半減
  • 5インチ砲の削減(LPH-4では連装砲×4基、LPH-5・8では連装砲×2基+単装砲×2基)、機銃の全廃
  • 海兵隊収容施設の設置(LPH-4では1,300名、LPH-5・8では1,800名)および資材2,000t収容スペースの確保

さらに前部エレベーターを潰して格納庫前半を2層に分け、資材・兵員用スペースを増設する改修も検討されたが、既に艦齢を重ねた艦であることから、これは断念された。

艦載ヘリコプターは、当時の海兵隊の主力輸送ヘリコプターであるHUS-1(後にCH-46により更新)が想定され、格納庫内に10機、飛行甲板ヘリコプター甲板)上に20機が搭載された[1]。また1961年から1964年にかけてFRAM-II改修を受けている[2]

運用[編集]

1965年、「ボクサー」はアメリカ軍によるドミニカ共和国占領に伴いドミニカ沖に展開し、実際にヘリボーンを実施している[1][3]。しかし本級は、元来が航空母艦であったこともあり、ヘリコプターの搭載・運用には十分であったが、兵員・貨物の収容の効率・費用対効果に難があると判断された[2]

上述の通り4隻目のLPH化は見送られ、新造のイオー・ジマ級の増勢に伴って、LPH化された3隻についても艦種変更から10年前後の1969年から1970年にかけて除籍されて、運用を終了した[2]

同型艦[編集]

# 艦名 竣工 艦種変更 除籍
LPH-4 ボクサー
USS Boxer
1945年
4月16日
1959年
1月
1969年
12月1日
LPH-5 プリンストン
USS Princeton
1945年
11月18日
1959年
3月
1970年
1月30日
LPH-8 ヴァリー・フォージ
USS Valley Forge
1946年
11月3日
1961年
11月
レイク・シャンプレイン
USS Lake Champlain
1945年
6月3日
改装計画中止

参考文献[編集]

  1. ^ a b c 野木恵一「エセックス級戦後近代化改装の概要 (特集 米空母エセックス級)」『世界の艦船』第761号、海人社、2012年6月、102-109頁、NAID 40019305396 
  2. ^ a b c d 「アメリカ揚陸艦史」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、1-167頁、NAID 40015212119 
  3. ^ USS Boxer (CV-21) from Dictionary of American Fighting Ships and United States Naval Aviation, 1910–1995, アメリカ海軍, http://www.navy.mil/navydata/navy_legacy_hr.asp?id=38 2011年12月13日閲覧。